JPH045469B2 - - Google Patents

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JPH045469B2
JPH045469B2 JP59059244A JP5924484A JPH045469B2 JP H045469 B2 JPH045469 B2 JP H045469B2 JP 59059244 A JP59059244 A JP 59059244A JP 5924484 A JP5924484 A JP 5924484A JP H045469 B2 JPH045469 B2 JP H045469B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は薬物の経皮投与装置に係り、詳しくは
2種のイオン化傾向の異なる金属を用いた薬物の
経皮投与装置に関する。
現在種々の疾患治療に使用されている医薬品
は、合成医薬品が主流を占め、その化学構造も複
雑なものとなつて来ているが、種々の剤型応用に
より患者に投与され、それぞれの有効血中濃度を
維持しながらその作用を発揮しているものであ
る。すなわち使用する医薬品の有する特性により
種々の剤型が考案されてきているが、現在まで知
られている医薬品たる薬物の投与方法としては、
大きく分類すると; 錠剤、粉剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口投与
方法、 皮下注、筋注、静注等の注射投与方法、 坐剤等による直腸投与方法、ならびに軟膏剤、
クリーム剤、パツプ剤等の経皮投与方法、 に分類することができる。
ところで上述の投与方法に基づく薬物の血中濃
度の推移を検討してみると、注射投与方法にあつ
ては投与直後に非常に高い血中有効濃度に至する
ものの、時間の経過とともにその濃度も減少し、
したがつて所望の血中濃度を維持するためには数
時間のインターバルをおいて連続投与しなければ
ならない問題が生じて来ている。同様のことは経
口投与方法においても見られることであり、経口
投与の場合には注射投与方法手段に比較し最高血
中濃度に至る時間はおそいものの、その後の血中
濃度の推移は注射投与の場合と同様であり、やは
り所望の有効血中濃度を維持するためには連続投
与の必要性が生ずるものである。更に坐剤による
直腸投与の場合も全く同様のことが言えるのであ
る。これらの各種の投与方法による薬物の血中濃
度の推移を第1図に示す。
ところで、経皮吸収投与方法は、患者の体内に
有効成分以外の異物を強制的に投与しないで有効
成分のみを吸収させ、有効血中濃度を維持する方
法として優れているものである。しかしながらこ
の優れた投与方法にあつても、経皮吸収が可能な
医薬品としての適用範囲が限定されており、現在
までに使用されているものとしては、例えば消
炎・鎮痛剤としてのサリチル酸系薬物、ステロイ
ド剤等が主として採用されているにすぎない。
最近に至り、薬物を微粒子とし、担体に保持さ
せた状態とし、カツプ状のものに含有させ、連続
的に経皮投与させる医薬包帯(Transdermal
Drug Delivery System)も開発され、例えば狭
心症発作時の特効薬であるニトログリセリンを経
皮投与させる方法も考えられている。しかしなが
ら、医薬包帯による経皮吸収に適用し得る薬物
は、脂溶性であり、かつ低分子量のものに限定さ
れ、あらゆるタイプの医薬品を同様の方法で経皮
投与させることは困難であつた。
1960年代になつて、イオン性薬物を皮フ表面上
に置き、このイオン性薬物を電極とし、電荷を持
たせ、電気泳動により経皮吸収させる方法が開発
されている。すなわち第2図に示す如く、皮フ3
表面上にイオン性薬物を電極1とし置き、他方の
皮フに他の電極2を置き、両電極1および2の間
を導通するとともに荷電4し、イオン性薬物を体
内に泳動させる方法である。
しかしながら、この電荷方式による経皮投与方
法は、薬物を電気泳動させるために必然的に高い
電圧を加えなければならず、したがつて体内に電
流が流れることとなり、体内の塩化ナトリウムの
電気分解が生じ、塩素系イオン(次亜塩素酸等)
による組織障害等の問題が発生して来る欠点を有
していた。したがつて上述の方法においてはイオ
ン性薬物の経皮投与手順として適用範囲は広いも
のの、実際の臨床時の適用としては不都合なもの
である。
本発明者は、イオン性薬物の経皮投与手段にお
ける荷電に基づく電気泳動方法とは異なり、高い
電圧を必要としない経皮投与装置を開発すべく検
討を行い、従来方法とは全く異なるイオン化傾向
の異なる2種の金属を利用し、良好に経皮吸収投
与し得る方法による装置を開発した。
すなわち本発明は、 イオン化傾向の異なる2種の金属を用い、経皮
吸収させるべき薬物をイオン化傾向の低い金属に
より金属塩とし、この金属塩を一方の薬物供給電
極部となし、 該薬物供給電極部の他方にイオン化傾向の高い
金属により金属電極部を設け、 両薬物供給電極部と金属電極部を皮フに当接さ
せる、ことによる薬物の経皮投与方法を利用する
装置に関するものである。
本発明の投与装置によれば、イオン化傾向の低
い金属を用い薬物を該金属塩とし、このものを一
方の薬物供給電極部とし、他方、イオン化傾向の
高い金属を金属電極部とし、その両者を皮フに当
接させるものであるが、両電極部間を更に導通さ
せることによりイオン化傾向の差異に基づく電流
が両電極間に流れ、それに伴い金属塩は金属イオ
ンと薬物イオンに解離し、かかるイオン性薬物が
イオンとして体内に透過され、経皮吸収されるこ
ととなるのである。
この本発明の経皮投与の原理を模式的に図示す
れば第3図に示すごとくなる。
すなわち、イオン性薬物の金属塩5を、皮フ3
に当接させ、金属塩全体を薬物供給電極部6とす
る。一方、薬物供給電極部6と近接する皮フ部位
に、イオン性薬物の金属塩とするために用いた金
属よりもイオン化傾向の高い金属7を金属電極部
8とし、皮フ3に当接させ、これら電極部6およ
び8を導通する。なお、金属電極部8はその金属
7を取り囲むように水で満たされている。この電
極部6および8の導通により両者間に電流が流
れ、薬物供給電極部においては金属イオンおよび
薬物イオンに解離し、薬物はイオンとして体内に
放出され、経皮吸収が行なわれるのである。一
方、金属電極部においては体内の陰イオンを吸収
し、これにより金属塩となつて蓄積されることと
なる。
したがつて、薬物の経皮吸収は電極部を導通す
ることにより開始され、イオン性薬物の放出が終
了するまで定量的に経皮吸収されることとなり、
従来の医薬包帯方式と異なり経皮吸収されなかつ
た薬物が残存するといつた問題はなんら生じない
こととなる。
本発明装置で用いられる金属としては、イオン
化傾向の異なる2種の金属であれば良く、安全性
および取扱いの容易性より、経皮吸収させるべき
薬物を銀塩とし、他方の金属としてマグネシウム
合金を用いるのが良い。
また経皮吸収させるべき薬物は、イオン化し得
る薬物で、かつ金属塩を形成するものであれば良
く、その適用範囲は非常に広範囲にわたるもので
ある。例えば、サリチル酸誘導体、フルフエナム
酸誘導体、バルビツール誘導体、アスコルビン酸
等が挙げられる。更に体内に入る事により自律神
経や細胞代謝等に働く陰イオンであつてもよい。
本発明装置では、従来の電荷方式とは異なり、
体内に電流が流れることなく、イオンのみが流
れ、電極部と電極部の導通により両者間に電流の
流れが生ずることとなる。この電流の流れを測定
した結果を以下の実施例にて示す。
実験1:人体モデルによる電流測定 薬物としてクエン酸を用い、イオン化傾向の異
なる金属として銀およびマグネシウム合金を用い
た。
心電図用電極を改造して、陰極および陽極部を
上腕の2ケ所にテープで固定し、電流計にて電流
を測定した。なお陽極部にはクエン酸銀塩を用い
た。
その結果 起電圧として2.0V 起電流として50μA が観測された。
この起電圧および起電流をもとにフアラデイー
の法則に従い移動したイオンの量を考察すると、
1g当量のイオンの移動=96500クローンの電気
量として得ることができる。
したがつて、この場合1.1mg/時間/cm2当りの
クエン酸イオンを生体内に移行できる。
本発明装置は、イオン性薬物の金属塩を陽電極
とすることによりイオンとして体内に経皮吸収さ
せるものであるが、モデル実験として膜透過によ
る薬物の移動量の測定を行つた。
実験2:膜モデルによるクエン酸移動の測定 第4図a,b,cおよびdに示す如く、ビーカ
ー中に0.685%の生理食塩水で満たし、開口試験
管にクエン酸、クエン酸銀塩を入れ、厚み0.03
mm、径8mmのセルロースアセテート膜で包み、生
理食塩水中に入れた。
モデル実験1ではクエン酸191mgを水2mlに溶
解したもののみの膜透過を、モデル実験2ではク
エン酸銀塩300mgを水2mlに溶解したもののみの
膜透過を、モデル実験3ではクエン酸銀塩300mg
を水2mlに溶解したものの他にマグネシウム1g
を水2mlと混合した試験管を並列させ、モデル実
験4ではモデル実験3の両試験管を導通して行つ
た。
時間の経過とともに生理食塩水中に、セルロー
スアセテート膜を透過し、放出されるクエン酸量
を測定した。その結果を第5図に示す。
図より明らかなように、実験1、2では膜透過
がほとんど観察されなかつた。実験3ではクエン
酸の膜透過が観察されるものの、導通による実験
4では非常に良好なクエン酸の放出が認められ
た。
したがつて、電流コントロールを間欠的に断続
を繰返すことと(第3図中9)により、実験3と
実験4の間の放出量を任意に選択でき、一定量の
薬物を体内に経皮吸収投与させることができるこ
ととなる。
なお導通しないもの(実験3)でもクエン酸の
放出が観測されるのは食塩水がわずかに導電性を
持つことによるものと考えられる。
次に本発明の投与装置について説明する。第6
図にその一実施例を示す。図中10は薬物の金属
塩による薬物供給電極部であり、概略2cmの円形
皿で、例えばポリエチレンより作製され、その内
部に電極を有している。他方、11は金属電極部
でありこの電極部も10と同様の円形皿で、内部
に金属12を有するとともに導線13で接続され、
水が満たされる様になつている。そして、電極部
10と11を導線13にて導通するのであるが、
その両者間に、導通を間欠的に断続を繰返す制御
装置14が組み込まれている。
この制御装置14における間欠制御回路を第7
図に示す。
この回路にあつては、導通時間と遮断時間を任
意に設定できるものであり、間欠サイクルも同時
に変化することができる機能を有している。
なお、薬物供給電極部10の形状は円形に限定
されず、任意に変化し得るものである。
かかる装置を用いる経皮投与方法を説明すれ
ば、例えば薬物供給電極部10の内部に経皮投与
させるべき薬物の金属塩を入れ、皮フ上に例えば
テープ等で固定する。一方、金属電極部11に水
を満たし、この電極部も皮フ上に例えばテープ等
で固定し、両者を導通すれば良いのである。
なお、陽極に薬物銀塩を用いた場合、その銀塩
が還元され銀微粒子となり皮フ表面に黒く付着す
るのを防ぐためには、銀微粒子が透過することな
く薬物のみが透過する薄い膜(例えばアセテート
セルロース膜、ポリビニルアルコール膜、変性コ
ラーゲン膜、ゼラチン膜等)で陽極表面を覆うこ
とにより解決することができる。さらには、陽極
銀塩をゲル状物質(例えばゼラチン、カラヤゴ
ム、ヒドロキシエチル−メタクリレートゲル等)
に分散させ、銀微粒子が皮フに直接触れない様に
することも可能である。
以上のように、本発明によれば体内に電流を流
すことなく、良好に薬物を経皮吸収投与し得るの
である。
本発明の経皮投与方法あるいは投与装置を用い
経皮投与し得る医薬品には次のようなものが挙げ
られる。
(1) 抗生物質……ペニシリンG、オキサシリン、
アンピリシン、カルベニシリン、アモキシシリ
ン、スルベニシリン、セフアレキシン、セフア
ゾリン等 (2) 消炎鎮痛剤……サリチル酸、メフエナム酸、
フルフエナム酸、イブプロフエン、ナプロキセ
ン、インドメタシン等 (3) 抗てんかん薬……ペントバルビタール、フエ
ノバルビタール、セコバルビタール、ジフエニ
ルヒダントイン、バルプロ酸等 (4) その他……制ガン剤、降圧利尿剤、ビタミ
ン、ホルモン等 以上の様な広範囲にわたる多くの薬物の経皮吸
収に応用できるものである。
以下に本発明を実施例にて更に詳細に説明す
る。
実施例 1 ラツトでの経皮吸収による血中濃度の推移 体重230±20gのSD系雄性ラツトを一群5匹と
し、背面両脇の体毛を剪毛し、第8図に示すよ
う、 実験Aでは1個の電極にフルフエナム酸のみ封
入、 実験Bでは2個の電極を用い、陰極にマグネシ
ウム合金、陽極にフルフエナム酸銀を封入、 したものをテープにて背面に固定した。
実験Bではフルフエナム酸が必要血中濃度に達
するまで制御装置にて連続導通とし、その後電流
量の設定を、3秒間導通、10秒間遮断のサイクル
で導線の電流を流すことを行つた。
ラツトの平均血中濃度の推移は第9図に示すよ
うであつた。
図からも明らかなように、電流の導通の制御に
より、血中濃度を一定に保つことが可能であつ
た。
実施例 2 ウサギでの経皮吸収による血中濃度の推移 体重1.6±0.1Kgのウサギを一群5匹とし、背面
の体毛を剪毛し、実施例1の実験Bと同様に以上
の各電極を貼りつけた。
実験C……2個の電極のうち、陽極にはバルブロ
酸銀塩2gを、陰極にはマグネシウム合金2g
を用いた。
実験D……2個の電極のうち、陽極にはナリジク
ス酸銀塩2gを、陰極にはマグネシウム合金2
gを用いた。
実験E……2個の電極のうち、陽極にはアスコル
ビン酸銀塩2gを、陰極にはマグネシウム合金
2gを用いた。
電極は皮フ接触断面が20cm2の円形となるように
し、ポリウレタンスポンジに各薬物塩を調整水溶
液(Tween 80、0.1%;PEG−600、3%;
PM50、1%)に懸濁したのち浸潤させた。
電極間は連続導通とし、薬物血中濃度測定とあ
わせて両電極間発生電流も測定した。
結果: 実験Cでは、バルプロ酸が1時間で有効血中濃
度に達し、24時間以上持続させることができた。
また24時間で髄液内濃度も25μg/mlに達してい
た。
実験Dでは、ナリジクス酸が1時間で23μg/
mlになり、6時間で最大血中濃度75μg/mlにな
り、有効な経皮吸収を示している。
実験Eでは、アルコルビン酸が1時間で15μ
g/mlになり、6時間で最大血中濃度90μg/ml
になり、有効な経皮吸収を示している。
これらの結果を第10図に示す。
以上より本発明の投与方法によれば、優れた経
皮吸収を保つことができ、臨床的に従来経皮吸収
が困難であつた薬物をも吸収させることができ、
特に優れたものであるといえる。
【図面の簡単な説明】
第1図は各種投与方法による薬物の血中濃度の
推移を表わす図、第2図は電荷方式による経皮吸
収方法を表わす図、第3図は本発明の投与装置の
原理の模式図、第4図は実験2の模式図、第5図
は実験2の結果を表わす図、第6図は本発明の投
与装置の一実施例を表わす図、第7図は制御回路
図、第8図は実施例の模式図、第9図は実施例1
の結果を表わす図である。第10図は実施例2の
結果を表わす図である。 5……イオン性薬物の金属塩、6……薬物供給
電極部、8……金属電極部、13……導線、14
……制御装置。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 イオン化傾向の異なる2種の金属を用い、経
    皮吸収させる薬物をイオン化傾向の低い金属によ
    り金属塩とした薬物供給電極部と、該薬物供給電
    極部と導通させて他方に位置するイオン化傾向の
    高い金属電極部を有することを特徴とする薬物の
    経皮投与装置。 2 薬物供給電極部と金属電極部を導線により導
    通させた特許請求の範囲第1項記載の投与装置。 3 薬物供給電極部と金属電極部の導通を間欠的
    に断続を繰返す制御部を設けた特許請求の範囲第
    1項または第2項記載の投与装置。 4 薬物の金属塩が銀塩である特許請求の範囲第
    1項ないし第3項のいずれか1項記載の投与装
    置。 5 イオン化傾向の異なる2種の金属が、銀およ
    びマグネシウム合金である特許請求の範囲第1項
    ないし第4項のいずれか1項記載の投与装置。
JP5924484A 1984-03-27 1984-03-27 薬物の経皮投与装置 Granted JPS60203270A (ja)

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