JPH0458850B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、軟弱地盤における基礎杭として好適
な鋼管杭の埋設工法に関するものである。一般に
住宅の基礎は、独立基礎、布基礎あるいは、ベタ
基礎などで施工しており、良質地盤では問題がな
いが、最近大都市周辺の良質地盤の住宅地は、開
発がしつくされ、近時は建築をひかえていた軟弱
な地盤に住宅を建設することが多くなつており、
前記の一般的な基礎構造では、年月の経過ととも
に、地盤の不等沈下などにより、住宅が沈下、変
形し、トラブルを起す事故が頻発している。

このような軟弱地盤と改良工法としては、サン
ドパイル工法、プラスチツクボードドレーン工
法、プレローデイング工法、セメント石灰工法な
どがあり、また、不等沈下の防止や上部荷重を地
盤に伝達する方法としては、摩擦くい工法及び支
持くい工法がある。

しかし、これらの工法はいずれも敷地の広い大
規模な建設工事に用いられ、さらに、大きな荷重
を支持できるように設計された工法であつて上部
荷重の小さい一般住宅の基礎としては、敷地面
積、施工規模、荷重条件、経済性その他から使用
は難かしい。

現在とられている工法としては、木ぐい、小径
コンクリートくいあるいは小径鋼管を打込んで、
上部荷重を支持させているが、住宅密集地での施
工法としては騒音、振動に問題があり、また支持
地盤が深い場合はくいが長くなり、経済的でない
本発明は、前述のような従来工法における欠点を
改善し、特に住宅密集地における施工に適し、か
つ軟弱地盤中に施工して地盤を改良すると共に、
基礎として十分な強度と支持力を有する鋼管杭の
埋設に適した施工法を提供しようとするもので、
下端部な掘削刃及びグラウト噴出孔とネジ込用の
螺旋翼とを突設した鋼管杭を使用し、杭の回転に
より、杭先端の掘削刃によつて先端の土砂を掘削
軟化させながら、杭体外周面に突設した翼巾の大
きな螺旋翼の回転食い込み力によつて鋼管杭を無
拝土で所定深度にネジリ込み沈設し、その際グラ
ウト噴出孔よりセメントミルクを注入して、鋼管
杭の周辺に螺旋状の支持層と鋼管杭の下端部に根
固め団塊を形成させることを大きな特徴としてい
る。

本発明によれば、杭を回転しながら地中に押圧
し、先端掘削刃により杭本体先端の土砂を掘削軟
化させ、その側面の未掘削の土砂の中に翼巾の大
きな螺旋翼を、切り込むようにネジ込ませる結
果、土の耐力が螺旋翼の上部に反力として作用
し、杭体に回転を加えることにより、押し込み力
を必要とせず、推進方向へのネジ込みを容易に
し、また杭先端の掘削軟化した杭体積分の土砂を
杭側面に押出し、杭側面の土を圧縮して、地盤を
圧密しながら無拝土で杭の推進沈設がなされるこ
とになる。そして、沈設された杭には、杭の側面
に圧縮した土砂とセメントミルクの体積が螺旋状
の支持層を形成し杭を締め付け摩擦力として有効
に作用し、翼巾の大きな螺旋翼及び根固め団塊と
合わせて大きな支持力が得られることになる。

以下、本発明の実施例について図面を参照して
説明する。

第１図は本発明において使用する鋼管杭の一実
施例を示した側面図、第２図は同底面図で、これ
らの図において１は鋼管製の杭本体で、その下端
には底板２が固設されており、底板２には下方に
向けて掘削刃４，４とグラウト噴出孔３，３とが
突設されている。また、杭本体１の下端部にはそ
の外周面に沿つて翼巾の大きい杭ネジ込み用の螺
旋翼５が突設されている。この螺旋翼５は、図面
に示すように、杭本体１の外径のほぼ２倍〜２倍
強の外径を有しており、そしてほぼ一巻強にわた
り連続して形成されている。また、この螺旋翼５
のピツチは、螺旋翼５の外径のほぼ４分の１の長
さに選定されている。

本発明の工法は上記鋼管杭を使用するものであ
つて、その施上にあたつては杭本体１の上端部に
図示を省略した回転押込み駆動装置を取付け、そ
の駆動によつて杭本体１を回動し、グラウト噴出
孔３，３からセメントミルクを注入しながら押込
んで地中に埋設するのである。

まず、地盤上に鋼管杭を立設し、駆動装置によ
つて鋼管杭をネジ込むように回転させながら地中
に押圧する。それにより、下端の掘削刃４によつ
て杭先端の土砂を掘削軟化して流動化させ、杭本
体１の外周面に突設した翼巾の大きな杭ネジ込み
用螺旋翼５を掘削した土砂に食い込ませ、土の組
成を反力として回転推進して、流動化した土砂を
杭側面に圧縮して押しのけ、鋼管杭を地中にネジ
リ込んでゆくのである。

そして、前記の鋼管杭の回転にあたつては、そ
の底板にあるグラウト噴出孔３よりセメントミル
クを出せば、掘削軟化した土砂とセメントミルク
は掘削刃４により混合され、その混合土砂は、杭
体の貫入によつて杭体積分の混合土砂が杭体積外
の横方向に圧縮されることになり、したがつて、
地表面には土砂を排出せず無拝土で杭の埋設が行
われるとともに、第２図のように、杭本体１の周
辺および回転軌跡にはセメントミルクが掘削土と
混合されて充填し、螺旋状の周辺支持層８が連続
状態で形成されることになる。

このようにして、鋼管杭を所定の深度まで貫入
させたなら、次に、鋼管杭の回転を逆転〜正転と
繰り返しながら鋼管杭の上下動を繰り返し行な
う。それにより、杭先端付近の土砂はセメントミ
ルクと混合されソイルコンクリートとなり、杭先
端部は螺旋翼と一体の大径拡低根固め団塊を造
り、地中のプラグ効果を大きくする。そして、杭
の上下動によつて鋼管杭の表面に密接している周
面地盤と鋼管杭との間に〓間が生じ、それに杭先
端より流出してきたセメントミルクが流入充満
し、混合され、鋼管杭と外周土砂及び周辺支持層
８間に付着し、杭先端付近で横方向に押し出され
圧密されたソイルコンクリートの水分を付近の土
砂が吸い膨張してセメントミルクは杭体との間に
サンドウイチ状に挟まれ圧着し杭体との付着をよ
くし、周辺摩擦力を強力に増大させることにな
り、基礎杭としての大きな支持力を発揮すること
になるのである。

なお、セメントミルクの注入は、杭本体１中に
セメントミルクを入れてやり噴出孔３からの自然
噴出にまかせればよいが、必要に応じては噴出孔
３に注入パイプ等を連結して強制的に噴出させる
ようにしてもよい。また、貫入後の鋼管杭の管中
は空洞のままにしておいても、或はコンクリート
等を充填してもよい。

以上説明したように、本発明に使用する鋼管杭
は、杭本体の下端部に、掘削刃及びグラウト噴出
孔と杭本体の外径のほぼ２倍強にわたる翼巾の大
きな杭ネジ込用の螺旋翼を突設した構成のもので
あるから、掘削刃による土砂の軟化、流動化と、
その土砂への翼巾の広い螺旋翼の食い込みによつ
て、僅かな押圧力によつて杭を回転させるだけで
沈設が能率よく容易にでき、また、構造は極めて
簡単なので安価に製作することができる。しか
も、翼巾の広い螺旋翼を用いているので、螺旋翼
の面積に相応する大きな支持力が得られ、特に軟
弱地盤における住宅等の基礎杭に適応して大きな
効果を奏するものである。そして、その埋設は、
直接地中に回転、圧入すると共に、グラウト噴出
孔よりセメントミルクを注入するだけの操作で極
めて簡単にかつ無騒音、無振動で行える。しかも
鋼管杭の下端部には螺旋翼と一体結合された台形
の根固め団塊が形成されると共に、鋼管杭の周辺
にも螺旋翼の回転軌跡に沿う周辺支持層が鋼管杭
と一体化して形成され、埋設した鋼管杭の支持力
を著しく増大させることができる。したがつて、
小径、短尺な鋼管杭を用いしかもその使用本数も
少なくてすみ、施工の手間および経費が大巾に軽
減され、特に軟弱地盤上に建設する一般住宅用の
基礎として優れた効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明において使用する鋼管杭の一実
施例を示す側面図、第２図は本発明鋼管杭の施工
状態を示す側断面図である。 １……杭本体、２……底板、３……グラウト噴
出孔、４……掘削刃、５……螺旋翼、６……螺旋
翼の回転軌跡、７……掘削孔、８……周辺支持
層、９……根固め団塊。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鋼管製の杭本体の下端に底板を固設し、該底
   板に掘削刃及びグラフト噴出口を設けると共に、
   杭本体の下端部外周面に杭本体の外径のほぼ２倍
   強の外径を有する翼巾の大きな杭ネジ込用の螺旋
   翼を、ほぼ一巻きにわたり突設した鋼管杭を、軟
   弱地盤にネジ込むように回転させながら地中に押
   圧し、下端の掘削刃によつて杭本体先端の土砂を
   掘削、軟化させて、杭側面の未掘削土中に螺旋翼
   を食い込ませて、土の耐力を反力として杭体を回
   転推進させながらグラウト噴出孔よりセメントミ
   ルクを注入して、掘削軟化した土砂とセメントミ
   ルクとを杭側面に押出し圧縮し、無排土で杭体を
   ネジ込んでゆくとともに、鋼管杭の周辺に杭本体
   の外径の２倍強の外径を有する連続螺旋状の周辺
   支持層を形成し、鋼管杭の所定深さへの貫入後
   は、鋼管杭を回動させながら上下動を行ない、鋼
   管杭の下部の土砂とセメントミルクを回転混合
   し、鋼管杭の下端部に杭本体の外径のほぼ２倍強
   の外径を有する根固め団塊を形成させることを特
   徴とする、鋼管杭の埋設工法。