JPH05101377A - 磁気記録媒体および磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録装置

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JPH05101377A
JPH05101377A JP25676791A JP25676791A JPH05101377A JP H05101377 A JPH05101377 A JP H05101377A JP 25676791 A JP25676791 A JP 25676791A JP 25676791 A JP25676791 A JP 25676791A JP H05101377 A JPH05101377 A JP H05101377A
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magnetic
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JP25676791A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Sugimoto
博幸 杉本
Kenichi Gomi
憲一 五味
Hideaki Tanaka
秀明 田中
Shoichi Sawahata
昇一 沢畠
Toshinori Hirano
利則 平野
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、磁気ヘッドに対する耐摺動
性に優れ、ヘッド−磁性膜間の間隔をより小さくでき、
高密度記録に最適な磁気記録媒体、並びに、本磁気記録
媒体を用いた、高記録密度の磁気記録装置を提供するこ
とにある。 【構成】 非磁性の基体と、前記基体上に磁性膜と、保
護膜と、潤滑剤層とを順に有する磁気記録媒体におい
て、前記保護膜は、その少なくとも表面部に、元素周期
表IIIa族の金属元素を有することを特徴とする磁気記
録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録装置、及び磁気
記録装置に用いられる磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータシステムの外部記憶
装置としての磁気記憶装置の重要度は益々高まり、その
記録密度は年々著しい向上が図られている。磁気記憶装
置には、磁気ディスク(ハードディスク)装置、フロッ
ピーディスク装置、磁気テープ装置等の種類がある。こ
れらは、記録媒体の種類やヘッドの形状、駆動機構が異
なるが、移動する磁性層薄膜に磁気ヘッドにより情報を
磁化情報として書き込むという点で同一の原理を用いる
ものである。使用用途によりユーザは、各装置の記録再
生速度、記憶容量、コスト等を勘案して、最適なもの、
あるいは最適な組合せが選択して用いる。また、これら
の装置は、記録媒体とヘッドが相対運動するという点で
共通であるので、摺動現象という点は、共通に議論する
ことができる。従って、以下、磁気ディスク(ハードデ
ィスク)装置の従来技術について述べるが、この技術
は、その他の磁気記録装置においても適用可能である。
【0003】磁気デイスク(ハードディスク)装置(以
下、単に磁気ディスク装置と称する)は、円板状の基板
に磁性層を形成した記録媒体(以下、単にディスクと称
する)と、ディスク駆動機構と、特殊な形状の摺動子
(以下、スライダーと称する)に記録再生素子等を搭載
した磁気ヘッドと、磁気ヘッドの駆動機構と、これらの
駆動機構や信号の制御回路などを、主たる構成要素とし
て有している。
【0004】上述の磁気ディスクとしては、従来磁性粉
とバインダーを混練した磁性塗料を基板上に塗布した塗
布型媒体が主に用いられてきたが、近年、記録層として
連続した磁性薄膜を形成した薄膜磁気記録媒体が、高密
度記録媒体として注目されている。薄膜磁気記録媒体の
一般的な構造を、簡単に説明する。基板はアルミニウム
合金円板と、その上に形成された、例えばNiPなどの
下地層よりなる。基板としてアルミニウム合金の代りに
ガラスやセラミクス等硬度の高い円板材料を用いること
も可能であり、その場合には下地層が省略されることも
ある。基板の上には磁性層が形成される。基板と磁性層
の間には、密着性向上や磁性層の特性向上を目的とし
て、例えばCr等よりなる中間層が形成される場合もあ
る。磁性層の上には、磁性層を保護するための保護膜、
さらには必要に応じて磁気ヘッド対する摺動性を向上さ
せるための潤滑剤層が形成される。
【0005】一方、磁気ヘッドとしては、一般には2本
のレールを有するそり状のスライダーに記録再生素子を
搭載したものが用いられている。スライダー材料として
は、マンガン亜鉛フェライト、アルミナ/チタンカーバ
イド複合材料、ジルコニア系複合材料等が多く用いられ
る。記録再生素子としては、通常は、記録素子、再生素
子兼用のコイルが用いられるが、記録素子、再生素子を
分離した、記録再生分離型ヘッドが用いられる場合もあ
る。再生素子としては、例えば磁気抵抗効果を用いた磁
気抵抗効果型磁気ヘッドがある。また、スライダーのレ
ールはディスクの回転で発生する空気流により揚力が働
くような形状となっている。その底面は通常極めて平滑
に研磨されているが、極くわずかに曲がりをつける場合
もある。この磁気ヘッドは、ジンバルと呼ばれる腕状の
バネでディスク面に押しつけられている。
【0006】磁気ディスク装置は、運転時に、磁気ディ
スクを高速で回転駆動する。磁気ヘッドは、磁気ディス
クの回転に伴う空気流とスライダーの形状効果でディス
ク面よりわずかに浮上する。これによって磁気ヘッドと
磁気ディスクは、非接触状態となり、摩耗による損傷の
無い状態で、磁気ディスクへの情報の読み書きが可能と
なる。この時の浮上量はスライダーの形状設計により制
御できる。非接触状態で動作することが、本磁気ディス
ク装置の高信頼性の裏付けとなっている。
【0007】一方、ヘッドを浮上に至らしめる方式とし
ては、装置停止時には、ヘッドと磁気記録媒体を接触状
態とし、ディスクを回転させることによりヘッドを徐々
に浮上させるコンタクト・スタート・ストップ方式(以
下CSS方式と称する)や、装置停止時にヘッドを非接
触状態で保持しておき、装置起動後ヘッドをディスク面
に非接触状態のまま引き降ろす、ロード/アンドード方
式などがある。
【0008】CSS方式においては起動及び停止時にヘ
ッドはディスク面を摺動する。また、運転時においても
なんらかの外乱や、塵埃の侵入により両者の接触が起こ
る可能性がある。ロード/アンドード方式においては起
動停止時の摺動は起こらないが、ヘッドの引き上げ、引
き降ろし時に接触する可能性が高い。また、運転時の外
乱や塵埃の侵入等による接触はこの場合も同様である。
いずれの場合においても、ヘッド−ディスク間のなんら
かの接触は避けられない。
【0009】この磁気ディスク装置は重要な情報の保存
に用いられており、信頼性の維持が極めて重要な課題で
ある。このためにはディスクの摩耗による磁性層の損傷
を絶対に避けねばならない。一方、磁気記録装置の高記
録密度化を図るためには、記録媒体の磁性層と磁気ヘッ
ドの記録再生素子とを、より接近させることが必要であ
り、この場合ヘッドとディスクの接触によるディスク損
傷の可能性は一層大きくなる。
【0010】ディスクの磁性膜上に保護膜、及び潤滑剤
層が形成される最大の目的は上記のような摺動、接触に
よるディスクの損傷を防ぐことにある。この保護膜とし
ては、炭素系材料、金属、金属化合物(酸化物、窒化
物、炭化物、ホウ化物)等、各種の材料が提案されてい
る。金属酸化物に限って見ても、Ni,Cr酸化(特開
昭55−25821)、Si酸化物(特開昭55−64
636)、Fe酸化物(特開昭57−138054)、
Bi酸化物(特開昭60−171623)、Mg−Ti
酸化物(特開昭60−224122)、Al酸化物(6
0−242515)、Zr酸化物(特開昭61−115
230)等多数の材料が知られている。さらに、磁気ヘ
ッドとの接触時の摺動性を向上させるために保護膜上に
塗布される潤滑剤層としては、例えばパ−フロロアルキ
ルエ−テル系の潤滑剤(特開昭61−104318号公
報、IEEE.Trans.Magnetics,MA
G23,No.1(1987)pp33−35)等が提
案されている。
【0011】今後の磁気ディスク装置においては、いか
にして記録密度を向上させるかが大きな技術課題であ
る。そのために記録媒体、ヘッド等各々の要素の改良が
進められている。この中で、ヘッド−磁性膜間の間隔
は、記録密度を決める極めて重要な要素であり、記録密
度の向上のためには、ヘッド−磁性膜間の間隔を小さく
する必要がある。このため、保護膜の厚さを薄くすると
ともに、ヘッド−ディスク間のスペーシングの狭隘化が
図られている。近い将来保護膜の厚さは20nm以下、
ヘッド−ディスク間のスペーシングは0.1μm以下に
までなるものと予想されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術において
は、保護膜材料として種々のものが提案されているが、
現在最も一般的に使用されているのはスパッタリング法
で形成した、膜厚30nmないし50nmのカーボン膜
である。さらに、通常この上に2〜10nmの厚さの、
例えばパーフロロアルキルエーテル系の潤滑剤が塗布さ
れている。しかし、このカーボン膜の膜厚をさらに薄く
し、かつ記録再生時の磁気ヘッドと磁性層の間のスペ−
シングをさらに小さくした場合、また、磁気記録媒体の
回転数をより大きくした場合には、磁気ヘッドに対する
耐摺動、耐摩耗性は不十分である。
【0013】本発明は磁気ヘッドに対する耐摺動性に優
れ、ヘッド−磁性膜間の間隔をより小さくできる磁気記
録媒体を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、非磁性
の基体と、前記基体上に磁性膜と、保護膜と、潤滑剤層
とを順に有する磁気記録媒体において、前記保護膜は、
その少なくとも表面部に、元素周期表IIIa族の金属元
素を有することを特徴とする磁気記録媒体が提供され
る。
【0015】前記金属元素は、YおよびLa系のうち少
なくとも1種類の金属元素であることができる。
【0016】本発明の別の態様によれば、非磁性の基体
と、前記基体上に磁性膜と、保護膜と、潤滑剤層とを順
に有する磁気記録媒体において、前記保護膜の表面部
が、電気陰性度1.2以下の金属元素の酸化物、窒化物
および炭化物のいずれかまたはこれらを組合せたものを
有することを特徴とする磁気記録媒体が提供される。
【0017】前記金属元素は、Mg、YおよびLa系の
うち少なくとも1種類であることができる。
【0018】
【作用】従来保護膜は、各種材料の摺動試験結果より選
定されており、潤滑剤の保持力を向上させるという観点
からの保護膜の選定はほとんどなされていなかった。そ
こで、本発明は、保護膜表面の少なくとも一部に電気陰
性度の小さい元素の化合物を露出させることによりその
表面を電子求引性とし、電子供与性の官能基を有する潤
滑剤の化合物を保持しようとするものである。保護膜表
面及び潤滑剤官能基間の酸−塩基反応により、潤滑剤が
保護膜表面に強固に保持される。潤滑剤が保護膜表面に
強固に保持されることにより、ディスク−ヘッドの接触
による潤滑剤のかきとりが大きく減少し、ディスクの耐
摺動性が向上する。
【0019】発明者らは、保護膜の表面にIIIa族また
はPaulingの電気陰性度が1.2以下の金属元素
によって、その上部の潤滑剤、好ましくは電子供与性官
能基を有する潤滑剤を、保持する力が向上することを見
出したものである。
【0020】電気陰性度が1.2以下の金属元素として
は、例えば、Li,Na,K,Rb,Cs等のアルカリ
金属、Mg,Ca,Sr,Ba等のアルカリ土類金属、
Y、及び希土類金属がある。これらの元素の保護膜最表
面での存在形態として、酸化物、窒化物、炭化物があ
り、このような形態であっても潤滑剤を保持する力が向
上する。また、最外表面が水酸化物になっていても差し
支えない。さらに他の元素との複合酸化物でも良く、ま
たアモルファス状態であっても良い。但し、空気中の水
分と直ちに反応するようなアルカリ金属酸化物の単独使
用は好ましくない。このような元素が単一種、あるいは
複数種で、保護膜表面層中に存在することが望ましい。
【0021】保護膜表面とは実質的に分析可能な表面を
意味するものである。例えば保護膜最表面の水分や炭化
水素によるコンタミネーション層を、イオンエッチング
で取り除いた後に現われる面をオージェ電子分光分析法
等で分析することにより、上記金属元素の存在を明らか
にすることが出来る。また、このような保護膜の表面は
pH12以上の強塩基性となる。
【0022】本発明は、保護膜表面に存在する金属元素
に特徴を有するものであり、保護膜全体の組成を問題と
するものではない。保護膜自体は当然連続でかつ靱性等
の機械的強度が大きいものであることが望ましい。本発
明は、これに加えてさらに表面の組成が前記の物である
場合、潤滑剤の保持力が増し、耐摺動、摩耗性が大幅に
向上することを開示するものである。従って、保護膜が
多層、あるいは連続的に組成が変化するものであっても
良く、その表面に前記金属元素が存在すれば良い。
【0023】また上記保護膜上に塗布する潤滑剤として
は、電子供与性の官能基を有する有機物質が好ましい。
電子供与性の官能基としては、例えば、エーテル基、カ
ルボニル基、エステル基、アルコール基、フェノール基
等が考えられるが、とくにこれらに限定されるものでは
ない。また、潤滑剤の主鎖部分はパーフロロアルキルエ
ーテル系の材料が一般に多く用いられるが、特にこれに
ついても限定されるものではない。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。
【0025】本発明の第1の実施例の磁気記録媒体を図
1を用いて説明する。本実施例の磁気記録媒体は、図1
のように、円板上の基体即ち基板1上に、下地膜2、中
間膜3、磁性膜4、保護膜5、潤滑剤層を順に備えた膜
構成を有するものである。以下に、形成方法を説明す
る。基板1として、外径130mm、厚さ1.9mmの
アルミニウム合金の円板を用いて、この表面に無電解め
っき法によりNi−P下地膜2を15μm形成した。該
下地膜2を10μmまで研磨して、触針式表面粗さ計で
測定した平均粗さ(Ra)が5nm以下、最大粗さ(R
max)が10nm以下になるように鏡面加工した。こ
の下地膜2を形成した基板1の表面を、通常の研磨テー
プと砥粒を用いてテクスチャー加工した。
【0026】この上に、中間膜3としてCr膜を、スパ
ッタ装置内の試料室を2×10 7Torr以下に排気した
後、Arガスを導入して10 2Torrで、DCマグネトロ
ン法により、基板温度150℃で0.4μm形成した。
さらに、上記Cr膜3上に磁性膜4を、Co0.55Ni0.
4Cr0.05合金タ−ゲットを用いて、基板温度200℃
で0.05μmを形成した。
【0027】磁性膜4上に、保護膜5を、基板温度20
0℃、反応室内圧力10 3TorrでDCマグネトロンスパ
ッタ法により形成した。本実施例においては、保護膜5
として、厚さ20nmの、MgO膜、Y23膜およびL
23膜と、厚さ20nmのMgO−Y23混合膜、厚
さ15nmのTa25膜上に厚さ5nmのY23膜を重
ねた積層膜、及び、厚さ15nmのC膜上に厚さ5nm
のMgO膜を重ねた積層膜について検討した。
【0028】上記保護膜5上に環状エーテル基を末端に
有するパーフロロアルキルエーテル系の液体潤滑剤をス
ピンコート法で塗布し、次いで常温でフッ素系溶剤に浸
漬、引上げ操作を行い、潤滑剤層6を形成した。潤滑剤
僧6の厚さは、FT−IRにより測定した。この結果の
一部を表1中に示す。
【0029】
【表1】
【0030】その結果、本発明の保護膜5への潤滑剤付
着量は酸化物保護膜として公知であるSiO2、ZrO2
−Y23、MgTiO3を保護膜としたディスクと同等
であり、C膜に比べて2〜5倍も多いことがわかった。
さらに潤滑剤層6の付着強度を明らかにするために、作
製した磁気記録媒体をフッ素系溶剤で60℃で洗浄し、
この操作後の潤滑剤残存量を測定した。その結果、本発
明に示した構成のディスクにおいては、カーボンを保護
膜とするディスク、及び、酸化物保護膜として公知であ
るSiO2、ZrO2−Y23、MgTiO3を保護膜と
したディスクに比べて残存量が多かった。この結果は、
本発明の構成の保護膜においては、潤滑剤がより強固に
付着していることを示すものである。
【0031】次に、上記ディスクの摺動耐久性を明らか
にするため、ピンオンディスク型の連続摺動耐久試験を
行った。ディスク試料としては、潤滑剤塗布後、常温で
フッ素系溶剤への浸漬処理を行ったものを使用した。先
端表面を半径50mmの球面状に研磨加工したAl23
製の摺動子を荷重10gfで磁気ディスク面に押しつ
け、周速が10m/sとなるような回転数でディスクを
回転させて、ディスク摺動面が破壊されるに至るまでの
回転数を測定した。この結果、SiO2、ZrO2−Y2
3、MgTiO3を保護膜としたディスクでは、10,
000〜20,000回転で破壊に至ったのに対し、本
発明の保護膜、及びC保護膜付きディスクは、100,
000回転の後にも破壊には至らなかった。
【0032】さらに、100,000回転後に破壊に至
らなかったディスクについて摺動部を目視観察したとこ
ろ、C保護膜付きディスクでは摺動痕が明確に判別でき
たのに対し、本発明の保護膜では、摺動痕は判別でき
ず、耐摺動性がより優れていることが判った。
【0033】また同様に潤滑剤としてエステル基を有す
るパーフロロアルキルエーテル系潤滑剤を塗布したもの
についても検討し、同等の結果を得た。
【0034】以上のように、本実施例の保護膜5を用い
た場合、潤滑剤層6の保持力が向上するため、従来の保
護膜を用いた磁気記録媒体より、摺動性が優れている。
【0035】次に本発明の第2の実施例として、上記磁
気記録ディスクを用いて磁気ディスク装置を作製した。
図2に磁気ディスク装置100の概略を示す。磁気ディ
スク装置100は、図2に示すように、ベース7と、ス
ピンドル8を備えている。一つのスピンドル8に図2の
ように複数枚の円板状の磁気ディスク10が取付けられ
る。図2では一つのスピンドルに5枚の磁気ディスク1
0を設けた例が示されているが、5枚に限定されること
はない。また、このように一つのスピンドル8に複数枚
の磁気ディスク10を設けたものを複数個設置してもよ
い。モータ9は、スピンドル8を駆動し、磁気ディスク
を回転する磁気ディスク回転制御手段である。
【0036】キャリジ13、ボイスコイル14、マグネ
ット15は、磁気ヘッド位置決め機構を構成する。ボイ
スコイル14は、マグネット15によりボイスコイルモ
ータとして機能する。ボイスコイル14は、ボイスコイ
ルモータ制御回路19により制御される。ボイスコイル
14と位置決め用磁気ヘッド12及びキャリジ13と
は、ボイスコイルモータ制御回路19を介して接続され
ている。データ用磁気ヘッド11は、磁気ヘッド位置決
め機構により位置決めされ、磁気ディスク10に記録さ
れた情報を読み取る。読み取られた情報は、リードライ
ト電子回路部16およびインタフェース17を介し、上
位装置18により処理される。図2において、上位装置
18とは例えばコンピュータシステムを示し、磁気ディ
スク10に、読み書きする情報を処理する機能を有する
ものである。
【0037】表1に示した保護膜5を有するディスクを
用い、上記の磁気記録装置100により、磁気ヘッドの
浮上量0.12μm,磁気記録媒体の回転速度3600
rpmで、1,000回のCSS試験回数を繰り返し
た。いずれの保護膜5を有するディスクも記録面の破壊
には至らなかったが、1,000回のCSS試験後のデ
ィスクの摩擦力に差がみられた。即ち、本発明の実施例
である保護膜を有するディスクの摩擦係数が0.5以下
であったのに対し、比較例であるカ−ボン膜を保護膜と
する磁気記録媒体の摩擦係数は0.5を超えた。これよ
り、本発明の保護膜は比較例に比べて耐摺動性に優れて
いることが判明した。また、これらの場合、いずれの磁
気記録媒体でも試験後に磁気ヘッド11のスライダー面
にはほとんど付着物は認められなかった。さらに、他種
のスライダとして、Zn−Mn−フェライト製、及び、
ZrO2を主成分とする複合セラミクス製スライダにつ
いて、同様にCSS試験を行なったが、いずれの場合も
ほぼ同様の傾向を示した。したがって、本発明の磁気記
録ディスクを用いることにより、耐摺動性に優れた磁気
記録装置が提供される。
【0038】なお、本実施例では上記の種のスライダ材
の磁気ヘッド11を試みたが、もちろんこれに限定され
ることはない。さらに、磁気ヘッド11の形状も薄膜ヘ
ッド、コンポジットヘッド等あるが、これに特に限定さ
れることはない。
【0039】ここで磁気記録装置の性能を決める大きな
要素として磁気ヘッド11とディスク10の磁性層の間
のスペーシングがある。磁気記録装置の高記録密度化の
ためには上記スペ−シングを小さくすることが要求され
る。この要求を満たすためには、ディスクの保護層は薄
いほど望ましいが、一方、磁気ヘッドとの接触時の耐摺
動信頼性の向上や磁性層の腐食防止の観点からはある膜
厚が必要である。このために、保護膜の厚さは好ましく
は5〜50nmである。
【0040】本発明の第3の実施例として、Al23
TiC製スライダー上に磁気抵抗効果を利用した読み取
り素子を搭載した薄膜磁気ヘッドを用い、図2に示した
ものと同様の構造の磁気ディスク装置を組み立てた。デ
ィスクとしては、保護膜5として厚さ20nmのMgO
を形成し、その上に環状エーテル基を末端に有するパー
フロロアルキルエーテル系潤滑剤を潤滑剤層6として形
成したものを使用した。磁気抵抗効果素子では磁気抵抗
膜に常に電流を流しており、保護膜が導電性でありかつ
上記素子が保護膜に接触した場合短絡電流が流れ、素子
を破壊する可能性がある。しかし、本発明で開示したM
gO、Y23等は電気絶縁性であるため、このような構
成においては特に有効である。本装置において、実施例
2と同様のCSS試験を行い、摩擦力の上昇が少ないこ
とを確認した。
【0041】磁気抵抗素子はコイルに比べて高感度であ
り、高記録密度化を図る上で有利である。本発明の磁気
記録ディスクは、耐摺動性が優れているため、保護層の
厚さと磁気記録媒体−磁気ヘッド感のスペーシングを低
減できる。したがって、トラック密度3000TPI以
上、線記録密度80000BPI以上、磁気記録媒体の
面記録密度が200Mbit/inch2以上、磁気ヘ
ッド−ディスク間のスペーシングが0.1μm以下磁気
記録装置の提供が可能である。
【0042】本発明の第4の実施例として、磁気ディス
クの回転中にヘッドを上下できる機構を有する磁気ディ
スク装置を用い、実施例1に示した磁気ディスクの耐摺
動性を検討した。本装置は、ディスクを3600rpm
で回転させている途中でヘッド先端を圧電アクチュエー
タにより約0.3mm上下させヘッドのロード試験を行
なうものである。同時に磁気ディスクとヘッドとの接触
をAEセンサによりモニタした。この結果ヘッドを引き
降ろす時点で両者が瞬間的に接触するが、定常状態では
離れていることが判明した。ヘッド上下の繰返し試験を
2,000回行なった後のディスク表面には、目視では
変化は認められなかった。
【0043】本発明の保護膜5は、上記実施例に示した
基板が円板状の磁気記録媒体に限定されることはなく、
磁気テ−プ、フロッピディスク等、磁気ヘッドと組合せ
て使用する磁気記録装置に用いられる磁気記録媒体に用
いられることは詳細に述べるまでもない。さらに、磁気
記録媒体の構成も実施例に示した構成に限定されること
が無いことはいうまでもない。さらに、上記試験は面内
磁気記録方式に対して行ったが、垂直磁気記録方式にお
いても摺動現象はスペーシングがやや小さくなるもの
の、本質的に同様であり、本発明に含まれることはいう
までもない。
【0044】また、本発明の保護膜を有する磁気記録媒
体は従来のC保護膜を用いた磁気記録媒体に比べ、磁気
ヘッドに対する耐摺動性に優れているため、複合セラミ
ックス製のスライダーを有する磁気ヘッドと組合せた場
合、磁気ヘッドと磁気記録媒体のスペ−シングは0.1
5μm以下、さらに0.1μm以下にすることも可能で
ある。さらに、実施例1〜3のCSS試験を磁気記録媒
体の回転数を従来の3600rpmから5400rpm
に上げて実施した場合にも耐摺動性はなんら低下するこ
とはなかった。
【0045】そのため、図2に示すような磁気ヘッドと
磁気記録媒体間のスペ−シングが小さく、さらに、磁気
記録媒体の回転速度が大きく、磁気ヘッドのアクセス時
間の短かい高性能磁気記録装置を提供することができ
る。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気記録
媒体は、保護層として、IIIa族または電気陰性度の小
さい材料の化合物を用いることにより、潤滑剤の保持性
にも優れ、従って、磁気ヘッドに対する耐摺動性に優れ
ている。このため、長期に渡って高信頼性を保つことが
できる。また、本発明を用いることにより、保護層の厚
さと磁気ヘッドの浮上量を小さくすることができ、高記
録密度、高回転速度の高性能磁気記録装置を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における磁気記録媒体の構造
を示す断面図。
【図2】本発明の磁気記録媒体を用いた磁気記録装置の
概念図。
【符号の説明】
1…Al合金基板、2…下地膜、3…中間膜、4…磁性
膜、5…保護膜、6…潤滑剤層、7…ベ−ス、8…スピ
ンドル、9モ−タ、10…磁気記録媒体、11…読み取
りおよび書き込み用磁気ヘッド、12…位置決め用ヘッ
ド、13…キャリジ、14…ボイスコイル、15…マグ
ネット、16…リード/ライト電子回路、17…インタ
フェース、18…上位装置、19…ボイスコイルモータ
制御装置、100…磁気記録装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢畠 昇一 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 平野 利則 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性の基体と、前記基体上に磁性膜と、
    保護膜と、潤滑剤層とを順に有する磁気記録媒体におい
    て、 前記保護膜は、その少なくとも表面部に、元素周期表II
    Ia族の金属元素を有することを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記金属元素はYおよ
    びLa系のうち少なくとも1種類の金属元素であること
    を特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】非磁性の基体と、前記基体上に磁性膜と、
    保護膜と、潤滑剤層とを順に有する磁気記録媒体におい
    て、 前記保護膜は、その少なくとも表面部に、電気陰性度
    1.2以下の金属元素の、酸化物、窒化物および炭化物
    のいずれかまたはこれらを組合せたものを有することを
    特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記金属元素は、M
    g、YおよびLa系のうち少なくとも1種類であること
    を特徴とする磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】請求項3において、前記金属元素の酸化物
    は、MgO、Y23およびLa23のうち少なくとも1
    種類であることを特徴とする磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4または5において、
    前記潤滑剤層は官能基として、少なくとも、環状エーテ
    ル基、カルボニル基、エステル基、アルコール基、フェ
    ノール基の1つを有するパーフロロアルキルエーテル系
    の物質であることを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】請求項1、2、3、4、5または6におい
    て、前記保護膜はスパッタ法で形成された膜であること
    を特徴とする磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】非磁性の基体と、前記基体上に磁性膜と、
    保護膜と、潤滑剤層とを順に有する磁気記録媒体と、前
    記磁気記録媒体を回転駆動する回転駆動部と、磁気ヘッ
    ドとを備えた磁気記録装置において、 前記保護膜は、その少なくとも表面部に、電気陰性度
    1.2以下の金属元素の酸化物、窒化物および炭化物の
    いずれかまたはこれらを組合せたものを有することを特
    徴とする磁気記録装置。
  9. 【請求項9】請求項8において、前記磁気ヘッドが磁気
    抵抗効果膜を有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドであるこ
    とを特徴とする磁気記録装置。
JP25676791A 1991-10-03 1991-10-03 磁気記録媒体および磁気記録装置 Pending JPH05101377A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012094202A (ja) * 2010-10-25 2012-05-17 Fuji Electric Co Ltd 垂直磁気記録媒体の製造方法

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