JPH0510188A - デイーゼルエンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

デイーゼルエンジンの燃料噴射制御装置

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JPH0510188A
JPH0510188A JP16473291A JP16473291A JPH0510188A JP H0510188 A JPH0510188 A JP H0510188A JP 16473291 A JP16473291 A JP 16473291A JP 16473291 A JP16473291 A JP 16473291A JP H0510188 A JPH0510188 A JP H0510188A
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JP
Japan
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injection
fuel
room temperature
fuel injection
diesel engine
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Application number
JP16473291A
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English (en)
Inventor
Naohiko Oikawa
直彦 笈川
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B3/00Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
    • F02B3/06Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition

Landscapes

  • High-Pressure Fuel Injection Pump Control (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】燃料噴射量や燃料噴射時期を変えることなく燃
焼室温を調整でき、より最適な燃焼状態を得ることが可
能な燃料噴射制御装置を提供する。 【構成】燃料噴射ポンプ1は、高圧室15内へ燃料を吸
入して加圧するプランジャ12を備えている。プランジ
ャ12の往復動により高圧室15で加圧された高圧燃料
は,燃料噴射ノズル4からディーゼルエンジン2に噴射
される。また、燃料噴射ポンプ1には高圧室15内の燃
料圧力を調整することにより、燃料噴射ノズル4にて主
噴射及びパイロット噴射を行わせるピエゾスピル弁23
が設けられている。さらに、ディーゼルエンジン2には
副燃焼室49の温度を検出するチャンバ温センサ77が
取付けられている。そして、CPUはチャンバ温センサ
77により検出された燃焼室温TC に応じて、前記ピエ
ゾスピル弁23によるパイロット噴射と主噴射の噴射間
隔θP を変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はディーゼルエンジンの燃
料噴射制御装置に係り、特に主噴射に先立って予備噴射
(パイロット噴射)を行うようにした燃料噴射制御装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ディーゼルエンジンの運転状態を
各種センサで検出し、それらのセンサの検出値に応じて
燃料噴射量や燃料噴射時期等を制御することにより、デ
ィーゼルエンジンを最適な状態で作動させるようにし
た、いわゆる電子制御ディーゼルエンジンが実用化され
ている。このタイプのディーゼルエンジンによれば、燃
料噴射量や燃料噴射時期を精度よく制御することが可能
となる。反面、燃料噴射ポンプを構成する各部品の経時
変化、製品ばらつき等に起因して燃料噴射量がばらつく
と、燃焼室温度が大きく変動する。そして、燃焼室温度
が所定の範囲を越えると、ディーゼルエンジンを損傷さ
せたり、さらには圧縮着火が円滑に行われなくなってデ
ィーゼルエンジンの熱効率が低下したりする。
【0003】そこで、特開昭60−162034号公報
には、燃焼室温度に応じて燃料噴射量や燃料噴射時期を
制御するようにした技術が開示されている。この技術に
よると、燃焼室温度を所定の範囲内に維持してエンジン
の損傷を防止しつつ、効率のよい燃焼状態を得ることが
できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、一般にディ
ーゼルエンジンにおいては燃料噴射量や燃料噴射時期が
エンジン出力、着火時期等の要求による制約を受ける。
このため、前記従来技術では、必ずしも充分な燃焼室温
度の制御をできるとは限らず、場合によっては燃焼室温
度を所定の範囲内に維持できず、最適な燃焼状態を得ら
れないおそれがあった。
【0005】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであって、その目的は燃料噴射量や噴射時期を変える
ことなく燃焼室温度を調整でき、より最適な燃焼状態を
得ることが可能なディーゼルエンジンの燃料噴射制御装
置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明においては図1に示すように、ディーゼル
エンジンM1の回転に基づくプランジャM2の往復動に
より高圧室M3内へ燃料を吸入し加圧する高圧ポンプM
4と、前記高圧ポンプM4の高圧室M3で加圧された高
圧燃料を前記ディーゼルエンジンM1に噴射する燃料噴
射弁M5と、前記高圧ポンプM4における高圧室M3内
の燃料の圧力を調整して、前記燃料噴射弁M5にて主噴
射及び同主噴射に先立つパイロット噴射を行わせる噴射
調整手段M6と、前記ディーゼルエンジンM1の燃焼室
の温度を検出する燃焼室温検出手段M7と、前記燃焼室
温検出手段M7により検出された燃焼室の温度に応じ
て、前記噴射調整手段M6によるパイロット噴射と主噴
射の噴射間隔を変更する噴射間隔制御手段M8とを備え
ている。
【0007】
【作用】上記の構成によると、高圧ポンプM4のプラン
ジャM2は、ディーゼルエンジンM1の回転に基づき往
復動して高圧室M3内へ燃料を吸入し、その燃料を加圧
する。プランジャM2によって加圧された高圧燃料は燃
料噴射弁M5に供給され、同燃料噴射弁M5から前記デ
ィーゼルエンジンM1に噴射される。一方、噴射調整手
段M6は前記高圧室M3内の燃料の圧力を調整すること
により、前記燃料噴射弁M5にパイロット噴射及び主噴
射を行わせる。
【0008】前記パイロット噴射及び主噴射が行われて
いるときには、燃焼室温検出手段M7によって前記ディ
ーゼルエンジンM1の燃焼室の温度が検出される。そし
て、この燃焼室温検出手段M7によって検出された燃焼
室の温度に応じて、噴射間隔制御手段M8は、前記噴射
調整手段M6によるパイロット噴射と主噴射の噴射間隔
を変更する。
【0009】前記噴射間隔の制御は、エンジン出力や着
火時期等の要求による制約を受けにくいので、燃焼室温
に応じて燃料噴射量や燃料噴射時期を制御する場合に比
べ、より精度よく燃焼室温を所定の値に調節することが
可能となる。
【0010】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明を具体化した第1実施例を
図面に基いて詳細に説明する。
【0011】図2は本実施例の燃料噴射制御装置を備え
た過給機付ディーゼルエンジン2の概略構成を示す図で
あり、図3は高圧ポンプとしての分配型燃料噴射ポンプ
1の断面図である。燃料噴射ポンプ1は、ディーゼルエ
ンジン2のクランク軸44にベルト等を介して駆動連結
されたドライブプーリ3を備えている。そして、ドライ
ブプーリ3の回転によって燃料噴射ポンプ1が駆動さ
れ、ディーゼルエンジン2の気筒毎に設けられた燃料噴
射弁としての燃料噴射ノズル4に燃料が圧送されて燃料
噴射を行う。
【0012】ドライブプーリ3にはドライブシャフト5
が連結され、そのドライブシャフト5には、べーン式ポ
ンプよりなる燃料フィードポンプ(図では90度展開さ
れている)6と、外周面に複数の突起を有する円板状の
パルサ7とが取付けられている。前記ドライブシャフト
5の基端部(図の右端部)は、図示しないカップリング
を介してカムプレート8に接続されている。パルサ7と
カムプレート8との間にはローラリング9が設けられ、
そのローラリング9にはカムプレート8のカムフェイス
8aに対向する複数のカムローラ10が取付けられてい
る。そして、カムプレート8はスプリング11によって
常にカムローラ10に付勢係合されている。
【0013】カムプレート8には燃料加圧用プランジャ
12が一体回転可能に取付けられており、前記ドライブ
シャフト5の回転力がカップリングを介してカムプレー
ト8に伝達されることにより、同カムプレート8及びプ
ランジャ12が回転しながら図中左右方向へ往復駆動さ
れる。プランジャ12はポンプハウジング13に形成さ
れたシリンダ14に嵌挿されており、これらのプランジ
ャ12の先端面(図の右端面)とシリンダ14の内底面
との間が高圧室15となっている。プランジャ12の先
端側外周には、ディーゼルエンジン2の気筒数と同数の
吸入溝16及び分配ポート17が形成されている。ま
た、吸入溝16及び分配ポート17に対応して、ポンプ
ハウジング13には吸入通路19及び分配通路18が形
成されている。
【0014】そして、ドライブシャフト5の回転に基づ
き燃料フィードポンプ6が駆動されると、図示しない燃
料タンクからの燃料が燃料供給ポート20を介して燃料
室21内へ供給される。また、プランジャ12が図中左
方向へ移動(復動)して高圧室15が減圧される吸入行
程においては、吸入溝16の一つが吸入通路19と連通
して、燃料室21から高圧室15へ燃料が導入される。
一方、プランジャ12が図中右方向へ移動(往動)して
高圧室15が加圧される圧縮行程においては、分配通路
18から各気筒毎の燃料噴射ノズル4へ燃料が圧送され
て噴射される。
【0015】前記ポンプハウジング13には、高圧室1
5と燃料室21とを連通させる燃料溢流用のスピル通路
22が形成されている。スピル通路22の途中には、噴
射調整手段としてのピエゾスピル弁23が設けられてい
る。このピエゾスピル弁23は、前記高圧室15内の燃
料の圧力を調整して、前記燃料噴射ノズル4にて主噴射
及び同主噴射に先立つパイロット噴射を行わせるための
ものである。
【0016】ピエゾスピル弁23は上下動可能なバルブ
24を備えており、このバルブ24は、弁座25に接触
することにより同スピル通路22を閉塞(閉弁)し、同
弁座25から離間することによりスピル通路22を開放
(開弁)する。前記バルブ24を駆動してスピル通路2
2を開閉させるために、バルブ24の下側にはスプリン
グ26の付勢力が作用し、同バルブ24の上側には燃料
による圧力が作用するようになっている。すなわち、バ
ルブ24の直下にはスプリング26が圧縮状態で配設さ
れており、スピル通路22が開放されるようにスプリン
グ26がバルブ24を常に上方へ付勢している。
【0017】また、バルブ24の上方には変圧室27が
形成されており、この変圧室27内の燃料が小径の連通
孔28を介し前記バルブ24を下方へ押圧している。前
記変圧室27の容積を変えて、バルブ24上面に作用す
る燃料の押圧力を調整するために、その変圧室27の上
側にピストン29とピエゾ素子30とが配設され、同変
圧室27の下側にスプリング31が配置されている。ス
プリング31はピストン29を常に上方へ付勢してい
る。また、ピエゾ素子30は、PZT等からなる板状部
材を複数枚積層した構造をなし、電荷が供給されると伸
張してスプリング31の付勢力に抗しピストン29を下
動させ、電荷が放電されると収縮してスプリング31の
付勢力によるピストン29の上動を許容する。
【0018】さらに、前記変圧室27内の燃料がリーク
により減少した場合においてもバルブ24の挙動を安定
化させるために、変圧室27と高圧室15とがリセット
通路32によって連通可能となっている。このリセット
通路32の開閉は、プランジャ12の回転運動と往復運
動とが所定のタイミングとなったときに行われる。この
リセット通路32の開閉により、ピエゾ素子30が伸張
する前に変圧室27に燃料が補充され、変圧室27内の
初期圧力が一定にリセットされる。
【0019】ここで、前記ピエゾスピル弁23による燃
料の噴射制御を図5〜図9に従って簡単に説明する。ま
ず、図5はプランジャ12が同図の左方へ移動(復動)
する燃料吸入行程を示しており、この状態ではプランジ
ャ12の吸入溝16が吸入通路19と連通するととも
に、分配ポート17が分配通路18から遮断されてい
る。そして、ピエゾ素子30が収縮しバルブ24がスピ
ル通路22を開放している。このため、燃料は吸入通路
19から高圧室15内へ吸入され、さらにはリセット通
路32を通って変圧室27に導かれる。
【0020】前記状態から、図6に示すようにプランジ
ャ12が回転を伴って同図の右方へ移動(往動)する
と、吸入通路19及びリセット通路32がともに遮断さ
れ、高圧室15内の燃料が加圧され始める。このときに
は、ピエゾ素子30はまだ収縮されたままであり、スピ
ル通路22は開かれている。
【0021】図7に示すように、ピエゾ素子30に所定
の電圧が印加されると、圧電効果によりピエゾ素子30
が伸張する。これにより変圧室27内の燃料が加圧さ
れ、その燃料の押圧力がスプリング26の付勢力に打ち
勝ってバルブ24を下動させ、スピル通路22を閉塞す
る。このとき、プランジャ12の往動で高圧室15が加
圧されても、バルブ24の受圧面積差と変圧室27の圧
力が高くなっていることで、バルブ24は閉弁し続け
る。そして、図8に示すようにプランジャ12の分配ポ
ート17が分配通路18と連通すると、燃料噴射ノズル
4から燃料が噴射される(燃料噴射開始)。
【0022】所定の噴射量を得た時に、図9で示すよう
にピエゾ素子30の電荷が解除(ショート)されると、
ピエゾ素子30は収縮し変圧室27の圧力が低下する。
すると、スプリング26の付勢力によってバルブ24が
上動し、スピル通路22が開放される。これにより、高
圧室15内の高圧の燃料が燃料室21へ溢流され、噴射
が終了する(燃料噴射終了)。
【0023】従って、ピエゾスピル弁23のピエゾ素子
30に電圧を印加するタイミング、ピエゾ素子30の電
荷を放電させるタイミングを調節することにより、パイ
ロット噴射の開始時期及び終了時期、主噴射の開始時期
及び終了時期を制御することが可能である。
【0024】図2に示すように、前記ポンプハウジング
13の下側には、燃料噴射時期制御用のタイマ装置(図
では90度展開されている)34が設けられている。タ
イマ装置34は、ドライブシャフト5の回転方向に対す
るローラリング9の位置を制御することにより、カムフ
ェイス8aがカムローラ10に係合する時期、すなわち
カムプレート8及びプランジャ12の往復動タイミング
を制御するものである。
【0025】このタイマ装置34は油圧によって作動さ
れるものであり、タイマハウジング35と、同タイマハ
ウジング35内に嵌装されたタイマピストン36と、同
じくタイマハウジング35内一側の低圧室37にてタイ
マピストン36を他側の加圧室38へ押圧付勢するタイ
マスプリング39等とから構成されている。そして、タ
イマピストン36はスライドピン40を介して前記ロー
ラリング9に接続されている。
【0026】タイマハウジング35の加圧室38には、
燃料フィードポンプ6により加圧された燃料が導入され
るようになっている。そして、その燃料圧力とタイマス
プリング39の付勢力との釣り合い関係によってタイマ
ピストン36の位置が決定される。また、タイマピスト
ン36の位置が決定されることによりローラリング9の
位置が決定され、カムプレート8を介してプランジャ1
2の往復動タイミングが決定される。
【0027】タイマ装置34の燃料圧力を制御するため
に、加圧室38と低圧室37とを繋ぐ連通路42にはタ
イミングコントロールバルブ41が設けられている。タ
イミングコントロールバルブ41はデューティ制御され
た通電信号によって開閉制御される電磁弁であり、同タ
イミングコントロールバルブ41の開閉制御によって加
圧室38内の燃料圧力が調整される。そして、その燃料
圧力調整によってプランジャ12のリフトタイミングが
制御され、各燃料噴射ノズル4からの燃料噴射時期が調
整される。
【0028】なお、前記ローラリング9の上部には、電
磁ピックアップコイルよりなる回転数センサ43が前記
パルサ7の外周面に対向して取付けられている。この回
転数センサ43はパルサ7の突起等が横切る際に、それ
らの通過を検出してエンジン回転数NEに相当するタイ
ミング信号(エンジン回転パルス)を出力する。また、
この回転数センサ43は前記ローラリング9と一体であ
るため、タイマ装置34の制御動作に関わりなく、プラ
ンジャリフトに対して一定のタイミングで基準となるタ
イミング信号を出力する。
【0029】次に、ディーゼルエンジン2について説明
する。図2に示すように、このディーゼルエンジン2で
はシリンダ45、ピストン46及びシリンダヘッド47
によって各気筒毎に対応する主燃焼室48が形成されて
いる。また、シリンダヘッド47には、同じく各気筒毎
に対応して副燃焼室49が設けられており、これらの副
燃焼室49は前記主燃焼室48に連通している。そし
て、各副燃焼室49に各燃料噴射ノズル4から噴射され
る燃料が供給される。また、各副燃焼室49には、始動
補助装置としての周知のグロープラグ50がそれぞれ取
付けられている。
【0030】ディーゼルエンジン2には吸気管52及び
排気管55がそれぞれ接続され、その吸気管52にはタ
ーボチャージャ53のコンプレッサ54が配設され、排
気管55にはターボチャージャ53のタービン56が配
設されている。また、排気管55には過給圧を調節する
ウェイストゲートバルブ57が取付けられている。
【0031】また、ディーゼルエンジン2には、排気管
55内の排気の一部を吸気管52の吸入ポート58へ還
流させるための還流管59が設けられている。還流管5
9の途中には排気の還流量を調節するEGRバルブ60
が設けられ、このEGRバルブ60はバキュームスイッ
チングバルブ(VSV)61の制御によって開閉制御さ
れる。
【0032】さらに、吸気管52の途中には、アクセル
ペダル62の踏込量に連動して開閉されるスロットルバ
ルブ63が設けられている。また、そのスロットルバル
ブ63に平行してバイパス路64が形成され、その途中
には、各種運転状態に応じてアクチュエータ68によっ
て開閉制御されるバイパス絞り弁65が設けられてい
る。アクチュエータ68は、二つのVSV66,67の
制御によって駆動される。バイパス絞り弁65は各種運
転状態に応じて開閉制御されるものであって、例えば、
アイドル運転時には騒音振動等の低減のために半開状態
に制御され、通常運転時には全開状態に制御され、さら
に運転停止時には安全のために全閉状態に制御される。
【0033】そして、上記のように燃料噴射ポンプ1及
びディーゼルエンジン2に設けられたピエゾスピル弁2
3、タイミングコントロールバルブ41、グロープラグ
50及び各VSV61,66,67は、電子制御装置
(以下単に「ECU」という)71にそれぞれ電気的に
接続され、同ECU71によってそれらの駆動タイミン
グが制御される。
【0034】前記ディーゼルエンジン2の運転状態を検
出するセンサとして、前記回転数センサ43に加えて以
下のセンサが設けられている。すなわち、エアクリーナ
69を介して吸気管52に吸い込まれる空気の吸気温度
を検出する吸気温センサ72、スロットルバルブ63の
開閉位置からディーゼルエンジン2の負荷に相当するア
クセル開度ACCPAを検出するアクセル開度センサ7
3、吸入ポート58内の吸入圧力を検出する吸気圧セン
サ74、ディーゼルエンジン2の冷却水温を検出する水
温センサ75、ディーゼルエンジン2のクランク軸44
の回転基準位置、例えば特定気筒の上死点に対するクラ
ンク軸44の回転位置を検出するクランク角センサ76
が設けられている。さらに、ディーゼルエンジン2のシ
リンダヘッド47には、副燃焼室49内の温度を検出す
るための燃焼室温検出手段としてのチャンバ温センサ7
7が取付けられている。
【0035】前記ECU71には、上述した各センサ4
3,72〜77がそれぞれ接続されている。そして、E
CU71は各センサ43,72〜77から出力される信
号に基づいて、ピエゾスピル弁23、タイミングコント
ロールバルブ41、グロープラグ50及びVSV61,
66,67等を好適に制御する。
【0036】次に、前述したECU71の構成につい
て、図4のブロック図に従って説明する。ECU71は
中央処理装置(CPU)81、所定の制御プログラム及
びマップ等を予め記憶した読み出し専用メモリ(RO
M)82、CPU81の演算結果等を一時記憶するラン
ダムアクセスメモリ(RAM)83、予め記憶されたデ
ータを保存するバックアップRAM84等と、これら各
部と入力ポート85及び出力ポート86等とをバス87
によって接続した論理演算回路として構成されている。
前記CPU81は、前記チャンバ温センサ77により検
出された燃焼室温に応じて、ピエゾスピル弁23による
パイロット噴射と主噴射の噴射間隔を変更するための噴
射間隔制御手段を構成している。
【0037】入力ポート85には、前記吸気温センサ7
2、アクセル開度センサ73、吸気圧センサ74、水温
センサ75及びチャンバ温センサ77が、バッファ8
8,89,90,91,92、マルチプレクサ93及び
A/D変換器94を介して接続されている。同じく、入
力ポート85には、前記回転数センサ43及びクランク
角センサ76が波形整形回路95を介して接続されてい
る。また、出力ポート86には各駆動回路96,97,
98,99,100,101を介してピエゾピル弁2
3、タイミングコントロールバルブ41、グロープラグ
50及びVSV61,66,67等が接続されている。
【0038】そして、CPU81は入力ポート85を介
し各センサ43,72〜77から検出信号を読み込み、
その読み込んだ入力値に基づき、ピエゾスピル弁23、
タイミングコントロールバルブ41、グロープラグ50
及びVSV61,66,67等を好適に制御する。
【0039】次に、前記のように構成された本実施例の
作用及び効果について説明する。図10のフローチャー
トはCPU81によって実行される各処理のうち、ディ
ーゼルエンジン2の運転状態が定常状態であるか否かを
判定するための定常状態判定ルーチンを示しており、所
定時間毎の定時割り込みで起動される。また、図11の
フローチャートは、燃焼室温に応じてパイロット噴射と
主噴射との噴射間隔を制御するためのパイロット間隔制
御ルーチンを示しており、前記定常状態判定ルーチンと
は別に所定時間毎の定時割り込みで起動される。なお、
前記両ルーチンへの移行に先立ちCPU81は、基準と
なる所定のクランク角からのパイロット噴射開始時期、
パイロット噴射終了時期、主噴射開始時期及び主噴射終
了時期をそれぞれ求め、これらの時期に基づきピエゾス
ピル弁23のオン・オフ時期を決定して燃料噴射制御を
行っている。
【0040】まず、図10の定常状態判定ルーチンにつ
いて説明する。このルーチンでは定常状態を判定するた
めのフラグF1と、定常状態になった後の処理が1回目
の処理か、2回目以降の処理かを判定するためのフラグ
F2とが用意されている。フラグF1は非定常状態のと
き「0」に、定常状態のときに「1」に設定される。ま
た、フラグF2は定常状態になった直後の1回目の処理
のとき「0」に、2回目以降の処理のとき「1」に設定
されるようになっている。
【0041】CPU81はこの処理ルーチンへ移行する
と、ステップ101において、前回処理で記憶したエン
ジン回転数NE(i-1) 及びアクセル開度ACCPA
(i-1) をそれぞれ読み出す。続いて、CPU81はステ
ップ102で、回転数センサ43による今回のエンジン
回転数NE(i) を読み込むとともに、アクセル開度セン
サ73による今回のアクセル開度ACCPA(i) を読み
込む。そして、CPU81はステップ103へ移行し、
今回のエンジン回転数NE(i) から前回のエンジン回転
数NE(i-1) を減算して、エンジン回転数の変動量ΔN
E(=NE(i) −NE(i-1) )を算出する。また、今回
のアクセル開度ACCPA(i) から前回のアクセル開度
ACCPA(i-1) を減算して、アクセル開度の変動量Δ
ACCPA(=ACCPA(i) −ACCPA(i-1) )を
算出する。
【0042】次に、CPU81はステップ104で次回
の演算に備えて今回のエンジン回転数NE(i) 及びアク
セル開度ACCPA(i) を前回のエンジン回転数NE
(i-1) 及び前回のアクセル開度ACCPA(i-1) とし、
さらにステップ105で両値をそれぞれ記憶する。
【0043】そして、CPU81はステップ106,1
07において、前記ステップ103で求めたエンジン回
転数の変動量ΔNEの絶対値及びアクセル開度の変動量
ΔACCPAの絶対値が、判定値NE0 (例えば、50
rpm)及び判定値ACCPA0 (例えば、10%)よ
りも小さいか否かを判定する。そして、CPU81は変
動量ΔNEの絶対値が判定値NE0 以上である場合、又
は変動量ΔACCPAの絶対値が判定値ACCPA0
上である場合、ディーゼルエンジン2の運転状態が安定
していないと判断し、ステップ108で燃焼室温による
パイロット噴射制御を禁止するためにフラグF1を
「0」にし、このルーチンを終了する。
【0044】このようなディーゼルエンジン2の非定常
状態から定常状態になると、前記ステップ106におい
て前記変動量ΔNEの絶対値が判定値NE0よりも小さ
く、かつステップ107において変動量ΔACCPAの
絶対値が判定値ACCPA0 よりも小さくなり、CPU
81はディーゼルエンジン2の運転状態が安定し定常状
態になったと判断し、ステップ109へ移行する。ステ
ップ109において、CPU81は前記フラグF1が
「0」であるか否かを判定する。このフラグF1はステ
ップ108で「0」にされているため、定常状態となっ
た直後では「0」のままである。
【0045】フラグF1が「0」であると、CPU81
はステップ110でフラグF2を「0」にするととも
に、ステップ111で前記フラグF1を「1」にし、こ
のルーチンを終了する。
【0046】次回以降の処理では、ステップ111でフ
ラグF1が「1」になっているために、CPU81はス
テップ109での判定後ステップ112へ移行する。そ
して、ステップ112でCPU81はフラグF2を
「1」にし、このルーチンを終了する。
【0047】次に、図11のパイロット間隔制御ルーチ
ンを図12のタイミングチャートを用いて説明する。こ
のルーチンでは、前記定常状態判定ルーチンで用いたフ
ラグF1,F2と、噴射間隔θP の処理判定用フラグF
3と、噴射間隔θP の増減判定用フラグF4とが用意さ
れている。ここで、噴射間隔θP は図13で示すように
パイロット噴射が開始されてから同パイロット噴射が終
了し、続く主噴射が開始されるまでの間隔である。前記
フラグF3は、この噴射間隔θP が所定の値に保持され
ているとき「0」に、噴射間隔θP が変更されるとき
「1」に設定される。また、前記フラグF4は噴射間隔
θP の変更時において、噴射間隔θP が減算処理により
減少しているとき「0」に、噴射間隔θP が加算処理に
より増加しているとき「1」に設定されるようになって
いる。なお、図12に示すように、パイロット間隔制御
ルーチンへの移行に際し、フラグF1,F2,F3,F
4はともに「0」に初期設定されている。
【0048】このパイロット間隔制御ルーチンへ移行し
た際に、図12でのタイミングt0 〜t1 に示すように
非定常状態である場合、CPU81はまずステップ20
1でチャンバ温センサ77によるそのときの燃焼室温T
c(i)を読み込む。続いて、CPU81はステップ202
でフラグF1が「1」であるか否かを判定する。そし
て、CPU81はF1=0であると、運転状態が非定常
状態であると判定して、ステップ203で次回の演算に
備えて前記ステップ201での今回の燃焼室温T c(i)
前回の燃焼室温Tc(i-1)として記憶し、このルーチンを
終了する。
【0049】そして、図12におけるタイミングt1
運転状態が定常状態になると、CPU81はステップ2
02でフラグF1が「1」になったと判断し、ステップ
204においてフラグF2が「1」であるか否かを判定
する。非定常状態から定常状態に切り換わった直後の処
理ではフラグF2が「0」であるため、CPU81はス
テップ205へ移行し、噴射間隔θp として初期値θp1
を設定する。このときの初期値θp1は、図13で示すよ
うにパイロット噴射の終了時期と主噴射の開始時期とが
一致するときの噴射間隔である。噴射間隔θp の初期設
定を行うとCPU81はステップ206へ移行し、フラ
グF2,F3,F4をそれぞれ「1」に設定する。そし
て、CPU81は前記ステップ203の処理を行った
後、このルーチンを終了する。
【0050】その後、CPU81は前記噴射間隔θp
らパイロット噴射の開始時期、終了時期等を算出し、こ
れらの時期に基づきピエゾスピル弁23を開閉制御す
る。これにより、主噴射に先立ち、かつその主噴射に対
し所定の噴射間隔θp を有するパイロット噴射が行われ
る。
【0051】非定常状態から定常状態に切り換わった後
の2回目の処理(図12でのタイミングt2 )ではフラ
グF2が「1」であるため、CPU81はステップ20
1,202,204の処理を行った後ステップ207へ
移行し、前記フラグF3が「1」であるか否かを判定す
る。このフラグF3は前記ステップ206で「1」に設
定されているため、CPU81はステップ208へ移行
し、前回処理のステップ203で記憶した前回の燃焼室
温Tc(i-1)を読み出す。そして、CPU81はステップ
209でこの前回の燃焼室温Tc(i-1)と前記ステップ2
01で読み込んだ今回の燃焼室温Tc(i)とを比較する。
【0052】図12のタイミングt2 では今回の燃焼室
温Tc(i)が前回の燃焼室温Tc(i-1)よりも高いので、C
PU81はステップ210へ移行し、フラグF4が
「1」であるか否かを判定する。このフラグF4は前記
ステップ206で「1」に設定されているので、CPU
81はステップ211へ移行し、前記ステップ205で
設定した噴射間隔θp (この場合、初期値θp1)に、予
め設定された所定量Δθp を加算し、これを新たな噴射
間隔θp とする。そして、CPU81はステップ212
でフラグF4を「1」に設定した後、ステップ203の
処理を実行し、このルーチンを終了する。その後、前記
噴射間隔θp に基づいてパイロット噴射が実行される
と、副燃焼室49内の燃焼室温Tc が上昇する。
【0053】このような処理が繰り返し行われると(図
12のタイミングt2 〜t4 )、噴射間隔θp が所定量
Δθp ずつ増加し、燃焼室温Tc が上昇し続ける。そし
て、燃焼室温Tc が一旦最高燃焼室温Tc(max)となり
(図12のタイミングt5 )、ステップ209において
今回の燃焼室温Tc(i)が前回の燃焼室温Tc(i-1)以下
(Tc(i-1)≧Tc(i))になると、CPU81は燃焼室温
c の上昇が止まったか、あるいは下降し始めたと判断
して、ステップ213へ移行し、前記ステップ211で
求めた最終の噴射間隔θp から前記所定量Δθp を減算
し、これを新たな噴射間隔θp とする。さらに、CPU
81はステップ214で前記フラグF4を「0」にす
る。そして、CPU81はステップ203の処理を実行
後、このルーチンを終了する。
【0054】次回処理(図12でのタイミングt6 )に
おいては、今回の燃焼室温Tc(i)が前回の燃焼室温T
c(i-1)(この場合、最高燃焼室温Tc(max))よりも低く
なるため、ステップ213での所定量Δθp の減算処理
が行われる。そして、この処理により更新された噴射間
隔θp に基づいてパイロット噴射が実行されると、副燃
焼室49内の燃焼室温Tc が再び上昇する。
【0055】CPU81は次回処理におけるステップ2
09の判定で、今回の燃焼室温Tc が再び前回の燃焼室
温Tc(i-1)よりも高くなったと判断すると(図12のタ
イミングt7 )と、そのときの燃焼室温Tc が最高燃焼
室温Tc(max)になったものとして、ステップ210にお
いてフラグF4が「0」であると判断し、ステップ21
5へ移行する。ステップ215において、CPU81は
前記ステップ213での最終の噴射間隔θp を最高燃焼
室温Tc(max)における噴射間隔として記憶し、ステップ
216で前記フラグF3を「0」にする。そして、CP
U81はステップ203の処理を実行後、このルーチン
を終了する。
【0056】なお、次回処理(図12のタイミング
8 )において、CPU81はステップ207の判定処
理でフラグF3が「0」であるため前記噴射間隔θp
保持し、ステップ203の処理を実行し、このルーチン
を終了する。これにより、燃焼室温Tc が最高燃焼室温
c(max)に維持される。
【0057】このように、燃焼室温Tc に応じて噴射間
隔θp を制御することにより、その燃焼室温Tc が最高
燃焼室温Tc(max)となるようにしたのは、噴射間隔θp
と、パティキュレート量と、燃焼室温Tc との間に図1
4に示すような相関関係が認められるからである。ここ
で、パティキュレートとは自動車排出ガス中の固体微粒
子であり、主に可溶有機成分(SOF)とドライスート
分とから構成されている。このうち、SOFは未燃排出
される高沸点成分、オイル等からなり、このSOFを低
減することによってパティキュレートの低減を図ること
ができる。
【0058】図14から、前記パティキュレート量は、
所定の噴射間隔θpでパイロット噴射が行われたときに
最も少なくなり、その噴射間隔θpから外れると増加す
ることがわかる。また、パティキュレート量が最も少な
いときの噴射間隔θp は、燃焼室温Tc が最高燃焼室温
c(max)であるときの噴射間隔θp と一致する。これら
のことから、噴射間隔θp を調整して、燃焼室温Tc
最高燃焼室温Tc(max)に維持すれば、前記SOFを燃焼
してパティキュレート量を最小限に抑えることができる
ことがわかる。なお、排気ガス中のNOX は燃焼室温T
c が最高燃焼室温Tc(max)のときでも、パイロット噴射
を行わない場合に比べ少ない。
【0059】このようなパティキュレート量の特性を考
慮して、本実施例では、ディーゼルエンジン2の副燃焼
室49の温度を検出するためのチャンバ温センサ77を
設け、このチャンバ温センサ77によって検出された燃
焼室温Tc が最高燃焼室温T c(max)となるようにパイロ
ット噴射と主噴射の噴射間隔θp を制御するようにし
た。このため、本実施例によると、パイロット噴射によ
るNOX の低減に加え、高温の副燃焼室49でSOFを
効率良く燃焼してパティキュレート量を最小限に抑える
ことができる。
【0060】また、本実施例では、燃焼室温Tc を調節
するために燃料噴射量や燃料噴射開始時期を変えること
なく、噴射間隔θp を変化させるだけで燃焼室温Tc
最高燃焼室温Tc(max)に制御している。このため、燃焼
室温Tc の制御中にエンジン出力や着火時期等の要求に
よる制約を受けにくく、従来技術に比べ、より精度よく
最適な燃焼状態を得ることができる。
【0061】また、本実施例ではパイロット噴射の開始
時期、終了時期等を燃焼室温Tc に応じた噴射間隔θp
をもとに算出しているので、前記開始時期、終了時期等
を求めるためのマップが不要となる。このため、容量の
小さなメモリを有するECU71によって本実施例の制
御を行うことができ、コストダウンを図ることが可能と
なる。
【0062】さらに、燃料噴射ノズル4のノズル開弁
圧、圧縮比等に経時変化が生じたとしても、本実施例で
はこれらの経時変化の影響を受けにくく、所定の燃焼室
温Tc となるように制御できる。 (第2実施例)次に、本発明の第2実施例を図15及び
図16に基づいて説明する。この図15は前記図11に
対応するパイロット間隔制御ルーチンを示し、図16は
前記図12に対応するタイミングチャートを示す。本実
施例は噴射間隔θP の最適値を求めて保持するするので
はなく、フィードバック制御する点が前記第1実施例と
異なっている。
【0063】また、図15のルーチンでは、前記定常状
態判定ルーチンで用いたフラグF1,F2と、噴射間隔
θP のフィードバック制御の際の燃焼室温TC の増減検
出のためのフラグF5,F6とが用意されている。フラ
グF5は、燃焼室温TC が変化しないかあるいは下降し
ているとき「0」に、燃焼室温TC が上昇しているとき
「1」に設定される。また、前記フラグF6は燃焼室温
C が上昇しているとき「0」に、燃焼室温TC が変化
しないかあるいは下降しているとき「1」に設定される
ようになっている。なお、図16に示すように、パイロ
ット間隔制御ルーチンへの移行に際し、フラグF1,F
2,F5が「0」に、フラグF6が「1」にそれぞれ初
期設定されている。
【0064】このパイロット間隔制御ルーチンへ移行し
た際に、図16でのタイミングt0 〜t1 に示すように
非定常状態である場合、CPU81はステップ301で
燃焼室温Tc(i)を読み込み、ステップ302でフラグF
1の判定を行う。そして、CPU81はF1=0である
と、運転状態が非定常状態であると判定して、ステップ
303で次回の演算に備えて前記ステップ301での今
回の燃焼室温Tc(i)を前回の燃焼室温Tc(i-1)として記
憶し、このルーチンを終了する。
【0065】図16におけるタイミングt1 で運転状態
が定常状態になると、CPU81はステップ302でフ
ラグF1=1であると判断し、ステップ304でフラグ
F2の判定を行う。定常状態に切り換わった直後ではフ
ラグF2=0であるため、CPU81はステップ305
へ移行し、噴射間隔θp として初期値θp1を設定する。
次に、CPU81はステップ306においてフラグF2
=1,F5=1,F6=0とし、前記ステップ303の
処理を行った後、このルーチンを終了する。
【0066】その後、CPU81は前記噴射間隔θp
らパイロット噴射の開始時期、終了時期等を算出し、こ
れらの時期に基づきピエゾスピル弁23を開閉制御す
る。これにより、主噴射に先立ち、かつその主噴射に対
し所定の噴射間隔θp を有するパイロット噴射が行われ
る。
【0067】非定常状態から定常状態に切り換わった後
の2回目の処理(図16でのタイミングt2 )ではフラ
グF2が「1」であるため、CPU81はステップ30
4の次にステップ307へ移行し、前回処理のステップ
303で記憶した前回の燃焼室温Tc(i-1)を読み出す。
そして、CPU81はステップ308でこの前回の燃焼
室温Tc(i-1)と前記ステップ301で読み込んだ今回の
燃焼室温Tc(i)とを比較する。
【0068】図16のタイミングt2 では今回の燃焼室
温Tc(i)が前回の燃焼室温Tc(i-1)よりも高いので、C
PU81はステップ309へ移行し、フラグF5の判定
を行う。このフラグF5は前記ステップ306で「1」
に設定されているので、CPU81はステップ310へ
移行し、前記ステップ305での噴射間隔θp (この場
合、初期値θp1)に所定量Δθp を加算し、これを新た
な噴射間隔θp とする。そして、CPU81はステップ
311でフラグF5,F6をF5=1、F6=0にした
後、ステップ303の処理を実行し、このルーチンを終
了する。その後、前記噴射間隔θp に基づいてパイロッ
ト噴射が実行されると、副燃焼室49内の燃焼室温Tc
が上昇する。このような処理が繰り返し行われると(図
16のタイミングt2 〜t5 )、噴射間隔θp が所定量
Δθp ずつ増加し燃焼室温Tc が上昇し続ける。そし
て、燃焼室温Tc が一旦最高燃焼室温Tc(max)となり
(図16のタイミングt6 )、ステップ308において
今回の燃焼室温Tc(i)が前回の燃焼室温Tc(i-1)以下
(T c(i-1)≧Tc(i))になると、CPU81は燃焼室温
c の上昇が止まったか、あるいは下降し始めたと判断
して、ステップ312でフラグF5を「1」から「0」
に反転する。そして、CPU81はステップ309でF
5=0と判定してステップ313へ移行する。
【0069】CPU81はステップ313において、前
記ステップ310で求めた最終の噴射間隔θp から前記
所定量Δθp を減算し、これを新たな噴射間隔θp とす
る。さらに、CPU81はステップ314で前記フラグ
F5,F6をそれぞれF5=0,F6=1とし、ステッ
プ303の処理を実行後、このルーチンを終了する。
【0070】次回処理(図16でのタイミングt7 )に
おいては、今回の燃焼室温Tc(i)が前回の燃焼室温T
c(i-1)(この場合、最高燃焼室温Tc(max))よりも低く
なるため、CPU81はステップ308の判定後、ステ
ップ312へ移行し再びフラグF5を「0」から「1」
に反転する。そして、CPU81はステップ309でF
5=1と判定し、前記ステップ310で再び所定量Δθ
p の加算処理を行う。続いて、CPU81はステップ3
11で前記フラグF5,F6をそれぞれF5=1,F6
=0とし、ステップ303の処理を実行後、このルーチ
ンを終了する。そして、この処理により更新された噴射
間隔θp に基づいてパイロット噴射が実行されると、副
燃焼室49内の燃焼室温Tc が再び上昇する。
【0071】CPU81は次回処理におけるステップ3
08の判定で、今回の燃焼室温Tc が再び前回の燃焼室
温Tc(i-1)よりも高くなったと判断すると(図16のタ
イミングt8 )と、前記ステップ309〜311,30
3の処理を行った後、このルーチンを終了する。そし
て、この処理により更新された噴射間隔θp に基づいて
パイロット噴射が実行されると、副燃焼室49内の燃焼
室温Tc が上昇し続ける。
【0072】次回処理において、燃焼室温Tc が再び最
高燃焼室温Tc(max)となり(図16のタイミング
9 )、ステップ308で今回の燃焼室温Tc(i)が前回
の燃焼室温Tc(i-1)以下(Tc(i-1)≧Tc(i))になる
と、CPU81はステップ312でフラグF5を「1」
から「0」に反転する。そして、CPU81はステップ
309でF5=0と判定し、ステップ313において、
前記ステップ310で求めた最終の噴射間隔θp から前
記所定量Δθp を減算し、これを新たな噴射間隔θp
する。さらに、CPU81はステップ314で前記フラ
グF5,F6をそれぞれF5=0,F6=1とし、ステ
ップ303の処理を実行後、このルーチンを終了する。
【0073】このように、ステップ310における所定
量Δθp の加算処理及びステップ313における所定量
Δθp の減算処理のうち、燃焼室温TC が上昇している
間はCPU81は前回と同じ処理を実行する。また、燃
焼室温TC が下降すると逆の処理を実行する。そして、
これらの処理を繰り返すことによって、そのときの燃焼
室温Tc が最高燃焼室温Tc(max)となるように、噴射間
隔θp がフィードバックされる。従って、本実施例にお
いても前記第1実施例と同様に、パイロット噴射による
NOX の低減に加え、高温の副燃焼室49でSOFを効
率良く燃焼してパティキュレート量を最小限に抑えるこ
とができる。
【0074】また、本実施例のようにθp の更新を継続
すると、定常状態に入った初期や定常状態の範囲内での
緩やかな運転状態変化時など、最高燃焼室温Tc(max)
なる噴射間隔θp がある程度変化しても充分追従できる
ため、定常状態として設定するエンジン運転状態の領域
を拡大しても良好な燃焼状態が得られる。
【0075】なお、本発明は前記実施例の構成に限定さ
れるものではなく、例えば以下のように発明の趣旨から
逸脱しない範囲で任意に変更してもよい。 (1)パティキュレート量の低減に効果的な燃焼室温T
c が最高燃焼室温Tc(ma x)以外にも存在する場合には、
その燃焼室温Tc となるように噴射間隔θp を制御する
ようにしてもよい。 (2)ディーゼルエンジン2の高負荷運転時において、
燃焼室温Tc が同ディーゼルエンジン2を構成する各部
材の耐久温度(各部材が耐え得る最高温度)になった場
合、噴射間隔θp を変更するようにしてもよい。このよ
うにすると、熱による前記各部材の損傷を防止できる。
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、燃
焼室の温度に応じてパイロット噴射と主噴射の噴射間隔
を変更するようにしたので、燃料噴射量や燃料噴射時期
を変えることなく燃焼室温を調整でき、より最適な燃焼
状態を得ることが可能になるという優れた効果を発揮す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念構成図である。
【図2】本発明を具体化した第1実施例におけるディー
ゼルエンジンの燃料噴射制御装置を示す概略構成図であ
る。
【図3】第1実施例における分配型燃料噴射ポンプを示
す断面図である。
【図4】第1実施例におけるECUの構成を示すブロッ
ク図である。
【図5】第1実施例において、プランジャが復動して高
圧室内に燃料が吸入される状態を示す部分断面図であ
る。
【図6】第1実施例において、図5の状態からプランジ
ャが往動して高圧室内の燃料が加圧される状態を示す部
分断面図である。
【図7】第1実施例において、図6の状態からピエゾ素
子が伸張してスピル通路が閉塞された状態を示す部分断
面図である。
【図8】第1実施例において、燃料が噴射される状態を
示す部分断面図である。
【図9】第1実施例において、図8の状態からピエゾ素
子が収縮して燃料噴射が終了する状態を示す部分断面図
である。
【図10】第1実施例における定常状態判定処理を説明
するためのフローチャートである。
【図11】第1実施例におけるパイロット間隔制御を説
明するためのフローチャートである。
【図12】第1実施例の作用を説明するためのタイミン
グチャートである。
【図13】第1実施例における噴射間隔を説明するため
の図である。
【図14】第1実施例において、噴射間隔とパティキュ
レート量との関係、及び噴射間隔と燃焼室温との関係を
示す図である。
【図15】本発明の第2実施例におけるパイロット間隔
制御を説明するためのフローチャートである。
【図16】第2実施例の作用を説明するためのタイミン
グチャートである。
【符号の説明】
1…高圧ポンプとしての燃料噴射ポンプ、2…ディーゼ
ルエンジン、4…燃料噴射弁としての燃料噴射ノズル、
12…プランジャ、15…高圧室、23…噴射調整手段
としてのピエゾスピル弁、77…燃焼室温検出手段とし
てのチャンバ温センサ、81…噴射間隔制御手段として
のCPU

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ディーゼルエンジンの回転に基づくプラ
    ンジャの往復動により高圧室内へ燃料を吸入し加圧する
    高圧ポンプと、 前記高圧ポンプの高圧室で加圧された高圧燃料を前記デ
    ィーゼルエンジンに噴射する燃料噴射弁と、 前記高圧ポンプにおける高圧室内の燃料の圧力を調整し
    て、前記燃料噴射弁にて主噴射及び同主噴射に先立つパ
    イロット噴射を行わせる噴射調整手段と、 前記ディーゼルエンジンの燃焼室の温度を検出する燃焼
    室温検出手段と、 前記燃焼室温検出手段により検出された燃焼室の温度に
    応じて、前記噴射調整手段によるパイロット噴射と主噴
    射の噴射間隔を変更する噴射間隔制御手段とを備えたこ
    とを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射制御装
    置。
JP16473291A 1991-07-04 1991-07-04 デイーゼルエンジンの燃料噴射制御装置 Pending JPH0510188A (ja)

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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61229947A (ja) * 1985-04-02 1986-10-14 Nippon Soken Inc デイ−ゼルエンジンの燃料噴射制御装置
JPH0295751A (ja) * 1988-09-30 1990-04-06 Mazda Motor Corp ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置

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