JPH046636B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 （産業上の利用分野） この発明は紡機における自動機に係り、詳しく
は紡機機台に沿つて床面を走行し管替、糸継、篠
替等の作業を行う管替機、糸継機、篠替機等の自
動機に関するものである。

（従来の技術） この種の自動機は従来精紡機において多く使用
され、紡機機台に沿つて走行する作業時には自動
機自身の駆動機構で移動するが、他の紡機機台と
対応する位置まで移動する場合にはキヤリアに搭
載された状態で機台間を移動するようになつてい
る。そのため、キヤリアの分だけコスト高となる
ばかりでなく、キヤリアが常時紡機機台群の通路
に存在するため他の通行の妨げとなるという不都
合もあつた。さらに、第７図に示す精紡機３１に
おける管替機３２の搬送の場合のように、キヤリ
ア３３は精紡機機台の一側に機台の長手方向と直
交する方向に敷設されたレール３４上を、管替機
３２をレール３４と直交する状態に搭載して機台
間を移動するため、キヤリア３３の移動通路を広
くとらねばならないという不都合もある。又、精
紡機の管替機のように自動機が１組ずつ同時にキ
ヤリアにより運搬される場合は支承ないが、粗紡
機の場合のように自動機を１台ずつ運搬する場合
にはキヤリアの片側にのみ自動機が搭載された場
合にも転倒しないようにするため、キヤリアの重
量を重くする必要があり移動のためのエネルギー
を多く必要とするという問題もある。

（発明が解決しようとする問題点） この発明は管替機、継機、篠替機等の自動機を
キヤリアを使つて作業を必要とする紡機機台と対
応する位置に運搬することに伴うコスト高、キヤ
リアが常時機台群の通路に存在することにより他
の通行の妨げとなること、キヤリアの移動通路を
広く確保しなければならないこと、エネルギー消
費の増大等の問題点を解決するものである。

発明の構成 （問題点を解決するための手段） 前記の問題点を解決するためこの発明において
は、自動機が紡機機台に沿つて走行する際の駆動
機構により各紡機機台間をも走行可能にした。す
なわち、紡機機台に沿つて床面を走行する自動機
の機体を支持する車輪が宙に浮いた状態で機体を
床面と平行に回動可能に支持する支軸と、前記車
輪を床面から浮上させるための昇降装置と、前記
車輪が宙に浮いた状態で前記支軸を中心に機体全
体を回動させる駆動手段とを設けるという構成を
採用した。

（作用） この発明の自動機は管替、糸継、篠替等の作業
を行う際には従来と同様紡機機台に沿つて移動し
作業を行う。所定の作業を完了した後、管替等を
必要とする他の紡機機台と対応する位置に移動す
る際には、紡機機台の一側に設けられた通路にお
いて昇降装置が作動され自動機の機体を支持する
車輪が宙に浮いた状態で自動機が支軸により支持
される。この状態で駆動手段が作動し機体全体が
支軸を中心にほぼ90度回動される。そして再び昇
降装置が作動され車輪が床面あるいはレール面と
接する位置まで下降移動され、その状態で作業を
必要とする紡機機台と対応する位置まで移動す
る。そして該位置において再び紡機機台と平行と
なる状態に機体全体が回動され、その状態から紡
機機台に沿つて移動して管替等の作業を行う。

（実施例） 以下この発明を粗紡機の自動機に具体化した一
実施例を第１〜５図に従つて説明する。自動機１
には粗紡機機台２と平行に敷設された一対の機台
内のレール３あるいは粗紡機機台２の一側におい
て前記機台内レール３と直交する状態に敷設され
た機台間レール４に沿つて転動する２組の車輪５
が装備されている。車輪５はブラケツト６に回転
自在に支持された車輪７に一体回転可能に固定さ
れ、一方の車輪７が図示しない正逆回転可能の駆
動モータにより減速機、歯車等を介して回転駆動
されるようになつている。

自動機１のベース８のほぼ中央部一側にはケー
シング９が固定されている。ケーシング９内には
モータ１０により駆動されるウオーム１１が前記
ベース８と平行に配設されている。前記ウオーム
１１とともに自動機１の機体全体を回動させる駆
動手段を構成するウオームホイール１２は、前記
ベース８に対して垂直となる状態で支持筒部１３
において軸受１４を介してケーシング９に対して
回動可能に支持されている。前記ウオームホイー
ル１２の支持筒部１３には、前記車輪５が宙に浮
いた状態で自動機１の機体を支持する支軸１５の
スプライン部１ａが、前記ベース８に形成された
透孔１６を経て嵌挿されるとともに、ケーシング
９の上部に配設された昇降装置としての油圧シリ
ンダ１７のピストンロツド１８に球面継手を介し
て連結されている。前記支軸１５の下端には前記
両レール３，４が交差する床面の所定位置に配設
された位置決めピン１９と嵌合可能な嵌合凹部２
０ａを有する支持盤２０が固着されている。位置
決めピン１９はその頂部が円錐状に形成されてい
る。

次に前記のように構成された装置の作用を説明
する。

自動機１は油圧シリンダ１７のピストンロツド
１８が引込まれ支軸１５の下端に装備された支持
盤２０が床面から浮き上がり、車輪５により機体
が支持された状態で機台内レール３あるいは機台
間レール４上を走行する。

自動機１が粗紡機機台２に沿つて移動し管替、
糸継等の作業を完了した後次に作業を必要とする
粗紡機機台２と対応する位置に移動する際には、
第２図に示すように機台内レール３と機台間レー
ル４とが交差する方向転換位置まで移動する。方
向転換位置には前記位置決めピン１９が所定位置
に突設されており、自動機１は支持盤２０の嵌合
凹部２０ａが前記位置決めピン１９と対応する所
定位置に停止する必要がある。自動機１は所定位
置近傍までは高速で走行され、ついで低速走行に
移り所定位置に設けられた近傍スイツチの作用に
より駆動モータが停止され支持盤２０の嵌合凹部
２０ａが位置決めピン１９と対応する位置に停止
される。次に油圧シリンダ１７が作動されてその
ピストンロツド１８が突出され、支軸１５ととも
に支持盤２０が下降移動される。支持盤２０の嵌
合凹部２０ａが位置決めピン１９と嵌合し、支持
盤２０の底面が床面に接した後もさらに油圧シリ
ンダ１７が作動されて自動機１の機体全体が上昇
され、第１図に示すように車輪５が機台内レール
３上から離れ宙に浮いた状態となる。この場合位
置決めピン１９の先端が円錐状に形成されている
ので、第３図に示すように自動機１の停止位置が
所定の停止位置より位置決めピン１９の半径以内
のずれで停止した場合にも支持盤２０の下降に伴
い嵌合凹部２０ａが位置決めピン１９と係合し、
係合状態で下降するに従い自動機１の停止位置が
自動的に所定位置に修正される。

油圧シリンダ１７のピストンロツド１８が突出
状態に保持され、自動機１の機体が支軸１５のみ
により支持された状態でモータ１０によりウオー
ム１１が回転駆動されると、ウオーム１１の回転
力がウオームホイール１２に伝達され、スプライ
ン部１５ａを介してウオームホイール１２の支持
筒部１３に嵌挿されている支軸１５に対してもそ
の回転力が伝達される。しかし、支軸１５はその
下端に固着された支持盤２０が位置決めピン１９
の作用により固定状態に保持されているため回転
することができず、ウオーム１１を介してケーシ
ング９全体が自動機１の機体とともに支軸１５を
中心に回動される。そして、第２図に鎖線で示す
ように自動機１がほぼ90度回動された時点でモー
タ１０が停止される。次に油圧シリンダ１７が作
動されてピストンロツド１８が引込まれ、自動機
１の機体が降下し車輪５が機台間レール４上に載
置される。その状態からさらにピストンロツド１
８が引込まれ、支持盤２０が引上げられ嵌合凹部
２０ａと位置決めピン１９との嵌合が解除され
る。この状態で走行用モータが駆動され自動機１
は作業を必要とする粗紡機機台２と対応する位置
まで移動する。そして所定位置に停止した後前記
と同様に油圧シリンダ１７とモータ１０とが順次
駆動され自動機１の車輪５が機台内レール３上に
載置された状態となり、その後機台内レール３上
を粗紡機機台に沿つて移動し管替、糸継等の作業
を行う。

前記のようにこの発明の自動機は紡機機台２の
一側に設けられた方向変換位置において機台の長
手方向がレールと平行となるように進行方向をほ
ぼ90度変換した後作業を必要とする他の紡機機台
と対応する位置まで移動し、該紡機機台と対応す
る位置において再びその進行方向を変換した後紡
機機台に沿つて移動するので、方向転換位置のみ
広い幅に確保しておけばよくその他の通路の幅は
自動機の幅分だけあればよく、第４図に示すよう
に紡機機台を設置する工場等の設置スペースに柱
２１等の障害物がある場合にも支承なく紡機の機
台配置を行うことができる。又、機台間レール走
行位置から機台内レール走行位置へと方向転換を
行う際の回転方向を変更することにより、粗紡機
機台２を第５図に示すようにそれぞれ向かい合つ
た状態に配置した場合にも容易に作業を行うこと
が可能となり、粗紡機機台２の設置に必要な床面
積を減少することが可能となる。

なお、この発明は前記実施例に限定されるもの
ではなく、例えば、第６図に示すように回動機構
としてウオームとウオームホイールとの組合わせ
に代えて支軸１５が嵌挿される歯車２２とケーシ
ング９に固定されたモータ２３により駆動される
歯車２４との組合わせを採用したり、車輪５をレ
ール３，４上から浮き上がらせるための構成とし
て車輪５を昇降させる機構を設けるとともに支持
盤２０が床面に載置された状態で該車輪昇降機構
を駆動するようにしてもよい。又、前記実施例に
おいては粗紡機の自動機に具体化したが、精紡機
の自動機に具体化することももちろん可能であ
る。

発明の効果 以上詳述したように、この発明によれば自動機
に装備された１つの走行駆動装置により紡機機台
の長手方向に沿つて敷設された機台内レール及び
機台内レールと直交する状態に敷設された機台間
レール上を移動するので、従来装置と異なり自動
機を作業を必要とする紡機と対応する位置に運搬
するためのキヤリアを必要とせず、装置の製造コ
ストを低くすることができるとともに自動機の移
動のための通路を狭くすることができ、紡績工場
の床面積を有効に利用することが可能となる。
又、自動機が移動する際に必要となるバンパーあ
るいは障害物検知装置等の走行安全装置を機台内
及び機台間移動時に兼用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１〜５図はこの発明を粗紡機の自動機に具体
化した一実施例を示すものであつて第１図は一部
破断要部正面図、第２図は粗紡機機台と管替機と
の位置関係を示す概略平面図、第３図は作用を示
す要部断面図、第４図は粗紡機機台とレールの配
置関係を示す平面図、第５図は別の粗紡機機台の
配置状態を示す平面図、第６図は変更例の駆動機
構を示す一部破断要部正面図、第７図は従来装置
を示す平面図である。 自動機……１、粗紡機機台……２、機台内レー
ル……３、機台間レール……４、車輪……５、駆
動手段としてのウオーム……１１、ウオームホイ
ール……１２、支軸……１５、昇降装置としての
油圧シリンダ……１７、位置決めピン……１９、
支持盤……２０、嵌合凹部……２０ａ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 紡機機台に沿つて床面を走行する自動機の機
   体を支持する車輪が宙に浮いた状態で機体を床面
   と平行に回動可能に支持する支軸と、前記車輪を
   床面から浮上させるための昇降装置と、前記車輪
   が宙に浮いた状態で前記支軸を中心に機体全体を
   回動させる駆動手段とを備えた紡機における自動
   機。 ２ 前記支軸は床面の所定位置に配設された位置
   決めピンと嵌合可能な支持盤をその下端に備え、
   機体底部に固設されたケーシング内にその底部側
   から遊嵌されるとともに、該ケーシング上部に配
   設された昇降装置としての油圧シリンダのピスト
   ンロツドに球面継手を介して連結されている特許
   請求の範囲第１項に記載の紡機における自動機。 ３ 前記支軸にはスプライン部が形成され、該支
   軸と直交する状態に配設されたウオームとともに
   機体全体を回動させる駆動手段を構成し前記ケー
   シングに対して回動可能に支持されたウオームホ
   イールに対して、該支軸のスプライン部が嵌挿さ
   れている特許請求の範囲第２項に記載の紡機にお
   ける自動機。