JPH0472289B2

JPH0472289B2 -

Info

Publication number: JPH0472289B2
Application number: JP56168728A
Authority: JP
Inventors: Norimichi Tokuda; Yutaka Nakajima
Original assignee: TDK Corp
Current assignee: TDK Corp
Priority date: 1981-10-23
Filing date: 1981-10-23
Publication date: 1992-11-17
Also published as: JPS5870425A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は磁気記録媒体に関し、特に磁性塗膜中
の磁性粒子の分散性が良く、塗膜表面の平滑性が
優れ、かつ耐久性の優れた磁気記録媒体に関す
る。磁気記録テープ、特にビデオ用磁気記録テープ
は、短波長での高再生出力を得、Ｓ／Ｎを向上さ
せるために、磁性粒子の磁性塗膜への一様な分散
性及び磁性塗膜の高度の表面平滑性が要求され、
また信頼性、耐久性等においてもより長時間、よ
り多数回の使用にも耐え得る物性が要求されてい
る。上記の要求に応えるために、従来磁性塗膜用の
バインダーとして種々の樹脂の組合せ組成が提案
されている。これらの提案によつて、物性的には
一応の成果が得られているが、分散性及び表面平
滑性の向上は未だ十分な状態にあるとは言えな
い。分散性を向上するために提案された技術に
は、例えば界面活性剤を分散剤として使用する、
或いはバインダー樹脂の分子内の親水基（たとえ
ばOH基、COOH基等）の含有量を増す等の方法
があるが、前者においては、磁性塗膜中に低分子
量の界面活性剤が存在することによる物性の劣
化、経時変化等の不具合があり、又後者において
は若干の向上は見られるがカーボンブラツク等の
分散性の悪い物質を含む場合とか、分散性の悪い
樹脂と組み合せて使用する場合は十分なる分散は
得られないものであつた。又、一般に分散性が良
くなれば表面平滑性も向上するものであるが、分
散性の悪い樹脂を使用しても、軟かい樹脂を大量
に使用すればカレンダー等の表面加工を行なうこ
とにより表面平滑性による変調ノイズを下げるこ
とは出来るが、分散不足によるノイズが有る。
又、軟かい樹脂を多用することにより、磁性塗膜
のマサツが上がり、耐久性等においても望ましい
ものではない。本発明はこれらの欠点を改良して、分散性、表
面平滑性が優れ、また耐久性にも優れた磁気記録
媒体を提供することを目的とする。本発明者等は、種々の検討及び実験を重ねた結
果、分散性の非常に優れた特殊のポリウレタン樹
脂と、分散性を改善した塩化ビニル・酢酸ビニル
共重合体と、ニトロセルロースとをバインダー成
分とし且つこれをイソシアネート化合物で架橋す
ることにより、分散性、塗料安定性、表面平滑性
及び走行耐久性の優れた磁気記録媒体を提供する
ことができた。本発明に使用するポリウレタン樹脂は、一般に
金属スルホン酸塩より成る基、好ましくはスルホ
ン酸ナトリウム基（以下−SO₂Na基）を含有す
るポリウレタン樹脂である。−SO₂Na基を側鎖と
して有することにより、分散剤を使用するのと同
じ効果を発揮し、かつ低分子量の分散剤を用いる
場合と欠点のないバインダーが提供できる。本発明者は、特開昭57−58227号等において、
スルホン酸ナトリウム基を含有するポリウレタン
樹脂等を使用した磁気記録媒体を提案した。これ
によりポリウレタン樹脂等の分散性は飛躍的に向
上したが、磁気記録媒体の諸物性を向上させるた
めに他の樹脂と併用すると、折角の分散性がやや
阻害される傾向が見られた。従つて、本発明は上記の欠点のないバインダー
組成を鋭意探求した結果、上記改良型のポリウレ
タン樹脂に、ビニルアルコール成分を８％以上含
有する塩化ビニル。酢酸ビニル共重合体を組合
せ、さらにこれらをイソシアネート化合物で架橋
することにより、分散性、表面平滑性が非常に優
れ、しかも走行耐久性のすぐれた磁気記録媒体を
得ることができた。しかし、良く検討して見る
と、この磁気記録媒体のバインダー成分は、磁性
粒子、溶剤及び他の添加成分と混合分散して磁性
塗料とした場合に、溶剤が分離し易く、塗料の状
態で放置しないで直ちに基材に塗布しなければな
らないことが分つた。よつてさらに低分子物質を
使用しないで物性、分散性、表面平滑性を維持
し、さらに塗料安定性をなくすように検討を加え
た結果、直前に述べたバインダーにさらにニトロ
セルロースを加えることで塗料安定性の良い優れ
た磁気記録媒体を得た。本発明に使用される−SO₃Na基含有ポリウレ
タン樹脂は、ジカルボン酸成分（テレフタル酸、
イソフタル酸、セバシン酸等）、多価アルコール
成分（エチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール等）および−SO₃Na基を有するジカルボン
酸成分（５−ナトリウムスルホイソフタル酸等）
を重縮合して得たポリエステル樹脂を、ジフエニ
ルメタン４，4′ジイソシアネート（MDI）でウレ
タン化したものであるが、必要に応じてポリエス
テル樹脂を生成する成分として種々のジカルボン
酸と多価アルコール成分とを組み合せて使用する
ことが出来、又、ポリエステル樹脂に反応させる
イソシアネート成分としては種々のジイソシアネ
ート化合物、たとえばヘキサメチレンジイソシア
ネート（HMDI）、トルエンジイソシアネート
（TDI）、１，５−ナフタレンジイソシアネート
（NDI）、トリジンジイソシアネート（TODI）、
リジンジイソシアネートメチルエステル（LDI）
などが使用できる。本発明に使用する塩化ビニル・酢酸ビニル共重
合体は、従来の塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体
のビニルアルコール成分が０〜４％程度であつた
ものを８％以上にしたもである。この共重合体自
体は公知であるが、磁気記録媒体としては使用さ
れていなかつた。なぜなら、ポリウレタンと８％
以上の多量のOH基を含む塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−ビニルアルコール共重合体とよりなるバイン
ダでは、溶剤の分離が行われてポツトライフの優
れた適正な塗料が得られないからである。本発明
は、ポリウレタン樹脂に−SO₃Na基を導入した
ものを併用することにより、溶剤の分離しにくい
磁性塗料を提供した。この共重合体を使用する
と、−OH基の親水性の為磁性粉表面（親水性）
との濡れが良くなり分散性が向上する（本発明に
おけるポリウレタン樹脂の−SO₃Na基はこれの
更に優れたものである）が、０〜５％ではほとん
ど効果がなく、６％を越えるとその効果があらわ
れ、約８％でその効果が大きく発揮され、それ以
上ではその効果は飽和する。ビニルアルコール成
分を８％以上含有する塩化ビニル・酢酸ビニル共
重合体は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とし
ては非常に優れた分散性を有するが、本発明のよ
うに優れた分散性を有する樹脂と組み合せて使用
することにより、はじめて従来得られなかつた非
常に高分散性の磁気記録媒体用バインダーを提供
するものである。また本発明の実施例で塗料安定性を向上させる
ために使用したニトロセルロースはＨ1/2秒（JIS
K6703に従つて測定した値で、Ｈはニトロセルロ
ース硝酸エステル化の割合が11.5〜12.2％である
ことを示し、1/2秒は溶液粘度の指標であり、重
合度80〜95に相当する）である。ポリウレタン樹脂と塩化ビニル・酢酸ビニル共
重合体とニトロセルロースとの組み合せは、磁気
記録媒体用バインダーとしては走行耐久性等物性
の優れたものであるが、磁気記録媒体が使用され
る環境のうち高温（40〜50℃）では充分な耐用度
を有するとはいえないことが分つた。本発明は、
イソシアネート化合物を用いて架橋を行なうこと
によつてこの点についても改良を行ない、非常に
分散性、表面平滑性が優れかつ、耐久性の優れた
磁気記録媒体を提供するものである。本発明に使
用出来るイソシアネート化合物は、イソシアネー
ト基を２個以上有するイソシアネート化合物、ま
たはそれらのアダクト体（２量体、３量体等のア
ダクト体、又は２価又は３価の多価アルコールと
のアダクト体等）である。本発明において使用される磁性粉は、γ−酸化
鉄、コバルト被着γ−酸化鉄、コバルトドープγ
−酸化鉄、CrO₂、合金磁性粉、メタル磁性粉等
である。又、必要に応じて帯電防止剤、カーボンブラツ
ク、潤滑剤、非磁性無機顔料等を添加して使用し
てもよい。以下、本発明の実施例を説明する。本発明の実施例に使用した樹脂を以下に示す。ポリウレタン樹脂

【表】塩化ビニル酢酸ビニル共重合体

【表】実施例

【表】

【表】重量部コバルト被着γ−Fe₂O₂ 400 ポリウレタン樹脂（表−１による） 50 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体（表−１によ
る） 30 ニトロセルロース 20 カーボンブラツク 30 潤滑剤 10 非磁性無機顔料 20 メチルエチルケトン 400 トルエン 400 表−１の樹脂の組み合せで上記組成物を通常用
いられる方法により充分分散した後、ポリエチレ
ンテレフタレートフイルム上に乾燥後5μ厚とな
るように塗布し乾燥した。得られた磁気記録媒体の磁性塗膜の表面反射率
を測定したところ、第１図に示す結果を得た。図
中１〜12はそれぞれ表−１の試料１〜12に対応す
る。以上の結果から分るように、ポリウレタン樹脂
に−SO₃Na基を含有させることにより、磁気記
録媒体の表面平滑性の向上は非常に大きくなる。
又、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体中のビニル
アルコール成分の量を６％以上に調整すると、表
面平滑性はさらに向上し、約８％で非常に改善さ
れ、ビニルアルコール成分が約８％を越えると、
表面平滑性に対する効果は飽和する。次に、表−１の組成のうち、試料12の組成を用
い、ポリウレタン樹脂の量は50重量部一定とし、
塩酢ビとニトロセルロースの比率を種々に変化
させ、同様に磁気記録媒体を製造した。塗料安定
性（溶剤分離）を測定したところ第２図の結果を
得た。なお図中30／20は試料12に対する結果であ
る。塗料安定性は塗料を沈降管に入れて24時間静
置して溶剤の分離があつたかどうかを見るもの
で、図中40／10の場合には分離が全然生じなかつ
た。以上の結果により、ニトロセルロースは５％以
上あれば良好な塗料安定性が得られる。また、試
料１〜12と同様に磁気記録テープとしたところ、
ニトロセルロースが40％以上になるとカレンダー
加工性が悪くなり、表面性が低下し、表面反射率
が低下した。試料１〜12の中でも最もすぐれたものの１つで
ある試料12の塗料組成物に、イソシアネート化合
物としてデスモジユールＬ（バイエル社製）を20
重量部添加した後、試料１〜12の処理プロセスと
同様の方法で塗布・乾燥し、次いでカレンダー加
工した後、所定の温度で熱処理して硬化を行い、
適宜の幅に切断して磁気記録テープ（以下実施令
テープと呼ぶ）を得た。一方、試料12の磁気記録
媒体にカレンダー加工を施し、同様にテープ化し
たもの（以下比較テープと呼ぶ）を比較のために
用いた。結果は次表に示す通りであつた。

【表】以上の結果より−SO₃Na含有ポリウレタン樹
脂とビニルアルコール成分を８％以上含有する塩
化ビニル・酢酸ビニル共重合体とニトロセルロー
スとをバインダー成分とし、かつイソシアネート
化合物を架橋剤として使用した磁気記録媒体は、
分散性、表面性及び塗料安定性に優れかつ耐久性
も優れたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体中の
ビニルアルコール成分及びポリウレタン樹脂中の
スルホン酸ナトリウム基が、磁気記録媒体の表面
反射率に及ぼす影響を示すグラフである。第２図
はニトロセルロースが塗料安定性に及ぼす影響を
示すグラフである。

Claims

【特許請求の範囲】１スルホン酸金属塩の基を有するポリウレタン
樹脂とビニルアルコール成分を８％以上含有する
塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とニトロセルロ
ースとより成るバインダーに、イソシアネート化
合物を架橋剤として含有させ、磁性粉末を分散さ
せた磁性塗膜を支持体上に被着して成る、磁気記
録媒体。２スルホン酸金属塩の基は−SO₃Naである、
特許請求の範囲第１項記載の磁気記録媒体。３ニトロセルロースがバインダー樹脂成分に対
して5wt％以上でかつ40wt％未満含有される特許
請求の範囲第１項又は第２項記載の磁気記録媒
体。