JPH05105015A - 自動車のステアリングホイール構造 - Google Patents

自動車のステアリングホイール構造

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JPH05105015A
JPH05105015A JP26620791A JP26620791A JPH05105015A JP H05105015 A JPH05105015 A JP H05105015A JP 26620791 A JP26620791 A JP 26620791A JP 26620791 A JP26620791 A JP 26620791A JP H05105015 A JPH05105015 A JP H05105015A
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steering
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wheel hub
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Michitaka Ota
道隆 太田
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宏明 児玉
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 運転者の広い視野及び良好なメータ類の視認
性を確保するとともに、エアバックの展開に伴うホイー
ルハブの変形を防止できる自動車のステアリングホイー
ル構造を提供する。 【構成】 ステアリングホイール1は、ステアリングシ
ャフトに連結されるホイールハブ3と、ホイールハブ3
から略車幅方向に延びる左右のスポーク4と、ホイール
ハブ3から下方に延びるスポーク5と、これらのスポー
クの外端部分に連結されるホイールリング2とを有し、
ホイールハブ3上にエアバック装置が配設される。ステ
アリングホイール1の操舵中立状態で、車幅方向のスポ
ーク4の軸線A−Aは、ステアリングホイールの回転中
心を通る水平線H−Hよりも下方に位置し、スポーク4
とホイールリング2との結合中心Dは、軸線A−A及び
水平線H−Hよりも上方に位置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のステアリング
ホイール構造に関するものであり、より詳細には、比較
的下方に位置決めされた車幅方向のスポークと、エアバ
ックを配設可能なホイールハブとを備えた自動車のステ
アリングホイール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両に不意な衝撃が生じたときに運転者
とステアリングホイールとを隔絶するエアバック装置が
知られている。かかるエアバック装置は、ガスを発生さ
せるインフレータ(ガス発生器)と、ガスが導入される
エアバックとを備えている。衝撃検出センサが不意な衝
撃を検出すると、インフレータは、イグナイタによって
インフレータ内の化学物質に着火してガスを発生させ、
このガスをエアバックに導入する。エアバックは、ガス
によってほぼ瞬間的に膨張され、ステアリングホイール
と運転者との間に展開し、これにより、ステアリングホ
イールと運転者との間にエアクッションを形成する。か
かるエアバック装置は一般に、ステアリングホイールの
中心部に位置する所謂ホイールハブに、エアバックモジ
ュール又はエアバックユニットとして配設される。
【0003】一方、車両のステアリングホイールは、ス
テアリングシャフトに連結される上記ホイールハブと、
ステアリングホイールの外形を形成するためのホイール
リングと、ホイールハブとホイールリングとの間で半径
方向に延びる複数のスポークとから略構成される。スポ
ークは、内端部がホイールハブに支持され、外端部がホ
イールリング又はホイールリングの支持部材に連結され
る。或る形式のスポークは、ホイールハブから車幅方向
外方に延びる2本のスポークと、ホイールハブから下方
又は斜め下方に延びる1乃至2本のスポークとを含む。
【0004】エアバック装置をかかるステアリングホイ
ールに設け、所定の状況下でステアリングホイールと運
転者との間にエアバックを展開させると、エアバックが
支持する運転者の慣性力により、ホイールリングに比較
的大きな荷重を付与される。ステアリングホイールは一
般に車体前方に若干傾斜しているが、上記反力は、傾斜
したホイールリングを更に車体前方に傾斜させるように
作用する。過大なホイールリングの前方傾斜はホイール
リングの上部を車体前方に変位させるとともに、その下
部を車体後方に変位させ、これによって、展開したエア
バックを上方に変位させてしまう。この結果、エアバッ
クの衝撃緩和効果が損なわれるおそれがある。かかるホ
イールリングの前方傾斜を防止すべく、操舵中立状態に
おける上半部の剛性を、下半部の剛性よりも相対的に高
めた構成のステアリングホイールが知られている(特開
昭62─234762号公報)。かかるステアリングホ
イールでは、下半部が比較的変形し易いので、運転者の
慣性力が大きく作用したときにホイールリングの下部が
車体前方に変位し、この結果、ホイールリングは起立状
態に変形しようとする。かくして、ホイールリングの前
方傾斜を防止し、エアバックの上方変位を回避できる。
【0005】近年の傾向として、車幅方向に延びるステ
アリングホイールのスポークは、極力下方に位置決めさ
れる。これは、ホイールリングの操作性を高めるための
みならず、ステアリングホイールの上部に広範な開放領
域を確保することにより運転者の広い視野及び良好なメ
ータ類の視認性を実現する上で、重視されている。ま
た、車両構成部品の軽量化の観点から、軽量合金製、例
えば、アルミダイキャスト製のホイールハブの実用化が
企図されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、ステアリン
グホイールに配設したエアバック装置は、エアバックの
展開中にホイールハブ及びスポークに変形を生じさせ得
ることが実験的に確かめられた。本発明者がエアバック
の展開時の動作を子細に分析したところ、エアバック
は、その展開時に比較的大きな荷重をステアリングホイ
ールに課すと判った。図8は、エアバックの展開時の変
化を示す参考図である。図8Aに示すごとくエアバック
が展開を開始すると、エアバックは、約50ms(ミリ
セカンド)後(図8C)に、ステアリングホイールに隣
接する安定したエアクッションを形成する。しかしなが
ら、展開開始後約30乃至40ms程度の時点(図8
B)では、エアバックは前後の挙動を繰り返し、後方へ
の挙動がかなりの荷重をホイールリングに課す。かかる
荷重は、車幅方向のスポークを比較的下方に位置決めし
たステアリングホイールにおいて、その下部分と比べて
上部分に大きく付与されるため、ホイールハブの上縁部
や、ステアリングシャフトと連結されるホイールハブの
ボス部周りに過大な応力を生じさせる。ホイールハブの
上縁部における過大な応力は、ホイールハブを大きく変
形させ、これによって、ホイールハブから半径方向に延
びるスポークを大きく変位させてしまうであろう。ま
た、ボス部周りの過大な応力によりボス部付近が局部的
に大きく変形すると、ステアリングホイールは、もはや
ステアリングシャフトとの望ましい連結を維持できず、
所定の姿勢又は位置を保持できないかもしれない。
【0007】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、比較的下方に位置決め
された車幅方向のスポークと、エアバックを配設可能な
ホイールハブとを備えたステアリングホイールにおい
て、運転者の広い視野及び良好なメータ類の視認性を確
保するとともに、エアバックの展開に伴うホイールハブ
の変形を防止できる自動車のステアリングホイール構造
を提供することにある。
【0008】本発明は又、比較的下方に位置決めされた
車幅方向のスポークと、エアバックを配設可能なホイー
ルハブとを備えたステアリングホイールにおいて、運転
者の広い視野及び良好なメータ類の視認性を確保すると
ともに、エアバックの展開に伴うホイールハブのボス部
周りの変形を回避できる自動車のステアリングホイール
構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は上記目
的を達成するために、ステアリングシャフトに連結され
るホイールハブと、該ホイールハブから略車幅方向に延
びる左右のスポークと、前記ホイールハブから下方に延
びるスポークと、これらのスポークの外端部分に連結さ
れるホイールリングとを有し、前記ホイールハブ上にエ
アバック装置が配設される自動車のステアリングホイー
ル構造において、前記車幅方向のスポークの各々と前記
ホイールリングとの結合中心は、前記ステアリングホイ
ールの操舵中立状態で、該車幅方向のスポークの軸線と
前記ホイールリングの中心線との交点よりも上方に位置
するように位置決めされていることを特徴とする自動車
のステアリングホイール構造。
【0010】本発明の上記構成によれば、ステアリング
ホイールは、車幅方向のスポークとホイールリングとの
結合中心を比較的上方に配置することにより、ホイール
リングに作用する力を比較的上方で支持することから、
ホイールハブの上縁部に生じる応力を緩和できる。従っ
て、エアバックの展開に伴うホイールハブの変形を防止
できるとともに、車幅方向のスポークの軸線を下方に位
置決めして、運転者の広い視野及び良好なメータ類の視
認性を確保できる。
【0011】本発明の好ましい実施態様においては、前
記車幅方向のスポークの軸線と前記ホイールリングの中
心線との交点は、前記ステアリングホイールの操舵中立
状態で、前記ステアリングホイールの回転中心を通る水
平線よりも下方に位置するように位置決めされ、前記結
合中心は、前記ステアリングホイールの操舵中立状態
で、前記回転中心を通る水平線よりも上方に位置するよ
うに位置決めされる。
【0012】本発明の更に好ましい実施態様において
は、前記車幅方向のスポークの外端部に夫々、上方に延
びるブラケットが取付けられ、該ブラケットの外端部分
に、前記ホイールリングの中心線と交差する方向に延び
るスリットが形成され、該スリットの縁が前記ホイール
リングの支持部に溶接される。この構成によれば、ブラ
ケットの形状に応じて所望の位置に結合中心を位置決め
できる。また、ブラケットに設けられたスリットの縁に
沿って溶接できるので、溶接長さを十分に確保できる。
従って、ブラケットとホイールリング、或いは、ブラケ
ットとインナーチューブなどの支持部材とをしっかりと
接合することができる。
【0013】本発明の他の好ましい実施態様において
は、前記車幅方向のスポークの外端部分が該スポークの
軸線に対して上方に屈曲されており、この上方屈曲部分
の外端部がホイールリングの支持部に接合される。この
構成では、スポーク自体を屈曲させることにより、ブラ
ケットを用いずに上記結合中心を上方に位置決めでき
る。
【0014】本発明の更に別の実施態様においては、前
記車幅方向のスポークの外端部に上方に延びるリブが設
けられ、該リブの外端部分が前記ホイールリングの支持
部に接合される。この構成では、リブの形状を選択する
ことにより、比較的簡単な仕方で上記結合中心を上方に
位置決めできる。本発明は又、上記目的を達成するため
に、上記ステアリングホイール構造において、前記ホイ
ールリングが、前記ステアリングシャフトの端部が嵌入
されるボス部を備え、該ボス部が、車幅方向に延びる補
強用リブを備えていることを特徴とするステアリングホ
イール構造を提供する。
【0015】かかる本発明の構成によれば、ボス部に隣
接するリブによりボス部の剛性を高めることができるの
で、エアバックの展開に伴うホイールハブのボス部周り
の変形を抑制できる。また、リブが水平方向に延びてい
るので、ホイールハブの上縁を比較的下方に位置決めす
ることができ、これにより、運転者の広い視野及び良好
なメータ類の視認性を実現できる。
【0016】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の好ましい実施
例について説明する。図1は、本発明のステアリングホ
イール構造を適用したステアリングホイールの実施例を
部分的に省略して示す正面図である。図2は、図1に示
すステアリングホイールの横断面図である。
【0017】ステアリングホイール1は、中心部に配置
されたホイールハブ3と、ホイールハブ3から略水平に
延びる左右のスポーク4、4と、ホイールハブ3から斜
め下方に延びる一対のスポーク5、5とを備えている。
ホイールハブ3の中央部分には、貫通孔9aを備えたボ
ス部9が形成されており、貫通孔9aは、図2に示す如
く、車体前方(ステアリングホイール1の背面側)に向
かって拡開するテーパが付けられている。スプラインを
備えたステアリングシャフトS(図2に仮想線で示す)
の端部が、知られた方法で貫通孔9aに嵌入され、ステ
アリングシャフトSとホイールハブ3とが一体的に締結
される。ホイールハブ3はアルミニウム合金からなり、
アルミダイカスト鋳造法により一体的に成形されてい
る。他方、スポーク4、4、5、5は夫々、鉄製の棒材
からなる。各スポーク4は、円形断面を有する。また、
各スポーク5は、長辺側の面が運転席の側に向けられた
略長方形断面を有する。
【0018】図1において、ステアリングホイール1は
操舵中立位置にあり、略水平に延びるスポーク4、4
は、ボス部9の外側部分から外方且つ水平に延びて、僅
かに下方に屈曲し、更に、ホイールリング2に向かって
水平に延びている。ホイールリング2に連結されるスポ
ーク4の部分は、その軸線A−Aが、ボス部9の中心を
通る水平線H−Hよりも下方に位置しており、ステアリ
ングホイール1の上部分に広範な開放領域を形成してい
る。従って、ステアリングホイール1を介する運転者の
広い視野や、ステアリングホイール1の背後に配設され
るメータ類の良好な視認性が確保される。
【0019】また、斜め下方に延びるスポーク5、5
は、ボス部9の外側部分から僅かに外方且つ水平に延び
て、下方に屈曲し、更に、ホイールリング2に向かって
貫通孔9aの半径方向に延びている。スポーク4、4の
各外端部分には、インナーチューブ7に連結されるブラ
ケット6が設けられている。ブラケット6は、スポーク
4の上縁に溶接され、スポーク4に沿って外方に延び
る。ブラケット6の櫛状の外端部分6aは、上下方向に
拡大されており、一対のスリット6b、6bを備えてい
る。インナーチューブ7は、スリット6b、6bに重な
るように配置され、ホイールリング2と同じ曲率半径で
その中心線Cに沿って略上下方向に延びる。ホイールリ
ング2は、インナーチューブ7に支持され、ステアリン
グホイール1の全周に亘って延びる。なお、ホイールリ
ング2は樹脂によって被覆され、図2に示すように、外
皮8を備える。
【0020】図3は、ブラケット6とインナーチューブ
7及びスポーク4との溶接方法を示す部分正面図であ
る。ブラケット6の下縁は、略全長に亘ってスポーク4
の上縁に溶接される。この溶接個所を参照符号11で指
示する。また、ブラケット6の外端部分6aは、スリッ
ト6b、6bの両縁及び外端部分6aの上縁がインナー
チューブ7の外面に溶接される。これらの溶接個所を参
照符号12で指示する。スポーク4の下縁と外端部分6
aの上縁とからなるインナーチューブ7の支持領域(長
さLで示す部分)は、中心線Bを中心として上下方向に
延在する。この中心線Bと、ホイールリング2の中心線
Cとの交点、即ち、ホイールリング2とスポーク4の結
合中心Dは、水平線H−Hよりも上方に位置している。
【0021】スポーク4、4、5、5は、ブラケット6
及びインナーチューブ2と接合された後に、鋳造金型内
にセットされ、ホイールハブ3の鋳造時にホイールハブ
3と一体的に連結される。図2に示すように、スポーク
4、4、5、5の内端部分は夫々、ホイールハブ3内に
延びている。ホイールハブ3及びブラケット6は、エア
バックモジュールを取付けるためのボルト孔16を備
え、スポーク5は、同様にエアバックモジュールを取付
けるためのボルト孔17を備えている。また、ホイール
ハブ3は、エアバックモジュールの取付け基準孔19
と、2つの治具用ボス21、21とを備えている。治具
用ボス21は、ステアリングホイール1をステアリング
シャフトSから取外す際に治具を支持するためのもので
ある。更に、ホイールハブ3及びスポーク4、5の周り
に、合成樹脂で作られた所謂コアカバー13(仮想線で
示す)が配設される。
【0022】ホイールハブ3の上端を画成するリブ23
が、略車幅方向に延び、ボルト孔16の僅かに手前で終
端している。リブ23は、斜め下方に延びるリブ24、
24の上端部に連続している。リブ24、24の中央部
分に連続するリブ25が、スポーク4の形状に相応する
ように略水平に延び、また、リブ24、24の下端部に
連続するリブ26が、ホイールハブ3の下部分に配設さ
れている。図2に示すように、リブ24は、ホイールハ
ブ3の一般的な肉厚の部分3aから突出し、他のリブ2
3、25、26も又、リブ24と同様に部分3aから突
出している。ホイールハブ3の上縁は、スポーク4、4
を比較的下方に配置したことによりエアバックの展開中
に比較的大きな荷重を分担することとなるが、リブ23
は、この荷重を負担する十分な断面を有する。また、上
記リブ23乃至26は、全体としてホイールハブ3を部
分的に格子状構造に形成しており、かかる格子状構造
は、ホイールハブ3の剛性を全体的に高めている。
【0023】図2に示すように、ステアリングシャフト
Sとの連結部を構成するボス部9は、貫通孔9aの縁が
ホイールハブ3の薄肉部分3aよりも大きな肉厚を有
し、連結部の剛性を確保している。ボス9は、剛性を更
に高めるために、ボス部9の外縁から外方に延びる補強
用リブ9bを備えている。図4は、ホイールハブ3のボ
ス部周りの背面図である。図4に示すように、リブ9
b、9bは、ボス部9の両側に、上下に対をなして配置
され、ボス部9の外縁から略水平に所定の長さに亘って
延びている。各リブ9aが水平に延びていることから、
ボス部9とホイールハブ3の上縁との間の距離は比較的
短縮されており、従って、ホイールハブ3の上縁は、ス
テアリングホイール1の上部開放領域を十分に確保すべ
く、かなり下方に位置決めされている。
【0024】このように構成されたステアリングホイー
ル1には、図5に示すように、エアバックモジュール5
0が取付けられる。即ち、エアバックモジュール50の
リテーナ54が、リテーナ54及び上記各ボルト孔1
6、17に挿通した取付けボルト55にナットを締結す
ることにより、ステアリングホイール1に固定される。
エアバックモジュール50は、エアバック展開用のガス
を発生させるインフレータ51と、折り畳まれたエアバ
ック52と、運転席に面する合成樹脂製カバー53とを
備えている。インフレータ51は、イグナイタ(図示せ
ず)を内蔵しており、イグナイタは、車体に設けられた
衝撃センサ(図示せず)が不意な衝撃を感知したときに
引火する。インフレータ51内の所定の化学物質がイグ
ナイタの引火により着火し、ガスを発生させる。ガスは
フィルタ(図示せず)を介してエアバック52内に導入
され、エアバック52を膨張させる。エアバック52の
膨張により、カバー53のリッド部分が開放し、かくし
て、エアバック52はステアリングホイール1の正面に
展開する。
【0025】エアバック52は、上述の如く、展開時に
ホイールリング2に対して車体前方に向かう荷重を課
す。この荷重は、ホイールハブ3の上縁部分に比較的大
きな応力を生じさせる。殊に、上記構成のステアリング
ホイール1では、ステアリングホイール1の上部開放領
域を拡大すべく、スポーク4の軸線A─Aを水平線H−
Hよりも下方に位置決めしてあるので、ホイールハブ3
の上縁付近に過大な応力が生じ易い。しかしながら、ホ
イールリング2は、ブラケット6を介してスポーク4に
連結されており、ホイールリング2とスポーク4との結
合中心Dは、ブラケット6を介設したことにより、軸線
A─A及び水平線H−Hよりも上方に位置決めされてい
る。従って、ホイールハブ3の上縁に生じる応力が緩和
される。
【0026】また、ブラケット6の形状を変更すること
により、スポーク4の形状に関わらず、上記結合中心の
位置を任意に設定することができるので、設計の自由度
が増し、実用的に極めて有利である。しかも、ブラケッ
ト6に複数のスリット6bが形成されており、各スリッ
ト6bの縁がインナーチューブ7に溶接されるので、ブ
ラケット6とインナーチューブ7との間の十分な溶接長
さが確保される。
【0027】更に、下方に延びる各スポーク5は、長辺
側の面が運転席に向けられた略長方形断面を有してお
り、エアバック展開時の荷重に対して車体前方に比較的
変形し易い。従って、エアバック展開後にホイールリン
グ2に作用する運転者の荷重は、ホイールリング2を起
立状態に変形させ易い。従って、運転者の荷重によるエ
アバック52の上方変位が抑制される。
【0028】また、ホイールハブ3は、その上縁部にリ
ブ23を備え、上縁部の十分に補強されており、しか
も、リブ23、24、25、26などの各種リブによる
格子状構造により、比較的高い剛性を備えている。従っ
て、上記荷重により生じる曲げ応力を十分に負担でき
る。更に、上記ステアリングホイール1では、ホイール
ハブ3のボス部9周りにリブ9aが配設されているの
で、ボス部9は高い剛性を備え、エアバック52の展開
時に作用する荷重に十分に耐える。また、リブ9aが略
水平に延びていることから、ホイールハブ3の上縁を比
較的下方に位置決めできる。従って、ステアリングホイ
ール1の上部開放領域を十分に確保できる。
【0029】以上、本発明の好ましい実施例について詳
細に説明したが、スポーク4とホイールリング2との連
結構造は、上記実施例の如くブラケットを介設する形式
のものに限定されるものではない。図6及び図7は夫
々、本発明のステアリングホイール構造を適用したステ
アリングホイールの変形例を示す概略説明図である。図
6に示す如く、スポーク4をホイールリング2の近傍で
上方に屈曲させることにより、結合中心Dを水平線H−
Hの上方に位置決めすることができる。また、図7に示
す如く、スポーク4の外端部分に上下方向に延びるリブ
又はフランジ11を形成し、このリブ又はフランジ11
により、結合中心Dを水平線H−Hの上方に位置決めす
ることも可能である。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
比較的下方に位置決めされた車幅方向のスポークと、エ
アバックを配設可能なホイールハブとを備えたステアリ
ングホイールにおいて、車幅方向のスポークとホイール
リングとの結合中心を比較的上方に配置することによ
り、運転者の広い視野及び良好なメータ類の視認性を確
保するとともに、エアバックの展開に伴うホイールハブ
の変形を防止できる自動車のステアリングホイール構造
を提供することが可能となる。
【0031】本発明は又、比較的下方に位置決めされた
車幅方向のスポークと、エアバックを配設可能なホイー
ルハブとを備えたステアリングホイールにおいて、ボス
部に隣接するリブによりボス部の剛性を高めることによ
り、運転者の広い視野及び良好なメータ類の視認性を確
保するとともに、エアバックの展開に伴うホイールハブ
のボス部周りの変形を回避できる自動車のステアリング
ホイール構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステアリングホイール構造を適用した
ステアリングホイールの実施例を部分的に省略して示す
正面図である。
【図2】図1に示すステアリングホイールの横断面図で
ある。
【図3】図1に示すブラケットとインナーチューブ及び
スポークとの溶接方法を示す部分正面図である。
【図4】図1に示すホイールハブのボス部周りの背面図
である。
【図5】エアバック装置を取付けた状態を示すステアリ
ングホイールの概略横断面図である。
【図6】本発明のステアリングホイール構造を適用した
ステアリングホイールの他の実施例を概略的に示す説明
図である。
【図7】本発明のステアリングホイール構造を適用した
ステアリングホイールの更に別の実施例を概略的に示す
説明図である。
【図8】エアバックの展開時の挙動を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール 3 ホイールハブ 4、5 スポーク 6 ブラケット 6a 上縁 6b スリット 7 インナーチューブ 9 ボス部 9a 貫通孔 9b 補強用リブ 50 エアバックモジュール 51 インフレータ 52 エアバック S ステアリングシャフト D 結合中心 A─A 車幅方向のスポークの軸線 H−H 水平線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリングシャフトに連結されるホイ
    ールハブと、該ホイールハブから略車幅方向に延びる左
    右のスポークと、前記ホイールハブから下方に延びるス
    ポークと、これらのスポークの外端部分に連結されるホ
    イールリングとを有し、前記ホイールハブ上にエアバッ
    ク装置が配設される自動車のステアリングホイール構造
    において、 前記車幅方向のスポークの各々と前記ホイールリングと
    の結合中心は、前記ステアリングホイールの操舵中立状
    態で、該車幅方向のスポークの軸線と前記ホイールリン
    グの中心線との交点よりも上方に位置するように位置決
    めされていることを特徴とする自動車のステアリングホ
    イール構造。
  2. 【請求項2】 前記車幅方向のスポークの軸線と前記ホ
    イールリングの中心線との交点は、前記ステアリングホ
    イールの操舵中立状態で、前記ステアリングホイールの
    回転中心を通る水平線よりも下方に位置するように位置
    決めされ、前記結合中心は、前記ステアリングホイール
    の操舵中立状態で、前記回転中心を通る水平線よりも上
    方に位置するように位置決めされていることを特徴とす
    る請求項1に記載のステアリングホイール構造。
  3. 【請求項3】 前記車幅方向のスポークの外端部に夫
    々、上方に延びるブラケットが取付けられ、該ブラケッ
    トの外端部分に、前記ホイールリングの中心線と交差す
    る方向に延びるスリットが形成され、該スリットの縁が
    前記ホイールリングの支持部に溶接されることを特徴と
    する請求項1又は2に記載のステアリングホイール構
    造。
  4. 【請求項4】 前記車幅方向のスポークの外端部分が該
    スポークの軸線に対して上方に屈曲されており、この上
    方屈曲部分の外端部がホイールリングの支持部に接合さ
    れることを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリ
    ングホイール構造。
  5. 【請求項5】 前記車幅方向のスポークの外端部に上方
    に延びるリブが設けられ、該リブの外端部分が前記ホイ
    ールリングの支持部に接合されることを特徴とする請求
    項1又は2に記載のステアリングホイール構造。
  6. 【請求項6】 前記ホイールリングは、前記ステアリン
    グシャフトの端部が嵌入されるボス部を備え、該ボス部
    は、車幅方向に延びる補強用リブを備えていることを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のステア
    リングホイール構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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