JPH0474171B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は射出成形機の型開閉装置に係るもの
で、特に型開中の型開速度を極低速とする型開閉
装置に関するものである。

〔従来技術〕

射出成形による成形品の中には、たとえばバツ
テリーケースのように抜き勾配が小さく、薄肉で
あることが要求される形成品が多数ある。

これらの成形品の成形においては、離型時に極
低速（２ｍ／min以下）にして開放しなければ金
型に製品の一部をもつて行かれてしまい良好な成
形はできなかつた。

又ランナーと製品部の分離を型開中に行なうよ
うにしたいわゆる３枚金型等において、上記成形
品を成形する場合、ダイ後退開始から極低速で後
退することは成形サイクルが長くなつてしまい、
３枚金型のメリツトが出なくなつてしまう。

即ち、３枚金型においてはランナーと製品の分
離を中速度で行なつた後、製品と金型の離型時の
み極低速にすることができれば最も有効である。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来、何故極低速にコントロールすることがで
きなかつたのかを以下説明する。

第２図、第３図に従来の射出成形機の型締装置
ならびに油圧回路を示す。１１は型締ラムで型締
シリンダ１０に嵌合し、可動側金型取付板１２の
１端を連結し、型締ラム１１の進退動作を可動側
金型取付板１２に伝える。

１３は型締シリンダ１０の後部に形成されたプ
レフイルバルブシリンダ４１に嵌合するプレフイ
ルバルブで油タンク１５と型締ラムピストン側室
２０との通路を遮断又は連通させる。

１４はブーストラムで１端を型締シリンダ１０
の後部に固着され、１方の側は型締ラム１１に形
成されたブーストシリンダ１８に遊嵌されてお
り、型締ラム１１に高速前進動作をさせる機能を
有している。１５は油タンクで型締ラム１１前進
時、油タンク１５の油は型締シリンダ１０に吸上
げられる。

１６はブーストラム１４に形成されたプレフイ
ルバルブ閉側室２２に通じる通路で、ブーストラ
ム１４内の圧油をプレフイルバルブ閉側室２２に
伝達させるものである。

１７はブレフイルバルブ１３に形成された貫通
通路でプレフイルバルブ閉側室２２の圧油を、型
締ラムピストン側室２０に伝達するものである。

１９は型締シリンダ１０の型締ラムロツド側室
で、ここに圧油を導き型締ラム１１の後退（第３
図によると左側へ進む）動作をさせる。

２０は型締シリンダ１０の型締ラムピストン側
室でプレフイルバルブ１３の進退により型締ラム
ピストン側室２０と油タンク１５が連通又は遮断
する。

２１はプレフイルバルブ開側室、２２はプレフ
イルバルブ閉側室、２３はブーストラム１４への
管路で他端は方向切換弁２７のＡポートに接続さ
れている。

２４はプレフイルバルブ開側室２１に通じる管
路で他端は方向切換弁２６のＡポートに接続して
いる。

２５は型締シリンダ１０の型締ラムロツド側室
１９に連通する管路で、他端は方向切換弁２７の
Ｂポートに接続されている。

２６は方向切換弁でプルフイルバルブ１３の開
閉を行なう。

２７は方向切換弁で型締ラム１１の前進、後退
の動作切換を行なう。

２８は方向切換弁で、型締ラム１１後退時流量
調整弁２９の作用を後退用油圧路がうけるように
制御する。２９は流量調整弁で、型締ラム１１の
低速調整を行なうものである。

３０はポンプ、リリーフ弁等は省略してある。

以上のような構成になつているので、以下のよ
うな動作を行なう。

(1) 型締ラム前進（第２図によると右側へ進む）
時 方向切換弁２７のｂ側を励磁させて、ポンプ
３０からの圧油を管路２３を経由させてブース
トラム１４内に導く。一方ポンプ３０からの別
の経路を通る圧油は方向切換弁２８を通り、方
向切換弁２６をへてプレフイルバルブ開側室２
１に入るので、プレフイルバルブ１３は開状態
になる。即ち油タンク１５の油は型締シリンダ
１０の型締ラムピストン側室２０に連通状態と
なつている。こうしてブーストラム１４内の圧
油はブーストシリンダ１８内に充満するので型
締ラム１１は高速で前進することができる。こ
の時、油タンク１５の油が吸い込まれて型締シ
リンダ１０内の型締ラムピストン側室２０に充
満する。金型（図示していない）があわさると
方向切換弁２６を励磁し、管路２４の油を油タ
ンク１５ににがし、プレフイルバルブ閉側室２
２側の圧力により、プレフイルバルブ１３は閉
じられ、油タンク１５との通路は遮断される。
ブーストラム１４内の圧油は通路１６、プレフ
イルバルブ閉側室２２、貫通通路１７を経由し
て、型締シリンダ１０内の型締ラムピストン側
室２０に伝達され、型締ラム１１の断面積に圧
油をかけ、強力型締を行なう。

(2) 型締ラム後退（第３図によると左側へ進む）
時 方向切換弁２７のａ側を励磁し、後退側に切
換えると共に、方向切換弁２６をOFFし、圧
油をかけてプレフイルバルブ１３を開かせる。
同時に方向切換弁２８を励磁し、ポンプ３０の
圧油が流量調整弁２９で流量制御され、型締ラ
ム１１が低速で後退するようになつている。も
ちろん方向切換弁２８をOFFすれば高速後退
可能となる。

以上説明したように従来の装置において極低速
後退を行なおうとすれば、流量調整弁２９を絞り
込んで後退速度を２ｍ／min以下にするが、この
ようにするとステイツクスリツプ現象が発生し
た。これは型締ラム１１と型締シリンダ１０の間
に設けたＶパツキン４２の摺動抵抗があるため後
退時、管路２５側の圧力があがつて摺動抵抗に打
ち勝つて型締ラム１１が後退すると（型締ラムピ
ストン側室２０は油タンク１５に連続しているだ
けなので移動をおさえる力はないので）流量調整
弁２９をしぼり込んであるために、型締ラム１１
の後退量に見合う油量が急に管路２５から吸い上
げる状態になるので、逆に管路２５の圧力が低く
なることによつて発生する現象である。

〔発明の目的〕

本発明は従来の射出成形機の型開極低速（２
ｍ／min以下）回路による動作の不安定性を解消
し、確実な極低速型開速度を得ることのできる射
出成形機の型開閉装置を提供することを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

型開閉動作時に型締シリンダ油室と油タンクと
を短絡させたり、前記型締シリンダ油室とポンプ
および前記油タンクとを方向切換弁を介在した管
路により接続させたりするための切換えを行なう
プレフイルバルブを前記型締シリンダ後部に設け
た射出成形機において、前記プレフイルバルブと
同一方向に連動し、型開動作時に前記プレフイル
バルブと前記型締シリンダ油室との連通を閉とす
るロツド付シリンダを前記プレフイルバルブ後端
に設け、前記ロツド付シリンダ押圧用の管路を油
圧発生用の前記ポンプに方向切換弁を介して接続
する。

〔発明の実施例〕

本発明の１実施例を第１図に示す。従来例と重
複する部分については同一符号をつけて説明は省
略する。

第１図において３２は単動シリンダで型締シリ
ンダ１０のプレフイル部後端にプレフイルバルブ
１３の進退方向と同一方向にロツド３１がストロ
ークするように構成される。単動シリンダ３２に
圧油が導入されるとロツド３１は右進しプレフイ
ルバルブ１３を右進させる。

３３は方向切換弁で、単動シリンダ３２への圧
油を制御する。

３４は管路で方向切換弁２７のＰポートに連通
する一端を有し、他端は方向切換弁３３のＰポー
トに接続している。

３５は管路で単動シリンダ３２に一端は接続
し、他端は方向切換弁３３のＢポートに接続され
ている。

３６はリリーフ弁で管路３５の安全弁である。

３７は逆止弁で管路２３とプレフイルバルブ閉
側室２２とを結ぶ中間に管路２３側よりプレフイ
ルバルブ閉側室２２側には圧油は流れないように
取付けられている。

３８はプレフイルバルブ閉側室２２と管路４０
の連絡管路、３９はプレフイルバルブ閉側室２２
と方向切換弁３３のＡポートを結ぶ管路である。
以上のように構成されているので次の動作が可能
である。

従来例と重複する動作は省略する。

(1) 型締ラム後退（第１図によると左側へ進む）
時 方向切換弁２７のａ側を励磁し、型締ラム１
１後退動作に切換えると共に、方向切換弁２６
をOFFすると、圧油がプレフイルバルブ開側
室２１に入り、プレフイルバルブ１３は開き、
油タンク１５と連通状態となる。同時に方向切
換弁２８を励磁し、ポンプ３０の圧油が流量調
整弁２９で流量調整され、型締ラム１１は低速
で後退する。ここで型締制御からの信号（LS
信号など）により極低速開始位置の信号が入る
と方向切換弁３３のａ側が励磁され、ポンプ３
０の圧油は管路３４−３５を経由して単動シリ
ンダ３２に入り、ロツド３１を押し出す。ロツ
ド３１はプレフイルバルブ１３を右進させ型締
シリンダ１０端部に当つた状態（即ち、プレフ
イルバルブ１３閉）に保持される。この状態で
ポンプ３０の圧油は方向切換弁２７を経由し、
管路２５を通り、型締ラムロツド側室１９にひ
きつづき圧油をかけることになり、型締ラムピ
ストン側室２０の油はプレフイルバルブ１３に
形成された貫通通路１７を通り、プレフイルバ
ルブ閉側室２２に入り、その一部は通路１６を
経由してブーストシリンダ１８の油と共に管路
２３から油タンク１５ににげ、他は連絡管路３
８を通り、管路３９をへて方向切換弁３３から
油タンク１５へにげる。

このようにして、型締ラム１１の大面積に圧
力がかかり、大きな力で貫性力を弱め、型締ラ
ムロツド側室１９の少油量の圧油により制御が
可能となり極低速を実現することができた。

なお本装置により、型開制御を高速、低速、
極低速を含む速度パターンに組むことが可能と
なつた。

〔発明の効果〕

本発明により、極低速の型開速度を安定的に実
現することができたので、抜勾配の小さい薄肉成
形品の成形が容易にできるようになると共に、型
開中の必要な工程だけ、極低速にすることができ
るので高速、低速、極低速の変速パターンの組合
せによりサイクルアツプにもつながつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の射出成形機の型締装置ならび
に油圧回路を示すものである。第２図、第３図は
従来例である。 １０……型締シリンダ、１１……型締ラム、１
２……可動側金型取付板、１３……プレフイルバ
ルブ、１４……ブーストラム、１５……油タン
ク、１６……通路、１７……貫通通路、１８……
ブーストシリンダ、１９……型締ラムロツド側
室、２０……型締ラムピストン側室、２１……プ
レフイルバルブ開側室、２２……プレフイルバル
ブ閉側室、２３，２４，２５，３４，３５，３
９，４０……管路、２６，２７，２８，３３……
方向切換弁、２９……流量調整弁、３０……ポン
プ、３１……ロツド、３２……単動シリンダ、３
６……リリーフ弁、３７……逆止弁、３８……連
絡管路、４１……プレフイルバルブシリンダ、４
２……Ｖパツキン、４３……型締シリンダ油室。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 型開閉動作時に型締シリンダ油室と油タンク
   とを短絡させたり、前記型締シリンダ油室とポン
   プおよび前記油タンクとを方向切換弁を介在した
   管路により接続させたりするための切換えを行な
   うプレフイルバルブを前記型締シリンダ後部に設
   けた射出成形機において、前記プレフイルバルブ
   と同一方向に連動し、型開動作時に前記プレフイ
   ルバルブと前記型締シリンダ油室との連通を閉と
   するロツド付シリンダを前記プレフイルバルブ後
   端に設け、前記ロツド付シリンダ押圧用の管路を
   油圧発生用の前記ポンプに方向切換弁を介して接
   続したことを特徴とする射出成形機の型開閉装
   置。