JPH047226B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、それ自体で消臭・脱臭効果を有する
植物体抽出物をシクロデキストリンおよびその誘
導体と混和固型化することにより、その用途分野
を拡大した固型消臭・脱臭剤およびその製造方法
に関するものである。

従来の技術 植物体抽出物またはその加水分解物を含有して
なる消臭・脱臭剤としては、該抽出液をそのまま
用いるか、若しくは、減圧乾固物を適当な溶媒に
溶解した液状物または該乾物をデキストリン等と
混和して成型した固体状のものが知られている
（たとえば、特開昭51−27882号、同53−66434号
公報参照）。

発明が解決しようとする問題点 上記公知発明のうち液状物は、悪臭発生場所で
液剤やエアーゾールの型で撤布使用することによ
り、消臭・脱臭効果を奏するが、その特性が液状
であることにより用途分野が限定されるという欠
点があつた。たとえば、可燃性の有機溶媒を用い
た場合は、その使用に際して火気厳禁とする等の
条件が要求されるとか、用いる植物体抽出物の種
類によつては、腐敗を防止する措置を講ずる必要
があるなどの取扱い上の不便や、また、特定の包
装形態では使用が困難である等である。

次に、これらの欠点を除去すべくデキストリン
等を用いて固型状の成型物が製造されているが、
植物体抽出物自体が吸湿性を有する場合は粉粒物
がケーキングを起こすなどのために消臭・脱臭効
果が劣化する等の欠点があつた。

また、植物抽出物を調製する方法としては、植
物の葉、果皮、樹皮等を水または有機溶媒により
溶媒抽出し、その後減圧下に蒸留乾固した物を適
当な溶媒に溶解して溶液状とするか、もしくは、
その乾固物をデキストリン等と混合成型する方法
が知られている。しかし、この方法によれば乾固
するに際して、消臭・脱臭作用を有する揮散性の
有効成分が除去されるか、また、残存する有効成
が酸化等によつて劣化するなどの問題がある。従
つてかかる揮散を抑制するか、劣化を防止するた
めの特別な手段を講ずる必要があつた。

問題点を解決するための手段 本発明は、上記の問題点を解決することを目的
としてなされたものである。

即ち、それ自体公知の植物体抽出物をその消
臭・脱臭効果を損うことなく、固型化すべく検討
したところ、固型化剤としてシクロデキストリン
またはその誘導体を用いて粉末化したものが、上
記問題点を解消した特性を有することを見い出
し、本発明を完成したものである。

本発明において、フラボノイド類、を含有する
植物体抽出物とは、これらを含有する植物であれ
ばその類を問わないが、好適にはフラボノイド類
を含有するサクラソウ属、ポプラ属、ズミノキ、
モクセイソウ、ヤマモモ、マツ属、ユーカリ属、
ウルシ属、ザボン、レモン等の草花の全草、花；
樹木の材、必材、樹皮、葉；果実の果皮等からそ
れ自体公知の抽出方法に従つて抽出したものをい
う（例えば、特開昭51−27882号、同53−66434号
公報参照）。

ここにフラボノイド類とは、フラボン類、フラ
ボノール類、イソフラボン類、フラバノン類、フ
ラバノノール類、カルコン類、アントシアン類等
を総称する意で用いている。

一方、シクロデキストリンまたはその誘導体に
いうシクロデキストリンとは澱粉又はデキストリ
ンにサイクロデキストリン・グリコシルトランス
フエラーゼ（CGTase，EC2，４，１，19）を作
用させて得られるものであれば良く、このように
して得られるサイクロデキストリン（以下「CD」
という）のうち、６個のグルコースが環状にα−
１，４結合したα−CD、７個のグルコースより
成るβ−CD若しくは８個のグルコースより成る
γ−CDをそれぞれ単独か若しくはそれらの混合
物か、又は未反応のデキストリンを含む酵素反応
生成物（通常CD含量は、約20〜60重量パーセン
トである）を脱色粉末化したCD含有物が挙げら
れる。また、その誘導体としては、それ自体公知
のCD誘導体であればエーテル、エステル結合の
いずれの結合形式によるかを問わないが、好適に
はエピクロルヒドリン、ジエポキシド類等の二官
能性反応試薬によつて、交差結合せしめた誘導体
が用いられる（例えば、米国特許明細書第
3453259号；Helv.Chim.Acta，48，1225頁；特開
昭58−167613号公報等参照）。

次に、上記植物体抽出物とCDまたはその誘導
体（以下、CD類という）による固型化は、上述
の植物体のメタノール、エタノール、プロパノー
ル、グリセリン等のアルコール類、アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類、又は水の単独若
しくは二種以上の混同溶媒による抽出液にCD類
を添加して混練した後、凍結乾燥や噴霧乾燥し、
さらに目的に応じて顆粒剤や錠剤に成型加工する
ことよつて行われる。この固型化方法は、モノテ
ルペン等の消臭・脱臭における揮散性の有効成分
の損失を低減できることや、処理工程中におい
て、フラボノイド類が酸化変質する現象を抑制で
きる点で好適である。

本発明の固型消臭・脱臭剤における植物体抽出
物とCD類の組成割合は、選択する植物体抽出物
の種類によつて適宜選ぶことができ臨界的でない
が、一般的に植物体抽出物の固形分10ｇ当たり
CD類２ｇないし500ｇ、好ましくは15ｇないし50
ｇになるよう調製するのがよい。また本発明の固
型消臭・脱臭剤は、使用目的に応じて他の稀釈剤
を混合、添加して成型することもできる。

作 用 消臭・脱臭作用は、一般にａ）感覚的消臭を主
としたもの、ｂ）化学的消臭を主としたもの、
ｃ）物理的消臭を主としたもの、及びｄ）生物学
的消臭を主としたものに分類される。

本発明品は香料等を用いて悪臭をマスキングし
て消臭する上記ａ）が殺菌作用のような上記ｄ）
の効果は少ないものと考えられるが、特に本発明
の方法によつて製造されるものにあつては、植物
体抽出物に含まれる揮散性を有する低分子有機酸
やアルデヒド類の存在により悪臭の原因となるア
ミン類やチオール化物との中和反応、付加、縮合
反応によつて、その悪臭を除去できるとともに、
フラボノイド類とも種々な化学反応を起こすこと
によつて消臭・脱臭の目的が達成されるものと解
される。これらの反応は固相におけるよりも液相
状態の方がより効果的であるとの観点からは、公
知発明のごとき、液状のままエアゾール等での使
用が考えられるが、前述のごとき用途が狭められ
るとの欠点がある。しかして液状消臭・脱臭剤の
作用効果を保持しつつ固形剤としての用途の多様
性を付与したものの開発が待たれていたのである
が、本発明の開示にある通りCD類の添加によつ
て、これらの目的が達成されたのである。そこ
で、CD類添加による作用について考察してみる。
CD類が各種の脂溶化合物と疎水結合を介して包
接化合物を形成することは、それ自体公知である
が、本発明においても植物抽出物に含まれる各種
の成分と疎水結合に類する相互作用を行ない、そ
の結果粉末特性に優れ、使用方法によつては液状
消臭・脱臭剤とほぼ同等の効果を有する固型剤の
製造が可能となつたものである。

次に、本発明品の使用方法について付言する。
本発明品は上記の特性を有するとの観点より、各
種の具体的用途について検討したところ、該特性
に基づいて第３の本発明を完成するに至つた。即
ち、固型消臭・脱臭剤にCDを混在せしめたこと
により、水系でかつ、流動状または半流動状を呈
する悪臭物質に本発明品を添加すると、固型の脂
溶性物質を水系において容易に溶解、分散せしめ
得るCD類の作用により、効果的な消臭・脱臭効
果が期待できるのである。

しかして、本発明の固型消臭・脱臭剤を衛生用
品に包含させることにより、水系の悪臭物質より
その悪臭を効果的に除去できるのである。

これらの悪臭物としては、人間の体内から排泄
される月経液や、尿等や、愛玩動物の排泄する尿
等の排泄物がある。

従来これらの排泄物から発生する臭気を防止す
る方法としては、各種ナプキン類や排泄用敷材に
活性炭、ゼオライト、クロロフイル、アスコルビ
ン酸等をその内部に含有させる方法が提案されて
いた（例えば、特開昭58−138452号、同59−
183635号公報参照）。しかし、悪臭の原因が多面
性を有することより、その消臭・脱臭効果は十分
ではなかつた。

ところが本発明による固型消臭・脱臭剤は、植
物体抽出物の消臭・脱臭作用の多機能と、CD類
自体の有する包接能、分散能がそれぞれ単独で又
は組み合わされて、上記排泄物等に由来する悪臭
の除去に予期せぬ効果を奏したのである。

以上、水系での用途について説明したが、本発
明品は、空気中での消臭・脱臭効果をも併せ有す
るから著舎、車内、室内または冷蔵庫等の消臭・
脱臭剤としても使用できる。

効 果 本発明の効果として、生理用ナプキンに本発明
の固型消臭・脱臭剤を使用する場合について説明
する。

ナプキンは、粉砕パルプ、クレープ吸水紙等の
単独又は組合せから成り、且つ必要に応じて水不
溶性にして吸水膨潤性高分子ポリマーを添加した
液吸収体、その下面から幅方向両側端部を包むよ
うに配置した合成樹脂フイルム、該フイルムと紙
又は不織布とのラミネートシート等から成る液不
透過性シート、及びこの積層体を被覆し長手方向
両端部を熱溶着した不織布等から成る液透水性シ
ートとを含んでいる。

本発明の固型消臭・脱臭剤は、ナプキンの内
部、液体透過性の包装資材を用いて別封するか、
または、液体吸収体の上面やもしくは液体吸収体
の上層部にそのまま担持させることが望ましい。

これによつて、本発明の消臭・脱臭剤が月経液
と最も多量に接触でき、その悪臭を効果的に除去
できるからである。

ナプキン当たりの本発明品の使用量は月経の流
出量、悪臭の程度に応じて、適宜選ぶことにより
本発明の目的が達成できる。

以下に本発明の一例を示す。通常の生理用ナプ
キンの形態は上記した如く基本的に第１図に示す
ような部材により構成されている。即ち、粉砕パ
ルプ及び／又はクレープ吸水紙等の組合せから成
り、更に必要に応じて、第１図ｂの断面図に示さ
れる如く、これらの部材に必要により吸水膨潤性
ポリマーを添加した液吸収体２、及びその吸収体
２を両側面及び底面部から包むようにした防水
紙、レーヨンまたは合成樹脂フイルム等からなる
液不透過性シート３、並びにこれらを被覆し長手
方向両端部を熱溶着した液透過性の不織布１から
なる。

本発明の固型消臭・脱臭剤は第２図に示す如く
生理用ナプキン当たり、２乃至５ｇを上記液透過
性の不織布に包装するか、包装せずそのまま液吸
収体に均一に分散せしめて用いることができる。
これによつて、生理臭はほぼ完全に防止すること
ができた。

なお、本発明品は、生理用ナプキンと同様の使
用方法に準じて、使い捨ておむつ、及び愛玩動物
の排泄用敷材に適用することができる。

以下、実施例により本発明を更に具体的に説明
する。

実施例 １ ヤマモモの樹皮100ｇを水分１％以下になるよ
うに乾燥した後、50メツシユ以下になるように粉
砕する。この粉砕樹皮を40％メタノール水で熱抽
出を行う。一昼夜抽出した後、全抽出液が約100
mlになる程度まで減圧濃縮する。この濃縮液を20
ｇのβ−サイクロデキストリンに50℃の温水200
mlを添加し、スターラーにより良く撹拌した溶液
中に加え、常温で更に１時間撹拌した後凍結乾燥
した。乾燥物32ｇ得られた。このものを軽く粉砕
した後30メツシユの篩を通し消臭・脱臭剤の粉末
30.5ｇを得た。

実施例 ２ ウルシ材100ｇを水分１％以下になるように乾
燥した後、50メツシユ以下になるように切断・破
砕する。この破砕末を２の水道水で３時間にわ
たり熱水抽出する。固型分を別後、抽出液が約
200mlになるまで減圧下に濃縮する。

この濃縮液に15ｇのβ−サイクロデキストリン
粉末を加えスターラーにより１時間激しく撹拌す
る。この混合物を流速10ml／min、入口温度140
℃および出口温度70℃にて噴霧乾燥し、粉末23ｇ
を得た。本粉末は弱干吸湿性を有していたので、
乾燥β−シクロデキストリン５ｇを加え粉砕した
後、30メツシユの篩を通すことにより、さらさら
した消臭・脱臭剤の粉末27.3ｇを得た。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明の一使用例を示すものであつ
て、第１図ａは生理用ナプキンの外観斜視図、第
１図ｂ、並びに第２図ａ及びｂはそのＡ−Ａによ
る横断面図であつて、第２図が本発明の固型消
臭・脱臭剤の使用態様を示したものである。 図中、１は液透過性シート、２は液吸収体、３
は液不透過性シートを、４は本発明の固型消臭・
脱臭剤をそれぞれ表わす。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ フラボノイド類を含有する植物体抽出物とシ
   クロデキストリンまたはその誘導体よりなる固型
   消臭・脱臭剤。 ２ シクロデキストリンの誘導体がシクロデキス
   トリン含有重合体である特許請求の範囲第１項記
   載の固型消臭・脱臭剤。 ３ フラボノイド類を含有する植物体抽出物とシ
   クロデキストリンまたはその誘導体よりなる固型
   消臭・脱臭剤を製造するに際して、植物体抽出物
   に直接シクロデキストリンまたはその誘導体を添
   加することを特徴とする固型消臭・脱臭剤の製造
   方法。 ４ 植物体抽出物が水と混和する有機溶媒を用い
   て調製されたものである特許請求の範囲第３項記
   載の固型消臭・脱臭剤の製造方法。 ５ フラボノイド類を含有する植物体抽出物とシ
   クロデキストリンまたはその誘導体よりなる固型
   消臭・脱臭剤を担持せしめた衛生用品。 ６ 衛生用品が生理用ナプキンである特許請求の
   範囲第５項記載の衛生用品。 ７ 衛生用品が使い捨ておむつである特許請求の
   範囲第５項記載の衛生用品。 ８ 衛生用品が愛玩動物の排泄用敷材である特許
   請求の範囲第５項記載の衛生用品。