JPH05105483A - 多成分酸化物ガラスおよびこれを用いた光フアイバ - Google Patents
多成分酸化物ガラスおよびこれを用いた光フアイバInfo
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- JPH05105483A JPH05105483A JP26413791A JP26413791A JPH05105483A JP H05105483 A JPH05105483 A JP H05105483A JP 26413791 A JP26413791 A JP 26413791A JP 26413791 A JP26413791 A JP 26413791A JP H05105483 A JPH05105483 A JP H05105483A
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Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C13/00—Fibre or filament compositions
- C03C13/04—Fibre optics, e.g. core and clad fibre compositions
- C03C13/045—Silica-containing oxide glass compositions
- C03C13/046—Multicomponent glass compositions
Abstract
(57)【要約】
【目的】 レーリ散乱損失が石英に比べて格段に低く、
光ファイバとしたときに0.1dB/km以下の極低損
失値を示すものが得られるガラスを提供する。 【構成】 SiO2−Na2O−Al2O3の三成分からな
り、SiO2を50〜70モル%含み、Na2OとAl2
O3との組成比を2〜5とした多成分酸化物ガラス。
光ファイバとしたときに0.1dB/km以下の極低損
失値を示すものが得られるガラスを提供する。 【構成】 SiO2−Na2O−Al2O3の三成分からな
り、SiO2を50〜70モル%含み、Na2OとAl2
O3との組成比を2〜5とした多成分酸化物ガラス。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、極低損失の光ファイ
バなどを得ることのできる多成分酸化物ガラスおよびこ
の多成分酸化物ガラスを用いて得られた光ファイバに関
する。
バなどを得ることのできる多成分酸化物ガラスおよびこ
の多成分酸化物ガラスを用いて得られた光ファイバに関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、光ファイバの損失要因としては
次のようなものが挙げられる。 (1)レーリ散乱損失、赤外吸収損失などの光ファイバ
を構成する材料に固有の損失。 (2)コア、クラッドの界面の不整による散乱、脈理、
気泡などファイバ構造の不完全性、ガラスの欠陥等によ
る散乱損失。 (3)Feを始めとする遷移金属による吸収、OH基の
分子間振動による吸収などファイバ中に残留した不純物
による吸収損失。 これらの損失要因の中で(1)はファイバを構成する材
料、組成に依存する材料固有の損失であり、(2)およ
び(3)は主に製造技術にかかわる外的要因による損失
要因である。現在、主に実用化されている石英系光ファ
イバは、コア部分にGeO2を添加したGeO2−SiO
2コア、SiO2クラッドファイバであり、このファイバ
は製造技術の確立により(2)および(3)の外的要因
による損失は解決され、現状では理論限界値(〜0.2
0dB/km)に近い値を持つファイバを作製すること
が可能となっている。
次のようなものが挙げられる。 (1)レーリ散乱損失、赤外吸収損失などの光ファイバ
を構成する材料に固有の損失。 (2)コア、クラッドの界面の不整による散乱、脈理、
気泡などファイバ構造の不完全性、ガラスの欠陥等によ
る散乱損失。 (3)Feを始めとする遷移金属による吸収、OH基の
分子間振動による吸収などファイバ中に残留した不純物
による吸収損失。 これらの損失要因の中で(1)はファイバを構成する材
料、組成に依存する材料固有の損失であり、(2)およ
び(3)は主に製造技術にかかわる外的要因による損失
要因である。現在、主に実用化されている石英系光ファ
イバは、コア部分にGeO2を添加したGeO2−SiO
2コア、SiO2クラッドファイバであり、このファイバ
は製造技術の確立により(2)および(3)の外的要因
による損失は解決され、現状では理論限界値(〜0.2
0dB/km)に近い値を持つファイバを作製すること
が可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、石英系
ファイバでは添加材の最適化、母材製造条件及び線引条
件の最適化により、現状からさらに0.01〜0.03
dB/km程度の損失量の低減は期待できるが、石英を
主成分に用いる限りは、さらに低い損失値を持つ光ファ
イバ、例えば、数百、千kmオーダの長距離無中継伝送
を可能とする0.1dB/kmを以下の損失値を持つ極
低損失ファイバを実現することは不可能である。従っ
て、このような極低損失光ファイバを実現するためには
石英以外の素材を用いてファイバを開発することが必要
となる。ファイバ材料の損失限界は、主に屈折率のゆら
ぎに起因するレーリ散乱損失の大きさと、ファイバの構
成分子の分子間振動による吸収に起因する赤外吸収の吸
収端の波長位置によって決まり次式(I)の様に表され
る。
ファイバでは添加材の最適化、母材製造条件及び線引条
件の最適化により、現状からさらに0.01〜0.03
dB/km程度の損失量の低減は期待できるが、石英を
主成分に用いる限りは、さらに低い損失値を持つ光ファ
イバ、例えば、数百、千kmオーダの長距離無中継伝送
を可能とする0.1dB/kmを以下の損失値を持つ極
低損失ファイバを実現することは不可能である。従っ
て、このような極低損失光ファイバを実現するためには
石英以外の素材を用いてファイバを開発することが必要
となる。ファイバ材料の損失限界は、主に屈折率のゆら
ぎに起因するレーリ散乱損失の大きさと、ファイバの構
成分子の分子間振動による吸収に起因する赤外吸収の吸
収端の波長位置によって決まり次式(I)の様に表され
る。
【0004】
【数1】
【0005】(I)式中、λは波長で、A,B1,B2は
材料による定数である。第一項はレーリ散乱損失を表
し、第二項は赤外吸収損失を表す。光ファイバの損失に
おいては短波長域ではレーリ散乱が支配的であり、長波
長域では赤外吸収損失が支配的になる。また、レーリ散
乱損失は波長の四乗分の一に比例して波長の増加ととも
に減少するため、赤外吸収端が長波長側にあれば、より
低い損失値が得られる。また、係数Aはレーリ散乱係数
と呼ばれ、次式(II)で表される。
材料による定数である。第一項はレーリ散乱損失を表
し、第二項は赤外吸収損失を表す。光ファイバの損失に
おいては短波長域ではレーリ散乱が支配的であり、長波
長域では赤外吸収損失が支配的になる。また、レーリ散
乱損失は波長の四乗分の一に比例して波長の増加ととも
に減少するため、赤外吸収端が長波長側にあれば、より
低い損失値が得られる。また、係数Aはレーリ散乱係数
と呼ばれ、次式(II)で表される。
【0006】
【数2】
【0007】(II)式中、第一項は密度ゆらぎによるレ
ーリ散乱係数で、n:屈折率、p:ポッケルス定数、
k:ボルツマン定数、Tf:軟化点温度、βT:等温圧縮
率である。Cは組成のゆらぎによるレーリ散乱係数であ
る。上式より、軟化点温度Tf'ポッケルス定数pが小さ
い材料がレーリ散乱係数も小さくなることが分かる。従
って、このような材料をファイバ材料として用いればレ
ーリ散乱特性の優れた低損失ファイバを実現できる可能
性がある。よって、本発明における課題は、従来の石英
ガラスを主成分とした光ファイバでは実現することがで
きない0.1dB/kmよりも小さな損失値を持つ光フ
ァイバ、特にレーリ散乱損失特性の優れた光ファイバを
製造することのできるガラス材料を得ることにある。
ーリ散乱係数で、n:屈折率、p:ポッケルス定数、
k:ボルツマン定数、Tf:軟化点温度、βT:等温圧縮
率である。Cは組成のゆらぎによるレーリ散乱係数であ
る。上式より、軟化点温度Tf'ポッケルス定数pが小さ
い材料がレーリ散乱係数も小さくなることが分かる。従
って、このような材料をファイバ材料として用いればレ
ーリ散乱特性の優れた低損失ファイバを実現できる可能
性がある。よって、本発明における課題は、従来の石英
ガラスを主成分とした光ファイバでは実現することがで
きない0.1dB/kmよりも小さな損失値を持つ光フ
ァイバ、特にレーリ散乱損失特性の優れた光ファイバを
製造することのできるガラス材料を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、ガラス形
成酸化物であるSiO2を50〜70モル%含み、修飾
酸化物であるNa2Oと中間酸化物であるAl2O3との
組成比Na2O/Al2O3が2〜5となる三成分の組成
からなる多成分酸化物ガラスで解決される。この組成の
ガラスは石英ガラスに比べてレーリ散乱が小さく、上記
の組成の多成分酸化物ガラスを光ファイバ材料として用
いることにより、従来の石英系光ファイバよりも、より
低損失な光ファイバなどを提供することが可能である。
成酸化物であるSiO2を50〜70モル%含み、修飾
酸化物であるNa2Oと中間酸化物であるAl2O3との
組成比Na2O/Al2O3が2〜5となる三成分の組成
からなる多成分酸化物ガラスで解決される。この組成の
ガラスは石英ガラスに比べてレーリ散乱が小さく、上記
の組成の多成分酸化物ガラスを光ファイバ材料として用
いることにより、従来の石英系光ファイバよりも、より
低損失な光ファイバなどを提供することが可能である。
【0009】以下、本発明を詳しく説明する。まず、請
求項1に記載の多成分酸化物ガラスについて説明する。
図1は、SiO2−Na2O−Al2O3系の三成分系ガラ
スがガラス化しうる組成範囲、すなわちガラス化組成範
囲を図示した三角組成図であり、この三成分系ガラスの
ガラス化組成範囲は、SiO2を40モル%以上含み、
Na2OとAl2O3の組成比(モル比)R=Na2O/A
l2O3(以下、Rで表す。)が1よりも大きな領域であ
る(図中、斜線を付した領域)。ここで、SiO2は基
本的なガラス構造を形成するガラス形成酸化物であり、
SiO2量が少なくなると結晶が析出しやすくなりガラ
スの安定性が悪くなる。Na2Oは修飾酸化物であり、
NaイオンがSiO2のガラス構造におけるSi−O間
の結合を切断し、非架橋酸素を生成させる。Na2Oの
添加は軟化点温度Tf及びポッケルス定数pを小さくす
る働きがあり、この結果(2)式よりレーリ散乱を減少
させる効果がある。一方、Na2Oのガラス組成におけ
る増加は水と反応しやすい非架橋酸素を作り出すため、
ガラスの耐候性を低下させてしまう。Al2O3は、中間
酸化物として働き、Naイオンによって生成された非架
橋酸素と結合し、ガラス構造の一部となり、ガラスの安
定性を増し、耐候性を向上させる働きがある。
求項1に記載の多成分酸化物ガラスについて説明する。
図1は、SiO2−Na2O−Al2O3系の三成分系ガラ
スがガラス化しうる組成範囲、すなわちガラス化組成範
囲を図示した三角組成図であり、この三成分系ガラスの
ガラス化組成範囲は、SiO2を40モル%以上含み、
Na2OとAl2O3の組成比(モル比)R=Na2O/A
l2O3(以下、Rで表す。)が1よりも大きな領域であ
る(図中、斜線を付した領域)。ここで、SiO2は基
本的なガラス構造を形成するガラス形成酸化物であり、
SiO2量が少なくなると結晶が析出しやすくなりガラ
スの安定性が悪くなる。Na2Oは修飾酸化物であり、
NaイオンがSiO2のガラス構造におけるSi−O間
の結合を切断し、非架橋酸素を生成させる。Na2Oの
添加は軟化点温度Tf及びポッケルス定数pを小さくす
る働きがあり、この結果(2)式よりレーリ散乱を減少
させる効果がある。一方、Na2Oのガラス組成におけ
る増加は水と反応しやすい非架橋酸素を作り出すため、
ガラスの耐候性を低下させてしまう。Al2O3は、中間
酸化物として働き、Naイオンによって生成された非架
橋酸素と結合し、ガラス構造の一部となり、ガラスの安
定性を増し、耐候性を向上させる働きがある。
【0010】この三成分系のガラスについてバルクガラ
スを作製し散乱測定を行った。測定はRを一定にし(R
=2,3,5,8)、SiO2量を変化させた試料につ
いて行った。その結果を図2に示す。図中では、石英
(SiO2=100モル%)の散乱値を1として、各ガ
ラスの散乱値の大きさを比較値で示してある。散乱値は
SiO2量の減少とともに小さくなっている。SiO2量
が70モル%以下の領域のガラスは、全てのRに対して
石英の三分の二以下になっている。石英ファイバの最低
損失値は、約0.15dB/kmであるから、この領域
のガラスを用いれば、損失値が0.1dB/km以下の
ファイバを作製できる。さらに、SiO2=57モル
%、R=5の組成を持つガラスの散乱値はSiO2の約
3分の1の値を持つ。このガラスの軟化点温度Tfは石
英ガラスの1920Kに対して900Kであり、ポッケ
ルス定数pは石英p=0.22に対してp=0.16で
ある。つまり、本組成のガラスは、この軟化点温度Tf
とポッケルス定数pの減少が(2)式よりレーリ散乱の
減少に寄与している。また、同量のSiO2に対しては
Rが大きい程、言い替えるとNa2O量が多い程散乱は
小さくなっている。しかしながら、Na2Oの増加はガ
ラスの耐候性を悪くする。作製ガラスの浸水実験を行っ
た結果、Na2O量の多いR=8,SiO2=60モル%
以下の組成のガラスは、表面が水と反応し白濁を生じ
た。しかしながら、SiO2=50モル%でもR=2〜
5の組成のガラスは表面の顕著な変化は見られなかっ
た。この結果は、Al2O3の添加が耐水性を増す働きが
あることを示している。
スを作製し散乱測定を行った。測定はRを一定にし(R
=2,3,5,8)、SiO2量を変化させた試料につ
いて行った。その結果を図2に示す。図中では、石英
(SiO2=100モル%)の散乱値を1として、各ガ
ラスの散乱値の大きさを比較値で示してある。散乱値は
SiO2量の減少とともに小さくなっている。SiO2量
が70モル%以下の領域のガラスは、全てのRに対して
石英の三分の二以下になっている。石英ファイバの最低
損失値は、約0.15dB/kmであるから、この領域
のガラスを用いれば、損失値が0.1dB/km以下の
ファイバを作製できる。さらに、SiO2=57モル
%、R=5の組成を持つガラスの散乱値はSiO2の約
3分の1の値を持つ。このガラスの軟化点温度Tfは石
英ガラスの1920Kに対して900Kであり、ポッケ
ルス定数pは石英p=0.22に対してp=0.16で
ある。つまり、本組成のガラスは、この軟化点温度Tf
とポッケルス定数pの減少が(2)式よりレーリ散乱の
減少に寄与している。また、同量のSiO2に対しては
Rが大きい程、言い替えるとNa2O量が多い程散乱は
小さくなっている。しかしながら、Na2Oの増加はガ
ラスの耐候性を悪くする。作製ガラスの浸水実験を行っ
た結果、Na2O量の多いR=8,SiO2=60モル%
以下の組成のガラスは、表面が水と反応し白濁を生じ
た。しかしながら、SiO2=50モル%でもR=2〜
5の組成のガラスは表面の顕著な変化は見られなかっ
た。この結果は、Al2O3の添加が耐水性を増す働きが
あることを示している。
【0011】以上の結果から、SiO2−Na2O−Al
2O3の三成分からなり、SiO2が50〜70モル%、
残部の組成でのNa2OとAl2O3との比Rが2〜5で
ある多成分酸化物ガラスが、散乱が少なく、ガラス安定
性、耐候性に富むガラスであることが判明し、このガラ
スを用いることにより、レーリ散乱が小さく、極めて低
損失の光ファイバが得られることがわかる。
2O3の三成分からなり、SiO2が50〜70モル%、
残部の組成でのNa2OとAl2O3との比Rが2〜5で
ある多成分酸化物ガラスが、散乱が少なく、ガラス安定
性、耐候性に富むガラスであることが判明し、このガラ
スを用いることにより、レーリ散乱が小さく、極めて低
損失の光ファイバが得られることがわかる。
【0012】図3は、本発明の多成分酸化物ガラスのフ
ーリエ変換赤外分光法(FTIR)による赤外吸収特性
の測定結果を示すスペクトルである。このスペクトルに
おいては、R(Na2O/Al2O3)=5の一定とし、
石英含有量を変化させたものについて示してある。ガラ
スの厚さは2mmである。波長2.9μmにはOH基に
よる吸収ピーク、波長3.6μmにはNaイオンによっ
て生成された非架橋酸素による吸収ピークが見られる。
光ファイバにおける赤外吸収損失の大きさの目安となる
赤外吸収端は5μm付近で、純粋SiO2とほぼ同様の
位置である。SiO2の50〜80モル%の変化に対し
ては大きな変化は見られない。これは50モル%以上の
SiO2を含む組成についてはSi−O結合が赤外吸収
においては支配的であるためである。これより、この発
明のガラスは、光ファイバとしたときの赤外吸収損失の
大きさが、従来の石英とほぼ同様であると考えられる。
ーリエ変換赤外分光法(FTIR)による赤外吸収特性
の測定結果を示すスペクトルである。このスペクトルに
おいては、R(Na2O/Al2O3)=5の一定とし、
石英含有量を変化させたものについて示してある。ガラ
スの厚さは2mmである。波長2.9μmにはOH基に
よる吸収ピーク、波長3.6μmにはNaイオンによっ
て生成された非架橋酸素による吸収ピークが見られる。
光ファイバにおける赤外吸収損失の大きさの目安となる
赤外吸収端は5μm付近で、純粋SiO2とほぼ同様の
位置である。SiO2の50〜80モル%の変化に対し
ては大きな変化は見られない。これは50モル%以上の
SiO2を含む組成についてはSi−O結合が赤外吸収
においては支配的であるためである。これより、この発
明のガラスは、光ファイバとしたときの赤外吸収損失の
大きさが、従来の石英とほぼ同様であると考えられる。
【0013】また、本発明の光ファイバは、上記組成範
囲の多成分酸化物ガラスからなるものである。この光フ
ァイバは、そのコアあるいはコアおよびクラッドを上記
多成分酸化物ガラスから構成することができる。この光
ファイバの製造は、溶融ブロックからコア部材およびク
ラッド部材を切り出し、これより母材を作成し、通常の
溶融紡糸によって行うことができる。またVAD法など
のCVD法によって多孔質ガラス母材を製造し、これを
透明ガラス化したのち、溶融紡糸することによっても製
造することが可能である。また、本発明の光ファイバ
は、ステップインデックス型の屈折率分布を有するも
の、グレーディドインデックス型の屈折率分布を有する
ものであってもよく、当然シングルモード型のものであ
ってもよい。
囲の多成分酸化物ガラスからなるものである。この光フ
ァイバは、そのコアあるいはコアおよびクラッドを上記
多成分酸化物ガラスから構成することができる。この光
ファイバの製造は、溶融ブロックからコア部材およびク
ラッド部材を切り出し、これより母材を作成し、通常の
溶融紡糸によって行うことができる。またVAD法など
のCVD法によって多孔質ガラス母材を製造し、これを
透明ガラス化したのち、溶融紡糸することによっても製
造することが可能である。また、本発明の光ファイバ
は、ステップインデックス型の屈折率分布を有するも
の、グレーディドインデックス型の屈折率分布を有する
ものであってもよく、当然シングルモード型のものであ
ってもよい。
【0014】図4は、上述のレーリ散乱特性、赤外吸収
特性の測定結果に基づき、本発明の多成分酸化物ガラス
を光ファイバ化した際の損失特性の推定を行った結果を
示すものである。このグラフにおいては、(1)式で表
される損失要因としてレーリ散乱損失と赤外吸収損失だ
けを考慮し、外的要因が全くない理想的なファイバが作
製された場合の損失の理論限界値を表している。組成は
R=5一定とし、石英量を変化させたものである。ま
た、図4には、石英ファイバの損失特性も同時に示して
ある。最低損失値はレーリ散乱の減少とともに石英量の
減少により小さくなり、SiO2=57モル%の組成で
は0.05dB/kmである。また、赤外吸収端は石英
ガラスに比べて大きな変化がないため、最低損失波長
は、1.6μmであり、石英ファイバとほぼ同じ波長域
にある。これより、従来の石英系ファイバよりも格段に
損失の低い(約1/3)光ファイバが実現可能であるこ
とが理解できる。
特性の測定結果に基づき、本発明の多成分酸化物ガラス
を光ファイバ化した際の損失特性の推定を行った結果を
示すものである。このグラフにおいては、(1)式で表
される損失要因としてレーリ散乱損失と赤外吸収損失だ
けを考慮し、外的要因が全くない理想的なファイバが作
製された場合の損失の理論限界値を表している。組成は
R=5一定とし、石英量を変化させたものである。ま
た、図4には、石英ファイバの損失特性も同時に示して
ある。最低損失値はレーリ散乱の減少とともに石英量の
減少により小さくなり、SiO2=57モル%の組成で
は0.05dB/kmである。また、赤外吸収端は石英
ガラスに比べて大きな変化がないため、最低損失波長
は、1.6μmであり、石英ファイバとほぼ同じ波長域
にある。これより、従来の石英系ファイバよりも格段に
損失の低い(約1/3)光ファイバが実現可能であるこ
とが理解できる。
【0015】図5は、本発明の多成分酸化物ガラスの屈
折率のSiO2量依存性を示すグラフで、組成比Rが5
で一定のもので得られたものである。このガラスの屈折
率は、SiO2含有量の増加とともに減少している。従
って、コア、クラッドの導波構造をつくるための屈折率
の制御は、単に組成中のSiO2量を変化させることに
より容易にできる。このように、屈折率の制御がSiO
2量の変化のみで行うことができるので、従来の石英系
ファイバに用いられるGe,B,F,Pなどのガラス軟
化点を低下させるドーパントを添加することが不要とな
る。このため、この発明のガラスを用いることによりコ
ア、クラッド間の熱特性の差によって溶融紡糸時に生じ
る構造不整損失も小さく抑えることができる。例えば、
損失が石英の3分の1となる組成35Na2O−7Al2
O3−58SiO2(n=1.5123)をコア組成とし
比屈折率差Δ=0.3%のファイバを作製するときは、
クラッド組成は30Na2O−6Al2O3−64SiO2
(n=1.5078)にすればよい。このときのコア、
クラッド間の軟化点温度の差は16度と非常に小さい。
折率のSiO2量依存性を示すグラフで、組成比Rが5
で一定のもので得られたものである。このガラスの屈折
率は、SiO2含有量の増加とともに減少している。従
って、コア、クラッドの導波構造をつくるための屈折率
の制御は、単に組成中のSiO2量を変化させることに
より容易にできる。このように、屈折率の制御がSiO
2量の変化のみで行うことができるので、従来の石英系
ファイバに用いられるGe,B,F,Pなどのガラス軟
化点を低下させるドーパントを添加することが不要とな
る。このため、この発明のガラスを用いることによりコ
ア、クラッド間の熱特性の差によって溶融紡糸時に生じ
る構造不整損失も小さく抑えることができる。例えば、
損失が石英の3分の1となる組成35Na2O−7Al2
O3−58SiO2(n=1.5123)をコア組成とし
比屈折率差Δ=0.3%のファイバを作製するときは、
クラッド組成は30Na2O−6Al2O3−64SiO2
(n=1.5078)にすればよい。このときのコア、
クラッド間の軟化点温度の差は16度と非常に小さい。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の多成分
酸化物ガラスは、SiO2−Na2O−Al2O3の三成分
からなり、SiO2を50〜70モル%含み、Na2Oと
Al2O3との組成比を2〜5としたものであるので、レ
ーリ散乱が石英よりも小さく、ガラス安定性、耐候性も
優れ、赤外吸収特性が石英と同様のものとなる。このた
め、この多成分酸化物ガラスからなる光ファイバにあっ
ては、従来の石英系光ファイバで到達することができな
い、0.1dB/kmを切る損失値を持つファイバを得
ることができ、しかも、最低損失波長が従来の石英ファ
イバの値に近いため、現状の石英系で用いられているシ
ステムが利用できるという大きな利点がある。
酸化物ガラスは、SiO2−Na2O−Al2O3の三成分
からなり、SiO2を50〜70モル%含み、Na2Oと
Al2O3との組成比を2〜5としたものであるので、レ
ーリ散乱が石英よりも小さく、ガラス安定性、耐候性も
優れ、赤外吸収特性が石英と同様のものとなる。このた
め、この多成分酸化物ガラスからなる光ファイバにあっ
ては、従来の石英系光ファイバで到達することができな
い、0.1dB/kmを切る損失値を持つファイバを得
ることができ、しかも、最低損失波長が従来の石英ファ
イバの値に近いため、現状の石英系で用いられているシ
ステムが利用できるという大きな利点がある。
【図1】Na2O−Al2O3−SiO2系多成分酸化物ガ
ラスのガラス化組成領域を示す三角組成図である。
ラスのガラス化組成領域を示す三角組成図である。
【図2】Na2O−Al2O3−SiO2系多成分酸化物ガ
ラスのレーリ散乱の組成依存性を示す三角組成図であ
る。
ラスのレーリ散乱の組成依存性を示す三角組成図であ
る。
【図3】本発明の多成分酸化物ガラスの赤外吸収スペク
トルである。
トルである。
【図4】本発明の光ファイバの損失の波長依存性を示す
グラフである。
グラフである。
【図5】本発明の多成分酸化物ガラスの屈折率のSiO
2含有量依存性を示すグラフである。
2含有量依存性を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 SiO2−Na2O−Al2O3の三成分か
らなり、SiO2を50〜70モル%含み、残りの組成
でのNa2OとAl2O3との組成比(モル比)が2〜5
であることを特徴とする多成分酸化物ガラス。 - 【請求項2】 SiO2−Na2O−Al2O3の三成分か
らなり、SiO2を50〜70モル%含み、残りの組成
でのNa2OとAl2O3との組成比(モル比)が2〜5
である多成分酸化物ガラスからなることを特徴とする光
ファイバ。 - 【請求項3】 SiO2−Na2O−Al2O3の三成分か
らなり、SiO2を50〜70モル%含み、残りの組成
でのNa2OとAl2O3との組成比(モル比)が2〜5
である多成分酸化物ガラスを、コアもしくはコアおよび
クラッドに用いたことを特徴とする請求項2記載の光フ
ァイバ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26413791A JPH05105483A (ja) | 1991-10-11 | 1991-10-11 | 多成分酸化物ガラスおよびこれを用いた光フアイバ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26413791A JPH05105483A (ja) | 1991-10-11 | 1991-10-11 | 多成分酸化物ガラスおよびこれを用いた光フアイバ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05105483A true JPH05105483A (ja) | 1993-04-27 |
Family
ID=17398976
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26413791A Pending JPH05105483A (ja) | 1991-10-11 | 1991-10-11 | 多成分酸化物ガラスおよびこれを用いた光フアイバ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05105483A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6153546A (en) * | 1996-07-16 | 2000-11-28 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Ultralow-loss silica glass and optical fibers using the same |
JP2015157726A (ja) * | 2014-02-24 | 2015-09-03 | 住友電気工業株式会社 | 光ファイバ及び光ファイバ母材製造方法 |
EP3363579B1 (en) * | 2013-04-29 | 2021-11-17 | Nuburu, Inc. | System for printing to form a three-dimensional object with an optical fibeer |
-
1991
- 1991-10-11 JP JP26413791A patent/JPH05105483A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6153546A (en) * | 1996-07-16 | 2000-11-28 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Ultralow-loss silica glass and optical fibers using the same |
EP3363579B1 (en) * | 2013-04-29 | 2021-11-17 | Nuburu, Inc. | System for printing to form a three-dimensional object with an optical fibeer |
JP2015157726A (ja) * | 2014-02-24 | 2015-09-03 | 住友電気工業株式会社 | 光ファイバ及び光ファイバ母材製造方法 |
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