JPH0459286B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本発明は処方中にキトサン粉末および酸性粉末
を配合することにより優れたエモリエント効果を
示す粉末または顆粒状皮膚外用剤に関するもので
ある。 ［従来の技術］ 従来粉末状皮膚外用剤は、界面活性剤を主成分
として水で泡立てて使用し主に洗浄効果を訴求し
たもの、あるいは水溶性糖類粉末を主成分として
処方が構成され、ほとんどの場合水溶液として塗
布し、主に保湿効果を訴求したものがそのほとん
どであつた。 さらに詳しく述べれば洗浄効果を期待する粉末
状皮膚外用剤は脂肪酸石鹸あるいは合成界面活性
剤を主成分としてタルク、カオリン等の無機粉末
や不溶性の結晶セルロースを増量剤として配合し
たものであつた。 洗浄効果については処方中の洗浄剤量をある程
度以上配合すれば当然期待できるが、これらの処
方系では使用後のエモリエント効果を発揮するよ
うな物質を配合する配慮は一切なされていない。 一方糖類粉末を主成分とし、ビタミンＣなどの
美白剤を配合してなる美白パウダーなどの皮膚外
用剤は処方中の糖類粉末による保湿効果があまり
大きくないために、むしろ美白効果等を期待した
効果成分たとえばビタミンＣ等を配合し、糖類粉
末は増量剤的な役割をしているものが多く、洗浄
用の皮膚外用剤と同様に使用後のエモリエント効
果については配慮がなされていなかつた。 粉末状の皮膚外用剤にエモリエント効果のある
成分と配合しようとしても粉末状というその製剤
特性上、最もエモリエント効果があると言われて
いる液状、ペースト状の油分が配合できず、結果
として使用後のエモリエント効果に対する配慮に
欠けるものである。 配慮に欠ける従来の皮膚外用剤は使用後肌がつ
つぱるなどの欠点があつた。 ［発明が解決しようとする問題点］ 本発明者らは係る事情に鑑み鋭意研究の結果、
処方中にキトサン粉末とともに酸性粉末を配合し
たならば優れた使用後のエモリエント効果をもつ
粉末または顆粒状洗浄剤、粉末化粧料が得られる
ばかりでなくマツサージ料も得られることを見出
し本発明を完成するに至つた。 ［問題点を解決するための手段および作用］ すなわち本発明はキトサン粉末および酸性粉末
を配合したことを特徴とする粉末または顆粒状皮
膚外用剤である。 そして、前記キトサン粉末および酸性粉末はそ
の保存中にはなんら化学的な反応を起こさず安定
であるが、実際の使用時においては皮膚上で両者
が皮膚上の水分を介して反応し塩を形成する。即
ち、キトサンはそのアミノ基が遊離の状態にあ
り、該アミノ基と酸が反応してキトサン塩を形成
するのである。 このキトサン塩は保湿性に優れ皮膚外用剤とし
て用いた場合に優れたエモリエント効果を奏す
る。 以下、本発明の構成について詳述する。 本発明で用いられるキトサンはカニ、エビなど
の甲殻類の殻や昆虫などの外骨格、あるいは菌、
藻類の細胞壁などに存在するキチンを濃アルカリ
で脱アセチル化処理して得る。 さらに具体的な例としては、カニ、エビの甲殻
を希塩酸で処理して脱炭酸カルシウム処理し、つ
いで希水酸化ナトリウム溶液で処理して脱タンパ
クする。得られた粗キチンを水洗し、必要に応じ
て精製処理し、つづいて濃水酸化ナトリウム溶液
で脱アセチル化処理する。得られた粗キトサンを
水洗し、必要に応じて精製し乾燥後粉砕し本発明
にかかるキトサン粉末とする。 粉末状のキトサンを配合する量としては0.5〜
70重量％（以下単に％と記す。）であり、0.5％以
下の水準では本発明にかかる効果を発揮しにく
く、70％を越える場合には必然的に処方中のキト
サン分量が多くなりすぎ、その他必要な酸性粉
末、皮膚外用剤基剤の分量が減り本発明の効果は
もとより皮膚外用剤としての本来の性能が発揮し
にくくなる。 好ましくは１〜50％である。 一方本発明で用いられる酸性粉末としては通常
皮膚外用剤に配合できる酸粉末たとえばリンゴ
酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸などの低分子有
機酸や、アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸
性アミノ酸、あるいはピロリドンカルボン酸、ア
スコルビン酸、さらにはカルボキシビニルポリマ
ーのような高分子物質はもちろん、液状の酸たと
えば酢酸、乳酸などを無水ケイ酸、セルロースパ
ウダーなどに吸着させてえられる粉末も配合でき
る。 これらの酸性粉末を１種または２種以上もちい
る。 本発明に従つてキトサン粉末とともに皮膚外用
剤に配合される酸性粉末の量としては0.2〜50％
であり、期待されるエモリエント効果に応じて決
定されるが、キトサン量に対して1/10以上３倍量
以下の量が本発明の効果を発揮するのに必要であ
り、望ましくはキトサン量の1/5以上である。本
発明の効果以外の目的で配合する場合は上限はこ
の限りでない。 キトサン粉末および酸性粉末を配合する皮膚外
用剤基剤としては通常の粉末皮膚外用剤基剤が利
用できる。 たとえば洗浄効果を訴求するものとしては、脂
肪酸石鹸やアシルグルタミン酸塩、アルキル硫酸
塩、アルキルリン酸塩などを主成分とするものが
一般的であり、必要に応じて通常粉末皮膚外用剤
に配合される保湿剤、賦形剤、殺菌剤などの薬
剤、色素、香料などが添加される。 保湿効果を訴求する粉末皮膚外用剤としては、
庶糖、乳糖、マルトース、ソルビトール、マンニ
トール、などの糖類粉末の賦形剤を主成分とした
もので、必要に応じてビタミンＣ、ビタミンB₆
塩酸塩、アラントインなどの効果成分を併用でき
る。色素、香料など皮膚外用剤を修飾する成分を
併用できることは言うまでもない。 洗浄効果、保湿効果を訴求するこれらの皮膚外
用剤は必要に応じて造粒処理を施して顆粒状とし
ても構わず、造粒の方法としては通常皮膚外用剤
を造粒する方法であればどのような方法でも利用
できる。すなわち撹拌造粒、押し出し造粒、流動
層造粒、破砕造粒などが有名である。造粒方法に
よつては結合剤を必要とする方法もあり、その場
合には通常の結合剤をすべて利用できる。 以上のような手法でキトサン粉末、酸性粉末、
粉末皮膚外用剤基剤を適当な方法で混合し、場合
によつては造粒処理を施して、本発明にかかる使
用後のエモリエント効果にすぐれた粉末または顆
粒状の皮膚外用剤を得る。 得られた皮膚外用剤はキトサン粉末および酸性
粉末を配合しない皮膚外用剤を使用した場合と比
較して、使用後肌がつつぱるなどの欠点がなく、
すぐれた使用後のエモリエント効果を示した。 ［実施例］ 次に実施例および比較例により本発明と本発明
の効果について詳述するが、本発明はこれにより
限定されるものではない。 実施例 １ クレンジングパウダー アシルグルタミン酸塩（商品名 アミソフトLS
−11） 20wt％ キトサン粉末 50 クエン酸 20 タルク 10 香 料 適量 比較例 １ クレンジングパウダー アシルグルタミン酸塩（商品名アミソフトLS−
11） 20wt％ ポリエチレン粉末 50 クエン酸 20 タルク 10 香 料 適量 比較例 ２ クレンジングパウダー アシルグルタミン酸塩（商品名アミソフトLS−
11） 20wt％ キトサン粉末 50 タルク 30 香 料 適量 比較例 ３ クレンジングパウダー アシルグルタミン酸塩（商品名アミソフトLS−
11） 20wt％ ポリエチレン粉末 50 タルク 30 香 料 適量 それぞれの成分を混合粉砕したのち香料を散布
し粉末状皮膚外用剤を得る。

【表】 実施例１においては本発明を応用しキトサン粉
末および酸性粉末の両者を配合している。 一方比較例１、２、３においてはキトサン粉
末、酸性粉末のいずれか、または両者が配合され
ていない。 したがつて使用後の感触は実施例１では優れた
ものであるが、比較例１、２、３ではそれぞれ満
足のいくものではない。 このような使用性の著しい差は実施例１におい
て本発明にかかる技術を応用した結果である。 なお使用後の感触の評価はそれぞれの試料を20
名の専門美容技術者が使用し、使用後の肌のつつ
ぱりなどの感触を10点法により評価した値の平均
値で示した。 平均点８点以上 評価 〇 ８点未満５点以上 評価 △ ５点未満 評価 × 実施例 ２ マツサージングスクラブ キトサン粉末 30wt％ 酒石酸 10 リンゴ酸 10 Ｄ−マンニツト 20 セルロースパウダー 29 香 料 適量 メチルセルロース １ キトサン以下セルロースパウダーまでの粉末原
料を混合粉砕したのち、メチルセルロースの１％
水溶液を結合剤として流動造粒法により造粒す
る。得られた顆粒をふるい分けして32〜60メツシ
ユの部分を選び香料を散布して、マツサージング
スクラブを得た。 この皮膚外用剤を25名の専門美容技術者に使用
させたところ、使用後肌のつつぱりなどの不満を
訴えたものは皆無であつた。 実施例 ３ フレツシユパウダー キトサン粉末 1wt％ カルボキシビニルポリマー ２ 乳 糖 82 PEG20000 10 Ｌ−アスコルビン酸 ５ 色 素 適量 それぞれの成分を混合粉砕してフレツシユパウ
ダーを得る。 また、キトサン粉末を添加せず、乳糖を83％配
合した比較例を調整する。 そして、該比較例と実施例３のそれぞれのエモ
リエント効果を重量変化法により測定した。 実施例３および比較例の試料を10％溶液として
それぞれの溶液を10μ秤量し、２×２cmの濾紙
に浸漬する。 経時の重量変化を経時８分まで毎分測定し、３
分後から８分後までの重量変化を直線に表し（重
量変化の対数×時間）、その傾きより水分蒸発速
度定数を算出し、保湿性を評価する。なお、測定
は25℃、50％の恒温恒湿下で行なつた。 この結果、実施例３の水分蒸発速度定数は約
3.5×10^-2となり、比較例の約5.5×10^-2と比較し
著しく低く、実施例品の保湿効果が極めて優れて
いることが理解される。 得られた試料を専門美容技術者25名に使用させ
たところ、実施例２の場合と同様に、使用した全
員が使用後の優れたエモリエント効果を感じた。 実施例 ４ ボデイウオツシンググレイン キトサン粉末 70wt％ クエン酸 10 アスパラギン酸 ５ 石鹸末 ５ 精製糖 ８ 香 料 適量 エチルセルロース ２ キトサン以下精製糖までの粉末原料を混合粉砕
したのちエチルセルロースの10％エタノール溶液
を結合剤として押し出し造粒法により造粒する。
乾燥、ふるい分けののち28〜48メツシユの部分の
顆粒に香料を散布してボデイウオツシンググレイ
ンを得た。 得られたボデイウオツシンググレインを25名の
専門美容技術者に使用させたところ24名の者が使
用後のエモリエント効果を感じ、つつぱりなどは
見られないと答えた。 １名については使用後肌がかさつくと答えた
が、調査したところこの者は皮脂がかなりすくな
い超乾性肌であつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ キトサン粉末および酸性粉末を配合したこと
   を特徴とする粉末または顆粒状皮膚外用剤。