JP4080194B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のプロペラシャフト上などに取り付けられる動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の動力伝達装置としては、例えば特開平11−208303号公報に記載された図4に示すようなものがある。図4は、動力伝達装置の断面図である。
【0003】
図4の動力伝達装置201は、例えば四輪駆動車のプロペラシャフト203とリアデファレンシャル側のドライブピニオンシャフト205との間に配置されているものである。前記動力伝達装置201は、内外回転部材207,209間にクラッチ手段211が配設され、内外回転部材207,209間のトルク伝達を行うようになっている。前記外回転部材209は、回転ケースで構成されており、前記内回転部材207は、回転軸で構成されている。前記外回転部材209の一端開口からその軸心部に前記内回転部材207を配置して両者が相対回転自在に結合され、前記内外回転部材207、209間には、シール部材213、215で密閉された空間部Sが形成され、該空間部Sに潤滑オイルが収容されている。前記内回転部材207の軸心部には、前記空間部Sに連通するオイル溜め孔217が設けられている。
【0004】
前記クラッチ手段211の作動時に、前記潤滑オイルにより該クラッチ手段211の潤滑を行うことができる。また、前記オイル溜め孔217によって前記潤滑オイルの収容量を増加させ、前記クラッチ手段211の充分な潤滑を達成することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の構造では、収容する潤滑オイルの量を増加することはできるが、四輪駆動車が上り坂を走行しているとき、或いは上り坂に駐停車した後の走行時に潤滑不足を招く恐れがあった。
【0006】
すなわち、前記空間部S内に収容される潤滑オイルは、回転抵抗などの関係から空間部S及びオイル溜め孔217内に100%充填されているものではなく、所定の空気量が存在している。そして、前記四輪駆動車の前側が後ろ側よりも高くなるとオイル溜め孔217内に存在していた空気が内外回転部材207、209間の隙間219からクラッチ手段211側へ移動することになる。従って、上り坂の走行継続時、或いは上り坂での駐停車直後の走行時等に、クラッチ手段211の上部側で潤滑不足が起こりがちとなり、クラッチ手段211の早期劣化や、焼き付きなどを招く恐れがあった。
【0007】
本発明は、潤滑オイルの収容量を増加させることができ、且つ上り坂、下り坂のいずれの場合などでも充分な潤滑が可能な動力伝達装置の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、同軸状に相対回転可能に配置された内外回転部材と、該内外回転部材間のトルク伝達を行うクラッチ手段とを備え、前記内外回転部材間に、シール部材で密閉されて前記クラッチ手段を配置する空間部を形成すると共に該空間部内に潤滑オイルを収容し、前記クラッチ手段の差動時に、潤滑オイルにより該クラッチ手段の潤滑を行う動力伝達装置において、前記内外回転部材の軸心部に、開口端が相互に対向すると共に前記潤滑オイルが収容された空間部に対し少なくとも前記開口端側から前記潤滑オイルが移行可能に連通するオイル溜め孔を設け、前記内回転部材を、回転軸で構成すると共に、前記外回転部材を、一端開口の回転ケースで構成し、前記外回転部材の一端開口からその軸心部に前記内回転部材を配置して両者を相対回転自在に結合し、前記内回転部材のオイル溜め孔を、該内回転部材の軸心部に沿って長く形成すると共に、前記外回転部材のオイル溜め孔を、該外回転部材の軸心部に前記内回転部材側のオイル溜め孔よりも大径に形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項の発明は、請求項記載の動力伝達装置であって、前記内回転部材に、前記オイル溜め孔と前記クラッチ手段が配置された空間部とを連通させる連通孔を径方向に貫通形成し、該連通孔は、前記オイル溜め孔の開口側に位置することを特徴とする。
【0011】
請求項の発明は、請求項1又は2記載の動力伝達装置であって、前記クラッチ手段は、前記内外回転部材間に介設され該内外回転部材の相対回転時に摩擦係合力を発生してトルク伝達を可能とし軸方向の押圧力に応じて摩擦係合力を増減させるメインクラッチと、通電による電磁力により摩擦係合するパイロットクラッチと、該パイロットクラッチの摩擦係合により作動し該摩擦係合力を変換し前記メインクラッチに押圧力を付与する変換手段とより成ることを特徴とする。
【0012】
【発明の効果】
請求項1の発明では、クラッチ手段により同軸状に相対回転可能に配置された内外回転部材間のトルク伝達を行うことができる。前記クラッチ手段の作動時に、空間部に充填された潤滑オイルにより該クラッチ手段の潤滑を行うことができる。
【0013】
そして、前記内外回転部材の軸心部に、開口端が相互に対向すると共に前記潤滑オイルが充填された空間部に対し少なくとも前記開口端側から前記潤滑オイルが移行可能に連通するオイル溜め孔を設けたので、該オイル溜め孔より空間部の容積を拡大することができ、潤滑オイルの収容量を十分に増大することができる。従って、十分な潤滑オイルによりクラッチ手段等の十分な潤滑を行わせることができる。
【0014】
しかも、内外回転部材のオイル溜め孔の開口端が相互に対向しているため、該動力伝達装置が、例えば四輪駆動車のプロペラシャフトなどに介設され、該四輪駆動車が上り坂或いは下り坂を走行し、又は上り坂或いは下り坂に駐停車した後走行開始するようなとき、オイル溜め孔内の空気は、内外回転部材の何れか高い側のオイル溜め孔内に偏って収容され、外周側のクラッチ手段側へ移行するのを確実に抑制することができる。従って、クラッチ手段側での空気量を減らすことができ、クラッチ手段の早期劣化や、焼き付きを確実に抑制することができる。従って、上り坂、下り坂など、双方向の傾斜状態に対し、何れの場合もクラッチ手段の潤滑オイル不足を抑制し、耐久性を著しく向上させることができる。
【0015】
また、前記内回転部材を、回転軸で構成すると共に、前記外回転部材を、一端開口の回転ケースで構成し、前記外回転部材の一端開口からその軸心部に前記内回転部材を配置して両者を相対回転自在に結合し、前記内回転部材のオイル溜め孔を、該内回転部材の軸心部に沿って長く形成すると共に、前記外回転部材のオイル溜め孔を、該外回転部材の軸心部に前記内回転部材側のオイル溜め孔よりも大径に形成することができる。このため、内回転部材の軸方向に長くなる部分を利用し、且つ外回転部材の径方向に大きくなる部分を利用してオイル溜め孔を充分に拡大することができる。従って、収容する潤滑オイルの量を確実に増大することができると共に、前記何れの傾斜状態に対しても空気をオイル溜め孔内に充分に留めておくことができ、クラッチ手段の潤滑オイル不足をより確実に抑制し、耐久性をより向上させることができる。
【0016】
請求項の発明では、請求項の発明の効果に加え、前記内回転部材に貫通形成した径方向の連通孔により、前記オイル溜め孔と前記クラッチ手段が配置された空間部とを連通させることができ、オイル溜め孔内の潤滑オイルを連通孔から遠心力などによりクラッチ手段側の空間部内へ移行させることができる。しかも、連通孔はオイル溜め孔の開口側に位置するので、空気をオイル溜め孔の奥側へ移行させて収容することができ、クラッチ手段の潤滑オイル不足をより確実に抑制し、耐久性をより向上させることができる。
【0017】
請求項の発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、通電による電磁力によりパイロットクラッチが摩擦係合すると、変換手段が該摩擦係合力を変換し、メインクラッチに押圧力を付与することができる。この押圧力に応じて、メインクラッチでは摩擦係合力を増減させることができる。そしてこのメインクラッチにより内外回転部材の相対回転時に摩擦係合力を発生し、内外回転部材間にトルク伝達を行わせることができる。
【0018】
従って、四輪駆動車のプロペラシャフト上に介設されたような場合には、メインクラッチの締結によって四輪駆動を可能にすると共に、低速旋回時に前後輪間に回転差が生じたときにはメインクラッチを緩めて、いわゆるタイトコーナーブレーキング現象を抑制することができる。
【0019】
そして、このような作動時に、充分な潤滑オイルによりメインクラッチ、パイロットクラッチ、変換手段等を潤滑することができ、クラッチ手段の微妙な作動を確実に行わせることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は、本発明の一実施形態を示している。図1は本発明の一実施形態に係る動力伝達装置の車体側への取付状態を示す概略側面図、図2は同スケルトン平面図、図3は一実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。
【0021】
図1,図2のように、動力伝達装置1は、自動車である四輪駆動車3の入力側回転部材であるフロントプロペラシャフト5と、出力側回転部材であるリアプロペラシャフト7との間に介在され、両プロペラシャフト5,7にそれぞれ結合されて両プロペラシャフト5,7間のトルク伝達を行うようになっている。
【0022】
前記動力伝達装置1は、後述する内外回転部材の少なくとも一方、本実施形態では双方に軸方向外端部に同軸に突出するマウント軸部9,11が設けられている。このマウント軸部9,11の先端側には、マウント軸部9,11先端からフランジ部材13,15が嵌合され、相対回転不能に固定されている。
【0023】
前記フランジ部材13は、前記フロントプロペラシャフト5の結合フランジ17に締結結合されている。前記フランジ部材15は、前記リアプロペラシャフト7の結合フランジ19に締結結合されている。従って、両フランジ部材13,15をプロペラシャフト5,7間に介在させて、該プロペラシャフト5,7に軸結合した構成となっている。
【0024】
前記マウント軸部9,11の基部側上にはマウント支持部21,23が設けられている。このマウント支持部21,23は、固定側である四輪駆動車3のフロアパネル25下面に取り付けるマウント部材27,29を支持するためのものである。
【0025】
尚、図1,図2においてエンジン31の出力はトランスミッション33からフロントデファレンシャル35、アクスルシャフト37を介して前輪39へ伝達される。またエンジン31の出力はトランスミッション33、トランスファ41を介してフロントプロペラシャフト5に伝達される。このフロントプロペラシャフト5の出力は、動力伝達装置1を介してリアプロペラシャフト7へ伝達され、さらにリアデファレンシャル43、アクスルシャフト45を介して後輪47へ伝達される。
【0026】
前記動力伝達装置1の詳細は図3のようになっている。
【0027】
図3のように、前記動力伝達装置1は、内回転部材49と外回転部材51とを備え、これら内外回転部材49,51は同軸状に相対回転可能に配置されている。すなわち、前記内回転部材49を、外回転部材51の軸心部全体に渡る回転軸で構成すると共に、前記外回転部材を、一端開口の後述する回転ケース79で構成し、前記外回転部材51の一端開口からその軸心部に前記内回転部材49を配置して両者を相対回転自在に結合している。これら内外回転部材49,51間にクラッチ手段53が配設されて、内外回転部材49,51間のトルク伝達を行う構成となっている。
【0028】
前記内回転部材49には、軸心部に一端開放のオイル溜め孔55が設けられている。このオイル溜め孔55は外回転部材51の軸心部全体に渡る内回転部材49に長く形成され、充分な容積を確保している。
【0029】
前記内回転部材49の外周側には雄スプライン57が設けられている。前記内回転部材49には、前記オイル溜め孔55から前記雄スプライン57側へ径方向に連通孔58が貫通形成されている。この連通孔58は、前記オイル溜め孔55の開口側に配置されている。この連通孔58は、例えば軸方向3箇所、周方向ではそれぞれ2箇所程度に設けられて、前記オイル溜め孔55と前記クラッチ手段53が配置された後述する空間部S1とを連通させている。
【0030】
前記内回転部材49の軸方向外端部に前記マウント軸部11が一体に設けられている。このマウント軸部11の基部側には、前記マウント部材29が支持され、先端側には、前記フランジ部材15が相対回転不能にスプライン嵌合されている。前記マウント軸部11の端部には、ナット75が締結され前記マウント部材29、フランジ部材15が軸方向に位置決められながら締結固定されている。
【0031】
前記外回転部材51は、前記回転ケース79で構成され、該回転ケース79の開口側に端板部材81が設けられている。前記回転ケース79の内周面には雌スプライン83が設けられ、開口側内周には雌ねじ部85が設けられている。前記端板部材81の外周面には雄ねじ部87が設けられ、前記雌ねじ部85に螺合して端板部材81が前記回転ケース79に取り付けられている。前記端板部材81の端部外周にはナット89が締結され、前記回転ケース79と端板部材81との間の緩み止めが行われている。また前記回転ケース79の開口側において、前記端板部材81との間にOリング等のシール部材91が介設されている。
【0032】
前記端板部材81は、内周側においてニードルベアリング93を介し前記内回転部材49の外周面に回転自在に支持されている。このニードルベアリング93の軸方向外側において、前記端板部材81と前記内回転部材49との間は、Xリング等のシール部材95が介設されている。前記Xリングは高速相対回転、及び高内圧に耐えるシールとして設定されている。
【0033】
前記回転ケース79には、閉止側の端板部97内周側に軸受孔99が設けられている。この軸受孔99には、前記内回転部材49の先端との間にボールベアリング101が設けられ、前記回転ケース79の端板部97と内回転部材49の先端とが相対回転自在となっている。
【0034】
前記端板部97には、オイル注入孔103が設けられ、スチールボール105が圧入されている。前記端板部97には、前記マウント軸部9が固定されている。
【0035】
前記マウント軸部9には、基端側に結合用のフランジ部107が設けられ、該フランジ部107が前記端板部97にボルト109によって締結固定されている。前記マウント軸部9の基端には、前記軸受孔99に嵌合する嵌合部111が周回状に設けられている。この嵌合部111と前記端板部97との間には、Oリング等のシール部材115が設けられている。
【0036】
前記マウント軸部9の基部121は、前記内回転部材49の回転軸よりも径が若干太く形成されている。この基部121には、端部に開口したオイル溜め孔117が軸心部に設けられている。この基部121の太い径を利用してオイル溜め孔117を前記内回転部材49側のオイル溜め孔55よりも大径に形成している。前記オイル溜め孔117の開口端123と前記内回転部材49のオイル溜め孔55の開口端125とは、潤滑オイルが流通可能な僅かな隙間127をもって相互に対向している。
【0037】
前記内外回転部材49,51間には、前記シール部材91,95,115で密閉された空間部S1が形成され、この空間部S1に前記前記オイル溜め孔55,117が隙間127からボールベアリング101を通って連通している。
【0038】
前記空間部S1、オイル溜め孔55,117内には、オイル注入孔103から潤滑オイルが充填収容されている。この潤滑オイルの充填は100%の充填ではなく、前記クラッチ手段53の回転抵抗を考慮してある程度の空気量を含んでいるものである。
【0039】
前記マウント軸部9の基部121側には、前記マウント部材27が支持され、先端側には、前記フランジ部材13が相対回転不能にスプライン嵌合されている。前記マウント軸部9の端部には、ナット139が締結され前記マウント部材27、フランジ部材13が軸方向に位置決められながら締結固定されている。
【0040】
前記クラッチ手段53は、前記空間部S1内に配置されている。このクラッチ手段53は、メインクラッチ143と、パイロットクラッチ145と、変換手段147とを備えている。前記メインクラッチ143は、前記内外回転部材49,51間に介設され、該内外回転部材49,51の相対回転時に摩擦係合力を発生してトルク伝達を可能とし、軸方向の押圧力に応じて摩擦係合力を増減さえる構成となっている。
【0041】
前記メインクラッチ143は、複数の内摩擦板149と、複数の外摩擦板151とが軸方向に交互に配設され、前記内摩擦板149が前記内回転部材49の前記雄スプライン57にスプライン係合され、前記外摩擦板151が前記回転ケース79の前記雄スプライン83にスプライン係合されている。
【0042】
前記パイロットクラッチ145は通電による電磁力によって摩擦係合する構成となっている。この前記パイロットクラッチ145は、内摩擦板153と外摩擦板155とを備えている。前記外摩擦板155は、前記回転ケース79の前記雌スプライン83にスプライン係合し、前記内摩擦板153は、前記変換手段147側にスプライン係合されている。
【0043】
前記パイロットクラッチ145を摩擦係合させる電磁力を発生させるために、電磁コイル155がコア157に設けられている。前記コア157は、前記端板部材81の外面側に備えられ、ボールベアリング159によって前記端板部材81に対し支持されている。従って、コア157側を固定側として構成することができる。このコア157の端部外周には、固定側への係合のために凹部189が設けられている。
【0044】
前記端板部材81には、ステンレス鋼等で構成された非磁性材料のリング161が周回状に介設されている。また端板部材81に対しパイロットクラッチ145を挟んでアーマチャ162が設けられている。アーマチャ162の外周は、前記回転ケース79の雌スプライン83にスプライン嵌合している。
【0045】
従って、前記電磁コイル155への通電によって電磁力が発生し、アーマチャ163が端板部材81側へ引かれることによって、パイロットクラッチ145が締結され摩擦係合する構成となってる。前記電磁コイル155のリード線163は、支持部材165によって端部が支持されたチューブ167を通して配索されている。
【0046】
前記変換手段147は、リング状のカムプレート169及びプレッシャプレート171と、該カムプレート169及びプレッシャプレート171に形成されたカム面間に介設されたスチールボール173とからなっている。
【0047】
前記カムプレート169は、前記内回転部材49の外周面に相対回転自在に配置され、該カムプレート169と前記端板部材81との間にスラスト力を受けるためのニードルベアリング175が介設されている。このカムプレート169の外周面には、前記パイロットクラッチ145の内摩擦板153がスプライン係合している。
【0048】
前記プレッシャプレート171は、内周側が前記内回転部材49の雄スプライン57にスプライン嵌合し、外周側が前記メインクラッチ143の端部の内摩擦板149に軸方向に対面している。前記プレッシャプレート171には貫通孔177が設けられ、プレッシャプレート171が軸方向に移動するときオイルを通過させ、プレッシャプレート171の作動を円滑にするようにしている。
【0049】
前記動力伝達装置1の外側は主カバー179及び端部カバー180で覆われている。前記主カバー179の端部181は、マウント部材27側に嵌合し、前記端部カバー180の端部183は、前記マウント部材29側に嵌合している。また主カバー179と端部カバー180との間にはOリングなどのシール部材185が設けられている。前記端部カバー180は、前記コア157の凹部189に係合して、該コア157の回転規制を行っている。
【0050】
そして、前記電磁コイル155に通電されると、前記リング161の回りにアーマチャ162を含めて磁力線が形成され、通電強度に応じてアーマチャ162が端板部材81側へ引かれることになる。このアーマチャ162の吸引によって、パイロットクラッチ145が締結され、該パイロットクラッチ145を介し変換手段162のカムプレート169が回転ケース79に対し相対回転が規制される。
【0051】
このとき前記内外回転部材49,51間に相対回転が起こると、プレッシャプレート171がカムプレート169に対し相対回転し、スチールボール173がカムプレート169及びプレッシャプレート171のカム面を乗り上げる。前記カムプレート169は、ニードルベアリング175を介して、端板部材81側に軸方向に支持されているため、プレッシャプレート171は軸方向反力によってメインクラッチ143側へ軸方向移動する。これによって、メインクラッチ143が回転ケース79の端板部97との間に締結され、内外回転部材49,51の相対回転時に摩擦係合力を発生して、トルク伝達を可能にする。この場合の伝達トルクは、前記電磁コイル155への電流の印加に応じて増減することになる。従って、前記電磁コイル155に通電が行われなければ、前記変換手段147は働かず、メインクラッチ143は摩擦係合力を発生せず、内外回転部材49,51は相対回転自在となる。
【0052】
このようにして前記電磁クラッチ155に電流が印加されなければ、内外回転部材49,51間の相対回転が自在となり、フロントプロペラシャフト5からリアプロペラシャフト7へのトルク伝達は行われず、エンジン31からトランスミッション33、フロントデファレンシャル35、アクスルシャフト37を介して前輪39側へのみトルク伝達が行われ、二輪駆動状態となる。
【0053】
また前記電磁コイル155への伝達が行われると、内外回転部材49,51間のトルク伝達が可能となり、エンジン31からトランスミッション33、トランスファ41、フロントプロペラシャフト5、動力伝達装置1、リアプロペラシャフト7、リアデファレンシャル43、アクスルシャフト45を介して後輪47側へもトルク伝達が行われ、四輪駆動状態にすることができる。
【0054】
またこの四輪駆動状態も、発進時、高速走行時、低速走行時等に応じて、電磁コイル155の印加電圧を微妙に調整することによって、最適な走行状態を得ることができる。また低速旋回走行時には、後輪47側へのトルク配分量を減らすことによって、いわゆるタイトコーナーブレーキング現象を抑制することができる。
【0055】
前記メインクラッチ143やパイロットクラッチ145が差動回転により摺動するときは、空間部S1、オイル溜め孔55,117内に収容された潤滑オイルにより潤滑することができる。その他、雄スプライン57,雌スプライン83の部分、変換手段147のカム部やボールベアリング101、ニードルベアリング93ノブ分をも潤滑することができる。しかも、オイル溜め孔55,117により空間部S1の容積を拡大することができ、潤滑オイルの収容量を大幅に増大することができる。従って、前記各部を、充分な潤滑オイルにより確実に潤滑することができる。
【0056】
前記差動回転が起こったとき、オイル溜め孔55内の潤滑オイルは、遠心力により連通孔58から雄スプライン57の部分を介してメインクラッチ143側へ移行する傾向となる。また、オイル溜め孔117内の潤滑オイルは、遠心力により隙間127からボールベアリング101の部分を介してメインクラッチ143側へ移行する傾向となる。従って、前記潤滑を確実に行うことができる。
【0057】
この状態で、車両が上り坂への走行に移ると、前方側のオイル溜め孔117側が後方側のオイル溜め孔55に対して相対位置が次第に高くなる。このとき、オイル溜め孔55内に存在していた空気は隙間127側へ移行する。隙間127側へ移行した空気は隙間127から直ちにメインクラッチ143側へ移行するのではなく、ボールベアリング101の部分や隙間127の外周側に存在する潤滑オイルの抵抗を受けて隙間127をそのまま通過してオイル溜め孔117側へ移行する。このため、車両が傾斜角θの上り坂に移行した後、空間部S1内からオイル溜め孔117にかけての油面は図3の一点鎖線のような状態となり、空気はオイル溜め孔117内のA部に偏って収容されることになる。
【0058】
こうして、上り坂の走行時でも、空気がメインクラッチ143側へ移行するのを抑制することができ、前記潤滑を確実且つ充分に行わせることができる。
【0059】
しかも、対向するオイル溜め孔117、55は、オイル溜め孔117がオイル溜め孔55よりも大径であるため、上記のような上り坂へ移行する過程にあるとき、傾斜するオイル溜め孔55の開口端上部上方にオイル溜め孔117の開口端上部が位置することとなり、オイル溜め孔55からオイル溜め孔117への空気の移行が、確実に行われる。従って、前記空気のオイル溜め孔117内への偏った収容を確実に行わせることができる。
【0060】
このような作用は、車両が上り坂で駐停車後に走行する場合でも同様である。すなわち、車両が上り坂で駐停車するときにも、空気をオイル溜め孔117内に偏って収容させることができ、走行を開始するときでも、メインクラッチ143側に充分な潤滑オイルを供給することができ、潤滑を充分に行わせることができる。特に、上り坂での発進時は、四輪駆動車3の場合、後輪47側へのトルク配分を増加させると円滑な発進を行わせることができ、その分メインクラッチ143等での負荷が大きく充分な潤滑を必要とするが、前記のようにして充分な潤滑を確実に行わせ、円滑な発進を行うことができる。
【0061】
また、車両が下り坂走行を行うときは、前記とは逆の作用により、空気がオイル溜め孔55の奥側に偏って収容される状態となり、同様に充分な潤滑を行わせることができる。特に、オイル溜め孔55は長く形成され、連通孔58がオイル溜め孔55の開口側に位置する形態となっているため、連通孔58から潤滑オイルをメインクラッチ143側へ移行させながら、オイル溜め孔55内へ移行した空気は、連通孔58の存在に係わらずオイル溜め孔55の奥側へ確実に収容させることができ、メインクラッチ143側の充分な潤滑を行わせることができる。
【0062】
こうして、クラッチ手段53側での空気量を減らすことができ、クラッチ手段53の早期劣化や、焼き付きを確実に抑制することができる。従って、上り坂、下り坂など、双方向の傾斜状態に対し、何れの場合もクラッチ手段53の潤滑オイル不足を抑制し、耐久性を著しく向上させることができる。
【0063】
前記オイル溜め孔55を前記内回転部材49の軸心部に沿って長く形成すると共に、前記オイル溜め孔117を前記外回転部材51の軸心部に前記オイル溜め孔55よりも大径に形成したため、オイル溜め孔55,117を充分に拡大することができる。従って、収容する潤滑オイルの量を確実に増大することができると共に、前記何れの傾斜状態に対しても空気をオイル溜め孔55,117の何れか内に充分に留めておくことができ、クラッチ手段53の潤滑オイル不足をより確実に抑制し、耐久性をより向上させることができる。
【0064】
尚、上記実施形態では、動力伝達装置1をプロペラシャフト5,7間に連結する構造を説明したが、例えばアクスルシャフト37,45等に介設するする場合でも左右何れの傾斜に対しても上記同様充分な潤滑を行わせることができる。
【0065】
前記動力伝達手段1は、内回転部材49側をフロントプロペラシャフト5側に結合する構成にすることもできる。
【0066】
前記クラッチ手段53は、流体の粘性抵抗を利用した構造のもの、あるいはドグクラッチを電気的に連結する構造のもの、さらにはコーンクラッチなど種々のものを用いることができる。また結合部であるフランジ部材13,15は、相手側に結合できる構造のものであればよく、スプライン等によって結合する構造のものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係り、動力伝達装置の搭載状態を示す四輪駆動車駆動系の側面概略図である。
【図2】一実施形態に係り、動力伝達装置の搭載状態を示す四輪駆動車のスケルトン平面図である。
【図3】一実施形態に係り、動力伝達装置の断面図である。
【図4】従来例に係り、動力伝達装置の断面図である。
【符号の説明】
1 動力伝達装置
49 内回転部材
51 外回転部材
53 クラッチ手段
55,117 オイル溜め孔
79 回転ケース
91,95,115 シール部材
143 メインクラッチ
145 パイロットクラッチ
147 変換手段
S1 空間部

Claims (3)

  1. 同軸状に相対回転可能に配置された内外回転部材と、
    該内外回転部材間のトルク伝達を行うクラッチ手段とを備え、
    前記内外回転部材間に、シール部材で密閉されて前記クラッチ手段を配置する空間部を形成すると共に該空間部内に潤滑オイルを収容し、
    前記クラッチ手段の差動時に、潤滑オイルにより該クラッチ手段の潤滑を行う動力伝達装置において、
    前記内外回転部材の軸心部に、開口端が相互に対向すると共に前記潤滑オイルが収容された空間部に対し少なくとも前記開口端側から前記潤滑オイルが移行可能に連通するオイル溜め孔を設け、
    前記内回転部材を、回転軸で構成すると共に、前記外回転部材を、一端開口の回転ケースで構成し、
    前記外回転部材の一端開口からその軸心部に前記内回転部材を配置して両者を相対回転自在に結合し、
    前記内回転部材のオイル溜め孔を、該内回転部材の軸心部に沿って長く形成すると共に、前記外回転部材のオイル溜め孔を、該外回転部材の軸心部に前記内回転部材側のオイル溜め孔よりも大径に形成したことを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1記載の動力伝達装置であって、
    前記内回転部材に、前記オイル溜め孔と前記クラッチ手段が配置された空間部とを連通させる連通孔を径方向に貫通形成し、
    該連通孔は、前記オイル溜め孔の開口側に位置することを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項1又は2記載の動力伝達装置であって、
    前記クラッチ手段は、前記内外回転部材間に介設され該内外回転部材の相対回転時に摩擦係合力を発生してトルク伝達を可能とし軸方向の押圧力に応じて摩擦係合力を増減させるメインクラッチと、
    通電による電磁力により摩擦係合するパイロットクラッチと、
    該パイロットクラッチの摩擦係合により作動し該摩擦係合力を変換し前記メインクラッチに押圧力を付与する変換手段とより成ることを特徴とする動力伝達装置。
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