JPH047395Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、変速機の潤滑油供給構造、特にオイ
ルクーラからの帰り油をトランスミツシヨン或い
はトランスフア（すなわち４輪駆動車両におい
て、トランスミツシヨンに連設され、締結解除操
作により４輪駆動と２輪駆動とに切換えをするた
めの装置）に供給する潤滑油供給構造に関する。

（従来の技術） 車両の変速機の冷却構造において、トランスミ
ツシヨン内を循環した潤滑油は、オイルクーラに
戻され、そこで冷却された後、再び帰り油となつ
てトランスミツシヨン或いはトランスフアへ供給
される。この供給口は、従来、トランスミツシヨ
ン或いはトランスフアの回転軸の半径方向に位置
して該回転軸に沿つて延びるトランスミツシヨン
或いはトランスフアのケース壁面に設けられてい
るが、トランスミツシヨンを構成する歯車等の回
転、或いはトランスフアを構成する前後輪駆動用
のクラツチの回転に伴うケース内潤滑油の回転に
よる動圧を受けるため、前記供給口を単にケース
壁面に設けるだけではオイルクーラからの帰り油
をスムーズにケース内へ供給することができな
い。

このため、従来、ケース内壁の前記供給口近傍
にリブを立設し、これをケース内潤滑油の回転に
よる動圧に対する邪魔板とすることにより上記問
題の解決を図つている。

しかしながら、ケース内壁にリブを設けること
は、ケース内のスペースを狭くしレイアウトの自
由度を減少させ、かつ、ケースの重量を重くする
こととなり非常に好ましくない。

（考案の目的） 本考案は、このような事情に鑑みなされたもの
であつて、帰り油の供給口のケース壁面に対する
取付位置をケース内潤滑油の回転による動圧を受
けない位置にして帰り油のケース内への供給をス
ムーズに行えるようにし、更に、その供給を一層
スムーズに行うために特別な工夫を施した潤滑油
供給構造を提供することを目的とするものであ
る。

（考案の構成） 本考案による変速機の潤滑油供給構造は、トラ
ンスミツシヨンまたはトランスフアのケースのエ
クステンシヨン部にオイル室と連通するオイル通
路を設け、前記オイル室内にスピードメータドリ
ブンギヤを設け、オイルクーラから前記オイル室
内に供給される潤滑油を前記ギヤの回転により前
記オイル通路を通して前記ケース内へ供給するよ
うにしたことを特徴としている。

「トランスミツシヨンまたはトランスフア」と
したのは、変速機の構造に応じて潤滑油の供給口
位置を適宜選択できるようにしたものである。ま
た、「ケースのエクステンシヨン部」とは、トラ
ンスミツシヨンまたはトランスフアの後輪用出力
軸が延びる側のケース壁面部、すなわち、該出力
軸の回転に伴うケース内潤滑油の回転による動圧
を受けない位置にあるケース壁面部を意味する。

（実施例） 以下、添付図面を参照して本考案の一実施例に
つき詳述する。

第１図は、本実施例による変速機の潤滑油供給
構造を示す断面図である。

図中、参照符号１はトランスフアであつて、ト
ランスミツシヨン（図示せず）からの入力軸２に
よる回転力を、トランスフアケース３内に設けら
れた１対の湿式摩擦クラツチ４および５の締結解
除操作によつて、後輪駆動用プロペラシヤフト
（図示せず）に連結された後輪側出力軸６に伝達
し、或いは前輪駆動用プロペラシヤフト（図示せ
ず）に連結された前輪側出力軸７に歯車列を介し
て伝達し、これにより、４輪駆動と２輪駆動との
切換操作ができるような構造となつている。

トランスフア１の後輪側出力軸６が延びる側に
は、エクステンシヨン部８が出力軸６に沿つて設
けられていて、出力軸６を間隔を置いて囲繞する
エクステンシヨンケース９がトランスフアケース
３に連設された形状となつている。出力軸６とケ
ース９との間にはオイル室１０が形成されてい
て、トランスミツシヨン（図示せず）からオイル
クーラ（図示せず）に導かれ該オイルクーラで冷
却された潤滑油が、ケース９に設けられた入口ノ
ズル１１を経てオイル室１０内に供給されるよう
になつている。

また、エクステンシヨン部８には、スピードメ
ータ（図示せず）への検出出力を与えるためのス
ピードメータドリブンギヤ１２が、オイル室１０
内の出力軸６に対して入口ノズル１１と反対側の
位置に、出力軸６と直交する方向に回転軸を有す
るようにして設けられている。このスピードメー
タドリブンギヤ１２は、出力軸６に固設されたギ
ヤ１３と噛合するようにしてケース９に取り付け
られている。

第２図は、第１図の−線断面図であつて、
スピードメータドリブンギヤ１２のケース９への
取付状態およびギヤ１３との噛合状態を別の角度
から示す。図中、ギヤ１２と同じ高さに位置して
該ギヤ１２左方のケース９内面に形成された凹状
部分は、オイル通路１４の一部を示すものであ
る。

第１図に示すように、オイル通路１４は、トラ
ンスフアケース３とエクステンシヨンケース９と
の間の１箇所に設けられ、両ケース間を連通する
ようにしてＬ字形に形成されている。

次に本実施例による潤滑油供給構造の作用を説
明する。

オイルクーラ（図示せず）から入口ノズル１１
を経てオイル室１０内に供給された潤滑油（帰り
油）は、このオイル室１０内に設けられたスピー
ドメータドリブンギヤ１２が後輪側出力軸６の回
転に伴つて回転すると、これがポンプとしての機
能を果すので、オイル通路１４の方向に導かれ、
そして、このオイル通路１４を通過してトランス
フアケース３内に供給される。その後、潤滑油は
トランスフアケース３内からトランスミツシヨン
（図示せず）を経て再びオイルクーラ（図示せず）
に導かれる。

以上、本実施例においては、４輪駆動とするこ
とが可能な車両における変速機の潤滑油供給構造
について述べたが、通常の２輪駆動の車両におい
ても、トランスミツシヨンのケースのエクステン
シヨン部に本実施例に示した潤滑油供給構造を設
けることによつて本実施例と同等の作用効果を得
ることができることは言うまでもない。

（考案の効果） 以上詳述したように、本考案による変速機の潤
滑油供給構造は、トランスミツシヨンまたはトラ
ンスフアのケースのエクステンシヨン部にオイル
室と連通するオイル通路が設けられ、このオイル
通路を通してオイル室内の潤滑油を前記ケース内
へ供給する構造となつているので、ケース内にお
けるトランスミツシヨン或いはトランスフアの回
転軸の回転に伴う潤滑油の回転による動圧の影響
を受けることがなく、スムーズにケース内への潤
滑油の供給を行うことができる。

更に、本考案による変速機の潤滑油供給構造
は、前記オイル室内にスピードメータドリブンギ
ヤが設けられ、このギヤの回転力を利用して該オ
イル室から前記オイル通路を通して前記ケース内
へ潤滑油を送り込む構造となつているので、潤滑
油の供給を一層効率的に行うことができる。

このように、本考案による変速機の潤滑油供給
構造は、従来のようにトランスミツシヨンまたは
トランスフアのケース内に潤滑油を供給するにあ
たり、供給口部分にケース内の潤滑油の動圧を避
けるための邪魔板等を設けることを全く必要とし
ないので、ケース内のスペースが潤滑油供給口の
ために制約を受けることがなく、また、変速機全
体としての軽量化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による変速機の潤滑油供給構造
の一例を示す水平断面図、第２図は、第１図の
−線断面図である。 １……トランスフア、３……ケース、８……エ
クステンシヨン部、１０……オイル室、１２……
スピードメータドリブンギヤ、１４……オイル通
路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トランスミツシヨンまたはトランスフアのケー
   スのエクステンシヨン部にオイル室と連通するオ
   イル通路を設け、前記オイル室内にスピードメー
   タドリブンギヤを設け、オイルクーラから前記オ
   イル室内に供給される潤滑油を前記スピードメー
   タドリブンギヤの回転により前記オイル通路を通
   して前記ケース内へ供給するようにしたことを特
   徴とする変速機の潤滑油供給構造。