JPH05106007A - 強度−延性バランスおよび皮膜特性の優れた高強度合金化溶融亜鉛めつき鋼板の製造方法 - Google Patents

強度−延性バランスおよび皮膜特性の優れた高強度合金化溶融亜鉛めつき鋼板の製造方法

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JPH05106007A
JPH05106007A JP29518691A JP29518691A JPH05106007A JP H05106007 A JPH05106007 A JP H05106007A JP 29518691 A JP29518691 A JP 29518691A JP 29518691 A JP29518691 A JP 29518691A JP H05106007 A JPH05106007 A JP H05106007A
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淳一 稲垣
Masaya Morita
正哉 森田
Michitaka Sakurai
理孝 櫻井
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 主に自動車用素材として用いられる、引張強
度が50〜70kg/mm2で強度−延性バランスに優
れ、しかも優れた皮膜特性を兼ね備えた合金化溶融亜鉛
めっき鋼板の製造方法を提供することにある。 【構成】複合組織化を目的としたSi−Mn−Cr系の
基本成分に組織細粒化を目的としてVを適量添加した成
分の鋼を、所定のスラブ加熱温度および巻取温度で熱延
した後、必要に応じて冷延し、次いでCGLにおいて所
定の温度で焼鈍した後めっきし、誘導加熱方式の合金化
炉において炉出側板温が450〜550℃となるよう合
金化加熱処理を行い、合金化完了後300℃以下の温度
までを10℃/sec以上の冷却速度で冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に自動車用素材とし
て用いられる高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に係
り、特に引張強度が50〜70kg/mm2で強度−延
性バランスに優れ、しかも優れた皮膜特性を兼ね備えた
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化防止等の観点から自動
車の燃費向上が叫ばれ、車体軽量化と安全性確保の観点
から素材の高強度・薄物化が強く求められている。一
方、車体寿命延長の観点から、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板が車体用素材として使用され始めて久しい。したがっ
て、これら両特性を満足させるために高強度合金化溶融
亜鉛めっき鋼板の開発が行われている。
【0003】一般的に、鋼板の強度上昇にはSi,M
n,P等の固溶強化型元素の添加、Nb,Ti,V等の
析出型元素の添加、あるいはそれら両者の複合添加等が
行われている。ところが、引張強度を50kg/mm2
以上とするためには、前者のみでは各強化元素の添加量
を多くする必要があり、特にこれらの強化元素は連続溶
融亜鉛めっきライン(以下、CGLという)での焼鈍時
に鋼板表面に濃化し、皮膜特性を低下(不めっき、合金
化不良、耐パウダリング性不良等)させるという難点が
ある。一方、後者では、鋼中に多量の析出物が存在する
ため、再結晶温度が上昇し、さらに強度−延性バランス
や穴拡げ性が劣る等、材質上の難点がある。
【0004】上記強化機構とは別に、マルテンサイト等
の硬質第2相を軟質フェライト中に分散させる複合組織
化によって鋼を強化することが知られている。この方法
では、強度−延性バランスに優れ、その上、降伏比が低
下するために形状凍結性が改善される等、プレス成形性
も向上する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、このような複
合組織化は鋼板をAc1変態点以上、Ac3変態点以下の温
度領域に加熱後冷却し、オーステナイトをマルテンサイ
ト等の硬質低温変態相に変態させることによって達成さ
れる。このような低温変態相の形成には、冷却途中で如
何にオーステナイト相を安定化させるか、換言すればオ
ーステナイトからパーライトへの変態を抑制するかが重
要である。すなわち、CGLのように焼鈍後の冷却速度
が比較的遅く、しかも冷却途中に450℃〜500℃で
のめっき工程および450〜550℃での合金化処理工
程が存在する場合には、オーステナイト相を安定化させ
るためにMn,Si,Cr等を多量に添加する必要があ
り、上述した固溶強化型と同様の問題を生じる。
【0006】例えば、特公昭58−30933号は複合
組織型合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関するも
のであるが、オーステナイトを安定化させるためにMn
+Si≧2.3とし、さらに、めっき浴と合金化炉との
間に保持帯という特殊な帯域を設けなければならない。
【0007】一方、通常の溶融亜鉛めっき鋼板(非合金
化材)についても、特公昭62−13415号や特開昭
54−148125号等の技術が開示されている。これ
らの技術では、成分系としてSi:tr.材を使用する
が、Mn:1.5wt%以下、Cr:0.5wt%以下
であり、このような鋼種を合金化処理すると、Mn,C
rの表面濃化に起因する合金化ムラ(合金化異常)が発
生し、皮膜品質が劣化してしまう。さらに、CGLでの
冷却途中に加熱工程(合金化加熱処理)が加わるため
に、強度低下も避けられない。
【0008】このように従来では、強度−延性バランス
の優れた引張強度50kg/mm2以上の高強度合金化
溶融亜鉛めっき鋼板を製造するためには、皮膜特性(め
っき性、合金化処理性)に有害な成分元素を多量に添加
したり、さらには特殊な製造設備を使用せざるを得ない
という問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような従来
法の問題に鑑み、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に要求され
る種々の特性を考慮しつつ、強度−延性バランスの優れ
た引張強度レベル50〜70kg/mm2を現出させる
強化機構を見直し、さらに、合金化処理時の加熱を誘導
加熱方式で行うことにより、原板表層の局所加熱を利用
してCGL焼鈍後冷却途中でのオーステナイトのパーラ
イトへの変態を極力抑えるとともに、耐パウダリング
性、合金相の均質性にも優れた皮膜が得られるようにし
たものである。
【0010】すなわち本発明は、C:0.08〜0.1
4wt%、Si:0.15〜0.35wt%、Mn:
1.50〜2.00wt%、P:0.05wt%以下、
S:0.02wt%以下、Sol.Al:0.03〜
0.06wt%、N:0.0070wt%以下、Cr:
0.15〜0.25wt%、V:0.050〜0.10
0wt%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なる組成を有する鋼を、熱延スラブ加熱温度:1170
℃以下、熱延巻取温度:600℃以下の条件で熱間圧延
し、必要に応じて冷間圧延した後、連続溶融亜鉛めっき
ラインにおいて、Ac1変態点以上、Ac3変態点以下の温
度で焼鈍した後めっきし、次いで、誘導加熱方式の合金
化炉において炉出側板温が450〜550℃となるよう
合金化加熱処理を行い、表層の溶融亜鉛層が消滅後、3
00℃以下の温度までを10℃/sec以上の冷却速度
で冷却することを特徴とする強度−延性バランスおよび
皮膜特性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法である。
【0011】このような本発明の特徴は、材質的にはS
i−Mn−Cr系による複合組織化とV添加による組織
の細粒化との組み合わせにより、低成分系でありながら
優れた強度−延性バランスを付与したこと、合金化加熱
処理に誘導加熱方式を用いることにより、CGL加熱後
の合金化処理工程を含めた冷却過程における鋼板の再加
熱を極力抑え、低成分系でありながらオーステナイトか
らパーライトへの変態を抑制したこと、さらには、皮膜
特性の観点から、熱延条件を適正化することにより、ス
ラブ加熱工程を含む熱延工程において形成されるめっき
原板表面の不均一性(これらの不均一性は、CGLにお
ける合金化処理時に局部的な合金化ムラを引き起こす)
を抑制し、さらに、CGLの加熱工程で生じるSi,M
n,Cr等、易酸化性元素の選択酸化物による合金化異
常を誘導加熱方式の合金化処理により無害化する(めっ
き原板の表層が優先的に加熱されるため、合金化阻害物
の影響を受けにくい)ことにある。そして、このような
本発明によれば、設備の改造等を行うことなく、強度−
延性バランスおよびめっき性、特に表面外観、耐パウダ
リング性の優れた50〜70kg/mm2級高強度合金
化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することが可能である。
【0012】
【作用】まず、本発明法におけるめっき原板の成分組成
の限定理由について説明する。 C:複合組織鋼板においては、C量は焼鈍温度とともに
第2相体積率を決定する重要な要素である。Cが0.0
8wt%未満では第2相体積率が不十分であり、引張強
度50kg/mm2以上を得るためには固溶強化或いは
析出強化元素を多量に添加する必要があり、強度−延性
バランスおよびめっき性の低下をもたらす。一方、Cが
0.14wt%を超えると第2相体積率が増加し、延性
が低下するとともに、スポット溶接性も低下する。この
ためCは0.08〜0.14wt%と規定する。
【0013】Si:Siはフェライト中の固溶Cを減少
させ、オーステナイトを安定化させるとともに、延性を
劣化させずにフェライトを強化する元素であるが、めっ
き性および合金化処理性に対して悪影響を及ぼすことが
知られている。しかしながら、後述するような製造条件
の最適化(熱延スラブ加熱温度、熱延巻取温度および誘
導加熱方式合金化炉の採用等)により、少量ならば添加
できることが判明した。Si添加は強度−延性バランス
改善という本発明の特徴の1つである。Siが0.15
wt%未満では、上述したような延性改善効果が得られ
ない。一方、0.35wt%を超えると、上記製造条件
の最適化を行っても合金化処理性への影響が現れ、表面
外観が劣化するようになる。このためSiは0.15〜
0.35wt%と規定する。
【0014】Mn:Mnはオーステナイトを安定化さ
せ、CGL冷却過程でのパーライトへの変態を抑制する
とともに、フェライト中に固溶し鋼を強化する。Mnが
1.50wt%未満ではこのような効果が十分得られ
ず、一方、2.00wt%を超えるとSiとともにCG
L加熱時に鋼板表面に濃化し、合金化処理性への影響が
現れる。このためMnは1.50〜2.00wt%と規
定する。
【0015】P:Pは延性を害さずに鋼を強化する固溶
強化元素の1つであるが、過度の添加は合金化処理性に
影響を与え、合金化ムラを生じる原因となる。このため
Pは0.05wt%を上限として添加される。 S:Sが0.02wt%を超えると熱間圧延時に割れが
発生し易くなるとともに、冷間での延性を劣化させるた
め、0.02wt%をその上限とする。
【0016】Sol.Al:Alは製鋼時の脱酸剤とし
て添加されるが、過度に添加すると選択酸化によってめ
っき性に悪影響を及ぼす。AlはSol.Alで0.0
3wt%未満では脱酸効果が十分でなく、一方、0.0
6wt%を超えると上述した選択酸化によってめっき性
が劣化する。このためSol.Alは0.03〜0.0
6wt%と規定する。 N:Nは多量に含まれると延性を劣化させるため、0.
0070wt%をその上限とする。
【0017】Cr:Crは0.15wt%以上の添加で
オーステナイトの安定性を高めるが、過度に添加すると
選択酸化によってめっき性に悪影響を及ぼす。このため
Crは0.15〜0.25wt%と規定する。 V:Vは炭窒化物として鋼中に析出することにより、2
相域加熱時にフェライトおよびオーステナイトの結晶粒
径を効果的に微細化する。このような効果は0.050
wt%未満では得ることができず、一方、0.100w
t%を超えると析出物の量が多くなるため再結晶温度が
上昇してしまう。このためVは0.050〜0.100
wt%と規定する。
【0018】以上のような成分組成の鋼スラブは、熱延
スラブ加熱温度:1170℃以下、熱延巻取温度:60
0℃以下の条件で熱間圧延される。熱延スラブ加熱温度
は熱延巻取温度とともに本発明の重要な製造条件の1つ
である。鋼中にSiを添加するとMnを多量に添加しな
くてもオーステナイトが安定化し、さらに強度−延性バ
ランスが改善される。しかしながら、Siの添加は合金
化処理性に悪影響を及ぼすことは前述した通りである。
本発明者らはこれらについて詳細な検討を行った結果、
Si鋼の合金化異常は以下に述べる2種類の現象からな
ることが明らかとなった。その1つは、図1の写真に示
すような合金化反応の不均一性であり、また他の1つは
図2の写真に示すようなフェライト結晶粒界での選択的
なFe−Zn反応による合金化異常である。これらにつ
いて熱延条件の影響を調査した結果、図3に示すよう
に、前者のタイプの合金化異常(図中、「タイプ」と
して示す)は熱延スラブ加熱温度により、また後者のタ
イプの合金化異常(図中、「タイプ」として示す)は
熱延巻取温度によって出現傾向が変化することが判明し
た。これらの理由は必ずしも明らかではないが、前者は
熱延スラブ加熱時に形成される鉄・Siの複合酸化物の
形成と、また後者は熱延巻取中に起こる表面フェライト
結晶粒界部でのSiの選択酸化現象が関与しているもの
と思われる。図3によれば、熱延スラブ加熱温度117
0℃以下、熱延巻取温度600℃以下の条件で熱延を行
えば、上述したいずれのタイプの合金化異常も生じてい
ない。以上のような結果から、本発明では熱延スラブ加
熱温度を1170℃以下、熱延巻取温度を600℃以下
と規定した。
【0019】上記熱延後の鋼板は、酸洗後必要に応じて
冷間圧延された後、CGLに通板される。このCGLに
おける焼鈍加熱温度はAc1変態点以上、Ac3変態点以下
の2相温度域とする。この2相温度域での焼鈍では、そ
の焼鈍温度に応じて2相体積率が変化し、したがって、
焼鈍温度によって強度レベルを任意に変化させることが
できる。焼鈍後の鋼板は常法に従い直ちに冷却される。
本発明ではこの際の冷却速度は特に規定しないが、通常
のCGLで達成される冷却速度により本発明の成分系は
2相組織化する。
【0020】次いで鋼板は溶融めっきされ、付着量調整
後、合金化加熱処理がなされる。この合金化加熱処理は
誘導加熱(高周波誘導加熱)方式の合金化炉で実施され
る。このように合金化処理を誘導加熱方式の合金化炉で
行うことが本発明の特徴の1つであり、これによってS
i:0.15〜0.35wt%、Mn:1.50〜2.
00wt%のような添加元素範囲の鋼板でも、合金化異
常が抑制され、しかも2相域加熱後の冷却過程における
鋼板内質の再加熱を極力抑え、低成分系でありながらオ
ーステナイトからパーライトへの変態を抑制することが
できる。
【0021】上述したように、本発明の成分系の鋼を前
述した製造条件で熱延すれば、スラブ加熱を含む熱延工
程で生じる原板表面の不均一性に起因した合金化異常を
改善することができる。しかしながら、CGLの焼鈍時
にも添加元素の量に応じて選択酸化が起るため、めっき
浴浸漬直前の鋼板表面にはSi・Mn系等の複合酸化物
が島状に存在する。このような酸化物も合金化異常や著
しい場合には不めっきを引き起こすことが知られてい
る。合金化処理に誘導加熱方式の加熱炉を使用した場合
には、通常用いられるガス加熱方式と異なり鋼板表層が
優先的に加熱され、このような加熱によって鋼板表面の
不均一性に拘らず強制的に表層の鉄と溶融亜鉛との反応
が起こり、合金化異常が抑制されるものと考えられる。
さらに、このような加熱により効率的に合金化反応が起
こるため短時間で合金化が終了し、オーステナイトから
パーライトへの変態も抑制され、特に、上記のように鋼
板表層が優先的に加熱されるため、鋼板内部でのオース
テナイトからパーライトへの変態がより効果的に抑制さ
れる。
【0022】以上のような合金化処理において、鋼板の
炉出側板温は450〜550℃の範囲に規定される。炉
出側板温が450℃未満では合金化に時間を要し、一
方、550℃を超えると耐パウダリング性が劣化する。
上記合金化処理において表層の溶融亜鉛層が消滅後、3
00℃以下の温度までを10℃/sec以上の冷却速度
で冷却する。耐パウダリング性改善には、特に合金化処
理後の過合金化の防止が重要であり、このためには合金
化加熱によって表層の溶融亜鉛層が消滅した後、合金化
が進行しない温度領域(300℃以下)までを10℃/
sec以上の冷却速度で冷却し、過合金化を防止する必
要がある。
【0023】
【実施例】
〔実施例1〕表1に示す成分組成の鋼を転炉で溶製し、
スラブ加熱温度:1150℃、熱延巻取温度:580℃
の条件で3.6mmまで熱間圧延した。この熱延板を通
常の方法で酸洗後、1.8mmまで冷間圧延し、次い
で、直火加熱炉タイプのCGLにおいて800℃で焼鈍
した後、片面60g/m2の付着量のめっきを施し、引
き続き合金化処理を施した。この合金化処理は、誘導加
熱方式の合金化炉において、炉出側の鋼板板温が500
℃となるようにして実施した。また、合金化が完了し溶
融亜鉛層が消滅した時点で、直ちに平均冷却速度25℃
/secで250℃まで冷却し、その後水冷した。この
ようにして得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面外
観および各種特性を表2に示す。表2によれば、強度−
延性バランスおよび皮膜特性(表面外観)の観点から、
本発明成分鋼であるa〜d鋼が優れた特性を示すことが
判る。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】〔実施例2〕表1のa〜d鋼を用い、合金
化ムラ発生に及ぼす熱延条件の影響を調べた。上記各鋼
をスラブ加熱温度および熱延巻取温度を種々変化させて
1.8mmまで熱間圧延した後、直火加熱炉タイプのC
GLにおいて850℃で焼鈍し、次いで、片面45g/
2のめっきを施した後、誘導加熱方式の合金化処理炉
において合金化処理を施した。この合金化処理では炉出
側板温が500℃となるようにし、合金化が完了し溶融
亜鉛層が消滅した時点で直ちに平均冷却速度25℃/s
ecで250℃まで冷却し、その後水冷した。図4はこ
のようにして得られためっき鋼板について、その合金化
不均一性をスラブ加熱温度と巻取温度で整理して示した
ものである。図4によれば、本発明が規定する条件で熱
間圧延を行うことにより、熱延工程で生じる原板表面の
不均一性に起因した合金化異常が効果的に抑えられるこ
とが判る。なお、図4に記載したタイプ、タイプの
合金化異常の区別は図3に関して述べたものと同様であ
る。
【0027】〔実施例3〕表1のa〜d鋼を用い、鋼板
の強度に及ぼすCGL焼鈍温度の影響を調べた。上記各
鋼をスラブ加熱温度:1150℃、熱延巻取温度:58
0℃の条件で3.6mmまで熱間圧延した。この熱延板
を通常の方法で酸洗した後、1.2mmまで冷間圧延
し、次いで、直火加熱炉タイプのCGLにおいて780
〜900℃の範囲で焼鈍し、引き続き片面45g/m2
の付着量のめっきを施した後、誘導加熱方式の合金化炉
において合金化処理を行った。この合金化処理では、炉
出側板温が500℃となるようにし、合金化が完了し溶
融亜鉛層が消滅した時点で直ちに平均冷却速度25℃/
secで250℃まで冷却し、その後水冷した。図5
は、このようにして得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の引張強度を焼鈍温度で整理して示したものであり、2
相温度域での焼鈍温度を変えることにより強度レベルを
任意に変化させ得ることが判る。
【0028】〔実施例4〕表1のb鋼を用い、耐パウダ
リング性に及ぼす合金化条件の影響を調べた。上記b鋼
をスラブ加熱温度:1150℃、熱延巻取温度:580
℃の条件で3.2mmまで熱間圧延した。この熱延板を
通常の方法で酸洗した後、0.8mmまで冷間圧延し、
次いで、直火加熱炉タイプのCGLで850℃で焼鈍
し、引き続き片面当り60g/m2の付着量のめっきを
施した後、誘導加熱方式の合金化炉において合金化処理
を行った。この合金化処理では炉出側板温と平均冷却速
度を種々変化させ、これらが耐パウダリング性に及ぼす
影響を調べた。表3に、得られた合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の耐パウダリング性および表面外観を合金化条件と
ともに示す。これによれば、炉出側板温と合金化完了の
後の冷却速度が本発明条件を満足する場合にのみ、優れ
た耐パウダリング性と良好な表面外観が得られることが
判る。
【0029】
【表3】
【0030】〔実施例5〕表1のc鋼を用い、合金化加
熱方式の違いによる鋼板厚み方向の加熱状態の違いを鋼
板厚み方向硬度分布により調べた。上記c鋼をスラブ加
熱温度:1150℃、熱延巻取温度:580℃の条件で
1.6mmまで熱間圧延し、これを直火加熱炉タイプの
CGLで870℃で焼鈍した後、片面60g/m2の付
着量のめっきを施し、引き続き合金化処理を施した。こ
の合金化処理では誘導加熱方式とガス加熱方式を用い、
それぞれ出側板温が505℃となるよう加熱処理を行っ
た。各合金化処理において、合金化が完了し溶融亜鉛層
が消滅した時点で直ちに平均冷却速度25℃/secで
250℃まで冷却し、その後水冷した。図6は、得られ
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板の板厚方向硬度分布を示し
たものであり、これによれば、ガス加熱方式では板厚方
向全体が加熱されるのに対し、誘導加熱方式では鋼板表
層部のみが優先的に加熱され、鋼板内部の加熱が抑えら
れていることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図3に示すタイプの合金化異常が生じた合金
化めっき層断面の金属組織を示す顕微鏡拡大写真
【図2】図3に示すタイプの合金化異常が生じた合金
化めっき層断面の金属組織を示す顕微鏡拡大写真
【図3】熱延スラブ加熱温度および熱延巻取温度が合金
化異常に及ぼす影響を示したグラフ
【図4】実施例2において、熱延スラブ加熱温度と熱延
巻取温度が合金化異常に及ぼす影響を示したグラフ
【図5】実施例3において、CGL焼鈍温度がめっき鋼
板の強度レベルに及ぼす影響を示したグラフ
【図6】実施例5において、合金化処理の加熱方式が鋼
板の板厚方向硬度分布に及ぼす影響を示したグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/00 T 7217−4K 38/24 C23C 2/40 9270−4K (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.08〜0.14wt%、Si:
    0.15〜0.35wt%、Mn:1.50〜2.00
    wt%、P:0.05wt%以下、S:0.02wt%
    以下、Sol.Al:0.03〜0.06wt%、N:
    0.0070wt%以下、Cr:0.15〜0.25w
    t%、V:0.050〜0.100wt%を含有し、残
    部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼
    を、熱延スラブ加熱温度:1170℃以下、熱延巻取温
    度:600℃以下の条件で熱間圧延し、必要に応じて冷
    間圧延した後、連続溶融亜鉛めっきラインにおいて、A
    c1変態点以上、Ac3変態点以下の温度で焼鈍した後めっ
    きし、次いで、誘導加熱方式の合金化炉において炉出側
    板温が450〜550℃となるよう合金化加熱処理を行
    い、表層の溶融亜鉛層が消滅後、300℃以下の温度ま
    でを10℃/sec以上の冷却速度で冷却することを特
    徴とする強度−延性バランスおよび皮膜特性に優れた高
    強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
JP3295186A 1991-10-15 1991-10-15 強度−延性バランスおよび皮膜特性の優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP2565038B2 (ja)

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