JPH046506B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は工具ハウジングと、動力伝達機構を介
して駆動される空気クツシヨン衝撃機構とを具え
る穿孔作業またはたがね作業用のモータ駆動動力
工具に関し、特に動力伝達機構および空気クツシ
ヨン衝撃機構が、部分的に潤滑油で満たされた共
通の封鎖ハウジング室内に配置され、そのハウジ
ング室内に動力工具のいずれの使用状態下でも潤
滑油の溢流を阻止する接続口を有する圧力平衡管
が突出する構成を有する動力工具に係るものであ
る。

背景技術 上記構成の動力工具においては作動時の温度増
加に応じて動力伝達機構と空気クツシヨン衝撃機
構とを収めた工具ハウジング内での圧力上昇が不
可避的である。さらに作動の間には衝撃機構にお
けるピストンの行程変位に基づいてハウジング室
内で強力な圧力増加が生じる。

かかる圧力条件は、既知の動力工具においては
封鎖性能に関する技術的問題を招来する。従来の
封鎖手段は特に長時間の使用後には不満足な機能
しか果さなくなることが経験的に認められてい
る。それ故に潤滑油が動力工具から外部に流出し
たり上述の工具ハウジング室とは分離して配置さ
れている工具部分内に溢流する。

封鎖性能についての上記問題に対処するため、
既知の動力工具においてはハウジング室をその内
部に突出する圧力平衡管の貫通孔を介して工具ハ
ウジング内の別のスペースと連通させている。工
具の作動間の温度上昇に応じてハウジング室内に
生じる圧力の増分は上述した別のスペースとの連
通に基づいて徐々に高まり、より長い作動時間の
後に封鎖上の問題を生じるレベルに達する。また
衝撃機構による圧力変動は、ハウジング室を別の
スペースと連通させたことに基づいて圧力ピーク
値が減衰される。このように減衰された圧力レベ
ルを特に工具の長い作動時間の後に、温度上昇に
よる圧力増加と相まつてハウジング室の封鎖性能
に対して悪影響を及ぼすものである。

発明の開示 本発明は、前述した構成を有する動力工具にお
いて、作動の結果としてハウジング室内に生じる
圧力増加をその封鎖性能に悪影響を及ぼさないレ
ベルまで低減させる有効な圧力平衡手段を提供す
ることを目的としている。この目的を達成するた
め、本発明は、圧力平衡管のハウジング室内との
接続口を大気と連通させることを特徴とするもの
である。

本発明の上記構成によれば、ハウジング室を大
気に対して開放させるために圧力を常に効果的に
平衡させることが可能となり、したがつて工具の
作動時にハウジング室内に作用する圧力を封鎖性
能に悪影響を及ぼさないレベルに維持することが
できる。接続口と大気との間は、好適には１本ま
たは複数本のパイプとして形成された圧力平衡管
を介して連通させる。ハウジング室を外部からの
汚染に対して保護するため、圧力平衡管の貫通孔
内にはフイルターを配置するのが望ましい。

高い圧力ピークを吸収するために、大気と連通
させた圧力平衡管の接続口は圧力平衡室を形成す
るケーシングによつて包囲するのが望ましい。ハ
ウジング室内に対して開放した圧力平衡室内で
は、衝撃機構によつて形成された圧力波が一層平
滑化される。場合により圧縮された空気がハウジ
ング室から圧力平衡室内に潤滑油を伴なつて流入
して圧力平衡室の内壁の下部にあつたとしても、
潤滑油は戻し流路を経て動力伝達機構および空気
クツシヨン衝撃機構を収めたハウジング室内に戻
される。

圧力平衡室のケーシングには、動力工具のいか
なる作動状態下でも潤滑油の溢流を阻止すべくハ
ウジング室に向けて開放された開口を形成するの
が有利である。この開口は圧力平衡室とハウジン
グ室との間の圧力平衡に寄与するのみならず圧縮
空気に伴なわれて圧力平衡室内に流入することの
ある潤滑油を戻すのにも有効である。開口の設置
位置は、潤滑油が開口を経て圧力平衡室内に直接
流入しないように定める。

本発明の他の実施態様では、開口の少なくとも
一部を動力工具の各作動位置に関して下側位置に
配置する。かかる配置によれば動力工具の実質的
に全ての作動条件下で圧力平衡室内に流入した潤
滑油をハウジング室内に戻すことが可能となる。
この場合、開口は圧力平衡室のケーシングにおけ
る底部領域に設けるのが望ましい。圧力平衡室の
底部近傍には圧力平衡管の前記接続口を配置する
のが有利である。

発明を実施するための最良の形態 以下、本発明を図示実施例について説明する。

本例によるたがね工具は工具ハウジング１を具
え、このハウジング内に動力伝達機構２と空気ク
ツシヨン衝撃機構３とが収められた構成を有して
いる。

動力伝達機構２は偏心クランクピン５を有する
歯車４よりなるものである。この歯車４は２個の
玉軸受６，７によりハウジング側で回動可能に支
持され、かつ引張りねじ８および支持リング９に
より軸線方向に予圧されている。歯車４を駆動す
るため、この歯車に対して図示しないモータのロ
ータ軸１１に形成されたピニオン１０を噛合わせ
る。ロータ軸１１はころ軸受１２によりハウジン
グ１内で回動可能に支持する。ころ軸受１２の領
域でロータ軸１１を包囲する封鎖リング１３によ
り、動力伝達機構２および空気クツシヨン衝撃機
構３を収めるハウジング室１５内に存在する潤滑
油のモータ室１４内への侵入を阻止する。参照数
字１６は工具の異なる使用角度での潤滑油の油面
を示す。

空気クツシヨン衝撃機構３は案内シリンダ１
７、起動ピストン１８および衝撃ピストン１９を
含むものである。起動ピストン１８と衝撃ピスト
ン１９との間に空気クツシヨン２１を形成する。
駆動ピストン１８を駆動するために起動ピストン
を連接ロツド２２を介してクランクピン５に連結
する。衝撃ピストン１９はピストンヘツド１９ａ
と作動方向に延在するピストンロツド１９ｂとを
有する。封鎖素子２３，２４によりハウジング室
１５を空気クツシヨン衝撃機構３の前方領域にお
いて外部に対して封鎖する。案内シリンダ１７内
には空気クツシヨン衝撃工具３の空気力学的機能
を発揮させるために必要な開口１７ａ，１７ｂ，
１７ｃを形成し、そのうちの開口１７ｃには弁リ
ング２５を関連して配置する。

工具ハウジング１内にほぼ皿形状のインサート
２６を着座させて設け、その周辺を封鎖するため
にゴムリング２７を配置する。インサート２６に
は工具室１５内に突出する環状壁２８を設け、こ
の環状壁とねじ結合されたカバー板２９とにより
平衡室３１のケーシングを形成する。平衡室はカ
バー板２９の領域に形成された開口２６ａを介し
てハウジング室１５と連通させ、その一部を構成
させる。平衡室３１内に貫通孔２６ｃを有する圧
力平衡管２６ｂを突出させ、その貫通孔２６ｃを
大気に対して開放させてその内側開口２６ｄを結
果的に大気と連通させる。

工具の作動に際してはその温度上昇が生じ、起
動ピストン１８および衝撃ピストン１９の行程変
位によりハウジング室１５内に連続的な圧力変動
が生じる。この圧力変動の大部分は平衡室３１内
で圧縮波が膨張することにより平衡状態となる。
圧縮空気と共に平衡室３１内に流入して平衡室内
にとどまる潤滑油は、工具の使用角度に応じて、
少なくとも開口２６ａを経てハウジング室１５内
に戻される。平衡室３１は貫通孔２６ｃを介して
大気と連通しているので、平衡室３１内に残存す
る圧力差は解消される。潤滑油は貫通孔２６ｃを
経て外部に排出されることはない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例による動力工具を一部
破断して示す側面図である。 ２６ａ……開口、２６ｂ……圧力平衡管、２６
ｄ……接続口、２８，２９……圧力平衡室のケー
シング、３１……圧力平衡室。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 工具ハウジングと、動力伝達機構を介して駆
   動される空気クツシヨン衝撃機構とを具え、る穿
   孔作業またはたがね作業用のモータ駆動動力工具
   であつて、動力伝達機構および空気クツシヨン衝
   撃機構が、部分的に潤滑油で満たされた共通の封
   鎖ハウジング室内に配置され、そのハウジング室
   内に動力工具のいずれの使用状態下でも潤滑油の
   溢流を阻止する接続口を有する圧力平衡管が突出
   するものにおいて、圧力平衡管２６ｂの前記接続
   口２６ｄを大気と連通させたことを特徴とする動
   力工具。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の動力工具におい
   て、大気と連通させた圧力平衡管２６ｂの前記接
   続口２６ｄを、圧力平衡室３１を形成するケーシ
   ング２８，２９によつて包囲したことを特徴とす
   る動力工具。 ３ 特許請求の範囲第２項記載の動力工具におい
   て、圧力平衡室３１のケーシング２８，２９に前
   記ハウジング室１５に連通する開口２６ａを形成
   し、この開口により潤滑油の溢流を動力工具のい
   ずれの使用状態下でも阻止する構成としたことを
   特徴とする動力工具。 ４ 特許請求の範囲第３項記載の動力工具におい
   て、前記開口２６ａの少なくとも一部は動力工具
   の各使用位置に関して下側位置に配置したことを
   特徴とする動力工具。