JPH05101823A - ニツケル−金属水素化物蓄電池 - Google Patents

ニツケル−金属水素化物蓄電池

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JPH05101823A
JPH05101823A JP3289288A JP28928891A JPH05101823A JP H05101823 A JPH05101823 A JP H05101823A JP 3289288 A JP3289288 A JP 3289288A JP 28928891 A JP28928891 A JP 28928891A JP H05101823 A JPH05101823 A JP H05101823A
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hydroxide
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利雄 村田
Kazuhiro Nakamitsu
和弘 中満
Yoshinori Tanaka
田中  義則
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Abstract

(57)【要約】 【目的】正極にカドミウムを用いることなく、充放電サ
イクルの進行にともなう電池の内部抵抗の増加を抑制し
て充放電サイクル寿命が長いニッケル−金属水素化物蓄
電池を得る。 【構成】水酸化ニッケルを主活物質とする正極と、水素
吸蔵合金を主体とする負極とを備えるニッケル−金属水
素化物蓄電池において、(1) 水酸化ニッケルが、共沈さ
れた水酸化マグネシウムを含有する。または、(2) 水酸
化ニッケルの表面に、水酸化マグネシウムを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水素の可逆的な吸蔵お
よび放出が可能な水素吸蔵合金を備えて、その水素の電
気化学的な酸化還元反応を起電反応に用いる負極と、水
酸化ニッケルを主たる活物質とする正極とを備えるニッ
ケル−金属水素化物蓄電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ニッケル−金属水素化物蓄電池は、水素
の可逆的な吸蔵および放出が可能な水素吸蔵合金を備え
て、その水素の電気化学的な酸化還元反応を起電反応に
用いる負極と、水酸化ニッケルを活物質とする正極と、
水酸化カリウム水溶液などのアルカリ電解液とを備えて
いる。
【0003】この負極は水素吸蔵電極と呼ばれ、この電
極に用いられる水素吸蔵合金には、LaNi5 、ZrNi2 、Ti
NiおよびTi2 Niなどの金属間化合物や、これらの金属間
化合物の構成元素を他の元素で置換したものがある。こ
れらの水素吸蔵合金は、その組成が異なると、水素吸蔵
量、平衡水素圧力、アルカリ電解液中で充放電を繰り返
す場合の保持容量特性などの性質が変化するので、合金
の組成を変えて水素吸蔵電極の性能の改良が試みられて
いる。
【0004】この水素吸蔵電極を、同じアルカリ電解液
中で作動するカドミウム電極と比較すると、これらの電
極の作動電位はほぼ同じであり、電極の体積当たりの放
電容量は、水素吸蔵電極がカドミウム電極の2−3倍の
大きさになる。したがって、カドミウム電極を用いてい
た従来のアルカリ蓄電池の負極に水素吸蔵電極を用いる
場合には、正極と負極との放電容量の比が一定になるよ
うに、負極の体積を小さくし、正極の体積を大きくする
ことができるので、カドミウム電極を用いる蓄電池と作
動電圧が同じで、しかも、1.5倍以上の放電容量を有
するアルカリ蓄電池が得られる。
【0005】この電池の正極の水酸化ニッケル電極に
は、ニッケル−カドミウム蓄電池に用いられる焼結式ま
たは非焼結式のものが用いられていた。
【0006】焼結式の水酸化ニッケル電極は、カーボニ
ルニッケルなどのを焼結した多孔質の基板に、ニッケル
塩を主体とする溶液を含浸し、アルカリ溶液で中和した
り、その基板をカソードとして電解したり、あるいは基
板を加熱してニッケル塩を熱分解して、水酸化ニッケル
を主活物質をニッケル焼結体の細孔中に充填したもので
ある。
【0007】焼結式の水酸化ニッケル電極は、ニッケル
焼結体の細孔径が、非焼結式ニッケル極の基板に用いら
れる発泡体よりも著しく小さいので、活物質粉末を直接
充填することが困難である。しかも、ニッケル塩の溶液
の単体積に含有されるニッケルの濃度は、所望の充填密
度の水酸化ニッケルの単位体積に含有されるニッケルの
濃度よりも著しく低いので、実用的な活物質充填率の電
極を得るためには、活物質の充填工程を繰り返す必要が
ある。したがって、焼結式の水酸化ニッケル電極は、高
率放電特性にすぐれるが、製造コストが高い。
【0008】非焼結式の水酸化ニッケル電極は、発泡ニ
ッケルやニッケル繊維の焼結体などからなる耐アルカリ
性導電性の3次元多孔体に、水酸化ニッケルを主体とす
る活物質粉末と、金属コバルト、水酸化コバルト、およ
び酸化コバルトとからなる群から選択した少なくとも1
つからなる添加物とを充填したものである。
【0009】この正極は、焼結式の水酸化ニッケル電極
と異なって、ニッケルのネットワークが疎であるので、
電極内の集電性が高くない。そこで、金属コバルト、水
酸化コバルト、および酸化コバルトとからなる群から選
択した少なくとも1つの粉末を添加する方法が用いられ
る。これらの添加物は、正極を充電する際に酸化される
とともに、正極活物質である水酸化ニッケルの放電を容
易にして、正極の活物質利用率を高くするという効果が
大きい。この電極は、生産性に優れるが、高率放電特性
に劣る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ニッケル・金属水素化
物蓄電池に用いられる上記のニッケル極は、例えば1時
間率よりも大きい電流で過充電する場合には、水酸化ニ
ッケルの充電生成物にγ相オキシ水酸化ニッケルと呼ば
れる化合物が生成しやすい。このγ相の化合物は、モル
体積が大きいので、これが生成すると、正極板が膨張し
て、セパレータ中の電解液が吸収されたり、正極板の強
度が低下する。しかも、このγ相は、その結晶の内部に
も、水やカリウムイオンが挿入されるので、電解液がさ
らに吸収されるものと考えられる。
【0011】このようなことが起こると、充放電サイク
ルを繰り返す間にセパレータの電解液が正極に吸収され
て、セパレータ中の電解液量が少なくなり、ニッケル・
金属水素化物蓄電池の内部抵抗が高くなって電池の充放
電が困難になり、電池の充放電サイクル寿命が短くなる
という不都合が発生する。
【0012】水酸化ニッケル電極の性能は、従来はニッ
ケル・カドミウム電池において詳しく調べられてきてお
り、水酸化ニッケル電極のγ相の抑制についても種種の
対策が施されてきた。そこで、従来のニッケル・金属水
素化物蓄電池では、正極のγ相の生成を抑制するため
に、ニッケル・カドミウム蓄電池でおこなわれてきた手
段を採用していた。その手段は、具体的にはニッケルカ
ドミウム電池の場合と同様に、水酸化ニッケルに、カド
ミウムを共沈したり、カドミウムの酸化物や水酸化物を
水酸化ニッケルと別の相として添加する方法である。
【0013】しかし、これらの手段には次のような欠点
がある。
【0014】カドミウムを添加する手段によれば、水酸
化ニッケルのγ相の生成を抑制することができる。カド
ミウムを添加する場合には、酸化カドミウムや水酸化カ
ドミウムを水酸化ニッケルと共沈することなく添加する
手段は、カドミウムを水酸化ニッケルと共沈する手段と
比較して、γ相の生成を抑制する効果が大きい。しか
し、カドミウムは環境汚染の原因物質であるという疑い
がある。そして、ニッケル・金属水素化物蓄電池では、
正極へのカドミウムの添加をおこなわなければカドミウ
ムを含有しない電池が得られるので、正極にカドミウム
を用いないことが望まれている。
【0015】したがって、カドミウムを添加することな
く、充放電サイクルの進行にともなう電池の内部抵抗の
増加を抑制したニッケル・金属水素化物蓄電池が望まれ
ていた。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために、水酸化ニッケルを主活物質とする正極
と、水素吸蔵合金を主体とする負極とを備えるニッケル
−金属水素化物蓄電池において、該水酸化ニッケルが、
共沈された水酸化マグネシウムを含有するか、または、
該水酸化ニッケルの表面に、水酸化マグネシウムを含有
するニッケル−金属水素化物蓄電池を提供する。さら
に、その効果をいっそう大きくするために、前記の水酸
化ニッケルが、水酸化マグネシウムのほかに、共沈され
た水酸化コバルトを含有するニッケル−金属水素化物蓄
電池を提供する。
【0017】
【作用】本発明の手段によれば、カドミウムを添加しな
い場合にもニッケル・金属水素化物蓄電池を充電して、
正極のγ相の生成が効果的に抑制される。その結果、セ
パレータ中の電解液が正極に吸収されることが効果的に
抑制されて、ニッケル・金属水素化物蓄電池の充放電サ
イクル寿命が長くなる。
【0018】なお、本発明の手段で、水酸化ニッケル粉
末に添加されたマグネシウムは、その一部がアルカリ電
解液に溶解する。そして、この水酸化ニッケル電極をカ
ドミウム電極と組み合わせて、ニッケル・カドミウム蓄
電池を構成する場合には、電解液に溶出したマグネシウ
ムがカドミウム電極に移動して、カドミウム電極の充電
が著しく困難になるという不都合が発生する。
【0019】しかし、本発明においては、この水酸化ニ
ッケル電極を水素吸蔵電極と組み合わせてニッケル・金
属水素化物蓄電池を構成するので、負極がカドミウム電
極ではなく、水素吸蔵電極であるから、このような不都
合が起こらない。
【0020】すなわち、本発明を構成する水酸化ニッケ
ル電極は、ニッケル・カドミウム蓄電池の正極に適用し
た場合に不都合が発生するのであるが、本発明のように
ニッケル・金属水素化物蓄電池の正極に適用する場合に
は、そのような不都合を発生することなく、上述のよう
に充放電サイクル寿命が長くなるという作用効果を奏す
るものである。
【0021】
【実施例】
[蓄電池(A1)](本発明実施例) 電池(A1)は、次のように構成した。
【0022】正極は、次のようにして製作した。すなわ
ち、硫酸ニッケルと硫酸マグネシウムとの混合水溶液に
水酸化ナトリウム水溶液を添加して、水酸化ニッケルと
水酸化マグネシウムとの合計に対して5モル%の水酸化
マグネシウムが共沈した水酸化ニッケルの活物質粉末
(ア)を製作した。この活物質粉末95重量部と水酸化コ
バルト粉末5 重量部とを混合し、これに精製水を加えて
混練しペースト状混合物を調製した。次に、多孔度が約
98% で厚さが約0.7mm の発泡状ニッケル多孔体に、この
ペースト状混合物を充填し、乾燥し、加圧し、切断し
て、活物質充填部の厚さが0.55mm、巾が14mm、長さが57
mmの非焼結式水酸化ニッケル電極を得た。
【0023】負極は、次のようにして製作した。すなわ
ち、合金の組成がLmNi3.8 Co0.7 Al0.5 (ここにLmは、
約90重量% のLaを含有する稀土類金属混合物たるランタ
ンリッチミッシュメタルである。)になるように、各成
分元素を真空にした高周波誘導加熱炉で融解し、これを
鋳造して得た鋳塊を粉砕し、平均粒径が約30μm の水素
吸蔵合金粉末を得た。次に、この合金粉末100 重量部、
およびカーボンブラック3 重量部を混合し、これに3 重
量% のポリビニルアルコール水溶液40重量部を加えてペ
ースト状混合物を調製した。そして、鉄板にニッケルメ
ッキを施した厚さが約0.08mmの穿孔鋼板(開口率は約50
% )に、このペースト状混合物(あ)を塗着し、ドクタ
ーブレードで厚さを調節してから、乾燥し、加圧し、切
断して、活物質坦持部の厚さが0.30mm、巾が15mm、長さ
が58mmの水素吸蔵電極を得た。
【0024】電池1個には、上記の正極板4 枚と負極板
5 枚とを、界面活性剤で親水性を賦与した厚さが0.10mm
のポリプロピレン製のセパレータ1枚を介して積層して
用いた。この積層体を、ニッケルメッキを施した厚さが
約0.4mm の鉄製の角形電池ケースに収納し、7Mの水酸化
カリウム水溶液に10g/l の水酸化リチウムを溶解した電
解液を注入し、電極の端子を兼ねる安全弁を備えた金属
製蓋体の周縁部を、この電池ケースの周縁部と溶接し
て、電池を封口した。このようにして、本発明の密閉形
ニッケル−金属水素化物蓄電池を製作した。
【0025】この電池1個の正極には、約3.0gの水酸化
ニッケルおよび約0.167gの水酸化コバルトが充填されて
いる。水酸化ニッケルが1電子反応に従うことを仮定す
ると、この電池1個の正極に含まれる水酸化ニッケルの
理論容量は、約870mAh(=289×3.0)である。
【0026】一方、この電池1個の負極には、約4.6gの
水素吸蔵合金が含有されている。この水素吸蔵合金を充
放電する場合に、水素ガスをほとんど放出することなく
充電される電気量は、この水素吸蔵合金1g当たり約270m
Ahであり、この充電電気量は、ほぼそのまま放電され
る。従って、この電池1個の負極の水素吸蔵合金は、充
電電気量が約1240mAh(=270×4.6)になるまで水素ガスを
発生することなく充電される。 [蓄電池(A2)](本発明実施例) 蓄電池(A1)の正極活物質(ア)の代わりに、水酸化
マグネシウムを共沈しない水酸化ニッケル粉末を硫酸マ
グネシウムの水溶液に浸漬してから、水酸化ナトリウム
の水溶液と反応させて、水酸化ニッケルと水酸化マグネ
シウムとの合計に対して5モル%の水酸化マグネシウム
を、水酸化ニッケル粉末の表面に析出させて、正極活物
質粉末(イ)を製作した。そして、蓄電池(A1)にお
ける正極活物質(ア)の代わりに、正極活物質(イ)を
用い、そのほかの構成は蓄電池(A1)と同じにして、
本発明の密閉形ニッケル−金属水素化物蓄電池(A2)
を製作した。 [蓄電池(A3)](本発明実施例) 蓄電池(A1)の正極添加物(ア)の代わりに、硫酸ニ
ッケル、硫酸マグネシウム、および硫酸コバルトの混合
水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、水酸化マグ
ネシウムおよび水酸化コバルトを共沈して添加した水酸
化ニッケルからなる正極活物質粉末(ウ)を製作した。
この正極活物質(ウ)には、水酸化ニッケル、水酸化マ
グネシウム、および水酸化コバルトとの合計に対して、
水酸化マグネシウムおよび水酸化コバルトが、それぞれ
2.5モル%ずつ含有されている。そして、正極活物質
(ア)の代わりに、正極活物質(ウ)を用い、そのほか
の構成は蓄電池(A1)と同じにして、本発明の密閉形
ニッケル−金属水素化物蓄電池(A3)を製作した。 [蓄電池(A4)](本発明実施例) 蓄電池(A1)の正極添加物(ア)の代わりに、硫酸ニ
ッケルと硫酸コバルトの混合水溶液に水酸化ナトリウム
水溶液を加えて、水酸化コバルトを共沈して添加した水
酸化ニッケルを主体とする粉末を調製した。そして、こ
の水酸化ニッケルを主体とする粉末を、硫酸マグネシウ
ムの水溶液に浸漬してから、水酸化ナトリウム水溶液を
反応させて、水酸化ニッケルを主体とする粉末の表面に
水酸化マグネシウムを析出させて、正極活物質粉末
(エ)を製作した。この正極活物質(エ)には、水酸化
ニッケル、水酸化マグネシウム、および水酸化コバルト
との合計に対して、水酸化マグネシウムおよび水酸化コ
バルトが、それぞれ2.5モル%ずつ含有されている。
そして、正極活物質(ア)の代わりに、正極活物質
(エ)を用い、そのほかの構成は蓄電池(A1)と同じ
にして、本発明の密閉形ニッケル−金属水素化物蓄電池
(A4)を製作した。 [蓄電池(B1)](本発明実施例) 蓄電池(A1)における非焼結式水酸化ニッケル電極の
代わりに、次のような焼結式の水酸化ニッケル電極を製
作した。
【0027】すなわち、多孔度が約82% の焼結ニッケル
基板に、硝酸ニッケルと硝酸マグネシウムとの混合水溶
液を含浸し、乾燥してから、水酸化ナトリウム水溶液に
浸漬して、焼結基板の細孔中に、水酸化ニッケルと水酸
化マグネシウムとを共沈し、湯洗し、乾燥した。この工
程を7回繰り返して、焼結式の水酸化ニッケル電極
(オ)を製作した。この焼結式の水酸化ニッケル電極
(オ)の活物質には、水酸化ニッケルと水酸化マグネシ
ウムとの合計に対して、水酸化マグネシウムが5モル%
含有されていた。この焼結式水酸化ニッケル電極は、蓄
電池(A1)に用いた非焼結式水酸化ニッケル電極と同
じ寸法にして、同じ活物質坦持量にした。
【0028】そして、蓄電池(A1)における非焼結式
水酸化ニッケル電極の代わりに、焼結式水酸化ニッケル
電極(オ)を用い、そのほかの構成は蓄電池(A1)と
同じにして、本発明の密閉形ニッケル−金属水素化物蓄
電池(B1)を製作した。 [蓄電池(B2)](本発明実施例) 蓄電池(B1)の焼結式水酸化ニッケル電極(オ)の代
わりに、硝酸マグネシウムを含有しない含浸液を用いて
水酸化ニッケルを焼結基板に充填し、その後に、この基
板を、硝酸マグネシウムの水溶液に浸漬してから乾燥
し、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、水酸化ニッケ
ルの表面に水酸化マグネシウムを析出させた。そののち
に、この焼結基板を湯洗し、乾燥して、焼結式水酸化ニ
ッケル電極(カ)を得た。この焼結式水酸化ニッケル電
極(カ)の活物質には、水酸化ニッケルと水酸化マグネ
シウムとの合計に対して、水酸化マグネシウムが5モル
%含有されていた。この焼結式水酸化ニッケル電極は、
蓄電池(A1)に用いた非焼結式水酸化ニッケル電極と
同じ寸法にして、同じ活物質坦持量にした。
【0029】そして、蓄電池(B1)における焼結式水
酸化ニッケル電極(オ)の代わりに、焼結式水酸化ニッ
ケル電極(カ)を用い、そのほかの構成は蓄電池(A
1)と同じにして、本発明の密閉形ニッケル−金属水素
化物蓄電池(B2)を製作した。 [蓄電池(B3)](本発明実施例) 蓄電池(B1)の焼結式水酸化ニッケル電極(オ)の代
わりに、硝酸ニッケル、硝酸マグネシウムおよび硝酸コ
バルトを含有する含浸液を用いて水酸化マグネシウムお
よび水酸化コバルトを共沈した水酸化ニッケルを焼結基
板に充填して、焼結式水酸化ニッケル電極(キ)を得
た。この焼結式水酸化ニッケル電極(キ)の活物質に
は、水酸化ニッケル、水酸化マグネシウム、および水酸
化コバルトの合計に対して、水酸化マグネシウムおよび
水酸化コバルトがそれぞれ2.5モル%ずつ含有されて
いた。この焼結式水酸化ニッケル電極は、蓄電池(A
1)に用いた非焼結式水酸化ニッケル電極と同じ寸法に
して、同じ活物質坦持量にした。
【0030】そして、蓄電池(A1)における非焼結式
水酸化ニッケル電極の代わりに、焼結式水酸化ニッケル
電極(キ)を用い、そのほかの構成は蓄電池(A1)と
同じにして、本発明の密閉形ニッケル−金属水素化物蓄
電池(B3)を製作した。 [蓄電池(B4)](本発明実施例) 蓄電池(B1)の焼結式水酸化ニッケル電極(オ)の代
わりに、硝酸コバルトを含有する含浸液を用いて水酸化
コバルトを共沈した水酸化ニッケルを焼結基板に充填し
た。次に、硝酸マグネシウム水溶液をこの焼結基板に含
浸してから乾燥し、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し
て、水酸化ニッケルを主体とする沈澱物の表面に水酸化
マグネシウムを析出させ、そののちに、湯洗し、乾燥し
て焼結式水酸化ニッケル電極(ケ)を得た。この焼結式
水酸化ニッケル電極(ケ)の活物質には、水酸化ニッケ
ル、水酸化マグネシウム、および水酸化コバルトの合計
に対して、水酸化マグネシウムおよび水酸化コバルトが
それぞれ2.5モル%ずつ含有されていた。この焼結式
水酸化ニッケル電極は、蓄電池(A1)に用いた非焼結
式水酸化ニッケル電極と同じ寸法にして、同じ活物質坦
持量にした。
【0031】そして、蓄電池(A1)における非焼結式
水酸化ニッケル電極の代わりに、焼結式水酸化ニッケル
電極(ケ)を用い、そのほかの構成は蓄電池(A1)と
同じにして、本発明の密閉形ニッケル−金属水素化物蓄
電池(B4)を製作した。 [蓄電池(C1)](比較例) 蓄電池(A1)の正極活物質に水酸化カルシウムを共沈
することなく、そのほかの構成は蓄電池(A1)と同じ
にして、比較例の密閉形ニッケル−金属水素化物蓄電池
(C1)を製作した。 [蓄電池(C2)](比較例) 蓄電池(A3)の正極活物質に水酸化マグネシウムを共
沈することなく、そのほかの構成は蓄電池(A3)と同
じにして、比較例の密閉形ニッケル−金属水素化物蓄電
池(C2)を製作した。 [蓄電池(D1)](比較例) 蓄電池(B1)の正極活物質に水酸化カルシウムを共沈
することなく、そのほかの構成は蓄電池(B1)と同じ
にして、比較例の密閉形ニッケル−金属水素化物蓄電池
(D1)を製作した。 [蓄電池(D2)](比較例) 蓄電池(B3)の正極活物質に水酸化マグネシウムを共
沈することなく、そのほかの構成は蓄電池(B3)と同
じにして、比較例の密閉形ニッケル−金属水素化物蓄電
池(D2)を製作した。 [蓄電池(E1)](比較例) 蓄電池(A1)の負極たる水素吸蔵電極を備えることな
く、その代わりに、次のカドミウム負極(チ)を用い
た。そして、この電池では、蓄電池(A1)と比較し
て、負極板の厚さの増加分だけ電池の厚さを大きくし
た。そのほかの構成は蓄電池(A1)と同じにして、比
較例の密閉形ニッケル−カドミウム蓄電池(E1)を製
作した。
【0032】この電池の負極(チ)は、次のようにして
製作した。すなわち、酸化カドミウム粉末100 重量部、
および金属カドミウム粉末30重量部を混合し、これに3
重量% のポリビニルアルコール水溶液40重量部を加えて
ペースト状混合物を調製した。そして、鉄板にニッケル
メッキを施した厚さが約0.08mmの穿孔鋼板(開口率は約
50% )に、このペースト状混合物を塗着し、ドクターブ
レードで厚さを調節してから、乾燥し、加圧し、切断し
て、活物質坦持部の厚さが0.6mm 、巾が15mm、長さが0.
58mmのカドミウム電極を得た。カドミウム電極では、充
電生成物である金属カドミウムのうちで、放電が困難に
なる量が水素吸蔵電極と比較して著しく大きいので、電
池の放電を正極で制限するように、充電生成物として作
用する金属カドミウム粉末をあらかじめ供えさせてい
る。
【0033】この電池1個の負極には、約3.1gの酸化カ
ドミウムおよび約0.93g(理論容量:約440mAh) の金属カ
ドミウムが含有されている。 [蓄電池(E2)](比較例) 蓄電池(A2)の負極の水素吸蔵電極代わりに、カドミ
ウム負極(チ)を用い、負極の厚さの増加分だけ電池の
厚さを大きくすることのほかの構成は蓄電池(A2)と
同じにして、比較例の密閉形ニッケル−カドミウム蓄電
池(E2)を製作した。 [蓄電池(E3)](比較例) 蓄電池(A3)の負極の水素吸蔵電極代わりに、カドミ
ウム負極(チ)を用い、負極の厚さの増加分だけ電池の
厚さを大きくすることのほかの構成は蓄電池(A3)と
同じにして、比較例の密閉形ニッケル−カドミウム蓄電
池(E3)を製作した。 [蓄電池(E4)](比較例) 蓄電池(A4)の負極の水素吸蔵電極代わりに、カドミ
ウム負極(チ)を用い、負極の厚さの増加分だけ電池の
厚さを大きくすることのほかの構成は蓄電池(A4)と
同じにして、比較例の密閉形ニッケル−カドミウム蓄電
池(E4)を製作した。 [蓄電池(F1)](比較例) 蓄電池(B1)の負極の水素吸蔵電極代わりに、カドミ
ウム負極(チ)を用い、負極の厚さの増加分だけ電池の
厚さを大きくすることのほかの構成は蓄電池(B1)と
同じにして、比較例の密閉形ニッケル−カドミウム蓄電
池(F1)を製作した。 [蓄電池(F2)](比較例) 蓄電池(B2)の負極の水素吸蔵電極代わりに、カドミ
ウム負極(チ)を用い、負極の厚さの増加分だけ電池の
厚さを大きくすることのほかの構成は蓄電池(B2)と
同じにして、比較例の密閉形ニッケル−カドミウム蓄電
池(F2)を製作した。 [蓄電池(F3)](比較例) 蓄電池(B3)の負極の水素吸蔵電極代わりに、カドミ
ウム負極(チ)を用い、負極の厚さの増加分だけ電池の
厚さを大きくすることのほかの構成は蓄電池(B3)と
同じにして、比較例の密閉形ニッケル−カドミウム蓄電
池(F3)を製作した。 [蓄電池(F4)](比較例) 蓄電池(B4)の負極の水素吸蔵電極代わりに、カドミ
ウム負極(チ)を用い、負極の厚さの増加分だけ電池の
厚さを大きくすることのほかの構成は蓄電池(B4)と
同じにして、比較例の密閉形ニッケル−カドミウム蓄電
池(F4)を製作した。 [実験]以上に述べた20種類の蓄電池の化成のため
に、充放電サイクルの前に、次の条件で2回の充放電を
おこなった。
【0034】充電:電流80mAで16時間通電し、1
時間放置する。
【0035】放電:電流160mAで端子電圧1.0V
まで放電し、1時間放置する。
【0036】これらの蓄電池の充放電サイクル寿命試験
を、次の条件でおこなった。電池の充放電は、20℃で
おこなった。
【0037】充電:電流800mAで1.2時間通電
し、30分間放置する。
【0038】放電:電流800mAで端子電圧1.0V
まで通電し、30分間放置する。
【0039】この試験の間の電池の内部抵抗を、1KH
zの交流法で測定し、その値が、初期の化成の充放電の
後の内部抵抗の値の5倍に到達するまでの充放電サイク
ル数を、その電池の充放電サイクル寿命と判定した。ま
た、電池の安全弁を観察して、充電中の電解液の漏出を
観察した。
【0040】この試験における上記の電池の充放電サイ
クル寿命、および電解液の漏出の有無を表1に示す。
【0041】
【表1】 表1から次のことがわかる。
【0042】すなわち、比較例のニッケル−カドミウム
蓄電池(E1)、(E2)、(E3)、(E4)、(F
1)、(F2)、(F3)、および(F4)は、電解液
の漏出が起こって、電池の内部抵抗が増加し、充放電サ
イクル寿命が著しく短くなっている。これは、正極に添
加されているマグネシウムが負極に移動してカドミウム
の充電反応が阻害され、電池の充電の途中で水素ガスが
負極から多量に発生し、その結果、電池の内圧が著しく
増加し、安全弁が開いて電解液が溢出し、電池の内部抵
抗が増加したものである。
【0043】正極にマグネシウムを備えていない比較例
の密閉形のニッケル−金属水素化物蓄電池(C1)、
(C2)、(D1)、および(D2)では、密閉形ニッ
ケル−カドミウム蓄電池のような内部短絡や電解液の漏
出は起こっていないものの、内部抵抗の増加を伴うの
で、充放電サイクル寿命は約600サイクル程度であ
る。
【0044】一方、本発明の密閉形ニッケル−金属水素
化物蓄電池(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、
(B1)、(B2)、(B3)、および(B4)は、い
ずれも電池の内部短絡や電解液の漏出を引き起こすこと
なく、800サイクル以上の充放電をおこなっても内部
抵抗の増加を伴わない。これは、マグネシウムを正極活
物質に共沈することや、正極活物質の表面に析出させる
構成によって、正極におけるγ相の生成が効果的に抑制
されたことに起因する。
【0045】また、本発明のニッケル−金属水素化物蓄
電池を比較すると、次のことがわかる。
【0046】すなわち、充放電サイクル寿命は、(A
2)が(A1)よりも長く、(A4)は(A3)よりも
長く、(B2)は(B1)よりも長く(B4)は(B
3)よりも長い。従って、水酸化ニッケルに水酸化コバ
ルトを共沈させる場合とさせない場合のいずれにおいて
も、水酸化マグネシウムは、水酸化ニッケルに共沈する
よりも、水酸化ニッケルの表面に析出させるほうが、ニ
ッケル−金属水素化物蓄電池の充放電サイクル寿命が長
くなる効果があるといえる。
【0047】また、充放電サイクル寿命は、(A3)が
(A1)よりも長く、(A4)は(A2)よりも長く、
(B3)は(B1)よりも長く(B4)は(B2)より
も長い。従って、水酸化マグネシウムを、水酸化ニッケ
ルに共沈する場合と、水酸化ニッケルの表面に析出させ
る場合のいずれにおいても、水酸化コバルトを水酸化ニ
ッケルに共沈するほうが、ニッケル−金属水素化物蓄電
池の充放電サイクル寿命が長くなる効果があるといえ
る。
【0048】なお、上記の実施例では、正極に添加する
水酸化マグネシウムと水酸化コバルトとの合計の量が、
水酸化ニッケルと水酸化マグネシウムと水酸化コバルト
との合計に対して、5モル%に固定した場合について説
明したが、本発明の作用効果は、このような特定の添加
率の場合に限定して奏するのではなく、0.5 モル%以上
であれば実質的な作用効果が得られる。ただし、その添
加率が高くなりすぎると、活物質の含有率が低下するの
で、正極の体積当たりの放電容量が低下する。従って、
これらの添加物の添加率の上限は、当業者の設計上の理
由によって変動するものである。実質的には、水酸化ニ
ッケルと水酸化マグネシウムと水酸化コバルトとの合計
に対して、20モル%以下の範囲で添加することが望ま
しい。
【0049】また、上記の実施例では、水酸化マグネシ
ウムおよび水酸化コバルトをともに添加する場合に、特
定の比率で添加して用いた場合について説明したが、こ
のような特定の混合比率だけではなく、設計上の要請に
応じての混合比率を適宜変更して用いることができる。
【0050】さらに、上記の実施例では、非焼結式水酸
化ニッケル電極を正極に用いる場合に、その耐アルカリ
性導電性支持体として、発泡状ニッケル多孔体を用いる
場合について説明したが、そのほかに、ニッケル繊維の
焼結体、パンチングメタル、エキスパンデッドメタル、
金属網などを用いる場合にも、同様の作用効果を奏す
る。
【0051】また、上記の実施例では、負極の水素吸蔵
合金として特定の組成の稀土類系合金を用いる場合につ
いて説明したが、そのほかに、稀土類元素の配合比の異
なる合金、稀土類元素以外の金属元素の種類や配合比の
異なる合金、稀土類元素に少量のZr,Ti,Hfなどを添加し
た合金、ZrNi2 に近い化学量論比であってZrやNiを部分
的にほかの金属で置換した合金、TiNi合金やその一部を
異種金属で置換した合金などを用いる場合にも同様の作
用効果を奏する。
【0052】そして、上記の実施例では、負極の水素吸
蔵電極としてプラスチック結合電極を用いる場合につい
て説明したが、そのほかに、水素吸蔵合金を発泡状ニッ
ケル多孔体のような耐アルカリ性導電性多孔体に充填し
た電極や、水素吸蔵合金の焼結体からなる電極を用いる
場合にも同様の作用効果を奏する。
【0053】さらに、上記の実施例では、矩形状の電極
を積層してなる外形が角形のニッケル−金属水素化物蓄
電池の場合について説明したが、そのほかに、帯状の電
極を捲回してなる外形が円筒状のものや、円板状の電極
を積層してなる外形が円筒状のものなど、形状が異なる
場合にも同様の作用効果を奏するものである。
【0054】また、上記の実施例では、密閉形の電池に
ついて説明したが、液量が多い開放形の電池の場合に
も、本発明の構成によれば充放電サイクルの進行にとも
なう正極の厚さの増加が抑制されるので、電池の厚さの
増加が抑制されるという作用効果を奏する。
【0055】そして、上記の実施例では、非焼結式の水
酸化ニッケル電極を正極に用いる場合に、水酸化ニッケ
ルの粉末のほかに水酸化コバルトを添加する場合につい
て説明したが、そのほかに、酸化コバルトや金属コバル
トを単独で添加する場合や、水酸化コバルト、酸化コバ
ルト、及び金属コバルトの群から選択した2つ以上を用
いる場合にも同様の作用効果を奏する。ただし、金属コ
バルトを用いる場合には、コバルトを3価に酸化するた
めに必要な電気量が多くなるので、充電末期における負
極からの水素発生を防止するために、水酸化コバルトや
酸化コバルトを用いる場合と比較して、余分の水素吸蔵
合金を負極に用いる必要がある。
【0056】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の手段を採
用することにより、正極にカドミウムを用いることな
く、充放電サイクルの進行にともなう電池の内部抵抗の
増加を抑制して充放電サイクル寿命が長いニッケル−金
属水素化物蓄電池が得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸化ニッケルを主活物質とする正極と、
    水素吸蔵合金を主体とする負極とを備えるニッケル−金
    属水素化物蓄電池において、 該水酸化ニッケルが、共沈された水酸化マグネシウムを
    含有することを特徴とするニッケル−金属水素化物蓄電
    池。
  2. 【請求項2】水酸化ニッケルを主活物質とする正極と、
    水素吸蔵合金を主体とする負極とを備えるニッケル−金
    属水素化物蓄電池において、 該水酸化ニッケルの表面に、水酸化マグネシウムを含有
    することを特徴とするニッケル−金属水素化物蓄電池。
  3. 【請求項3】前記の水酸化ニッケルが、水酸化マグネシ
    ウムのほかに、共沈された水酸化コバルトを含有するこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載のニッケ
    ル−金属水素化物蓄電池。
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