JPH0457420B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、加圧鋳造装置用中子に関し、特に、
鋳込作業終了後に中子を引き抜いて、中空部を形
成するタイプの加圧鋳造装置用中子に係るもので
ある。

機械部品として広汎に使用される低融点金属材
料、例えばアルミニウム系合金は加圧鋳造法によ
り成型されることが多い。

加圧鋳造法は金型に溶湯、すなわち、溶融した
金属材料を加圧注入して凝固させる方法であり、
中空部を有するものを製造する場合には外型のほ
かに中子を別個に使用している。

この中子は一般に鋳鉄等の金属材料によつて形
成されており、その外周面は粗面であることが多
い。つまり、中子の外周面には微視的に見て多数
の凹凸が形成されている。従つて、溶融した金属
材料が中子外周面の凹部に侵入し、そのまま冷却
するため、鋳造工程終了後に中子を引き抜く際、
凹部に侵入した金属材料が抵抗となつて引き抜き
にくいという問題がある。

そこで、通常は中子の先端部に所定の角度で抜
き勾配を形成することにより、この問題に対処し
ている。しかし、この抜き勾配は例えば1°30′と
かなり大きいので、鋳造後の仕上げの段階で鋳物
の中空部の周壁を切削する必要がある。また、こ
の切削工程において、切削代の大きさ（深さ）に
よつては鋳物内部のピンホ−ル（巣）に起因して
圧洩れが生じる場合がある。従つて、工程数が増
加し、加工コストが上昇するばかりでなく製品の
歩留りにも影響が生じる。

更に、アルミニウム系合金は凝固時の収縮率が
大きいため、収縮によつて表面の硬さが増大し、
表面硬度が比較的低い中子との摩擦係数が高いた
め引き抜きにくいという不具合がある。

本発明は上述の点に鑑みてなされ、表面が滑ら
かで、かつ表面硬度が高く、加圧鋳造工程終了後
に容易に引き抜くことができ、しかも、抜き勾配
が小さく、鋳造物の切削仕上げ工程を必要としな
い中子を提供することを目的とし、本発明におい
ては、加圧鋳造用金型の所定の位置にセツトさ
れ、成型物に中空部を形成するために使用される
加圧鋳造装置用中子において、外周面を先細にな
る緩勾配のテーパが付与されかつ、鋳込み金属の
融点より高い高融点の材料からなる中子と、該中
子の外周面に施された鍍金とを有し、鋳込作業終
了後に前記中子を抜き取るよう構成したことによ
り上記目的を達成したものである。

以下本発明の一実施例を添附図面に基づいて詳
述する。

ここでは、一例として自動二輪車のブレーキ用
マスタシリンダボデイを鋳造する場合に使用され
る中子について説明する。

第１図は加圧鋳造法により成型されたマスタシ
リンダボデイ１の断面図であり、このマスタシリ
ンダボデイ１は図示しないブレーキ液圧送用ピス
トンを嵌挿するための穴１ａを有し、この穴１ａ
を形成するために上記中子が使用される。

第２図はこのマスタシリンダボデイ１を成型す
るために使用される加圧鋳造装置の一部を示し、
外型２，３および４により後述するように溶湯が
注入される中空部５が画成されている。上記ピス
トン嵌挿穴１ａを形成するための中子６はこの中
空部５内に配設されており、その基部６ｂは外型
３に穿設された孔３ａを貫通して外部に突出して
いる。中子６の先端部６ａは図示のように減径さ
れており、中子６はその基部６ｂを外型３の孔３
ａに支持されると共に、外部において図示しない
固定手段により先端部６ａが中空部５内に正確に
同心的に配置されるように固定支持されている。

中子６の先端部６ａの外周面には第３図に示す
ようにメツキ層７が形成されている。このメツキ
層７は好ましくはハードクロームなどの硬い金属
材料を使用し、通常の手法により10〜20μ程度の
厚さに形成される。このメツキ層７により中子６
の先端部６ａの外周面の表面が従来の中子の表面
に比べて滑らかになると同時に表面硬度も増大す
る。このため、成型後の中子６の引き抜きが容易
になり先端部６ａに形成される抜き勾配（角度
α°）は従来1°30′程度であるのに対し、本発明にお
いて略6′となり、略1/15に低減することができ
る。従つて、中子６を引き抜いた後で第１図にお
ける穴１ａの周壁の切削仕上げを行なう必要がな
い。

かかる中子６を使用して、マスタシリンダボデ
イ１の成型を行う場合、第２図において、外型
２，３および４により画成された中空部５内に中
子６を配置したのち、溶融したアルミニウム合金
を中空部５内に加圧注入する。そして成型後、外
型２，３および４を外し、更に冷却したのち中子
６を引き抜く。この時、上述したように中子６の
先端部６ａの外周面にはクロームメツキが施され
ているので、表面が滑らかであり、引き抜き時の
抵抗がほとんどない。又、それと同時に表面硬度
も高いため、冷却後にアルミニウム合金が収縮し
た場合も中子と内壁との摩擦係数が小さいため引
き抜き易い。

以上説明したように、本発明においては、加圧
鋳造用金型の所定の位置にセツトされ、成型物に
中空部を形成するために使用される加圧鋳造装置
用中子において、外周面を先細になる緩勾配のテ
ーパが付与されかつ、鋳込み金属の融点より高い
高融点の材料からなる中子と、該中子の外周面に
施された鍍金とを有し、鋳込作業終了後に前記中
子を抜き取るよう構成したので、抜き勾配を大幅
に低減でき、中子引き抜き後の切削仕上げ工程を
省略することができる。また、仮令切削仕上げを
必要とする場合であつてもその切削代はわずかで
よいから材料の歩留りも良く内部のピンホール
（巣）に起因する圧洩れがない。従つて、製作工
程の削減と相俟つて製造コストを削減することが
できる。

更に、中子表面に鍍金を施すため、中子の表面
は粗面でも差しつかえなく、加工工程が簡易にな
るだけでなく、鋳込作業後中子を抜き取り易くな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る加圧鋳造装置用中子を使
用して成型された自動二輪車のブレーキ用マスタ
シリンダボデイの断面図、第２図は加圧鋳造装置
の一部破断断面図、第３図は本発明に係る加圧鋳
造装置用中子の要部拡大図である。 ５……中空部、６……中子、７……メツキ層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 加圧鋳造用金型の所定の位置にセツトされ、
   成型物に中空部を形成するために使用される加圧
   鋳造装置用中子において、外周面を先細になる緩
   勾配のテーパが付与されかつ、鋳込み金属の融点
   より高い高融点の材料からなる中子と、該中子の
   外周面に施された鍍金とを有し、鋳込作業終了後
   に前記中子を抜き取るよう構成したことを特徴と
   する加圧鋳造装置用中子。 ２ 前記中子は金属材料より成り、前記鍍金用材
   料はクロームである特許請求の範囲第１項記載の
   加圧鋳造装置用中子。