JPH048917Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はカテーテルを生体内組織中で固定する
ためのカフ部材を具備する腹膜透析用カテーテル
に関する。

［従来技術］ 一般に腎不全などの治療には、腹膜透析が行な
われるが、治療期間が長期に亘ることが多いた
め、これに使用する腹膜透析用カテーテルは手術
により体内に留置する。このカテーテルは皮下脂
肪および筋層組織などに表皮から腹膜に至るトン
ネルを形成する留置術によつて固定されるが、皮
下組織などへの固定を十分に行うため、カフ部材
を介して行なわれる。従来、腹膜透析用カテーテ
ルとしてはポリエステル繊維などからなるフエル
ト、織物、不織布などのカフ部材を備えたものが
用いられていた。

ところが、これら従来のカテーテルではカフ部
材の皮下組織との適合性が十分でなく、長期留置
の間に皮下組織に設けたいわゆる皮下トンネル内
で炎症をおこすおそれがあり、腹膜透析用カテー
テルとして十分満足できるものではなかつた。

［考案が解決しようとする課題］ 本考案は皮下組織との適合性に優れた腹膜透析
用カテーテルを提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ カフ部材３にアミノ酸系生体適合性物質４が付
着した腹透析用カテーテルを用いる。

［考案の作用］ 本考案を第１図に沿つて説明する。

第１図に示すように、本考案の腹膜透析用カテ
ーテルは、カテーテル本体１の腹腔内に留置する
部分に透析液を出入りさせるための小孔２を設
け、体組織と接触する部分にカフ部材３を外装し
たものである。上記カテーテル本体１は本質的に
体組織と反応しないプラスチツク、ゴムなどから
なる可撓性の管状物であることが望ましく、特に
シリコンチユーブが好適である。

カフ部材３は従来通り、ポリエステル繊維など
からなるフエルト、織物、不織布でもよいが、シ
リコン発泡体からなるカフ部材３は生体適合性の
点から最も好ましい。

このカフ部材３で最も重要なことは、カフ部材
３に生体適合性物質４を付着させることである。
生体適合性物質４としては、コラーゲン、ゼラチ
ン、フイブリンなどのアミノ酸系生体適合性物質
４を挙げることができる。

これらアミノ酸系生体適合性物質４をポリエス
テル繊維などからなるフエルト、織物、不織布に
付着させた場合でも生体適合性は十分であり、シ
リコン発泡体に用いた場合は更に生体適合性が向
上し、肉芽の細胞浸潤繊維化を助長して、留置術
後の癒着と止血を早めることができる。

これらアミノ酸系生体適合性物質４のカフ部材
３に付着する方法としては、カフ部材３表面にコ
ーテイングなどで被覆してもよいし、化学的に結
合させてもよい。

このカフ部材３は接着剤などによつて、カテー
テル本体１に固定することができる。

カフ部材３の固定状態は、第１図に示すよう
に、１つの筒状体を外装したものの他、２以上の
短い筒状体を連続または不連続に配設したもので
あつてもよく、あるいは体組織内でのカテーテル
の固定性を高めるために、つばを表皮Ａ側に設け
たものであつてもよい。

本考案の腹膜透析用カテーテルは生体適合性物
質４を付着したカフ部材３からなるため、生体に
よる拒否反応が殆どなく、生体適合性に優れてい
る。また、カフ部材３がシリコン発泡体である場
合には、クツシヨン性を有するので、体組織を圧
迫することによる炎症が生じにくく、しかもその
炎症によつて起こる二次感染も殆ど生じることが
ない。そのうえ、表面が微細な凹凸形状であるこ
とから、カフ部材表面に細胞浸潤により肉芽が入
り込みやすいため、体組織への固定性が著しく向
上する。

次に、本考案の腹膜透析用カテーテルの留置方
法の一例について説明する。第２図は本考案腹膜
透析用カテーテルの体組織内での留置状態を表す
断面図である。まず最初に、表皮Ａから皮下脂肪
および筋層組織Ｃを通つて、腹膜Ｄまで貫通する
第１孔を形成し、そこにカテーテルを先端部から
挿入する。次に、第１孔から約５cm離れた位置
に、表皮Ａから皮下脂肪に至る第２孔（貫通孔で
はない）を形成する。そして第１孔と第２孔とを
皮下組織Ｂ内でつなぐ皮下トンネルを形成し、カ
テーテルの体外へ残されるべき部分を皮下トンネ
ルを通して第２孔から体外へ引出し、最後に第１
孔の表皮Ａ側を縫合する。これにより、カテーテ
ルは第２図に示すように、体組織内では屈曲した
状態で留置されるため、長期間留置しても容易に
抜けなくなり、安全性が高くなる。

なお、カテーテルなどの材質は可撓性を有する
が、上述の留置方法による屈曲部においてはもど
りを生ずることもあるため、長期に亘る留置にお
いては体組織を圧迫して炎症を起こす恐れがあ
る。そこで、第３図に示すように、体組織内での
留置状態と同様な屈曲部を予め設けたカテーテル
にすれば、このような炎症をおこすこともない。
この予め屈曲部を設けたカテーテルを体内に留置
するには、カテーテルを第１孔に挿入する際、ス
テンレスワイヤーなどの芯を通して一度直線状に
したカテーテルを挿入後、芯をはずせば元の屈曲
形状に戻るので、容易に安定した状態で留置する
ことができる。

本考案の腹膜透析用カテーテルの留置方法の他
の例としては、生体組織内でカテーテルが略直線
状となるように留置する方法がある。この方法で
は、皮下トンネルなどによる屈曲部を形成する必
要がなく、手術が簡便に行なえるが、カテーテル
の固定性を高めるために、つばのついたカフ部材
３を具備したカテーテルを使用したほうがより好
ましい。

以上のように、本考案の腹膜透析用カテーテル
は極めて生体適合性がよく、また固定性にも優れ
ているので、長期に亘る腹膜透析の治療に安心し
て使用することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の腹膜透析用カテーテルの一実
施例を示す斜視図である。第２図は本考案の腹膜
透析用カテーテルの留置状態を示す断面図であ
る。第３図は本考案の腹膜透析用カテーテルの他
の実施例を示す斜視図である。 １……カテーテル本体、２……小孔、３……カ
フ部材、４……生体適合性物質、Ａ……表皮、Ｂ
……皮下脂肪、Ｃ……筋層組織、Ｄ……腹膜。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カフ部材３にアミノ酸系生体適合性物質４が付
   着していることを特徴とする腹膜透析用カテーテ
   ル。