JPH0463995B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、金属ないしは金属溶湯を特に真空状
態又は過圧下で溶融、保温及び（又は）処理する
ためのコアレス型の誘導炉であつて、冷却される
誘導コイルを有し、該誘導コイルがその巻条の間
に位置するフレキシブルでガス密な材料から成る
中間層と共に、るつぼのガス密な被覆体の一部を
形成し、誘導コイル及び中間層が緊締装置によつ
て誘導コイルの軸線方向で押しつぶされる形式の
ものに関する。

従来の技術並びに欠点 このような形式の誘導炉は例えばドイツ連邦共
和国特許第496462号明細書に基づいて公知であ
る。るつぼの内部をガス密に閉鎖するために、誘
導コイルの巻条の間には例えばゴムから成る中間
層が設けられている。コイル巻条と中間層とから
成るコイル装置全体は公知の誘導炉では抗張装置
によつて押しつぶされ、この場合抗張部材は誘導
コイルの両端面側において下側のプレートと上側
のプレートに作用する。コイル及び中間層を押し
つぶす圧力はるつぼのガス密な被覆を生ぜしめる
ためにかなり大きなものなので、フレキシブルな
材料から成る中間層にはかなりの力が作用する。
しかしながら実地においてこの力を軸方向の力だ
けが発生するように制御することは事実上不可能
であり、様々な個所において中間層に誘導コイル
の軸方向及び周方向で種々異なつた負荷が生じる
ことは回避不能である。この不均一な力の分布に
よつて半径方向に向いた力が発生し、これによつ
て誘導コイルは部分的に中間層と共に側方に移動
してしまう。このような問題に対処するために例
えばドイツ連邦共和国特許第2420633号、明細書
に開示された誘導炉では、誘導コイルの外側にコ
イル全周にわたつて規則正しい間隔をおいて分配
された鉄製ヨークが設けられており、これらの鉄
製ヨークはまず第１に帰磁路を形成するために働
き、かつ第２に誘導コイルをるつぼに押し付けて
いる。しかしながら、いずれにせよこのような処
理では、フレキシブルな材料から中間層に作用す
る力を中間層に均等に分配させることは不可能で
ある。それどころかこの場合力が程度の差がこそ
あれ、不規則に分配されてしまうことがわかつ
た。この結果、極めて小さな押圧力しか生じない
いくつかの箇所ではガス密な閉鎖が不可能にな
る。また中間層の23の箇所では、中間層の材料を
強く負荷する著しく大きな軸方向の圧力が生じ、
これに対して別の箇所では、炉装置のガス密な閉
鎖に十分ではないため極めて小さな圧力しか生じ
ない。

発明の課題 ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式のコ
アレス型の誘導炉を改良して、個々のコイル巻条
の間に位置する中間層において、ほぼ均一な圧力
を確実に生ぜしめることができる誘導炉を提供す
ることである。

課題を解決するための手段 この課題を解決するために本発明の構成では冒
頭に述べた形式の誘導炉において、中間層に加え
て付加的に、個々のコイル巻条の間にスペーサが
設けられている。

発明の作用並びに効果 有利には当該の中間層よりも小さな軸方向高さ
しか有していないスペーサが個々のコイル巻条の
間に付加的に設けられていることによつて、所属
の中間層がその押しつぶされた状態で占める高さ
は正確に規定される。この結果、中間層がすべて
の箇所において均一な強さで押しつぶされること
が保証される。これによつて誘導コイルのすべて
の箇所においてるつぼのために完璧にガス密な被
覆対が得られる。

実施態様 本発明の実施態様では、中間層が誘導コイルの
互いに向かい合つた面の一部分しかおおつておら
ず、残りの部分がスペーサによつておおわれてい
る。また別の実施態様では、フレキシブルな材料
から成る中間層が主としてコイル巻条の内側縁部
とコイル導体中心との間の範囲に配置されてお
り、スペーサが主として巻条中間室の外側範囲に
位置している。誘導炉の運転中にコイル装置が加
熱すると、中間層の材料はその材料特性に応じて
膨張するので、上に述べたように構成されている
と中間層つまりシール部材の材料の加熱は、シー
ル部材を取り囲む部分に対するシール部材の圧着
力を高めることになる。

アメリカ合衆国特許第4152187号明細書に開示
された誘導炉には確かに、スペーサと呼ぶことが
できるかもしれない絶縁材料製の条片が個々のコ
イル巻条の間に設けられてはいるが、しかしなが
らこの公知の誘導炉は本発明の誘導炉とは次の点
で明らかに異なつている。すなわち公知の誘導炉
では個々のコイル巻条の間に、るつぼをガス密に
閉鎖するという課題をもつ、例えばゴムのような
弾性材料から成る中間層は設けられておらず、る
つぼをガス密に閉鎖するために、るつぼの外壁と
誘導コイル巻条及び絶縁材条片の内側との間に周
壁が設けられている。このシール周壁は、絶縁材
条片の凹凸に押し込まれた補強された弾性材料か
ら成つている。従つてこの公知のものはガス密性
に関する問題を解決する本発明による解決策とは
まつたく異なつたものである。

本発明の有利な実施態様では誘導コイルが、帰
磁路を形成するヨークによつて半径方向外側から
支持されている。このような配置形成はそれ自体
ドイツ連邦共和国特許第2420533号明細書に基づ
いて公知であるが、本発明によるスペーサとの関
連においてヨークは極めて有利な働きをする。つ
まり上述のように構成されていると、すべての箇
所において等しく密な中間層を備えた、まつたく
ずれることのない対称的な誘導コイルが得られ
る。

中間層のシール材料を極めて強い加熱から保護
するために本発明の別の実施態様では、誘導コイ
ルの巻条間においてるつぼに向いた側に、例えば
石綿のような耐火性材料から成るコードが配置さ
れている。このように構成されていると、シール
材料が極めて強い熱の影響によつて損傷すること
ひいてはシール効果が劣下することは確実に回避
される。また誘導コイルが絶縁材料製の外装又は
被覆層を有していてもよく、かつ付加的に又は択
一的にスペーサが、電気を絶縁する材料から成つ
ていてもよい。

理論的には、例えば比較的大きな間隔をおいて
複数の小さなスペーサ円板又はこれに類したもの
を個々のコイル巻条の間に設置することによつて
本発明の課題を解決することも可能ではあるが、
しかしながらスペーサが複数のスペーサ片から成
つており、これらのスペーサ片が互いに直接接触
してか又は互いに間隔をおいて配置されていると
有利である。このようなスペーサ片は誘導コイル
の巻条間に中断されることなく螺旋状に配置する
ことができ、この場合個々のスペーサ片は容易に
組み付け可能である。しかしながらまた、スペー
サが帯状でかつ螺旋状の連続した１つのストラン
ドから成つている実施態様も可能である。理論的
には、コイル導体が絶縁されている場合スペーサ
を通電性の材料から構成することも可能ではある
が、しかしながらスペーサが繊維によつて補強さ
れたプラスチツクからか又は結合材付きの雲母か
ら成つていると有利である。

ガス密性をさらに改善しかつ維持するために本
発明の別の実施態様では、特に例えばコンクリー
トのようなセラミツク材料から成る熱絶縁層が誘
導コイルの内側に設けられている。

シール作用をもつ中間層のためには例えばパテ
のような種々の異なつた材料が考えられるが、し
かしながら中間層がゴム又は塑性のプラスチツク
から成つていると有利である。

特にこのようなシール材料においては、コイル
装置の押しつぶされていない状態では誘導コイル
の軸線方向で見て中間層の高さとスペーサの高さ
との比が２：１〜1.2：１の間有利には約５：3.5
の値であると、特に良好なシール効果が得られ
る。

実施例 第１図に示されたコアレス型真空式の誘導炉１
は、鋼構造体から成る炉下側部分２に支承されて
いる。誘導炉１は湯出し口３を備えたるつぼ４を
有し、るつぼ４は耐火製の突固め材料から成るラ
イニング５を有している。るつぼ４内では真空下
で金属が溶融されかつ（又は）高温に保たれる。

炉内に真空を生ぜしめるために、炉内室全体は
ガス密に密閉されねばならない。このために炉上
側部分６には鋼から成るカバーフード７が設けら
れており、カバーフード７はその縁部においてＵ
字形成形体に保持されたゴムパツキン８でリング
フランジ９に密に支持されている。この場合リン
グフランジ９はリング状の保持体１０に溶接され
ており、この保持体１０自体は上側の鋼製外周壁
１１の外側に溶接されている。この鋼製外周壁１
１とライニング５との間には熱絶縁層１２が設け
られている。るつぼ４の上側はセラミツク材料製
の蓋１３によつておおわれている。るつぼ４の下
側範囲の外側には後でさらに述べる外周壁１４が
設けられており、この外周壁１４はまず第１に熱
絶縁のために働く。

溶融される又は溶融さるた金属が位置するるつ
ぼ下側範囲は、冷媒が連続的に貫流する誘導コイ
ル１５によつて取り囲まれている。るつぼ及び誘
導コイル１５の軸線方向において誘導コイル１５
には下側の真空パツキン１６と上側の真空パツキ
ン１７とが接続している。誘導コイルは自体公知
の形式（ドイツ連邦共和国特許第2420533号明細
書）で、電流が流れる能動的なコイル部分１５ａ
と電流が流れない上側及び下側のコイル部分１５
ｂ，１５ｃとに分割されている。コイル部分１５
ｂ，１５ｃは特に冷却コイルとして働く。

誘導炉１の全周にわたつて均等な角度間隔で分
配されて支柱１８が設けられており、これらの支
柱１８は上側の炉部分を下側の炉部分と結合して
いる。これらの支柱１８は中間部材１９を介し
て、同様に均等に角度間隔をおいて誘導炉の全周
にわたつて分配されたヨーク２０を外側から誘導
コイル１５に向かつて保持している。ヨーク２０
は例えば積み重ねられた成層鉄から成つている。
従つてヨーク２０は帰磁路を形成しかつ誘導コイ
ル１５を半径方向で支持するために働く。

以下において詳説する誘導コイル１５は多数の
巻条から成つており、これらのコイル巻条の間に
は誘導炉１をガス密に閉鎖する中間層が設けられ
ている。コイル巻条と中間層とから成る２つのコ
イル装置は、コイル緊締装置２１によつてコイル
の半径方向でまとめられている。このコイル緊締
装置２１は第１図に略示され、第３図において詳
しく示されている。

第４図は下から見た誘導炉の一部を示す図であ
り、２つの隣接したヨーク２０とその間に位置す
る抗張部材とが示されている。

第２図は本発明の枠内においては重要な誘導コ
イルの構成を示すものであつて、るつぼ４を取り
囲んでいてガス密な閉鎖を達成する装置が示され
ている。第２図にはコイル導体１５０の23の巻条
が示されており、このコイル導体１５０は、例え
ば冷却水が貫流する円形横断面の冷却通路１５１
を有している。第１図に略示されたコイル緊締装
置２１によつてコイル導体１５０の個々のコイル
巻条は互いに押し付けられ、その終端位置は、こ
こで雲母から成るスペーサ１５２の厚さによつて
規定される。スペーサ１５２は条片状の部材であ
り、例えばコイル装置の90゜にわたつて延材して
いるので、１つの巻条には４つのスペーサが配属
されている。

第２図に示された実施例ではスペーサ１５２は
互いに直接的に接して並んでいるので、１つの連
続したスペーサ条片が形成されている。誘導炉１
の半径方向で見てスペーサ１５２はコイルの外側
範囲を、つまり主として、コイル導体中心Ｍの右
側範囲を占めている（第２図参照）。るつぼ側に
はスペーサ１５２にフレキシブルな中間層１５３
と、例えば石綿のような耐火性材料から成るコー
ド１５４とが接続している。コード１５４は過剰
な熱作用による損傷からゴム製の中間層１５３を
保護している。誘導コイルとランニング５との間
には、熱絶縁層１４１と耐火コンクリート製の層
１４２とから成る外周壁１４が位置している。

第２図からわかるように中間層１５３並びにコ
ード１５４の横断面はほぼ楕円形をしている。誘
導コイルを押し付ける前は中間層１５３及びコー
ド１５４はほぼ円形横断面を有している。スペー
サ１５２がここでは結合剤付きの雲母から成つて
いることに基づいて、中間層１５３及びコード１
５４が押しつぶされる寸法は正確に規定されてい
る。つまり押しつぶされる部材はスペーサが到る
所で等しい厚さを有している場合にはすべての箇
所において均一な厚さで押しつぶされるからであ
る。

第３図からわかるように下側の真空パツキン１
６及び上側の真空パツキン１７にはそれぞれ補償
リング２４，２３が接続されており、両補償リン
グ２４，２３には抗張部材２１の２つのフツク２
１２，２１３が係合している。両フツク２１２，
２１３はナツト２１４を介して互いに接近運動可
能であり、これによつて誘導コイルは挿入された
中間層及びスペーサと共に押しつぶされる。

上に述べた実施例ではスペーサ１５２は結合剤
付きの雲母から成つているが、しかしながらスペ
ーサは内部に補強繊維を埋め込まれた合成樹脂か
ら成つていてもよい。また中間層１５３はゴムか
ら成つていても又は適当なプラスチツクから成つ
ていもよい。押しつぶされていない状態ではコー
ド１５４及び中間層１５３は直径約５mmの円形横
断面を有している。押しつぶされた状態ではこれ
らの部材の高さはスペーサ１５３の高さに相当し
て約3.5mmになる。コイル導体１５０は第２図に
示されているように絶縁されていないが、しかし
ながら第２図に示されたコイル導体１５０の形式
の代わりに、コイル導体が絶縁材料から成る被覆
層又は外装を有していてもよい。このような場合
コイル導体の個々の巻状の間に位置する部材特に
スペーサは必ずしも絶縁材料から成つている必要
はなく、絶縁材料が有利であるが通電性材料から
成つていてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は誘導炉の縦断面図、第２図は第１図に
示された誘導炉の誘導コイルの一部を半径方向で
断面して示す図、第３図は第１図に示された誘導
炉の誘導コイルをコイル緊締装置と共に示す半径
方向断面図、第４図は第１図に示された誘導炉の
コイル装置の下側を部分的に示す平面図である。 １……誘導炉、２……炉下側部分、３……湯出
し口、４……るつぼ、５……ライニング、６……
炉上側部分、７……カバーフード、８……ゴムパ
ツキン、９……リングフランジ、１０……保持
体、１１……鋼製外周壁、１２……熱絶縁層、１
３……蓋、１４……外周壁、１５……誘導コイ
ル、１６，１７……真空パツキン、１８……支
柱、１９……中間部材、２０……ヨーク、２１…
…コイル緊締装置、２３……補償リング、１４１
……熱絶縁層、１４２……層、１５０……コイル
導体、１５１……冷却通路、１５２……スペー
サ、１５３……中間層、１５４……コード、２１
１……抗張部材、２１２，２１３……フツク、２
１４……ナツト、Ｍ……コイル導体中心。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 金属ないしは金属溶湯を溶融、保温及び（又
   は）処理するためのコアレス型の誘導炉１であつ
   て、冷却される誘導コイル１５を有し、該誘導コ
   イルがその巻条の間に位置するフレキシブルでガ
   ス密な材料から成る中間層１５３と共に、るつぼ
   ４のガス密な被覆体の一部を形成し、誘導コイル
   １５及び中間層１５３が緊締装置２１によつて誘
   導コイル１５の軸線方向で押しつぶされる形式の
   ものにおいて、中間層１５３に加えて付加的に、
   個々のコイル巻条の間にスペーサ１５２が設けら
   れていることを特徴とするコアレス型の誘導炉。 ２ 中間層１５３が誘導コイル１５の互いに向か
   い合つた面の一部分しかおおつておらず、残りの
   部分がスペーサ１５２によつておおわれている、
   特許請求の範囲第１項記載の誘導炉。 ３ フレキシブルな材料から成る中間層１５３が
   主としてコイル巻条の内側縁部とコイル導体中心
   Ｍとの間の範囲に配置されており、スペーサ１５
   ２が主として巻条中間室の外側範囲に位置してい
   る、特許請求の範囲第１項又は第２項記載の誘導
   炉。 ４ 誘導コイル１５が、帰磁炉を形成するヨーク
   ２０によつて半径方向外側から支持されている、
   特許請求の範囲第１項から第３項までのいずれか
   １項記載の誘導炉。 ５ 誘導コイル１５の巻条間においてるつぼ４に
   向いた側に、耐火性材料から成るコード１５４が
   配置されている、特許請求の範囲第１項から第４
   項までのいずれか１項記載の誘導炉。 ６ 誘導コイル１５が絶縁材料製の外装又は被覆
   層を有している、特許請求の範囲第１項から第５
   項までのいずれか１項記載の誘導炉。 ７ スペーサ１５２が電気を絶縁する材料から成
   つている、特許請求の範囲第１項から第６項まで
   のいずれか１項記載の誘導炉。 ８ スペーサ１５２が複数のスペーサ片から成つ
   ており、これらのスペーサ片が互いに直接接触し
   てか又は互いに間隔をおいて配置されている、特
   許請求の範囲第１項から第７項までのいずれか１
   項記載の誘導炉。 ９ スペーサが帯状でかつ螺旋状の連結した１つ
   のストランドから成つている、特許請求の範囲第
   １項から第７項までのいずれか１項記載の誘導
   炉。 １０ スペーサ１５２が繊維によつて補強された
   プラスチツクからか又は結合剤付きの雲母から成
   つている、特許請求の範囲第１項から第９項まで
   のいずれか１項記載の誘導炉。 １１ 誘導コイル１５の内側にセラミツク材料製
   の熱絶縁層が設けられている、特許請求の範囲第
   １項から第１０項までのいずれか１項記載の誘導
   炉。 １２ 中間層１５３がゴム又は塑性のプラスチツ
   クから成るストランドによつて形成されている、
   特許請求の範囲第１項から第１１項までのいずれ
   か１項記載の誘導炉。 １３ コイル装置の押しつぶされていない状態で
   は誘導コイル１５の軸線方向で見て中間層１５３
   の高さとスペーサ１５２の高さとの比が２：１〜
   1.2：１の間の値である、特許請求の範囲第１項
   から第１２項までのいずれか１項記載の誘導炉。