JPH0481050B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、回転式伝動装置の出力部材に付勢さ
れる力の実質的に一定の上限値を全ての角度位置
において設定するための制限装置に関するもので
ある。

従動装置の急激な停止が該装置に破損を与えま
たは該装置が取付けられる構造体に損傷を与えな
いように回転式伝動装置にトルク制限装置を設け
ることが知られている。例えば航空機翼のフラツ
プの如き空気流制御装置に使用される回転式伝動
装置にトルク制限装置を設ける事は極めて意義の
ある事であり、その理由はかかる回転式伝動装置
には通常かなり大きなトルクが発生し、かつ操縦
用翼面およびそれらの作動器は出来るかぎり軽量
化されねばならない反面過剰な力が加わると容易
に破損してしまうような華奢な構造体に取付けら
れねばならないからである。

英国特許第1448101号明細書は、出力トルクが
予め定めたレベルを越えると制動器が働くような
装置が開示されている。しかし、回転式伝動装置
は通常リンクアームによつて空気流制御面に連結
され、かつ所与のトルクに対し操縦翼面に作用す
る力は操縦翼面が運動するに連れて変化する。本
発明の目的は、従動装置に回転式伝動装置によつ
て作用される力が従動装置の運動範囲に亘つてほ
ぼ一定な値に制限される装置を提供することにあ
る。

本発明によれば、回転式伝動装置によつて加え
られる力を制限する装置が提供され、前記装置は
入力軸と角回転可能な出力部材と、駆動力を伝達
するために前記入力軸と前記出力部材とを各々接
続している第１および第２のクラツチ要素と、ば
ねにより軸方向に付勢される力に依存する回転ト
ルクを前記第１および第２のクラツチ要素相互間
に伝達する結合部材と、少なくとも第２のクラツ
チ要素と出力部材との相対回転を拘捉するために
前記結合部材が解除されたとき第１のクラツチ要
素に対する第２のクラツチ要素の相対回転に応答
するブレーキ要素と、前記ばねにより付勢される
力を調節するために作動するカム機構とから構成
され、さらに前記カム機構が、前記出力部材と連
結された第１の部分と前記ばねに接続された第２
の部分とを含んでおりかつ前記２つのクラツチ要
素間に伝達される回転トルクの大きさが前記出力
部材の角度位置に依存するような断面形状を備え
ていることを特徴としている。

本発明の好ましい実施態様によると、前記ブレ
ーキ要素は前記２つのクラツチ要素の休止位置へ
の移動を制御しており、また前記ブレーキ要素は
前記クラツチ要素の一方に形成された複数本のフ
インガ部分と、該要素の他方に形成された複数の
平坦面と、前記フインガ部分間に配設されかつ前
記平坦面と係合可能な複数個のころがり部材と、
２つの前記クラツチ要素の相対回転の結果として
前記平坦面により該ころがり部材が押圧される相
対的静止部とによつてそれぞれ形成されている。
さらに、この実施態様によると、前記第２のクラ
ツチ要素と前記出力部材との間の駆動伝達系が遊
星歯車列により形成されている。

本発明の一実施例を添付図面に就いて以下に説
明する。

第１図において、航空機翼１０は、その後縁付
近に図では一つのみを示す複数のフラツプ１１を
取付けている。フラツプ１１は機体内のモータ
（図示せず）によつて駆動される伝動軸１２の回
転によつて収納位置と展開位置間で可動である。
各フラツプ１１は、減速機構を備えた力制御装置
１３を会して軸１２に連結され、この減速・力制
限装置は角回転運動のみを行うように配置された
出力部材を形成している出力アーム１４（第２
図）を有している。この出力アーム１４は、リン
ケージ１５を介してフラツプ１１に連結される。
フラツプ１１に出力アーム１４から伝達された力
は、なかんずく出力アーム１４とリンケージ１５
の枢着部におけるそれら作用線のなす角度１６に
よつて定まることは明らかである。装置１３は、
フラツプ１１に加え得る力の最大値がすべての作
動位置において実質的に一定に保たれるように、
出力アームの角度位置の如何に関わらず該出力ア
ーム１４から利用できるトルクへの上限値を定め
る。

第３図は、第２図の線３−３に沿つてとられた
装置１３の全体にわたる詳細断面図である。入力
軸１２は、端部において８つの平坦面５２によつ
て囲まれた外周面を備えかつ他の管状部分より拡
大した直径を有する軸方向部分を有する第１のク
ラツチ要素を形成しているスリーブ２０と内部に
おいてスプライン結合している。かつこの拡大直
径部の他の管状部分に向いた環状面２２には複数
のくぼみ２１が穿設されている。第２のクラツチ
要素を形成している別のスリーブ２３がスリーブ
２０の外側に同軸状にかつその上を滑動可能に配
設されている。またこのスリーブ２３の一方の端
部にはスリーブ２０の外周面を形成している平坦
面５２を囲む８つの軸方向に延びるフインガ部分
２４を備えている。これらフインガ部分２４とス
リーブ２０の平坦面５２と本装置１３の相対的静
止部２５との間には８個のローラ２６が配設され
ており、これら平坦面５２、フインガ部分２４、
相対的静止部分２５およびローラ２６は１つのブ
レーキ要素を構成している。また、ローラ２６の
直径は、スリーブ２０およびフインガ２４が第４
図に示す相対位置にある状態で、ローラ２６が入
力軸１２の軸線廻りに相対的静止部２５内で自由
に回転されるように設定されている。

第２のクラツチ要素を形成しているスリーブ２
３は、スリーブ２０の環状面２２と対向する面を
もち、かつスリーブ２３のこの面は通常等間隔に
円周方向に配列された複数個のくぼみ２１と整合
されたくぼみ２７を穿設されている。これらスー
ブの結合要素を構成しているボール２８がくぼみ
２１および２７間に係合され、スリーブ２０，２
３の向かい合つた面はばね２９によつて相互に寄
せ合わされ、これによつて正常作動時にはスリー
ブ２３はスリーブ２０によつてボール２８と一緒
に駆動される。ばね２９用のばね受要素３０はス
リーブ２３上にジヤーナル受けされかつ相対的静
止部２５内を滑動し、ばね２９によるスリーブ２
３に作用する偏倚力を後述するカム機構と協働し
て変化させている。

スリーブ２３のフインガ部分２４と反対側の端
部は、入力軸１２を近接して取り囲む別のスリー
ブ４０とスプライン結合される。スリーブ２３か
ら遠い方のスリーブ４０の一端は歯車要素４１を
担持し、歯車要素４１は複合遊星歯車列４２用の
太陽歯車４１を具備する。太陽歯車４１はキヤリ
ヤ４４に支持された複数の遊星歯車４３と噛み合
つている。キヤリヤ４４上の歯は、複合遊星歯車
要素４７の一つのピニオン４６と噛み合う別の太
陽歯車４５を備えている。要素４７の別のピニオ
ン４８は、出力アーム１４と駆動力伝達可能に連
結された輪歯車４９と噛み合う。ばね２９用のば
ね受要素３０上のカム従動部分５１と常時係合し
かつこのばねの弾性力を出力アーム１４の角度に
応じて調節している正面カム５０が上記アームと
駆動的に連結されており同時にこれと共に回転す
る。なお、これら正面カム５０およびカム従動部
５１はともにカム機構の第１および第２の部分を
それぞれ構成している。

もしスリーブ２３に加わるトルク荷重がばね２
９によつて設定された偏倚力を越えると、ボール
２８がそれらのくぼみ２１および２７から離脱し
スリーブ２０および２３の相対回転を許すことと
なる。この状態が生ずると、ローラ２６は、スリ
ーブ２０と相対的静止部２５間で競り合つて固着
し、入力軸１２および出力アーム１４の相対回転
は阻止されることとなる。正面カム５０は、出力
アーム１４と相対的静止部２５を介してスプライ
ン結合しているので、これら両部材の相対角度位
置の調整はスプライン歯の噛み合わせ角度位置を
適宜選択することにより可能となつている。正面
カム５０の形状は、ばね２９によつて作用される
偏倚力をアーム１４とリンケージ１５とが成す角
度１６（第２図）範囲内において変化するように
の概ね傾斜面となつており、スリーブ２０および
２３の相対回転が阻止される回転トルクが出力ア
ームの各角度位置においてフラツプ１１に一定の
力を提供するように定められている。

【図面の簡単な説明】

第１図は、航空機翼の一部分およびフラツプを
本発明による力制限装置と共に示す概略図、第２
図は、第１図の矢印２の方向に見た拡大図、第３
図は、第２図の矢印３の方向から見た力制限装置
の断面図、第４図は第３図の線４−４に沿つて切
り取られた力制限装置の端部断面図である。 〔図中の符号〕、１０……航空機翼、１１……
フラツプ、１２……入力軸、１３……力制限装
置、１４……出力アーム、１５……リンケージ、
１６……角度、２０……スリーブ、２１……くぼ
み、２２……環状面、２３……スリーブ、２４…
…フインガ部分、２５……相対的静止部、２６…
…ローラ、２７……くぼみ、２８……ボール、２
９……ばね、３０……ばね受要素、４０……スリ
ーブ、４１……太陽歯車、４２……複合遊星歯車
列、４３……遊星歯車、４４……キヤリヤ、４５
……太陽歯車、４６……ピニオン、４７……複合
遊星歯車要素、４８……ピニオン、４９……輪歯
車、５０……正面カム、５１……カム従動部、５
２……平坦面を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回転式伝動装置によつて加えられる力を制限
   する装置１３において、 入力軸１２と角回動可能な出力部材１４と、 駆動力を伝達するために前記入力軸と前記出力
   部材とを各々接続している第１および第２のクラ
   ツチ要素２０，２３と、 ばね２９により軸方向に付勢される力に依存す
   る回転トルクを前記第１および第２のクラツチ要
   素相互間に伝達する結合部材２８と、 少なくとも第２のクラツチ要素と出力部材との
   相対回転を拘捉するために前記結合部材が解除さ
   れたとき第１のクラツチ要素に対する第２のクラ
   ツチ要素の相対回転に応答するブレーキ要素２
   ４，２５，２６，５２と、 前記ばね２９により付勢される力を調節するた
   めに作動するカム機構とから構成され、 前記カム機構が、前記出力部材と連結された第
   １の部分５０と前記ばねに接続された第２の部分
   ５１とを含んでおりかつ前記２つのクラツチ要素
   間に伝達される回転トルクの大きさが前記出力部
   材の角度位置に依存するような断面形状を備えて
   いることを特徴とする回転式伝動装置からの力の
   制限装置。 ２ 前記ブレーキ要素２４，２５，２６，５２が
   前記２つのクラツチ要素２０，２３の休止位置へ
   の移動を制御していることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項に記載の回転式伝動装置からの力の
   制限装置。 ３ 前記ブレーキ要素２４，２５，２６，５２が
   前記クラツチ要素の一方２３に形成された複数本
   のフインガ部分２４と、該要素の他方２０に形成
   された複数の平坦面５２と、前記フインガ部分間
   に配設されかつ前記平坦面と係合可能な複数個の
   ころがり部材２６と、２つの前記クラツチ要素２
   ０，２３の相対回転の結果として前記平坦面によ
   り該ころがり部材が押圧される相対的静止部２５
   とによつてそれぞれ形成されていることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項または第２項に記載の
   回転式伝動装置からの力の制限装置。 ４ 前記第２のクラツチ要素２３と前記出力部材
   １４との間の駆動力伝達系が遊星歯車列４２によ
   り形成されている前記特許請求の範囲各項の中い
   づれか１項に記載の回転式伝動装置からの力の制
   限装置。