JPH0455863B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、ブロツキング防止性能のすぐれた樹
脂をブロー成形して、内面が近接している袋状物
品を製造する方法に関するものである。さらに詳
しくは、重合時に架橋剤を添加して重合して得ら
れる部分的に架橋された架橋塩化ビニル樹脂単
独、又はこれに非架橋塩化ビニル系樹脂を配合し
てなる樹脂であつて、ゲル分が0.5〜50重量％で
あるブロツキング防止性能のすぐれた塩化ビニル
系樹脂をブロー成形することにより、艶消半透明
状であつて、触感が良好で、かつブロツキングが
完全に防止された内面が近接している袋状物品を
製造する方法に関するものである。 非架橋塩化ビニル樹脂は比較的安価であり、各
種の特性に優れるが故に各種の分野に於いて種々
の用途に利用されている。そして各種の物品を製
造するに際して、加工方法としては、一般に押出
成形、カレンダー成形、射出成形、ブロー成形等
各種の方法が知られている。 しかしながら従来、袋状物品を製造する際に、
ブロー成形法が利用される事は皆無に近かつた。
何故ならブロー成形において袋状物品を製造する
と、しばしば袋の内面同志が融着（ブロツキン
グ）してしまい、不良品が多くなり、生産性が悪
くなるからである。従つて、従来、袋状物品を製
造する際には、カレンダー加工で２枚のシボ付き
フイルム又はシートを予め製造し、次いでシボ付
き表面同志が内面になる様に重ね、ブロツキング
しない様にセツトし、その後ウエルダー加工等に
よつて袋状物品を製造していた。しかしながら、
この様な方法によつても内面融着による製品不良
率は高く、従つて袋状物品製造時の製品不良品の
低減は当業界の長年の懸案事項になつていた。 一方、重合時に架橋剤を添加して得られる部分
的に架橋された架橋塩化ビニル樹脂が、各種の用
途、例えば押出用途、、射出用途、カレンダー用
途に使用され始め、その艶消性、耐熱変形性、耐
クリープ特性等が見直されてきた。例えば特開昭
54−80354、特開昭54−117550等にその技術の一
部が開示されている。 本発明者らは、架橋塩化ビニル樹脂が特にブロ
ツキング防止性能がよい事を見出し、これをブロ
ー成形に使用すると袋状物品製造時の内面熱融着
がほとんど皆無となり、しかも袋状物品を取出し
た後の製品融着も皆無となり、不良製品がほとん
どなくなるという驚くべき事実を発見し本発明を
完成した。 即ち本発明は、重合時に架橋剤を添加して得ら
れる部分的に架橋された架橋塩化ビニル系樹脂単
独、又はこれに非架橋塩化ビニル系樹脂を配合し
てなる樹脂であつて、かつ該樹脂中におけるゲル
分が0.5〜50重量％であるブロツキング防止性能
のすぐれた塩化ビニル系樹脂をブロー成形法によ
る、内面が近接している袋状物品の製法を提供す
るものである。 本発明でいう袋状物品とは、物差し等を収納す
る為の袋、薄い書類等を収納する為の袋等のよう
に日用品分野に於いて使用される袋状物、衣服等
を包装する袋等のように包装分野に於いて使用さ
れる袋状物、果実等を保護する為の袋等のように
園芸分野に於いて使用される袋状物、その他食品
包装分野、文具用品分野等の分野に於いて使用さ
れる内面が近接している袋状物品を指す。また袋
状物品の形状は特に限定されるものではないが、
３辺が閉じられた形状の袋状物、４辺が閉じられ
た形状の袋状物であつて、かつ一部に内部に通ず
る口を少なくとも１つ以上設けた袋状物品等があ
る。 本発明の袋状物品の製造はブロー成形により行
なうが、従来あるブロー成形機を使用する事がで
きる。また成形条件は特に限定するものではない
が、好ましくはパリソン出口温度が150〜220℃に
コントロールされている方が良い。150℃未満で
はパリソンの流れ状態が不良となり、220℃をこ
えると樹脂が焼ける等の現象を生じる。 本発明において使用される塩化ビニル系樹脂
は、架橋塩化ビニル系樹脂単独、又はこれに非架
橋塩化ビニル系樹脂を配合してなるものであつ
て、該樹脂のゲル含量は0.5〜50重量％にする必
要がある。これが0.5重量％未満となると艶消性
が低下し、又ブロツキング防止性が低下するし、
50重量％をこえると成形性が悪化して好ましくな
い。 本発明でいう塩化ビニル系樹脂中のゲル分と
は、ソツクスレー抽出器を用いて熱テトラヒドロ
フランで22時間抽出し、350メツシユフイルター
に２分離される抽出残渣を意味する。 架橋塩化ビニル系樹脂の製造方法は特開昭54−
134793、特開昭54−163939等に開示されている。
一般に該樹脂を製造する際には、重合時に架橋剤
の添加し懸濁重合によつて製造できる。即ち塩化
ビニル又は塩化ビニルを主体とするこれと共重合
可能な単量体混合物を重合する際に、分子中に複
数個の活性２重結合を有する化合物、つまり架橋
剤を重合前、あるいは重合途中に添加し重合を完
結させて製造する事ができる。架橋剤としては、
ジアリルフタレート、ジアリルマレエート等のジ
アリル化合物；エチレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビ
スフエノール変性ジアクリレート等のジアクリレ
ート化合物；エチレングリコールジメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールジメタクリレート、
プロピレングリコールジメタクリレート等のジメ
タクリレート化合物；１，４−ブタンジオールジ
ビニルエーテル、１，６−ヘキサンジオールジビ
ニルエーテル等のジビニル化合物；１，２−ポリ
ブタジエン、エポキシ化１，２−ポリブタジエン
等の１，２−ポリブタジエン類等があり、これ等
の架橋剤は単独あるいは併用して使用される。そ
の使用量は、架橋塩化ビニル系樹脂中に架橋剤成
分が0.001〜15重量％存在するように使用するこ
とが好ましい。さらに、架橋塩化ビニル樹脂を製
造する際、重合温度変更、分散剤追加、塩化ビニ
ルモノマー追加等の操作がなされたとしても何等
支障はない。 本発明でいう非架橋塩化ビニル系樹脂とは、ポ
リ塩化ビニル樹脂のほかに塩化ビニルを主成分と
する塩化ビニル系共重合樹脂をも含むものであつ
て、後者の例としては塩化ビニル−アルキルビニ
ルエステル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合樹脂、塩化ビニル−エチレン共重合樹脂、
塩化ビニル−プロピレン共重合樹脂、塩化ビニル
とアクリル酸又はそのエステルとの共重合樹脂、
塩化ビニルとメタクリル酸又はそのエステルとの
共重合樹脂、塩化ビニルとアルキルビニルエーテ
ルとの共重合樹脂、塩化ビニルと塩化ビニリデン
との共重合樹脂等があげられる。ポリ塩化ビニル
樹脂を使用する際は重合度が400〜1600が特に好
ましい。 又、本発明に於いて、架橋塩化ビニル系樹脂を
２種以上、又は非架橋塩化ビニル系樹脂を２種以
上使用する事は何等支障はない。 本発明に於いて、架橋塩化ビニル系樹脂単独、
又はこれと非架橋塩化ビニル系樹脂とを配合して
なる樹脂であつて、かつ該樹脂中におけるゲル分
が0.5〜50重量％であるブロツキング防止性能の
すぐれた塩化ビニル系樹脂には、他の熱可塑性樹
脂、ゴム、可塑剤、熱安定剤、滑剤、抗酸化剤、
紫外線吸収剤、充填剤等を添加して使用する事も
可能である。使用できる熱可塑性樹脂としては、
例えば塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、
ウレタン樹脂、アクリル系樹脂等があり、また
NBR、CR、EPR等のゴムを使用する事も可能で
ある。しかし、これ等熱可塑性樹脂又はゴムの使
用量は、多量にすぎると抗張力や透明性等の物性
を損なうことがあるので、塩化ビニル系樹脂100
重量部に対して20重量部以下が好ましい。 本発明の袋状物品を軟質化する為には可塑剤を
使用すれば良い。その使用量は、必要とされる硬
度に応じて決めればよく、何等限定されるもので
はない。なお本発明の袋状物品のブロツキング防
止性能は、軟質系に於いて特に顕著に現れる。 本発明に於いては袋状物品を製造する際、ブロ
ー成形にて一段で製造することができるので生産
性が大巾に向上し、製品不良率もほとんど０％に
する事が可能であり、従来法で必要とされるウエ
ルダー加工、あるいは低温熱プレス工程を省略す
る事ができるので製造設備も、生産ロスタイムも
大巾に低減する事が可能となり、本発明の有用性
は測り知れないものがある。特に軟質系に於いて
は本発明の効果は顕著である。 以下に本発明を実施例にてさらに詳細に説明す
るが、これ等は何等本発明の範囲を限定するもの
ではない。 尚、ブロツキング防止性能等の測定は次の様に
して行なつた。 (1) ブロツキング防止性能；ブロー成形によつて
得た袋状物品から５cm×10cmの２枚のシートを
切取り、この２枚を重ねて140℃にコントロー
ルされたオーブン中に１時間保持し、シートが
密着している面積を観察して、次の３段階にて
評価した。 ◎：ほとんど密着せず ○：一部密着している ×：ほとんど全面密着している (2) 艶消性；袋状物品の表面状態を目視にて観察
して、次の３段階にて評価した。 ◎：艶消優 ○：艶消良 ×：艶消不可 (3) 抗張力・伸び率；JIS−K6734に準拠し、
JIS1号ダンベルを打ち抜き引張試験機を用いて
試験した。引張り速度は100mm／分とした。測
定温度は23℃とした。 (4) 成形性；ブロー成形におけるパリソンの流出
状態を目視にて観察し、次の様に３段階にて評
価した。 ◎：パリソンが均一な状態にて流れ出る ○：パリソンがほぼ均一な状態にて流れ出る ×：パリソンが不均一で流れにくい (5) 平均充填率；ブロー成形した袋状物品（第１
図）に口部より水を充填し、最大充填水量を測
定しサンプル数25ケの平均を求めた。 (6) 架橋塩化ビニル系樹脂（） イオン交換水200重量部、部分鹸化ポリ酢酸
ビニル0.2重量部、アゾビスイソブチロニトリ
ル0.03重量部、 なる構造式を有する架橋剤2.0重量部を仕込み
脱酸素した後、塩化ビニル100重量部を150の
反応器に仕込み、反応温度65℃にて10時間重合
して架橋塩化ビニル樹脂（）を得た。ゲル分
率は28％であつた。 (7) 架橋塩化ビニル樹脂（） イオン交換水200重量部、部分鹸化ポリ酢酸
ビニル0.2重量部、アゾビスイソブチロニトリ
ル0.03重量部、テトラエチレングリコールジア
クリレート2.0重量部を仕込み脱酸素後、塩化
ビニル100重量部を150の反応器に仕込み、反
応温度65℃にて10時間重合して架橋塩化ビニル
樹脂（）を得た。ゲル分率は25％であつた。 実施例１〜６、比較例１ 表１に示す様なブロー成形時に使用されるCa
−Zn配合系の非架橋塩化ビニル樹脂組成物に、
非架橋塩化ビニル樹脂100重量部あたり架橋塩化
ビニル樹脂（）又は（）を表２に示す量を添
加した樹脂組成物をブロー成形機にて第１図〜第
３図に示す袋状物品とし、その袋状物品の各特性
値を表２に示した。

【表】 ＊１ 鐘淵化学工業(株)製

【表】 表２から判る様に、比較例１の袋状物品はブロ
ツキングを生じる為ブロツキング防止性能が極端
に悪く、かつ平均充填量も25mlと極端に低下す
る。一方実施例１〜６は、すべての物性を満足し
ている事が分かる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明袋状物品の１例の縦断面図、第
２図は、第１図に於けるＸ−X′での断面図、第
３図は同じくＹ−Y′での断面図である。 １……口部（液充填用）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 重合時に架橋剤を添加して得られる部分的に
   架橋された架橋塩化ビニル系樹脂単独、又はこれ
   に非架橋塩化ビニル系樹脂を配合してなる樹脂で
   あつて、かつ該樹脂中におけるゲル分が0.5〜50
   重量％である塩化ビニル系樹脂を使用して、内面
   が近接した状態でブロー成形することを特徴とす
   るブロツキング防止性能のすぐれた袋状物品の製
   法。