JPH05104617A - 透明成形体及びその製造方法 - Google Patents

透明成形体及びその製造方法

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JPH05104617A
JPH05104617A JP26641991A JP26641991A JPH05104617A JP H05104617 A JPH05104617 A JP H05104617A JP 26641991 A JP26641991 A JP 26641991A JP 26641991 A JP26641991 A JP 26641991A JP H05104617 A JPH05104617 A JP H05104617A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高結晶化度を有し、かつ耐熱性,耐溶剤性及び
透明性に優れた成形体を得ること。 【構成】高度なシンジオタクチック構造を有するスチレ
ン系重合体等からなり、結晶化度25%以上,球晶半径
10μm以下、ヘイズ5以下の無配向予備成形体を、面
積倍率1.2倍以上の展開率で、加熱下に成形又は延伸し
て得られる結晶化度30%以上の透明成形体及びその製
造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明成形体及びその製
造方法に関し、詳しくは、高結晶化度を有し、耐熱性,
耐溶剤性及び透明性に優れた透明成形体及びその効率の
よい製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
ガラス容器の代替物を中心に、耐熱性,耐油性,透明性
を兼ね備えた容器についての要望が増加している。一般
に、熱成形体であるポリエチレンテレフタレート,ポリ
プロピレン,ポリエチレン,ポリスチレン等の容器,ト
レイ等は、耐熱性が充分ではなく上記要望に答えること
はできなかった。ところで、シンジオタクチック構造の
スチレン系重合体(SPS)は、耐熱性,耐溶剤性が高
いことが知られており種々の用途が期待されている。こ
のSPSの特性を充分に活かすためには、成形品の結晶
化度を充分に高くする必要がある。ところが、従来の方
法で結晶化したSPSの成形品は、透明性が低いことが
知られている。例えば、SPSからなる透明性を有する
成形品としては、結晶化度の低いシートや延伸により結
晶化を微細化したフィルムが知られている(特開平1−
168709号公報,同1−316246号公報)。し
かし、この低結晶化度のシートは、耐熱性及び耐溶剤性
が充分でない。また、上記延伸フィルムは非常に優れた
特性を有しているが、延伸装置が高価なためコストが高
い。また、厚い延伸フィルムを得る場合、延伸前の低結
晶化度の原反の厚みを厚くする必要があり、300μm
以上の成形品を作成するのは容易でなかった。さらに、
低結晶化度のスチレン系重合体を熱処理する方法(特開
平1−272608号公報)が知られているが、この方
法では必ずしも透明で結晶化した成形体は得られなかっ
た。そのため、本発明者らの研究グループは、高結晶化
度を有し、かつ透明なスチレン系樹脂の成形体を製造す
べく研究を行ったところ、結晶化度20%以下の熱成形
用予備成形体を、一定温度範囲で熱処理することによ
り、目的とする成形体が得られることを見出した(特願
平3−200401号明細書)。
【0003】
【課題を解決するための手段】さらに、本発明者らは、
上記成形体の性状を一層向上させるべく、鋭意研究を重
ねた。その結果、上記成形体(即ち、無配向透明性成形
体)を、加熱下で延伸あるいは成形することによって、
目的を達成できることを見出した。本発明はかかる知見
に基づいて完成したものである。
【0004】すなわち、本発明は、高度なシンジオタク
チック構造を有するスチレン系重合体(以下、SPSと
記すことがある。)またはその組成物からなり、結晶化
度25%以上,球晶半径10μm以下,ヘイズ5以下の
無配向予備成形体を、面積倍率1.2倍以上の展開率で、
加熱下に成形又は延伸して得られる結晶化度30%以上
の透明成形体を提供するものである。また、本発明は、
上記無配向予備成形体を、面積倍率1.2倍以上の展開率
で、120〜260℃にて成形又は延伸することを特徴
とする結晶化度30%以上の透明成形体の製造方法をも
提供するものである。
【0005】本発明において、成形体の素材として用い
るスチレン系重合体は、高度なシンジオタクチック構造
を有するものであるが、ここで高度なシンジオタクチッ
ク構造とは、立体化学構造が高度なシンジオタクチック
構造、即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して
側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方
向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクテ
ィシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−N
MR法)により定量される。13C−NMR法により測定
されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位
の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド,3個の場
合はトリアッド,5個の場合はペンタッドによって示す
ことができるが、本発明に言うSPSとは、通常はダイ
アッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくは
ペンタッド(ラセミペンタッド)で30%以上、好まし
くは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポ
リスチレン,ポリ(アルキルスチレン),ポリ(ハロゲ
ン化スチレン),ポリ(アルコキシスチレン),ポリ
(ビニル安息香酸エステル)およびこれらの混合物、あ
るいはこれらを主成分とする共重合体を指称する。な
お、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ
(メチルスチレン),ポリ(エチルスチレン),ポリ
(イソプロピルスチレン),ポリ(ターシャリーブチル
スチレン)などがあり、ポリ(ハロゲン化スチレン)と
しては、ポリ(クロロスチレン),ポリ(ブロモスチレ
ン),ポリ(フルオロスチレン) などがある。また、ポ
リ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシス
チレン),ポリ(エトキシスチレン)などがある。これ
らのうち特に好ましいスチレン系重合体としては、ポリ
スチレン,ポリ(p−メチルスチレン),ポリ(m−メ
チルスチレン),ポリ(p−ターシャリーブチルスチレ
ン),ポリ(p−クロロスチレン),ポリ(m−クロロス
チレン),ポリ(p−フルオロスチレン) 、更にはスチ
レンとp−メチルスチレンとの共重合体をあげることが
できる。
【0006】また、本発明に用いる高度なシンジオタク
チック構造を有するスチレン系重合体、即ちSPSは、
分子量についての制限はないが、重量平均分子量が10,
000以上のものが好ましく、とりわけ50,000以上
のものが最適である。さらに、分子量分布についてもそ
の広狭は制約がなく、様々なものを充当することが可能
である。このSPSは、融点が200〜310℃であっ
て、従来のアタクチック構造のスチレン系重合体に比べ
て耐熱性が格段に優れている。このようなSPSは、例
えば不活性炭化水素溶媒中または溶媒の不存在下に、チ
タン化合物、及び水とトリアルキルアルミニウムの縮合
生成物を触媒として、スチレン系単量体(上記スチレン
系重合体に対応する単量体)を重合することにより製造
することができる。本発明の透明成形体は、上記SPS
を素材として、これを成形して得られるが、このSPS
には、本発明の目的を阻害しない範囲で一般に使用され
ている熱可塑性樹脂,ゴム,酸化防止剤,無機充填剤,
架橋剤,架橋助剤,核剤,可塑剤,相溶化剤,着色剤,
帯電防止剤などを添加して、組成物として用いることが
できる。
【0007】上記熱可塑性樹脂としては、例えばアタク
チック構造のポリスチレン,アイソタクチック構造のポ
リスチレン,AS樹脂,ABS樹脂などのスチレン系重
合体をはじめ、ポリエチレンテレフタレートなどのポリ
エステル,ポリカーボネート,ポリフェニレンオキサイ
ド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホンなどのポリエ
ーテル,ポリアミド,ポリフェニレンスルフィド(PP
S),ポリオキシメチレンなどの縮合系重合体、ポリア
クリル酸,ポリアクリル酸エステル,ポリメチルメタク
リレートなどのアクリル系重合体、ポリエチレン,ポリ
プロピレン,ポリブテン,ポリ4−メチルペンテン−
1,エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィ
ン、あるいはポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポ
リ弗化ビニリデンなどの含ハロゲンビニル化合物重合体
など、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0008】またゴムとしては、様々なものが使用可能
であるが、最も好適なものはスチレン系化合物をその一
成分として含むゴム状共重合体で、例えば、スチレン−
ブタジエンブロック共重合体のブタジエン部分を一部あ
るいは完全に水素化したゴム(SEBS),スチレン−
ブタジエン共重合体ゴム(SBR),アクリル酸メチル
−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム,アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム(ABSゴ
ム),アクリロニトリル−アルキルアクリレート−ブタ
ジエン−スチレン共重合体ゴム(AABS),メタクリル
酸メチル−アルキルアクリレート−スチレン共重合体ゴ
ム(MAS),メタクリル酸メチル−アルキルアクリレ
ート−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム(MABS)
など、あるいはこれらの混合物が挙げられる。これらの
スチレン系化合物をその一成分として含むゴム状共重合
体は、スチレン単位を有するため、高度なシンジオタク
チック構造を有するスチレン系重合体に対する分散性が
良好であり、その結果、物性の改善効果が著しい。さら
に用いることのできるゴムの他の例としては、天然ゴ
ム,ポリブタジエン,ポリイソプレン,ポリイソブチレ
ン,ネオプレン,エチレン−プロピレン共重合体ゴム,
ポリスルフィドゴム,チオコールゴム,アクリルゴム,
ウレタンゴム,シリコーンゴム,エピクロルヒドリンゴ
ム,ポリエーテル・エステルゴム,ポリエステル・エス
テルゴムなど、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0009】酸化防止剤としては様々なものがあるが、
特にトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト,トリス(モノおよびジ−ノニルフェニル)ホス
ファイト等のモノホスファイトやジホスファイト等のリ
ン系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤が好まし
い。ジホスファイトとしては、一般式
【0010】
【化1】
【0011】(式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立に炭
素数1〜20のアルキル基,炭素数3〜20のシクロア
ルキル基あるいは炭素数6〜20のアリール基を示
す。)で表されるリン系化合物を用いることが好まし
い。上記一般式で表されるリン系化合物の具体例として
は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト;ジオクチルペンタエリスリトールジホスファイト;
ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト;ビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト;ビス(2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト;ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスフ
ァイトなどが挙げられる。また、フェノール系酸化防止
剤としては既知のものを使用することができ、その具体
例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ノール;2,6−ジフェニル−4−メトキシフェノー
ル;2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メ
チルフェノール);2,2’−メチレンビス−(6−t
−ブチル−4−メチルフェノール);2,2’−メチレ
ンビス〔4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシ
ル)フェノール〕;1,1−ビス(5−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン;2,2’
−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェ
ノール);2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6
−ノニルフェノール);1,1,3−トリス−(5−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタ
ン;2,2−ビス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ
−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプト
ブタン;エチレングリコール−ビス〔3,3−ビス(3
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチレー
ト〕;1−1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキ
シフェニル)−3−(n−ドデシルチオ)−ブタン;
4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェ
ノール);1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチ
ルベンゼン;2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)マロン酸ジオクタデシルエス
テル;n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,
5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;テトラ
キス〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシハイドロシンナメート)〕メタンなどが挙げられ
る。さらに、上記リン系酸化防止剤,フェノール系酸化
防止剤の他に、アミン系酸化防止剤,硫黄系酸化防止剤
などを単独で、あるいは混合して用いることができる。
【0012】上記の酸化防止剤は、前記のSPS100
重量部に対し、通常、0.0001〜1重量部である。こ
こで酸化防止剤の配合割合が0.0001重量部未満であ
ると分子量低下が著しく、一方、1重量部を超えると機
械的強度に影響があるため、いずれも好ましくない。
【0013】さらに無機充填剤としては、繊維状のもの
であると、粒状,粉状のものであるとを問わない。繊維
状無機充填材としてはガラス繊維,炭素繊維,アルミナ
繊維等が挙げられる。一方、粒状,粉状無機充填材とし
てはタルク,カーボンブラック,グラファイト,二酸化
チタン,シリカ,マイカ,炭酸カルシウム,硫酸カルシ
ウム,炭酸バリウム,炭酸マグネシウム,硫酸マグネシ
ウム,硫酸バリウム,オキシサルフェート,酸化スズ,
アルミナ,カオリン,炭化ケイ素,金属粉末等が挙げら
れる。
【0014】また架橋剤としては、t−ブチルヒドロペ
ルオキシド;クメンヒドロペルオキシド;ジイソプロピ
ルベンゼンペルオキシド;2,5−ジメチル−2,5−
ジヒドロペロキシヘキサン;2,5−ジメチル−2,5
−ジヒドロペロキシヘキサン−3などのヒドロペルオキ
シド類,ジアルキルペルオキシド類,ケトンペルオキシ
ド類,ジアシルペルオキシド類,ペルオキシエステル類
などを適量使用することができる。
【0015】架橋助剤としては、p−キノンジオキシ
ム;p,p−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのキノ
ンジオキシム類、ポリエチレングリコールジメタクリレ
ートなどのメタクリレート類、アリル系化合物,マレイ
ミド系化合物などを適宜使用することができる。
【0016】本発明の透明成形体は、上述の如くSPS
あるいはこれに熱可塑性樹脂,ゴム,酸化防止剤,無機
充填剤,架橋剤,架橋助剤,核剤,可塑剤,相溶化剤,
着色剤,帯電防止剤などを添加した組成物を素材として
用いる。本発明の透明成形体は、このSPSあるいは組
成物からなる特定の物性の無配向予備成形体を、面積倍
率1.2倍以上で、加熱下に成形又は延伸することによっ
て得られる。ここで無配向予備成形体の物性は下記の通
りである。すなわち、この無配向予備成形体の結晶化度
は、25%以上、好ましくは30%以上である。ここ
で、結晶化度が25%未満では耐熱性が不充分である。
また、ヘイズは5%以下、好ましくは4%以下である。
ヘイズが5%を超えると透明性が不充分なものとなる。
さらに球晶半径(光散乱法により測定)は、10μm以
下、好ましくは5μm以下である。ここで、球晶半径が
10μmを超えると透明性が不充分となる。なお、無配
向とは複屈折の絶対値(|Δn|)が20×10-3以下
であり、好ましくは10×10-3以下のことである。
【0017】上述した無配向予備成形体(以下、単に予
備成形体ということがある。)を製造するには、様々な
方法が挙げられる。例えば、まず、上記SPSあるいは
これに必要に応じて上記の各種成分を添加した組成物を
予備成形し、フィルム,シート等(熱処理用予備成形
体)とする。この成形にあっては、上記成形素材の加熱
溶融したものを押出して所定形状にすればよく、フィル
ム,シートの場合はT−ダイ成形、容器など他の構造体
は射出成形などにより成形することができる。ここで用
いる押出成形機は、一軸押出成形機,二軸押出成形機の
いずれでもよく、また、ベント付き,ベント無しのいず
れでもよい。押出条件は、特に制限は無く、様々な状況
に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは溶融時の温
度を成形素材の融点〜分解温度より50℃高い温度の範
囲で選定し、剪断応力を5×106 dyne/cm2
下とすると、表面の荒れの少ない熱処理用予備成形体を
得ることができる。
【0018】次いで、上記押出成形後、得られた熱処理
用予備成形体を、冷却固化することが好ましい。この際
の冷媒は、気体,液体,金属など各種のものを使用する
ことができる。なお、シート成形により予備成形体を成
形する際に、金属ロールなどを用いる場合は、エアナイ
フ,エアチャンバー,タッチロール,静電印加などの方
法によると、厚みムラや波うち防止に効果的である。冷
却固化の温度は、通常は0℃〜熱処理用予備成形体のガ
ラス転移温度より30℃高い温度の範囲、好ましくは、
ガラス転移温度より70℃低い温度以上ガラス転移以下
の温度範囲である。また、冷却速度は特に制限はない
が、200〜3℃/秒、好ましくは、200〜10℃/
秒の範囲で適宜選定するのがよい。この様な条件に従え
ば、熱処理用予備成形体、特に結晶化度20%以下、好
ましくは18%以下の熱処理用予備成形体を得ることが
できる。ここで、熱処理用予備成形体の結晶化度が20
%を超えると透明性が損なわれるおそれがある。
【0019】この熱処理用予備成形体は、各種の形状が
あるが、通常は厚さ5mm以下、好ましくは3mm以下
のシート,フィルム,容器(チューブ,トレイなど)な
どの成形体である。熱処理前の熱処理用予備成形体にお
いて、厚さが5mmを超えるものでは、熱処理用予備成
形体の成形時に内部の結晶化が進み白濁化する場合があ
る。
【0020】本発明の予備成形体は、例えば、上記熱処
理用予備成形体を140〜180℃、好ましくは150
〜170℃の温度範囲で熱処理をすることによって得る
ことができる。ここで、熱処理温度が140℃未満で
は、耐熱性が充分でなく白濁化する場合があり、180
℃を超える場合は透明性が不充分となる。この熱処理の
時間は、通常1秒〜30分、好ましくは1秒〜10分で
ある。また、このときの昇温速度は、熱処理用予備成形
体を急昇温して所定の熱処理温度にすることが望まし
く、その観点から30℃/分以上、好ましくは50℃/
分以上である。昇温速度が30℃/分より遅いと所定の
熱処理温度未満で熱処理を受けることになり、スチレン
系樹脂成形体の透明性が損なわれることがある。また、
熱処理の加熱方法は、特に限定されないが、例えば12
0〜200℃の気体,液体,金属などの熱媒体に接触さ
せればよい。さらに、上記条件で熱処理したスチレン系
樹脂成形体を、必要に応じて再度熱処理してもよい。こ
のときの熱処理条件としては、ガラス転移温度以上,融
点以下,熱処理時間1秒以上が適当である。再度熱処理
したスチレン系樹脂成形体は、結晶化度の向上は望めな
いが、透明性を損なわずに熱変形温度を向上させること
ができる。
【0021】本発明では、熱処理して得られた予備成形
体を、面積倍率1.2倍以上で、加熱下に成形又は延伸す
ることによって、目的とする透明成形体を得ることがで
きる。成形の方法としては、例えば熱成形、具体的には
予備成形体を加熱し、真空および/または圧縮空気の圧
力で成形する方法を挙げることができる。ここで加熱の
際は、予備成形体の片側又は両側のいずれからでもよ
く、熱源に直接接触させて加熱することもできる。この
とき、加熱温度が120℃未満の場合は均一に成形でき
ない場合があり、260℃を超えると透明性が不充分に
なる。熱成形の方法は、特に限定されないが、例えば単
純な真空成形法,ドレープホーミング法,マッチドダイ
法,プレッシャーバブルプラグアシスト真空成形法,プ
ラグアシスト法,真空スナップバック法,プレッシャー
バブル真空スナップバック法,エアースリップホーミン
グ,トラップドシート接触加熱−プレッシャーホーミン
グ,単純圧空成形法等が挙げられる。この成形時の圧力
は真空成形法の場合は1kg/cm2 以下、圧空成形法
の場合は3〜8kg/cm2 が好ましく、真空成形法と
圧空成形法は組み合わせて行うことができる。なお、熱
成形金型の温度は上記加熱温度以下にするのが好まし
い。上記熱成形時の展開率は、熱成形により変形する部
分の面積比で示されるが、本発明においては1.2倍以
上、好ましくは1.5〜6倍である。ここで、1.2倍未満
の場合は変形した部分の強度が充分でなく、逆に展開倍
率が大きすぎると均一な成形が困難になる。
【0022】一方、延伸は、予備成形体を加熱し、延伸
成形することによって行う。延伸の方法は、一軸,同時
二軸,逐次二軸,圧延等のいずれでもよく、例えばニッ
プロールによる圧延,複数のニップロール間での延伸,
テンターによる延伸等を用いることができる。このと
き、延伸温度は120〜260℃の範囲が好ましい。こ
こで、120℃未満の場合は均一に延伸できない場合が
あり、260℃を超える場合は透明性が不充分となる。
上記延伸成形時の展開率(延伸倍率)は、1.2倍以上1
5倍未満が好ましい。ここで、1.2倍未満の場合は延伸
による力学物性向上効果が不充分であり、15倍を超え
る場合は延伸時に破断し易い。
【0023】
【実施例】次に、本発明を参考例,製造例,実施例及び
比較例によりさらに詳しく説明する。 参考例1 アルゴン置換した内容積500ミリリットルのガラス製
容器に、硫酸銅5水塩(CuSO4 5H2 O)17g
(71ミリモル),トルエン200ミリリットル及びト
リメチルアルミニウム24ミリリットル(250ミリモ
ル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、固体
部分を除去して接触生成物6.7gを得た。得られた接触
生成物を凝固点降下法によって測定した分子量は610
であった。
【0024】製造例1 内容積2リットルの反応容器に、精製スチレン1リット
ル,参考例1で得られた接触生成物をアルミニウム原子
として5ミリモル,トリイソブチルアルミニウム5ミリ
モル,ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリメ
トキシド0.025ミリモルを用いて90℃で5時間重合
反応を行った。反応終了後、生成物を水酸化ナトリウム
のメタノール溶液で接触生成物を分解後、メタノールで
繰り返し洗浄し、乾燥して重合体308gを得た。この
重合体を、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶媒とし
て、130℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーにて重量平均分子量を測定したところ、389,000
であり、また、重量平均分子量/数平均分子量は2.64
であった。さらに、融点及び13C−NMRの測定によ
り、この重合体は、シンジオタクティシティー97%の
SPSであることを確認した。
【0025】製造例2 製造例1において、原料モノマーとして、精製スチレン
950ミリリットルおよびp−メチルスチレン50ミリ
リットルを用いて共重合を行ったこと以外は、製造例1
と同様の操作を行った。その結果、得られた共重合体
は、共シンジオタクチック構造(シンジオタクティシテ
ィー97%)であり、p−メチルスチレン単位を9.5モ
ル%含むことが13C−NMRの測定により確認できた。
また、重量平均分子量は438,000であり、重量平均
分子量/数平均分子量は2.51であった。
【0026】実施例1 製造例1で得られたスチレン系重合体パウダーを150
℃,2時間攪拌しながら真空乾燥した。このパウダーを
ベント付き一軸押出機の先端にキャピラリーを複数個含
むダイを取りつけた装置で溶融押出後、冷却しカットし
て押出用成形材料(ペレット)を作成した。このとき、
条件として溶融温度300℃,押出量30kg/時,ベ
ント圧10mmHgとした。次いで、このペレットを熱
風中で攪拌しながら結晶化,乾燥を行った。得られたペ
レットの残留スチレン単量体は500ppm,結晶化度
は35%であった。このペレットを用いて、一軸押出機
の先端にT−ダイを取り付けた装置で押出し、シートを
得た。このときの押出温度は320℃,剪断応力は3×
105 dyne/cm2 であった。得られたシートを静
電印加により、金属冷却ロールに密着冷却させ、熱処理
用予備成形体(シート)を作成した。このとき、金属冷
却ロールを50℃に調節し、冷却速度は70℃/秒であ
った。また、作成した熱処理用予備成形体の厚みは60
0μmで、結晶化度は13%であった。この熱処理用予
備成形体をオーブンにて155℃で10分間熱処理し
た。熱処理温度の昇温速度は200℃/分であった。得
られたスチレン系樹脂成形体の結晶化度は43%,ヘイ
ズは0.8%,球晶半径は1.4μm,|Δn|は5.1×1
-3(低配向)であった。得られた予備成形体をプラグ
アシスト法により加熱温度160℃,展開倍率4倍に熱
成形しカップを作成した。このカップの側面部の物性を
測定した結果を第1表に示す。なお、このカップに食用
油/水(体積比1/1)を入れオーブンで内部温度16
0℃に加熱したところ、変形,肌あれ等は全くなかっ
た。
【0027】実施例2 製造例2で得られたスチレン系重合体を用い、熱処理用
予備成形体の厚みを1500μmとし、熱処理温度を1
65℃とし、熱成形法を真空及び圧空成形とし、トレイ
を作成した以外は、実施例1と同様に成形体を作成し
た。得られた結果を第1表に示す。
【0028】実施例3 製造例2で得られたスチレン系重合体を用い、テーブル
テンターを用い、熱処理温度を180℃とし、延伸倍率
を4倍として同時二軸延伸した以外は、実施例1と同様
に成形体を作成した。得られた結果を第1表に示す。な
お、得られたシートを250℃,30秒熱処理したとこ
ろ、透明性に変化は生じなかった。
【0029】実施例4 製造例2で得られたスチレン系重合体を用い、テーブル
テンターを用い、熱処理温度を180℃とし、延伸倍率
を2倍とした以外は、実施例1と同様に成形体を作成し
た。得られた結果を第1表に示す。
【0030】実施例5 製造例2で得られたスチレン系重合体を用い、テーブル
テンターを用い、熱処理温度を180℃とし、縦横2倍
ずつ逐次延伸した以外は、実施例1と同様に成形体を作
成した。得られた結果を第1表に示す。
【0031】比較例1 予備成形体を200℃で熱処理した以外は、実施例1と
同様に成形体を作成した。得られた結果を第1表に示
す。
【0032】比較例2 予備成形体を熱処理しなかった以外は、実施例1と同様
に成形体を作成した。得られた結果を第1表に示す。
【0033】比較例3 予備成形体を200℃で熱処理した以外は、実施例3と
同様に成形体を作成した。得られた結果を第1表に示
す。
【0034】比較例4 予備成形体を熱処理しなかった以外は、実施例3と同様
に成形体を作成した。得られた結果を第1表に示す。な
お、得られたシートを250℃,30秒熱処理したとこ
ろ白化し、ヘイズは21になった。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】なお、上記物性試験で用いた試験方法及び
条件を以下に示す。 ヘイズ:JIS K7105に準拠した。 結晶化度:示差走査熱量計(DSC)を用い、一定の昇
温速度下で測定した融点における吸熱エンタルピー(Δ
m ),冷結晶化温度における発熱エンタルピー(ΔH
cc)を測定し、100%結晶の融解エンタルピー(ΔH
f :53J/g)として結晶化度(Xc )を求めた(X
c =(ΔHm −ΔHcc)/ΔHf )。 球晶半径:光散乱測定装置を用い、クロスニコルFで測
定した散乱像の散乱極大角度(θm )から球晶半径
(R)を求めた。 |Δn|:偏光顕微鏡を用い、ベレックのコンペンセー
ターを使ってレターデーション(Γ)を測定し、複屈折
|Δn|を求めた。つまり、この|Δn|は、厚み方向
と面内のいずれかの方向との複屈折の絶対値である。 成形品の厚み:変形後の最小厚み。 耐熱,耐油試験:食用油/水(体積比1/1)をオーブ
ンに入れて160℃に加熱して試験を行った。 ○・・透明性変化なし、表面荒れなし、熱変形なし ×・・上記のいずれかを満足しない。 成形方法:A・・真空成形(プラグアシスト法), B
・・真空圧空成形, C・・同時二軸延伸, D・・一
軸延伸, E・・逐次二軸延伸
【0040】
【発明の効果】以上の如く、本発明の透明成形体は、高
結晶化度で耐溶剤性,耐熱性及び透明性に優れたもので
ある。したがって、本発明で得られる透明成形体は、ラ
ップなどの耐熱透明シート、電子レンジ容器,食品包装
容器,耐熱性ボトルなどの耐熱性透明容器として有効に
利用できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高度なシンジオタクチック構造を有するス
    チレン系重合体またはその組成物からなり、結晶化度2
    5%以上,球晶半径10μm以下,ヘイズ5以下の無配
    向予備成形体を、面積倍率1.2倍以上の展開率で、加熱
    下に成形又は延伸して得られる結晶化度30%以上の透
    明成形体。
  2. 【請求項2】高度なシンジオタクチック構造を有するス
    チレン系重合体またはその組成物からなり、結晶化度2
    5%以上,球晶半径10μm以下,ヘイズ5以下の無配
    向予備成形体を、面積倍率1.2倍以上の展開率で、12
    0〜260℃にて成形又は延伸することを特徴とする結
    晶化度30%以上の透明成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】高度なシンジオタクチック構造を有するス
    チレン系重合体またはその組成物を加熱溶融して冷却
    後、140〜180℃で熱処理を施し、面積倍率1.2倍
    以上の展開率で、120〜260℃にて成形又は延伸す
    ることを特徴とする結晶化度30%以上の透明成形体の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0724911A (ja) * 1993-07-08 1995-01-27 Toyobo Co Ltd シンジオタクチックポリスチレン系フィルム
JP2018001626A (ja) * 2016-07-04 2018-01-11 倉敷紡績株式会社 離型フィルムおよび樹脂成形品の製造方法

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