JP3938606B2 - 腹腔内留置カテーテル感染防止用カフ部材 - Google Patents

腹腔内留置カテーテル感染防止用カフ部材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腹膜透析法において、腹腔内に留置して透析液を注排液するために使用される腹腔内留置カテーテルに用いる感染防止用カフ部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
透析療法は、主として腎機能の一部を代行して体内に蓄積された水や尿素、クレアチン等の尿毒物質の除去を目的として行なわれる。多くの場合、血液透析療法による治療が行なわれているが、特別な装置の監視下での治療であるため、週2〜3回の通院を余儀なくされ、また1回の治療時間も4〜5時間と患者やその家族にかかる負担が大きく、患者の社会復帰の大きな妨げとなっている。これに対し、腹膜透析療法は、患者に対する時間的拘束を軽減させ、違和感なく動きまわりながら透析治療を行なうことができ、透析患者の社会復帰を可能とした療法であるため、患者数が増加している。この腹膜透析療法においては、透析液(透析灌流液)を腹腔内に注入し、一定時間経過後に透析液の排液を腹腔外に排出するといった手技がなされる。そしてこのような透析液の注入と排液の排出は、腹腔内に留置されている腹腔内留置カテーテルと、このカテーテルに接続される透析液交換システムとにより行なわれる。
【0003】
従来の腹腔内留置カテーテルには、腹腔内に留置される留置部と、腹腔外に延出される延出部と、留置部と延出部の中間部にループ状に屈曲して逆U字形状に形成された皮下トンネル部とからなるカテーテル本体と、カテーテル本体の通液路とからなり、該皮下トンネル部の留置部側と延出部側の2ヶ所にカテーテルを固定するためのダクロン製不織布によるカフ部材が設けられたものがある。これは、該皮下トンネル部の留置側に設けられたカフ(以下「内部カフ」という)を腹膜に固定し、延出部側に設けられたカフ(以下「外部カフ」という)を皮下組織に位置させて、該カテーテルを逆U字状に固定して留置し、腹腔内と腹壁外との間に皮下トンネルを形成するようにしたものである。この腹腔内留置カテーテルでは、患者にカテーテルを移植した際に、生体組織がカテーテルを異物認識し生体組織とカテーテルが密着しないため表皮がカテーテルに沿って内側に入り込むいわゆるタウングロース(Down Growth)が生じ、これが深くなると、消毒が行き届かず細菌の感染経路を形成することとなり、皮膚の炎症やひいては腹膜炎まで引き起こすという問題があった。
【0004】
このために、従来の腹腔内留置カテーテルにおいては、特開平1−291870号には多孔質セラミックからなる経皮を設けたものが、実開平3−24192号にはアミノ酸系の生体適合性物質を付着させたシリコーン発泡体からなるカフ部材を皮下埋入部(皮下トンネル部)に設けたものなどが提案されている。
【0005】
しかしながら、多孔質セラミックからなる経皮素子を設けたものは、経皮素子が硬質であると共に経皮的に設けられているため、透析液の注入・排液の排出の際などに腹部の動きに伴なって、カテーテルの経皮付近の組織が追従することは困難であるため、経皮素子から生体組織が脱落する可能性があった。また、シリコーン発泡体からなるカフ部材を設けたものは、ポリエステル繊維製不織布からなるカフ部材を設けたものと比較すると、生体組織をカフ部材内に増殖させる点で優れているが、カテーテルの経皮部付近の生体組織をカテーテルの周囲に密集させることは困難であり、腹部の動きに伴なってカテーテルの延出部が動いたときにカフ部材が追従し難いので、生体組織がカフ部材から脱落する可能性がある。このため、上述のカテーテルは、いずれもカテーテルの経皮部から細菌が体内に侵入する恐れがあった。
【0006】
そこで、上記カテーテルの外縁に、生体適合性に優れた素材からなる感染防止用カフ部材をさらに設け、該カフ部材を表皮下に位置させ、生体組織をカフ部材内に増殖させることによりカテーテルの経皮部付近の生体組織をカテーテル周辺に密集させ、ダウングロースの進行を抑制するようにしたものが提案されている(特願平7−16891号等)。しかし、上記腹腔内留置カテーテルでは、該カテーテルを患者の腹壁部に移植する際、コラーゲン等を主材料としたカフを経皮部に位置させるため、該カフ部材の装着されたカテーテルを皮下トンネルに通す必要があり、切開部の血液、洗浄液や体液などの液体が、コラーゲンを主材料としたカフに浸潤し、型くずれを起こす場合があった。この場合、生体組織の該カフ部材への密集に時間を要したり、密集が不完全となる等の恐れがあるため、術中にあっては、手術操作に細心の注意を要していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、腹腔内留置カテーテル留置手術の際、感染防止用カフ部材が装着されたカテーテルを皮下トンネルに通す際、カフ部材が型くずれすることなく容易に作業を行なうことができる腹腔内留置カテーテル感染防止用部材を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、早期にカテーテルの経皮部付近の生体組織をカテーテルの周囲に密集させ、ダウングローズが深くなるを防止できる腹腔内留置カテーテル感染防止用部材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明の腹腔内留置カテーテル感染防止用カフ部材により達成される。
【0010】
すなわち、本発明は、腹腔内に留置される留置部と、腹壁外に延出される延出部と、該留置部と該延出部の中間部分でありループ状に屈曲して逆U字形状に形成された皮下トンネル部とからなる腹腔内留置カテーテルの前記皮下トンネル部の前記延出部側に用いる感染防止用のカフ部材であって、コラーゲンを主材料とする多孔質管状体からなり、37℃の生理食塩液中に3時間浸漬後液中から取り出したときに型くずれを起こさないものであることを特徴とするカフ部材である。
【0011】
本発明の腹腔内留置カテーテル感染防止用カフ部材は、コラーゲンを主材料とする多孔質体からなるので、該カフ部材が腹膜皮下に固定されると、コラーゲンを主材料とするカフ部材が生体組織に置換されると共に、カテーテルの経皮部付近の生体組織がカフ部材内に入り込み、コラーゲンが生成される。これにより、カテーテルの周辺の生体組織をカテーテルの周囲に密集させることができる。特に、前記カフ部材は、腹腔内留置カテーテルの皮下トンネル部の延出部側に設けられているので、コラーゲンを主材料とするカフ部材が表皮下に位置され、カテーテルの経皮部付近の生体組織をカテーテルの周囲に密集させることができるので、ダウングロースが深くなることを防止することができる。
【0012】
また、本発明の腹腔内留置カテーテル感染防止用カフ部材は、37℃の生理食塩液中に3時間浸漬した後、液中から取り出したときに型くずれの見られないものであるので、腹腔内留置カテーテル留置手術の際、該カフ部材の装着されたカテーテルを皮下トンネルに通すときに、カフ部材が型くずれすることなく容易に作業を行なうことができる。
【0013】
本発明はまた、前記コラーゲンは50%以上の架橋度を有することを特徴とする前記カフ部材である。これにより、該カフ部材の強度がさらに向上し、カテーテル留置術における皮下トンネル穿刺の際、形状を保持しうるものである。
【0014】
本発明はさらに、前記コラーゲンを主材料とする多孔質管状体は線維化コラーゲンと変性コラーゲンとからなるものであることを特徴とする前記カフ部材である。これにより、さらに早期に生体組織のカテーテル本体への密集を達成するものである。
【0015】
本発明はさらにまた、カテーテル本体の外周に沿って軸方向に移動可能であり、前記皮下トンネル部の延出部側の任意の位置に導入、設置することができることを特徴とする前記カフ部材である。これにより、カテーテルの皮下トンネル穿刺の際に、コラーゲンを主材料とする部材を装着し、カテーテル中間部延出側体内の任意の位置に設置することが可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の腹膜透析カテーテル用カフ部材の実施の形態を図をもってさらに詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態であるカフ部材とこれを用いた腹膜透析用カテーテルの概略側面図であり、図2は、図1におけるA−A線断面図である。
【0018】
腹膜透析法においては、透析液を腹腔内に注入し一定時間経過後に透析液の排液を腹腔外に排出するといった手技が採られるが、本発明に用いられる腹膜透析用カテーテルは、かかる腹膜透析において、透析液の交換経路として用いられるものである。すなわち、腹膜透析用カテーテルの一端を患者の腹腔内に腹壁を貫通して挿入し、該カテーテルを腹腔内に留置すると共に、該カテーテルの他端を腹壁外に延出させた状態を維持しながら患者は日常生活を営み、一定時間ごとに該カテーテルを介して透析液を交換するものである。
【0019】
腹膜透析用カテーテル1は、カテーテル本体11と、カテーテル本体11内部に穿通された通液路12と、カテーテル本体11外部に周設されたカフ部材5〜7からなる。
【0020】
カテーテル本体11は、例えばシリコーンゴム等の伸縮性を有する管状体からなり、腹腔内に留置される留置部2と、腹壁外に延出される延出部4と、留置部2と延出部4の中間部分である皮下トンネル部3に分けられる。
【0021】
留置部2の先端には、カテーテル本体11の軸方向に向けて通液路12の開口部21が形成されており、また、留置部2の外表面に軸方向に沿って穿設された側孔22を有している。この側孔22は図2に示すように、横断面図において、カテーテル本体11の周方向に等間隔で複数設けられており、カテーテル本体11の軸方向に等間隔で配設されている。透析液は、開口21と複数の側孔22を介して交換される。
【0022】
一方、延出部4の端部には、コネクタ(図示せず)等が設けられており、このコネクタ等を介して、透析液バックや排液バック等をチューブで接続してなる腹膜透析システム等が接続される。
【0023】
皮下トンネル部3は、ループ状に湾曲して形成されており、逆U字形状(スワンネック形状)をなしている。そして、皮下トンネル部3は、カテーテル本体11の通液路12によって、腹腔内と腹壁との間に皮下トンネルを形成するものである。
【0024】
カテーテル本体11の全長は、症例によって異なるが250〜600mm程度、好ましくは300〜550mm程度であり、より好ましくは350〜500mm程度である。このうち、留置部2は150〜200mm程度であり、皮下トンネル部3は100〜150mm程度であり、延出部4は100〜150mm程度であることが好ましい。また、カテーテル本体11の内径は1.0〜3.5mm程度、好ましくは2.0〜3.0mm程度であり、外径は4.0〜6.0mm程度であることが好ましい。さらに、留置部2の側孔22の径は0.5〜0.9mmが好ましい。
【0025】
また、カテーテル本体11の少なくとも留置部2には、X線不透過材料よりなるマーカー13を埋設または内外表面に付設しておくことが好ましい。これにより、カテーテル移植時に、X線透視下においてカテーテル本体11の位置を確認することができる。
【0026】
皮下トンネル部3の外周には、留置部2側に内部カフ6が、ループ頂点付近に外部カフ7がそれぞれシリコーン系接着剤等により固定されている。外部カフ7は、カテーテル1の透析液注入・排出口を下向きにしてカテーテル本体11を腹壁に固定するためのものであり、その設置位置は、ループ状に湾曲されて形成された皮下トンネル部3のループ頂点付近であることが好ましい。該内部カフ6および外部カフ7は、ダクロン製不織布により管状に形成されており、このカフ6および7を生体組織に縫合固定することにより、生体組織である線維芽細胞がカフ6および7内に増殖して、カテーテル本体11は一定の位置に留置される。内部カフ6および外部カフ7の全長は5.0〜15mm程度であることが望ましい。
【0027】
さらに、皮下トンネル部3の延出部4側には、カフ部材5がカテーテル本体11の外周に沿って軸方向に移動可能に設けられている。カフ部材5は、線維化コラーゲンと変性コラーゲンからなるコラーゲン多孔質体により管状に形成されており、これにより、線維芽細胞がカフ部材5内に入り込み、コラーゲンを生成すると共に、カフ部材5が線維芽細胞に置換されていく。この結果、カテーテル本体11の周囲に線維芽細胞が密集し、カテーテル本体11が固定される。また、カフ部材5が表皮下に位置されるので、適度な深さのダウングロースが維持され、ダウングロースが深くなっていくことが防止される。
【0028】
ここで、カフ部材5の設置場所は、皮下トンネル部3の延出部4側から5〜20mm、好ましくは7〜10mmがよい。カフ部材の設置位置が延出部側から5mm未満では、カフ部材が体外へ露出する可能性があり、20mmを超えると、ダウングロースが深くなり日常の傷洗浄などが困難になる。
【0029】
また、カフ部材5を構成するコラーゲン多孔質体は、例えばつぎの方法により製造することができる。すなわち、コラーゲン溶液をリン酸緩衝液のような平衡塩溶液と混合して、37℃において4時間程度インキューベートすることにより、コラーゲンを線維化する。一方、コラーゲン溶液を加熱することにより、熱変性させ、変性処理する。この場合、コラーゲンの熱変性は、37℃前後を境として起こるので、40〜100℃の範囲で熱変性させるが、好ましくは60〜80℃がよい。好適な加熱変性処理は、60℃で30分間である。このようにして得られた線維化されたコラーゲン溶液と変性コラーゲン溶液を混合して、管状容器内で凍結乾燥した後、熱脱水架橋を行うことにより、コラーゲン多孔質体からなるカフ部材5が得られる。熱脱水による架橋は、架橋度50%以上が好ましく、60〜80%がより好ましい。50%未満であるとカテーテルの皮下トンネル穿設の際に、形状が維持できない恐れがあり、架橋処理が強すぎるとコラーゲンが極度に変性する可能性がある。ここで、上記架橋度は、つぎの方法で測定したものをいう。コラーゲンマトリックスを5mMHCl中で4℃で72〜73時間撹拌後、3000rpmで15分間遠心分離を行い上清(A)と残査に分ける。残査は、さらに8M尿素を加え、60℃で30分間の加熱を行い、3000rpmで15分間遠心分離し、上清(B)と残査(C)に分ける。AおよびBの液中の蛋白質濃度を測定し、それに各々の体積を掛けたものをWA およびWB 、Cの重量をWC とすると、架橋度は次式により算出される。
【0030】
架橋度(%)=[(WB +WC )/(WA +WB +WC )]×100
カフ部材5の全長は3.0〜50mm程度、好ましくは5.0〜50mm程度がよい。カフ部材5の全長が3.0mm以下であるとカテーテル本体の周囲に生体組織を密集させることが難しく、ダウングロースを適度に維持することが困難であり、全長が50mm以上であると外部カフ7を設置する位置を変更する必要が生じる。また、カフ部材5は、一端部がカテーテル1の経皮部付近に位置していれば、他端部は外部カフの設置位置までの間にとのような長さで位置しても良く、例えば全長3.0〜25mm程度のものを複数個、隣接して設置しても良く、所定間隔だけあけて縦列して設置も良い。またカフ部分5の肉厚は、1.0〜4.0mm程度、好ましくは1.5〜2.5mm程度である。肉厚が1.0mm以下であるとカテーテル本体11の周囲に生体組織を密集させることが難しく、ダウングロースを適度に維持することが困難であり、肉厚が4.0mm以上であると患者にカテーテルを留置する際に腹壁に与える損傷が大きくなり、ダウングロースを形成するのに時間を要することとなる恐れがある。
【0031】
カテーテル本体11の延出部にカフ部材5を設置するときには、図3で示すようなカフ部材装着治具を用いることにより、カテーテルの留置術中に容易にカフ部材をカテーテル本体に装着することができる。まず、伸縮性を有する網目構造の管状体よりなるカフ部材装着治具8の内径を内管81で拡張させておく。つぎに、内管81を抜脱しカフ部材装着治具8の内径を拡張した状態でカテーテル本体11の延出部先端に被せる(図4(a) )。装着治具の他端よりカフ部材5を通し(図4(b) )、装着治具のカテーテル側端を指で固定した状態で他端を伸張し、カテーテル径を収縮させる(図4(c) )。カフ部材の内径よりカテーテル外径を収縮させた状態で、装着治具の外周に沿ってカフ部材を移動させカテーテルに導入する(図4(d) )。導入後装着治具を外し(図4(e) )、カテーテル本体11を伸張し、カテーテルの外径を小さくした状態で、カフ部材をカテーテル本体の外周に沿って軸方向に移動し、カフ部材を所定の位置に移動後カテーテル本体の伸張をといてカフ部材を固定する(図4(f) )。これによって、カフ部材5がカテーテル本体11に密着し、カテーテル本体からカフ部材が脱落する恐れがなくなる。カフ部材の設置は、カテーテル移植時外部カフの創から下方に向けてカテーテルを皮膚から出す際に行うことが好ましい。
【0032】
つぎに、本発明のカフ部材を用いた腹腔内留置カテーテル1を患者に留置する方法について説明する。
【0033】
皮膚切開は、カテーテルを腹壁上に置き内部カフの高さはカテーテルの第1番目の側孔の位置を恥骨結合上縁にあわせ、次いで内部カフを腹直筋中央に合わせる。そこで内部カフおよび外部カフの位置をマーキングし、局所麻酔のもとに内部カフ長軸に沿って約5cm皮膚切開を加える。
【0034】
皮下脂肪を電気メスで切開・止血しながら、さらに鈎にて脂肪層をかきわけて腹直筋筋膜前鞘を露出する。筋腹を3〜4cm切開し、鈎で腹直筋を切断することなく分け入って筋腹後鞘に達する。腹膜切開部に十分に局所浸潤麻酔を行い鈎ピンで腹膜後鞘と腹膜を一緒に挙上しながら腸管を損傷しないように、5mmの小切開を加える。腹膜小切開孔よりIPD用ウエストン・ロバート(Weston−Roberts)のカテーテル先端をダグラス窩に試験的に挿入しその感触を覚える。また、そのカテーテルから本発明に係るカテーテルを挿入しやすくする目的で生理食塩水を約100ml注入し、そのカテーテルを抜去する。
【0035】
次に本発明に係る外径5mmのシリコーンゴム製カテーテルに滑剤を用いてスタイレットを通りカテーテル先端から約5cmのところでカテーテルを約150度の角度に折り曲げる。小切開孔からカテーテル先端を挿入し前方を向いた先端を腹腔前壁に沿わせて右恥骨中央にあたるまで押し入れ、そこからスタイレットのリング部を把持し、約180度位外転させながら腹壁に沿わせて引いてくる。小骨盤の入り口で急に抵抗がなくなり、そこでさらに外転させながら計270度回転させ押し入れると的確に先端部がダグラス窩に挿入できることになる。スタイレットを固定しながらX線不透過の白線が後面になるようにカテーテルを回転させ、その後カテーテルを抜けないように保持しながらスタイレットのみ抜去する。
【0036】
的確にダグラス窩にカテーテル先端が挿入されると、10mlの注射器に生理食塩水を入れカテーテルから洗浄すれば、液の出入りがなんら抵抗なく行なえる。
【0037】
切開した腹膜と筋膜後鞘を一緒にペアン鉗子で4点支持を行ない、#3−0デキソン糸でタバコ縫合をかける。この操作まで内部カフを腹腔内に置いておく。内部カフを腹膜外にだし、腹膜にタバコ縫合をかける。この操作まで内部カフを腹腔内に置いておく。内部カフを腹膜外に出し、腹膜にタバコ縫合を行ない十分に締めて結節し、その糸でさらにダクロン製内部カフを固定する。同様にして周辺を90度間隔でデキソン糸により4点固定を行ない、液もれのないようにする。この時点でX線撮影でカテーテル先端がダグラス窩に的確に挿入されていることを確かめる。
【0038】
ペンローズドレーンを3本裂き、外部カフ近傍に挿入し腹直筋筋膜前鞘を縫合する。この時カテーテルは創の上端から出ないようにする。すなわち腹腔内カテーテルの部分が常に下方に向いているようにする。
【0039】
外部カフ部分に約2cmの皮膚切開をしておき、脂肪層も電気メスにて切開・止血しながら筋膜を露出する。内部カフ切開層筋膜直上でタンネラーを用いて外部カフ切開層に向けて筋膜直上でカテーテルをとおす。
【0040】
タンネラーをはずし、このカテーテルの体外延出部に伸縮性を有する網目構造の管状体よりなるカフ部材装着治具を用いて、外径8.7mm、内径4.7mm、長さ10mmのコラーゲン多孔質体からなるカフ部材をカテーテルに導入する。導入後、カテーテルを伸張させた状態でカフ部材を表皮より7〜8mmの皮下トンネル内に位置するように移動し、カテーテルを復元させ装着固定する。装着後のカフ部材は血液や滲出液により変型しやすいので、創部の止血を十分に行なって次の操作へ移る。
【0041】
再度タンネラーをカテーテルに装着し、外部カフの創から下方に向けて外部カフから4〜5cmのところでカテーテルを皮膚から出す。次に外部カフを#3−0デキソン糸にて腹膜に2針縫合する。このとき、コラーゲン多孔質体からなるカフ部材はカテーテルの皮膚からの出口部から7〜8mmの皮下トンネル内に位置する。
【0042】
2ヶ所の創は2層にわけて縫合し創をとじるとカテーテルは図3のように埋め込まれる。図4はカテーテル埋め込み後の断面図である。カテーテルの体外延出部にチタニウムアダプターをはめ込み、それに、接続チューブをつなぎ透析液バッグを用いて1日6回の腹膜透析を開始する。
【0043】
【実施例】
実施例1
架橋度を変えたコラーゲン多孔質体からなるカフ部材を作製し、37℃の生理食塩水中に浸漬して形態保持性について調べた。架橋を行っていないカフ部材では、浸漬1時間後、液中で溶解した。架橋度30%程度以下のものについては浸漬3時間後、液中で型崩れが見られた。また浸漬3時間後液中から出した場合、架橋度40%程度以下のものについては型崩れが見られ、特に架橋度30%程度以下のものについては型崩れが顕著であった。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、腹腔内に留置される留置部と、腹壁外に延出される延出部と、該留置部と該延出部の中間部分でありループ状に屈曲して逆U字形状に形成された皮下トンネル部とからなる腹腔内留置カテーテルの前記皮下トンネル部の前記延出部側に用いる感染防止用のカフ部材であって、コラーゲンを主材料とする多孔質管状体からなり、37℃の生理食塩液中に3時間浸漬後液中から取り出したときに型くずれを起こさないものであることを特徴とするカフ部材であるから、カテーテルの経皮部付近の生体組織をカテーテルの周囲に密集させ、ダウングロースが深くなっていくことを防止できるとともに、腹腔内留置カテーテル留置手術の際、該カフ部材の装着されたカテーテルを皮下トンネルに通すときに、カフ部材が型くずれすることなく容易に作業を行なうことができる。
【0045】
特に、本発明の腹腔内留置カテーテル感染防止用カフ部材は、50%以上の架橋度を有するコラーゲンを主成分とすることにより、該カフ部材の強度がさらに向上し、カテーテル留置術における皮下トンネル穿刺の際、形状を保持しうるものである。
【0046】
また、本発明の腹腔内留置カテーテル感染防止用カフ部材は、線維化コラーゲンと変性コラーゲンとからなるコラーゲン多孔質体を用いることにより、さらに早期に生体組織のカテーテル本体への密集を達成するものである。
【0047】
さらに、本発明の腹腔内留置カテーテル感染防止用カフ部材は、カテーテル本体の外周に沿って軸方向に移動可能な構造とすることにより、前記皮下トンネル部の延出部側の任意の位置に導入、設置することができるので、カテーテルの皮下トンネル穿刺の際に、コラーゲンを主材料とする部材を装着し、カテーテル中間部延出側体内の任意の位置に設置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるカフ部材とこれを用いた腹膜透析用カテーテルの概略側面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】カフ部材装着治具の概略斜視図である。
【図4】カテーテルへのカフ部材の装着方法を示す概念図である。
【図5】カテーテル埋め込み後の腹壁の施術部側面図である。
【図6】カテーテル埋め込み後の腹壁の施術部断面図である。
【符号の説明】
1…腹腔内留置カテーテル
11…カテーテル本体
12…通液路
13…マーカー
2…留置部
21…開口部
22…側孔
3…皮下トンネル部
4…延出部
5…カフ部材
6…内部カフ
7…外部カフ
8…カフ部材装着治具
81…内管
9…腹壁
91…皮膚
92…皮下脂肪
93…筋膜
94…腹直筋
95…腹膜

Claims (4)

  1. 腹腔内に留置される留置部と、
    腹壁外に延出される延出部と、
    該留置部と該延出部の中間部分でありループ状に屈曲して逆U字形状に形成され、該留置部側および該ループ状に屈曲した頂点付近のそれぞれに腹壁固定用カフを備えた皮下トンネル部と、からなる腹腔内留置カテーテルの前記皮下トンネル部の前記延出部側から、5〜20mmの皮下に位置するように用いられ、コラーゲン多孔質体のみからなる管状体からなり、該コラーゲン多孔質体のみからなる管状体がカテーテル本体の外表面に沿って移動可能に設けられ、37℃の生理食塩液中に3時間浸漬後液中から取り出したときに型くずれを起こさないものであることを特徴とする感染防止用カフ部材。
  2. 前記コラーゲンは50%以上の架橋度を有することを特徴とする請求項1記載のカフ部材。
  3. 前記コラーゲンを主材料とする多孔質管状体は線維化コラーゲンと変性コラーゲンとからなるものであることを特徴とする請求項1〜2記載のカフ部材。
  4. カテーテル本体の外周に沿って軸方向に移動可能であり、前記皮下トンネル部の延出部側の任意の位置に導入、設置することができることを特徴とする請求項1〜3記載のカフ部材。
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