JPH0466881B2 - - Google Patents

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JPH0466881B2
JPH0466881B2 JP15277183A JP15277183A JPH0466881B2 JP H0466881 B2 JPH0466881 B2 JP H0466881B2 JP 15277183 A JP15277183 A JP 15277183A JP 15277183 A JP15277183 A JP 15277183A JP H0466881 B2 JPH0466881 B2 JP H0466881B2
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cellulose
substitution
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water
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JP15277183A
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JPS6044502A (ja
Inventor
Tatsuyuki Abe
Kunihiko Okajima
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication of JPS6044502A publication Critical patent/JPS6044502A/ja
Publication of JPH0466881B2 publication Critical patent/JPH0466881B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
(イ) 技術分野 本発明は、カルボキシエチル基とカルバモイル
エチル基を含むセルロース誘導体およびその製造
法に関する。 (ロ) 従来技術 従来、セルロースの繊維、フイルムなどの成形
品を工業的に得る方法としては、セルロースを銅
アンモニア液に溶解するかまたはザンテート化し
て溶液となし、これを酸またはアルカリを用いて
凝固し、再生する方法が採られている。しかし、
これらの工業的方法は大消費量大、重金属の回収
の必要性、エネルギー多消費など多くの改善を要
する点を含んでいる。 近年、かかる欠点を解消すべく、工程のクロー
ズド化を目的として、セルロースを有機溶媒に溶
解し、得られたドープを直接紡糸・成形する方法
が提案されている。しかしなら、近年注目を集め
ているN−メチルモルホリンN−オキシド系をは
じめ、ジメチルスルホキシド/パラホルムアルデ
ヒド系に於いも、実際の応用に際し、二成分以上
の溶媒を併用することが必要であり、従つて、溶
媒を回収して再利用する方法が煩雑になる等、作
業性と溶媒回収性に致命的欠点あることが判明し
ている。 上述のように種々の欠点あるにもかからず、セ
ルロースは良好な再生産性、安価、豊富な機能性
などの特徴を有するため、見直す価値は十分にあ
る。特にセルロース誘導体化すると、特定溶媒と
の組合せで液晶を形成し、これから得られる成形
品は、機械的特性の大幅な改良が期待されてい
る。 (ハ) 発明の目的 本発明者等は、上記した様な従来技術の欠点や
新たな可能性について総合的に検討した結果、安
価な溶媒に可溶で、しかも特定溶媒との組合せに
より光学的異方性を与え、更には、イオン交換
能、耐カビ性を有する新規なセルロース誘導体を
見い出し、本発明に到達した。すなち、本発明の
目的は、水およびアルカリ水溶液のような安価な
溶媒に可溶で、しかも成形性(例えば、繊維への
成形)の優れたドープを与える新規なセルロース
誘導体を提供することにある。 (ニ) 発明の構成 本発明に係るセルロース誘導体は、置換基とし
てカルボキシエチル基及びカルバモイルエチル基
のみを含み、それぞれの置換度が0.1〜0.7及び
0.05〜0.85で、全置換度が0.15〜1.55であること
を特徴とする。 本発明に係る上述のセルロース誘導体の製造法
は、セルロースを8〜35重量%濃度のアルカリ水
溶液に浸漬後圧搾し、セルロース/アルカリ水溶
液の重量比を1/0.8/〜1/5.0とし、これにセ
ルロースのグルコース残基当たり0.5〜10.0モル
のアクリロニトリルを加え、温度0〜80℃におい
て5〜120分撹拌し、その後原料セルロースが20
〜30重量%となるように水またはアルカリ水溶液
を加え、1〜18時間撹拌、熟成して均一溶液と
し、次いで、中和後沈殿剤にて沈殿せしめるか、
又は沈殿後中和することを特徴とする。 (ホ) 実施態様 従来セルロースをアルカリ触媒を用いてアクリ
ロニトリルと反応せしめる方法はセルロースのシ
アノエチル化反応とし多くの方法が知られてい
る。これらの方法は、いずれもアクリロニトリル
水と反応し、副反応物としてβ,β′−ジオキシプ
ロピオニトリルを生成するため極力水を含まない
系で反応させる点で共通している。この反応にお
いて、セルロースとアルカリ水溶液は重量比で
1:3〜1:0.8が適当とされている。他方、こ
の反応では、アルカリ濃度が重要であつて、10%
以下では主にシアノエチルセルロース、15%以上
ではカルボキシエチルセルロースが得られるとい
う文献や特許ある。反応温度も重要な因子であ
る。20〜30%アルカリを用い5〜35℃の範囲で、
セルロースのグルコース残基当り0.2〜0.5モルの
アクリロニトリルを反応せしめると水不溶、アル
カリ可溶性カルボキシエチルセルロースを得ると
いわれている。しかし、アルカリ濃度の上昇と共
に反応は複雑化し、セルロースのシアノエチル
化、脱シアノエチル化、シアノエチル化セルロー
スのカルバモイルを経てカルボキシルエチル化が
起り、それら変換された側鎖の脱置換反応も同時
に進行する。これまでセルロースをアルカリ触媒
を用いてアクリロニトリルと反応せしめて、アル
カリ可溶性シアノエチルセルロース、水溶性シア
ノエチル−カルボキシエチルセルロースシアノエ
チル−カルバモイルエチルセルロースを得た例は
わずかに知られるに過ぎない。その場合ですら、
未反応セルロース大量に残るという欠点もある。
そして、本発明に係るカルバモイルエチル−カル
ボキシエチルセルロースを得たという報告はな
い。これは、上述した複雑な反応がいずれも競争
反応であるため、本発明に係るセルロース誘導体
を製造する条件を見いだすのが困難なためと考え
られる。 本発明に係る成形性に優れたセルロース誘導体
は、置換度が0.05〜0.85のカルバモイルエチル基
と置換度が0.1〜0.7のカルボキシエチル基のみを
置換基として含有し、しかも全置換度が0.15〜
1.55のアルカリ水溶液及び水に可溶なセルロース
誘導体である。この誘導体は上記の如くアルカリ
セルロースとアクリロニトリルとの反応生成物で
あり、従来理論上製造可能とされてはいたが、実
際にかかる誘導体の製造に成功した例はみあたら
ない。 本発明にいうカルボキシエチル基とカルバモイ
ルエチル基の置換度は次に示す方法によつて測定
する。よく洗滌・脱水したサンプルのN含量を
CHN測定機にて定量し、サンプル中に含まれる
−CH2CH2CONH2(カルバモイル基)に換算し、
その重量%(A)を求める。サンプル中の−
CH2CH2COONa(カルボキシエチル)基は、酸
型にして、中和滴定し、−CH2CH2COONaとし
てその重量%(B)を求める。カルボキシル基の置換
度をx,カルバモイル基の置換度をyとすると
x,yは次の連立方程式より求まる。 45x/162+72x+71y=B,44y/162+72x+71y=A 他方、種々のサンプルの−CH2CH2CONH2
び−CH2CH2COONaの重量分率を測定し、各々
のサンプルのフイルムを作成し、IR測定し、サ
ンプル中の残存OH基(3500cm-1)の吸光度に対
する−CH2CH2CONH2に基づく吸収(1640cm-1
及び−CH2CH2COONaに基づく吸収(1560cm-1
の吸光度を計算する。各吸光度を上述の如くして
得た重量分率に対してプロツトし検量線を作成す
ることによつて、任意のサンプルの上記置換度が
求められる。 本発明に係るカルボキシエチル基置換度0.1〜
0.7,カルバモイルエチル基置換度0.05〜0.85、全
置換度0.15〜1.55を有するセルロース誘導体の特
徴の1つは、全置換度の数値に依存してカルボキ
シエチル基とカルバモイル基との置換度の比率
(A=カルボキシエチル基/カルバモイルエチル
基)が変化し、それに伴なつて溶解性も変化する
事である。一般に全置換度1.0〜1.55の間では上
記Aの値は約1.0〜0.8であり、全置換度が1.0以下
ではAの値は約1.0〜8.0である。このAの値は全
置換度が低い程、大きくなる傾向にある。 一般的に、全置換度が0.15末満では、常温では
アルカリ水溶液の様な単純な溶媒に高濃度に溶解
せず、成形に適するドープの製造が困難である。
また、置換度が1.55を超えるセルロース誘導体は
本発明の方法によつて製造することが困難であ
る。本発明のセルロース誘導体において置換度
(DS)0.15〜0.29のものは稀アルカリ水溶液に可
溶である。DSが0.3以上で水に可溶、また0.7以上
では誘電率の大きな有機溶媒にも可溶となる。 カルボキシエチル基は、セルロース誘導体を成
形して得られる製品にカチオンとの相互作用効果
を与える。他方、カルバモイルエチル基は、耐カ
ビ性を付与する。特に、カルバモイルエチル基が
0.2以上の置換度で存在する本発明のセルロース
誘導体は優れた抗カビ性を有している。 なお、カルバモイルエチルおよびカルボキシエ
チル両置換基とも反応置換基であつて、各種の反
応剤によつて置換基を化学変化させることも可能
である。また、このセルロース誘導体は容易に架
橋させることも出来る。 上述のような一般的特徴を有するセルロース誘
導体は、前述のような本発明方法によつて製造出
来る。この製造方法の骨子は、セルロースをアル
カリ触媒下でアクリロニトリルと反応せしめて、
シアノエチル基が残存せず、しかも効率良くカル
ボキシエチル基、カルバモイルエチル基を含有す
るセルロース誘導体を製造することにあり、その
製造工程上の主眼は、アクリロニトリルと反応
後、しかるべき濃度になるように水を加えて熟成
させる点にある。 本発明で使用されるセルロース原料は、綿、木
材等の天然セルロース(リグニン等の不純物を含
んでよい。)であつても、また再生セルロースで
あつてもよい。リグニン等の不純分を含む天然セ
ルロースは、誘導体調製後、適当な溶媒でドープ
を調製した後、過することによつて、不純分を
未溶解物とともに容易に別できる。原料の数平
均重合度は目的に応じて酸あるいはアルカリで解
重合することによつて調整できる。通常、原料の
重合度は100以上あればよい。また、生成物の機
械的特性の向上を計るために重合度1000以上のも
のも使用できる。 セルロースをアルカリ水溶液に浸漬する際のア
ルカリ濃度は重要であつて8〜35重量%である。
8重量%未満では生成物はシアノエチル基を含
み、また、35重量%を超えると反応は円滑に進ま
ず、未反応セルロースが多量に残存する。この現
象はもちろん後述するアクリロニトリル添加量に
もよる。セルロースを上記アルカリ水溶液に浸漬
する場合、アルカリ水溶液はセルロースに対して
大過剰である程アルセル化はよく進行するが、一
般にアルカリ水溶液の量はセルロース重量の2〜
10倍量が適当である。セルロースの重合度が低く
なるにつれて、このアルカリ水溶液の量は少なく
てよい。浸漬時の温度は、余り高くすると、セル
ロースが触重合反応を起こすため、0〜60℃とす
る。浸漬時間は5〜10分あれば充分であり、撹拌
下であれば、それ以下の時間内でもセルロースの
アルカリ活性化処理は可能である。 アルカリ水溶液浸漬後の圧搾は重要な因子であ
つて、セルロース重量1に対して上記アルカリ液
0.8〜5倍量となるように圧搾する。圧搾はプレ
スやローラー等の機械的な方法によつて行なわれ
る。0.8倍未満にすることは機械的な困難である。
逆に、5.0倍を超えるとアクリロニトリルの副反
応化が促進され好しくない。特に、アクリロニト
リルとセルロースの初期反応時点でのアクリロニ
トリルの副反応化を低減化するためには、上記ア
ルカリ液は0.8〜1.5倍であることがより望まし
い。 かくして得た含アルカリ液セルロース(以下、
「アルカリセルロース」と略称する)をニーダー
等の反応器に移し、反応系を0〜80℃とし、アル
カリセルロースにアクリロニトリルを液状又は気
体状で、セルロースのグルコース残基当り0.5〜
10モル加える。このアクリロニトリルの添加の
際、上記アルカリセルロースは撹拌状態である方
が反応の均一性の点で好ましい。セルロースのシ
アノエチル化は速く、かかる濃アルカリ状態では
シアノエチル基のカルバモイル化と脱シアノエチ
ル化が同時に進行する。アクリロニトリルの添加
量は、上記の反応系に水やアルカリ水溶液を添加
するタイミング反応温度と相関して決定される。
アクリロニトリル添加量が基本的にグルコース残
基当り0.5モル未満ではアルカリ容易に高濃度で
溶ける誘導体(DS0.15)を与えない。アクリ
ロニトリルが10モルを超える場合、本発明の有用
なドープを形成する誘導体を容易に得るが、アク
リロニトリルの自己重合、副反応等の観点から、
10モルを超える添加量は意味が薄く、経済的にも
不利である。本発明の誘導体を製造するに際して
は、初期のセルロースとアクリロニトリルの反応
効率や経済性を考慮するとアクリロニトリルの添
加量はグルコース残基当り0.5〜3.5モルがより好
ましい。 本発明に係る製造法の最大の特徴は、セルロー
スのカルバモイル化が最大となる時点で反応系に
水又はアルカリ水溶液を加え、ゆつくりと均一反
応系でカルバモイル基をカルボキシエチル化する
点にある。セルロースとアクリロニトリルとの初
期反応温度及び時間はカルバモイル化最大となる
ように設定する。かかる温度および時間は0〜80
℃、5〜120分の範囲で選ぶことができる。一般
に、セルロースのカルバモイル化の最大点(カル
バモイル置換度最大となる迄の時間)は、アクリ
ロニトリル添加後、10〜40分である。5〜40℃の
間では温度が高い程、最大点も早い。アクリロニ
トリル添加量が少ない場合、例えばグルコース残
基当り約0.5のときは反応温度は5〜35℃が適当
で、30〜40分後に水やアルカリを加ええるのが好
ましい。また、アクリロニトリルの量が多く、例
えば0.7〜1.0モルの場合、反応温度30〜40℃の
時、水やアルカリ水溶液は5〜15分以内に加え、
又反応温度が5〜25℃位の時は、水やアルカリ水
溶液は15〜40分の間に加えることが望しい。この
様に系に水またはアルカリを加えていわゆる熱成
を行なう。もし、反応量大時点で反応を止める、
例えば中和してしまうと、得られる生成物は複雑
で、しかも、アルカリや水に均一に溶解しないも
のしか得られない。水やアルカリを入れ熟成は置
換基の再配置という点で重要の様に思われる。ま
た、初期反応の時間が長いと脱置換が下均一反応
になるため、未反応セルロースが多量に残る欠点
がある。水またはアルカリ水溶液の添加量は、セ
ルロース原料濃度が20〜30重量%となる様に加え
る。また、3〜15重量%のアルカリ水溶液を加え
るならば、この熟成の短縮とカルボキシエチル置
換度を向上することができる。 セルロース原料の重合度が低い場合は、比較的
水の量は少なくても充分である。水の添加量が多
い場合、続く熟成工程に長時間を要したり、生成
物分離のコストが高くなる。水添後の熟成は重要
であつて、撹拌下で1〜18時間保持すると、置換
基としてシアノエチル基を含まずカルボキシエチ
ル基のナトリウム塩とカルバモイルエチル基のみ
を有する添加量のセルロース誘導体を得ることが
できる。一般に熟成は温度及び加えるアルカリ温
度の関数である。水添加の場合で、例えば、30℃
の条件下では3〜10時間、10℃以下では10〜18時
間を要する。また、例えば、10重量%のアルカリ
液を添加した場合、30℃では通常熟成は3時間以
内でよい。初期反応、熟成工程を減圧下で行なう
と、一般に熟成時間は短縮される。 熟成後、そのアルカリ溶液はそのまままたは中
和後に成形用ドープ、例えば繊維、中空糸、膜等
の成形用ドープとすることも可能である。また、
メタノール、アセトン等の沈殿剤で沈殿せしめ、
水洗または酸で中和するか、熟成液に酸等の中和
剤を添加後、沈殿剤等で沈殿することができる。 得られた本発明のセルロース誘導体は、一般
に、2〜35重量%濃度のアルカリ水溶液、水、シ
ユバイツアー試薬、濃厚無機塩水溶液、(例えば、
塩化リチウム濃厚度液、チオシアン酸カルシウム
濃厚液、塩化亜鉛濃厚液)、濃厚無機酸、トリフ
ルオロ酢酸、モノクロル酢酸水溶液及び一般に知
られているセルロースの溶媒に可溶である。さら
に、高置換度、つまり全置換度0.6以上のもので
は、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のア
ミド類、オルトクロルフエノール等の有機溶媒や
水と有機溶媒との混合液に溶解する。 (ヘ) 発明の効果 本発明に係るセルロース誘導体は、概して、
水、アルカリ水溶液等の単純な溶媒に可溶で、簡
単に繊維等に成形出来る。しかも、カチオンとの
相互作用が大きく、容易に架橋も可能で、イオン
交換や高吸湿材料にも適して居り、カビの発生に
対しても強い耐性を示す。従つて、広範囲な用途
が期待される。 さらに、セルロースから本誘導体を製造する過
程でセルロースの主鎖分解を抑制できるため、出
発セルロース原料として重合度の高いものを用い
れば、それに応じて高重合度のものが合成できる
ことである。このセルロース誘導体を原料として
成形すると、機械的特性の優れた成形品が得られ
ることが期待される。 また、本発明のセルロース誘導体は、セルロー
ス側鎖に化学的に活性なカルボキシエチル基、カ
ルバモイルエチル基、水酸基を有するため、イオ
ン及び共有結合に基づく架橋構造を形成しやす
く、水に不溶化出来る。したがつて、本セルロー
ス誘導体を適当な溶媒、好ましくは、水や低アル
カリ水溶液(ドープ)として紡糸し繊維化し不溶
化処理を施したり、また、上記ドープ中に該セル
ロース誘導体を不溶化し得る薬品を混合し紡糸す
ることに依つて繊維等に成形することが可能であ
る。 (ト) 実施例 以下、実施例について本発明を具体的に説明す
る。 実施例 1 重合度700の木材パルプを60℃で7時間、真空
乾燥し、5g採取し、30重量%濃度のカセイソー
ダ水溶液40gに30℃で15分間浸漬した。セルロー
ス重量1に対してカセイソーダ水溶液重量が1.2
になるまで圧搾し、アクリロニトリルをセルロー
スのグルコース残基当たり、0.5モル加え、30℃
で40分撹拌した。その後、20gの水を加えて5時
間経過したのち、2%塩酸水溶液で中和し、100
mlメタノール中へ移し、沈殿させて回収した。 この生成物を前述の置換度評価法に従つてカル
バモイルエチル基およびカルボキシエチル基の置
換度を測定したところ、それぞれ0.05及び0.10で
あり、全置換度は0.15であつた。この常温で5%
カセイソーダ水溶液可溶のセルロース誘導体は常
温で5%カセイソーダ水溶液に可溶であつた。ち
なみに、赤外吸収スペクトルより、シアノエチル
基は検出されなかつた。 実施例 2 硫酸加水分解で重合度300に調整したセルロー
スを実施例1と同様に乾燥し、5g採取し、15%
濃度のカセイソーダ水溶液15gに30℃で15分間浸
漬した。セルロース重量1に対してカセイソーダ
水溶液重量が1.5になるように圧搾し、アクロニ
トリルをセルロースのグルコース残基当たり0.5
モル加え、40℃で25分間隔撹拌した。その後、20
gの水を加え、16時間撹拌し、2%の塩酸水溶液
で中和し、100mlのメタノールで沈殿し、回収し
た。 実施例1と同じ方法で、生成物のカルバモイル
エチル基およびカルボキシエチル基の置換度を測
定したところ、それぞれ0.05および0.12であり、
この生成物は5%カセイソーダ水溶液に可溶であ
つた。 実施例 3 実施例2で得たセルロース/アルカリ圧搾物を
密閉反応装置内に移し、系内を75℃にした後、セ
ルロースのグルコース残基当たり0.5モルのアク
リロニトリルを気体状で吹き込んで密閉し混合し
て、5分後開放し、20gの水を加え室温(30℃)
にもどしながら16時間撹拌し、2%塩酸水溶液で
中和し100mlのメタノールで沈殿・回収した。 実施例1と同じ方法で、生成物のカルバモイル
エチル基およびカルボキシエチル基の置換度を測
定したところ、それぞれ、0.06および0.11であ
り、この生成物は5%カセイソーダ水溶液に可溶
であつた。 実施例 4 2種のセルロース(重合度=300及び1000)を
それぞれ60℃で7時間、真空乾燥し、5g採取
し、30重量%濃度のカセイソーダ水溶液40gに30
℃で15分間浸漬した。セルロース重量1に対して
カセイソーダ水溶液重量が5になるまでこの混合
物を圧搾した。アクリロニトリルの添加量を種々
変化させて、30℃で40分間反応させた。水を15g
添加し、16カ時間撹拌し、2%塩酸水溶液で中和
後、これを100mlのメタノール中へ移し、沈殿さ
せ回収した。回収した合成物は風乾後、60℃で7
時間、真空乾燥し、CHN−アナライザー及び中
和滴定法を使用して、カルボキシエチル基及びカ
ルバモイルエチル基の定量をした。得られた結果
を表−1に示した。
【表】 表中、〇印は可溶、△は膨潤、×印は不溶を示
す。置換度0.15以上でアルカリ可溶となり、1.5
以上で水溶媒に溶け難くなる。 実施例 5 実施例4で準備したセルロース5gをカセイソ
ーダ水溶液の濃度を8〜35重量%の範囲で種々変
化させて、該カセイソーダ水溶液40g中に浸漬
し、10分経過後カセイソーダ水溶液重量がセルロ
ース重量1に対して0.8〜5.0になるようにそれぞ
れの混合物を圧搾した。アクリロニトリル量をグ
ルコース残基当たり0.4〜10モルまで種種変化し
て反応させて、実施例1の場合と同じ条件で、カ
ルボキシエチル基及びカルバモイルエチル基の定
量を行なつた。水溶性を示し、しかも、赤外分光
光度計より残存するシアノエチル基の検出されな
いセルロース誘導体のカルボキシエチル基及びカ
ルバモイルエチル基の置換度は、製造条件の差異
はあるにもかかわらず、一般的に、カルボキシエ
チル基の置換度範囲は0.1〜0.7、カルバモイルエ
チル基の置換度範囲は0.05〜0.85であつた。 実施例 6 実施例2で得た全置換度0.15(A)及び実施例3で
得た全置換度0.71(No.3)の新規セルロース誘導
体をそれぞれ5%アルカリ(A)、及び水(No.3)に
溶解し、それぞれの新規セルロース誘導体(A)を重
量分率で12%(A),27%(No.3)を含むドープを得
た。A,No.3のドープをエクストルーダーにて
過後、Aのドープを孔径0.09mmφ,50ホールのノ
ズルを用い凝固剤,架橋剤として塩化アルミニウ
ム5%を含む水溶液中に押し出して巻取り繊維状
物を得た。また、No.3のドープを孔径0.2mmφ、
単ホールを用い、250〜300℃に暖められた筒中に
押し出し乾燥物を巻取つた所、極めて光沢の良好
な糸を得た。両繊維ともカチオン染料に可染であ
つた。更にNo.3のドープに新規セルロース繊維
100重量部に対して20重量部の酢酸鉛を混合し、
同様に乾式紡糸して得た繊維は高吸水性を示す
が、水に不溶であつた。 実施例 7 実施例3で得た、No.2,No.3,No.4,No.10の誘
導体を各々水道水に20重量%の濃度で溶解し、同
一瓶に入れシーロンフイルムにてふたをした。こ
れらを室温に放置してカビの発生を観察したとこ
ろ、No.2で10日後、No.3で50日後にカビが発生し
たが、No.4,No.10では3ケ月以上カビの発生はみ
られなかつた。 比較例 1 実施例1で準備したカセイソーダ水溶液浸漬物
をカセイソーダ水溶液重量がセルロース重量1に
対して5.5になるように圧搾した。アクリロニト
リルの添加量を、セルロースのグルコース残基当
たり、2〜7モルの範囲で変化せしめて、30℃で
反応させ、それぞれ40分後に水15gを加えて16時
間熟成した。この反応混合物を100mlメタール中
へ移し沈殿させて、過、乾燥し、水への溶解を
試みたが、溶解しなかつた。この理由として圧搾
後の段階で水が多過ぎたため、アクリロニトリル
が最終的にほとんど副反応生成物に移行し、極低
置換度のセルロース誘導体しか得られなかつたも
のと思われる。なお、セルロース重量1に対しア
ルカリ水溶液の重量が5.0以上のときは上記の通
り、実験は可能であつたが、0.8未満のときは圧
搾困難で、実験不可能であつた。 比較例 2 実施例1で準備したセルロースのカセイソーダ
水溶液混合物の圧搾物に30℃でアクリロニトリル
を5.0モルの範囲で変化させて加え、40分後に水
15g添加し、熟成時間が30分の場合と20時間の場
合の生成物を100mlのメタノール中で沈殿し、回
収し、60℃で7時間真空乾燥した。生成物の水溶
性をみたところ、熟成時間が30分の合成物は水溶
性を示さなかつた。熟成時間20時間の合成物は水
溶性を示したが、赤外吸収スペクトルの結果シア
ノエチル基が確認された。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 置換基としてカルボキシエチル基及びカルバ
    モイルエチル基のみを含み、それぞれの置換度が
    0.1〜0.7及び0.05〜0.85で全置換度が0.15〜1.55で
    あることを特徴とするセルロース誘導体。 2 カルバモイルエチル基の置換度が少なくとも
    0.2で、かつ、カルバモイルエチル基の置換度と
    カルボキシエチル基の置換度との比が0.5以上で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    のセルロース誘導体。 3 セルロースを8〜35重量%濃度のアルカリ水
    溶液に浸漬後圧搾し、セルロース/アルカリ水溶
    液の重量比を1/0.8〜1/5.0とし、これにセル
    ロースのグルコース残基当たり0.5〜10.0モルの
    アクリロニトリルを加え、温度0〜80℃において
    5〜120分撹拌し、その後原料セルロースが、20
    〜30重量%となるように水またはアルカリ溶液を
    加え、1〜18時間撹拌、熟成して均一溶液とし、
    次いで、中和後沈殿剤にて沈殿せしめるか又は沈
    殿後中和することを特徴とする、置換基としてカ
    ルボキシエチル基及びカルバモイルエチル基のみ
    を含み、それぞれの置換度0.1〜0.7および0.05〜
    0.85で全置換度が0.15〜1.55であるセルロース誘
    導体の製造法。
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