JP3261501B2 - 改善されたイオン導入法による薬剤投与方法 - Google Patents
改善されたイオン導入法による薬剤投与方法Info
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Description
ある。この方法は、健全な皮膚か他の人体表面を通して
イオン化された物質、たとえば薬剤を供給するために直
流を利用する。これらは種々の医療の適用で非常に有用
であると証明された。Jack A.Vernon等の米国特許第3,
991,755号と、StephenC.Jacobsen等の米国特許第4,141,
359号とが、イオン導入による装置の実例と装置のいく
つかの適用を開示する。イオン導入による作用は、リド
カイン塩酸塩とヒドロコーチゾン派生物と酢酸とフッ化
物とペニシリンとデクサメタゾンリン酸ナトリウムと多
くの他の薬剤の投与に有用なことが見い出された。おそ
らくイオン導入法の最も良く知られている使用は、ピロ
カルピン硝酸塩イオン導入法を使用することによって嚢
胞性の線維形成を究明することである。ピロカルピン硝
酸塩は発汗を促す。そして汗を集めて病気を感知するた
めに、その中に含まれる塩化物を分析する。
関電極と称される電極は、イオン化物質を人体内に入れ
るための電極である。他の電極は不関電極または接地電
極と称され、人体を通る電気回路を閉成するためのもの
である。当業者によって正しく理解されるように、関電
極はイオン化物質源を持つか、含むか、さもなければ利
用できるものでなければならない。従って関電極は、不
関電極と比べて比較的複雑な構造である。
場合でのように、角質層はイオン導入法によって有効な
薬剤投与に対する第1の障害となる。これは主にこの層
に現れているイオン化された薬剤に対する障害となる非
伝導性の脂質によるものである。これは、高イオン化し
た脂質非溶解(親水性)薬剤についてはイオン形態の経
皮的供給を試みるときに、特に重大な問題である。
供給とイオン導入法を改善するために開示された。浸透
増強剤は、イオンフローに対する皮膚の抵抗を下げて角
質層の脂質領域を分裂させることができる。たとえば、
R.M.Gale等(米国特許第4,645,502号)は浸透増強剤を
イオン化された薬剤と内部で混合する受動経皮的薬剤供
給のための装置を開示する。浸透増強剤はたとえば、ア
ルキル基置換されたスルホキシド、ポリオキシエチレン
グリコール脂肪酸エステル、またはn−メチルピロリジ
ンである。ある種の脂肪酸は、受動経皮的薬剤供給のた
めに浸透増強剤として使用される。たとえば、G.M.Gold
en等はJ.Pharm.Sci.(1987年第25巻、第76頁)で、一連
のオクタデカン酸について、シス−9−とシス−11−オ
クタデカン酸だけが豚の角質層を通してのサリチル酸の
顕著な増強効果を達成したと報告している。また、B.J.
AungstはPharm.Res.(1989第6巻、第244頁)で、通常
の角質層を満たす脂質構造の隙間をオレイン酸の酸の
「よれた構造」(シス二重結合のためのよれ)が作り出
し、それによって拡散的抵抗を減少させる、という研究
を要約して示している。受動的経皮的治療システム中の
浸透増強剤としての脂肪質の酸の使用については、Tran
sdermal Drug Delivery(J.Hadgraft等編集、Marcel
Decker社1989年刊)のK.A.Waltersの記事を参照され
たい。Theratech Inc.のヨーロッパ特許出願第267,617
号には、薬学的に活性な薬剤の使用に基づく『貫通する
局部的組成物』として、溶解もしくは混合によるオレイ
ン酸とエタノールの2種混成薬剤を開示する。
含めることができるが、イオン化親水性薬剤のイオン導
入による供給のために有効な浸透増強剤が必要である。
と、カプリル酸と、そして生理学的に許容されるそれら
の塩とからなるグループから選択された脂肪酸の、好ま
しくはイオン導入法による薬剤の電子伝達より前もしく
は同時の、体表面を通しての有効な浸透を増強するイオ
ン化親水性薬剤の経皮的供給のための改善された方法を
提供することを目的とする。体表面は、好ましくは哺乳
動物の健全な皮膚か粘膜膜であるが、用語『体』には他
の動物の植物の体をも含む。好ましくは薬剤と脂肪酸も
しくは脂肪酸混合剤は、脂肪酸のための補助溶媒を含む
ことができる水溶液か水中に分散した形とする。好まし
い補助溶媒は、エタノール、プロピレングリコール、液
化ポリエチレングリコール、アセトン、テトラヒドロフ
ルフラルアルコール、1−ピロリジン、1−メチル−2
−ピロリジン、N,N−ジメチルホルムアミドなどである
が、最も好ましいのはエタノールである。
直接哺乳類の受容者、例えば人間の患者の皮膚に接触す
るようにできる。また、増強剤と薬剤の水溶液はプレゲ
ル化させるか、イオン化可能有機ポリマーと結合させて
粘着体を形成する。経皮的薬剤供給のための薬剤基盤の
ために有用なゲルは、R.M.Gale等の米国特許第4,645,50
2号に開示されている。イオン導入による薬剤供給容器
として有用なイオン化可能粘着性組成物はSpevak氏等の
米国特許第4,820,263号に開示されている。
加が、脂肪酸増強剤が与えられていない場合に観察され
るよりも実質的に増加したレートで帯電した薬剤を受容
者の皮膚を通して泳動させる。たとえば、67:33の割合
のエタノール水溶液中に0.5%のオレイン酸を溶かした
ものは、豚の皮膚を通してのオキシモルホンまたはヒド
ロモルホン塩酸塩の定常状態供給レートを4倍以上に増
強させるという結果を生じさせた。
協力させて皮膚に供与すること、及び(b)薬剤のイオ
ン導入前に、皮膚の同じエリアを通して脂肪酸をイオン
導入により供与すること、を含む。
しているが、脂肪酸と脂肪酸塩増強剤は電子伝達の他の
方法による薬剤の経皮的供給や移送をも改善するもので
あり、そのような方法は本発明の範囲内に含まれる。用
語『電子伝達』は、帯電の有無にかかわらず、電解液容
器への電気力の供給によってなされる薬剤の経皮的供給
を言う。供給している個々の薬剤が帯電されるか否かは
個々の選択された方法に依存する。供給薬剤が帯電して
いないとき、薬剤は電気浸透技術か他の動電学的現象、
例えば電気流体動力学か電気対流か電気的に引き起こさ
れた浸透によって供給されたものと見ることができる。
一般に、組織への溶解した非帯電物質の動電学的供給の
ためのこれら後者の作用は、電解液容器への電気力の適
用の結果として生じる溶媒の泳動によるものである。作
用の間にはもちろん、帯電物質がいくらか移送される。
る。
された一対の電極の部分の図である。
による拡散セルの断面図である。
定されることはない。用語『薬剤』は、加えられた有機
体に有益な効果を生じさせるようなものであれば、最も
広義に解釈されるべきものである。好ましくは本方法で
使用される薬剤は親水性及び水溶性であってイオン化可
能なものとする。以下で使用したように、鉱油中の薬剤
の溶解度が、多くともおよそ100μg/gであるならば、薬
剤の酸または塩基形態は親水性と考えられる。最も好ま
しくは薬剤は、水溶性の溶媒中で高度にイオン化され
る。水溶性薬剤容器中の薬剤のイオン化パーセントが少
くとも95%に達したとき、「高度にイオン化された」と
考えられる。これは、薬剤のpKαが絶対値で少くとも1.
3以上容器のpHと異なるとき生じる。薬剤のpKαは、水
溶液のpHであり、薬剤の50%がイオン化された塩の形態
で存在し、50%はイオン化していない塩基か酸の形態で
存在する。皮膚の生理的pHが、おおよそ5.5.7.2の範囲
であるので、本発明に係る最も好ましい薬剤のためのpK
αは、酸性の薬剤の4.2により低く、塩基の薬剤の8.5よ
り高い。これらの基準に会う代表薬剤としては、インド
メタシンのナトリウム塩か他の塩のような酸性薬剤、ア
セタゾールアミド、メタゾールアミド、アセチルサリチ
ル酸、そして塩基性薬剤の塩か酸性塩、例えばナルトレ
キソンHCl、ナロキソンHCl、ナルブヒンHCl、オキシモ
ルホンHCl、ヒドロモルホンHCl、フェニレフリンHCl、
クロルフェニラミンマレイン酸塩、フェニルプロパノラ
ミンHCl、クロニジンHCl、デキストロメトモルホンHB
r、アトロピン硫酸塩、フェンタニールクエン酸塩、ア
ポモルヒネ硫酸塩、プロプラノールHCl、リドカインHC
l、テトラシクリンHCl、オキシテトラシクリンHCl、テ
トラカインHCl、ジブカインHCl、テルブタリン硫酸塩、
ブロムフェニラミンマレイン酸塩などが例としてあげら
れるが、これらに限定されない。薬剤が、塩基性薬剤と
調剤上許容範囲内にある酸の塩のように、酸の塩の形で
存在する場合、薬剤イオンは正に帯電し、そして一般に
負極から供給される。
薬剤の濃度は、幅広く可変でき、皮膚を通す供給レート
の程度に依存し、かつ既知の有効な血漿レベルかターゲ
ット組織レベルに依存する。それゆえに以下に述べるよ
うに、本方法によって達成される増強供給レートと比較
し、また脂肪酸増強剤の使用なしでイオン導入法によっ
て達成できる既知の生体レベル内でのモデルシステムを
使用して、適切な濃度を予め選定することが可能であ
る。
オレイン酸(シス−9−オクタデカン酸)、ラウリン酸
(ドデカン酸)、カプリン酸(デカン酸)及びカプリル
酸(オクタン酸)から成るグループから選択される。こ
れらの材料は、例えばAldrich Chemical社(ウィスコ
ンシン州ミルウォーキー)から購入できる。アルカリ金
属塩のように生理学的にこれらの酸の許容範囲内である
塩を、採用することもできる。しかしながらそのような
塩は、本方法での使用にはあまり好ましくない。たとえ
ばエタノール水混合剤中の薬剤に、1%のナトリウムオ
レイン酸塩が付加されたとき、薬剤供給は大体2倍に増
えた。脂肪酸塩の使用によって、水溶性媒体に使用され
る有機溶媒をより小量にできる。
脂肪酸の全体濃度は、幅広く可変できる。たとえば、媒
体を用意するために使用された有機溶媒と水の混合体中
での溶解度に依存し、溶液中の親水性薬剤の塩を維持
し、そしてこれらの脂肪酸が本質的に非水溶性であるこ
とを認識する必要がある。好ましい濃度は約0.0515重量
%であり、最も好ましくは水溶性媒体、たとえば約10−
85容積%のエタノールかエタノールプロピレングリコー
ルか他の有機補助溶媒からなる水溶液の0.1−10重量%
である。
いることができる。イオン導入システムは、図1で示す
ようなものがある。このシステムは、それぞれ電気的に
電極16、18へリード12、14を通して接続する電流源10を
含む。図示のために位置は入れ替えられるが、電極16を
関電極、電極18を不関電極としている。本発明による電
極のいくつかの実施例では、電流が1つの方向へ流れて
いるときに関電極となる電極が、電流が他の方向へ流れ
ているときに不関電極となるようにすることが可能であ
る。たとえば薬剤の供給が電気浸透によってなされると
き、両電極が関電極となることができる。リード12と14
はワイヤーででも、電流源10と電極16と18を電気的に接
続するための他のいかなる手段であってもよい。
体40上に置かれた一対の電極20と30の断面を示す。電極
20は、溶液やゲルを人体に直接または間接に接触させて
保持することができ、また粘着性の材料と裏打ちシート
(26)を構成することができる容器体(22)からなる。
正に帯電されたイオン化物質24(図中に小さな点で示
す。)は溶液中に溶解されるか、ゲルまたは粘着性の
層、好ましくは浸透増強剤(25)(図中の大きな点で示
す。)を伴う混合物に分散させる。電極20の容器体22中
の正に帯電されたイオン化物質(24)は人体に導入され
る薬剤である。電極20、30はリード12、14(図2に示さ
ず)を通して電流源10に接続する。電流源は、神経か筋
肉刺激のために適当なタイプの電気パルスの発生源をも
含む。
(図示せず)によって入れ替えられ、正に帯電されたイ
オン化物質または否定的に帯電されたイオン化物質のい
ずれか一方または両方を電極20から交互に供給すること
ができる。たとえば、正に帯電されたイオン化薬剤の後
に負に帯電された浸透薬剤を皮膚に供給することがで
き、そして、薬剤の増された供給レートを維持するため
に、所望のようにこれらのステップはくり返すことがで
きる。米国特許第4,406,658号を参照されたい。リード1
2と14は種々の従来公知の方法によって電極20と30に付
着させる。電流源10が電流を発生させ、その電流が電極
20と30により人体40へ印加されると、電流は、矢印45で
示された方向に人体40内を流れる。電流は正に帯電され
たイオン化物質24の人体40内への導入を引き起こす。
れた薬剤を一緒に供給するための、多種類の関電極が先
行技術で開示されている。
し、イオン導入レートは、電流増加に対応して増える。
電流量に関しては、まず患者の安全を考慮しなければな
らない。電流については、およそ0.10mAから2−5mAを
本方法で使用できる。好ましい電流密度は、10−500μA
/cm2である。
かの例を開示する。1つの例では、電極が、イオン化さ
れた薬剤または本浸透増強剤を含み得る液状の溶液と共
に耳管または耳道内に安全にフィットするように形成さ
れたプラスチックのシースで与えられたステンレス鋼ワ
イヤーを含む。液体が、耳管または耳道へ注がれ、シー
ス中の開口を通して内耳とワイヤーを接触させる。別の
例では、プラスチックのシースに収容された開口を有す
る電極ワイヤーは、吸収力がある材料のかたまり内に置
かれ、イオン化薬剤と浸透増強剤を含んでいる液体を保
持することができる。
も開示する。実施例の全てが、イオン化薬剤と浸透増強
剤が溶解され得る導電ゲルを保持するため、或いはイオ
ン化薬剤と浸透増強剤が溶解され得る導電ゲルと共に飽
和スポンジを保持するための受容器を含む。導電ゲル薬
剤/増強剤溶液は受容器中の孔を通して人体組織に連通
する。受容器は、受容器を囲んでいる粘着性のパッド或
いはパッドに付着したストラップによって皮膚と接触し
て保持される。先行技術の他の例では、受容器の中の孔
が膜で覆われ、イオン化物質は電流によって膜を通され
る。
ことができる。溶液はペーパータオルをいくつかの層か
らなるものとすることによってイオン化薬剤と増強剤を
含み、イオン化薬剤と増強剤はタオルの上に置かれたス
ズフォイルかアルミニウムフォイルによって区分され、
清水によって湿らせられている。そしてフォイルがワイ
ヤーとワニクリップによってイオン導入による電流発生
器に接続している。これは、物理療法(第57巻、第6
号、1977年6月、第658−659頁)にJoseph Rahnによっ
て「カルシウム沈殿物のための酢酸イオン導入法」と題
して開示されている。
ン化薬剤と浸透増強剤を混ぜられた粘着性の材料からな
り、電気的装置に対して電気的に要素を接続する手段を
含む関電極を開示している。粘着性の材料は、非イオン
化したイオン化可能材料であることが好ましい。Webste
r氏に対する米国特許第4,383,529号と、Ariura氏等に対
する米国特許第4,474,570号も関電極を開示し、薬剤は
親水性ポリマーゲルに含まれる。
ましいが、本発明方法は増強剤とともに皮膚を予め処理
する場合も包む。増強剤の有効な量を伴う皮膚の前処理
は、以下の手順によってなし得る。(a)膏薬か軟膏の
ような適当な担体媒体中の皮膚へ増強剤を与える増強剤
の受動的な供給;(b)最初に皮膚に接触する粘着層と
協力し、そして皮膚から遠位の側で薬剤容器と接触でき
る増強剤の有効量の受動的な供給;(c)皮膚の同じエ
リアへのイオン導入による薬剤の供給より前の、適切な
媒体からのイオン導入による増強剤の供給。
る。この実験例は、縦方向のガラス拡散セルを使用す
る。図3に示す通流拡散セルは、ドナーコンパートメン
トと受容器コンパートメントからなる。このセルは、容
積の75%を占めるドナー溶液に対して5cm2の皮膚が触れ
るようになっている。皮膚のための支持具は2つのコン
パートメントの間に置かれ、受容器内の溶液に3.26cm2
が触れる。豚の皮膚か死人の皮膚をセル内に横置きにし
て入れて用いた。それでドナーコンパートメントは、皮
膚の上に置かれ、セルアセンブリに締めつけて取り付け
た。ドナー溶液は7mlずつ、各ドナーコンパーメントで
使用した。
み、図示のように、受容器コンパートメント(およそ8.
5ml)の内容物がセルを通して連続的に流れて受容器内
の溶液と混合されるようにした。図示のように、受容器
コンパートメントは、ウォータージャケットで囲まれ、
その内部を還流する暖水によって37℃に維持される。受
容器溶液は、受容器コンパートメントを完全に満たす。
た。電極の銀ワイヤーは入口ポートを経て通され、そし
てシリコン管から出てくる。銀のメッシュ負極は、ドナ
ーコンパートメント内に設置した。銀のメッシュ負極
は、ドナーセルカバーに電極の茎を通すことによって皮
膚の上に掛けた。負極と正極ワイヤーは電力源の1つの
端子に接続した。
候補を選別することが目的であった。種々のシステムパ
ラメーターを選択するによって、9個のセルの各々が個
別の作用を行なうように設定できるが、3個か6個のセ
ルごとに作用を設定するのが通常であろう。複合的カセ
ットと可変ポンプ速度を有する多重チャンネルの蠕動ポ
ンプが、特製の9ポートガラスマニホールドと共に備え
付けた。9セル磁気活性コンソールは、拡散セルを保持
する。9個のポートの取り付け台と共に備え付けられた
部分コレクターを使用して、サンプルは集めた。循環す
る熱水浴は、37℃に拡散セルを維持する。電力源は、一
定のDC電流を供給する9個のチャネルを備え、各チャネ
ルは、個別に2.0ミリアンペア(mA)まで流れるように
調整できる。
ある。受容器溶液は、容器からポンプマニホールドに流
れ、そして9個のポートを通り、それぞれシリコンゴム
ポンプ管(内径1/16インチ、壁厚1/32インチ)の全長に
送り込まれた。1つの管の長さは各々のポンプカセット
内に納まり、受容器溶液は、拡散セルの受容器コンパー
トメントの入口ポートを通して3ml/時のレートで圧送さ
れた。そこで受容器溶液は、受容器コンパートメントに
イオン導入による供給したすべての薬剤を集めた。出口
管は各々全長に渡り、画分コレクターに搭載された取り
付け台によって試験管の上の位置に保持された。各々の
セルからの受容器溶液は、66時間テストの継続期間に渡
り2時間毎に分離したチューブで自動的に集めた。高性
能液体クロマトグラフィー(HPLC)によってサンプルの
薬剤含有量を分析した。
取した2種類の皮膚を採用した。豚皮膚は、Padgett皮
膚採取器を使用しておおよそ0.6mmの厚さで得られた。
人間の皮膚は、おおよそ0.3mmの厚さで死体腹部から得
た。全ての皮膚は凍結保存した。
させて(5.84mg/ml)得た。ドナー溶液は、脱イオン化
水中に0.1Mの濃度で試薬(図中○内に+を付した記号で
示す。)と共に用意した。オキシモルホン塩酸塩は多く
とも33.78mg/mlにされ、ヒドロモルホン塩酸塩(Dilaud
id)は多くとも32.18mg/mlにされた。2つの薬剤が、交
換できるように使用された。彼らが化学的に同等で、第
一義的作用が等価的供給結果を示すからである。溶媒の
エタノール(試薬等級)はFisher社から、プロピレング
リコール(99%)はAldrichChemical社から購入した。
のエタノールに溶解させ、それから水溶性の薬剤溶液に
混合させた。最終的に薬剤は、0.1モルであった。オレ
イン酸(シス−9−オクタデカン酸)99%がAldrich C
hemical社から得られた。カプリル酸(n−オクタン
酸)99%、カプリン酸(n−デカン酸)99−100%、そ
してラウリン酸(ドデカン酸)99−100%がSigma Chem
ical社(ミズリー州セントルイス)から得られた。
た。いくつかの態様を、表1と表6に要約する。
薬剤供給レートがこの段階の間に標準的に低かったの
で、傷付いた皮膚を守るために使用された。第I期ドナ
ー溶液は水溶性の薬剤溶液であったが、第I期の溶液が
増強剤を含んだ箇所で、いっそう高い受動的薬剤供給レ
ートが予想された。
して、皮膚を通る電流と抵抗測定が周期的に記録され
た。第II期受容器サンプルのほとんどが薬剤内容物を分
析され、供給形態を示すことができた。イオン導入の間
に、受容器コンパートメント中の薬剤濃度は最初の6−
10時間の間に増えて横ばいになった。この安定期は、定
常状態供給レートを表わす。定常状態供給レートは、サ
ンプル濃度と各々の定常状態時点で集められた容量を知
ることによって各々のセル毎に計算された。各々の時間
間隔のための厳密なフローレートは、サンプル小瓶の重
さを量ることによって決められた。各小瓶の薬剤濃度を
測定した後に、フローレートを薬剤濃度に掛けることに
よって薬剤供給のレートを計算した(即ちμg/ml×ml/
時=μg/時)。増強剤定常状態供給レートを計算した後
に、増強剤の有無による平均の定常供給レートの比率と
して増強要因を計算した。
られた。第I期と第III期の間の供給レートの比較が、
第II期で実験的治療によって引き起こされる皮膚ダメー
ジの尺度として使用された。
で暗所に冷却保存された。280nmにセットされたダイオ
ードアレイ検出器と一緒に装備されたHewlett Packard
社の1090A型液体クロマトグラフを使用してHPLC分析を
行なった。DuPont社の5μm、C18(150×4.6mm)カラ
ムを使用した。流動期は、59%、0.005モルのヘプタン
スルホン酸と、40%メタノールと、1%酢酸であった。
フローレートは、1ml/分であった。注入量は10μlであ
った。標準曲線は、遊離塩基等価物としての1800mg/ml
の薬剤濃度に匹敵するよう用意された。
HCl)やオキシモルホン塩酸塩(Oxy−HCl)を供給する
ことは、イオン導入法の適用によって非常に強化され
た。脂肪酸の付加なしで1mAの電流を使用して、およそ1
200μg/時の代表的イオン導入による定常状態供給レー
トが達成された。表2で示すように、4つの脂肪酸増強
剤のいずれかを使用して、この供給レートのなおいっそ
うの増強効果が得られた。
(以下E/W)がドナー溶液に現れられたとき、5倍の供
給レートの増強効果を示す。他の3つの増強剤は、10%
脂肪酸がE/W混合で使用されたときに4倍の増強効果を
示した。増強効果は単にエタノールだけに起因するので
はない。1202±134μg/時のE/W(67:33)の通常状態供
給レートは、1236μg/時の100%水規制のためのレート
にほぼ匹敵するからである。1%オレイン酸によるいか
なる追加の増強効果もその0.5%レベルを越え得なかっ
たということをデータは示している。
見られなかったが、オレイン酸の増強効果は0.5%より
いっそう低い濃度でも観察された。豚の皮膚とオキシモ
ルホン−HClと及び1mAの電流を使用して、これらのテス
トは行なわれた。結果は表3に示す。
慮すれば、異なる日に行なわれた0.25%オレイン酸の2
つの同一のテストは、図3に示すようにはっきりした一
致を示す。
度の2つのオレイン酸を豚の皮膚に対して使用して行な
った生体外のテストは、増強効果が低い電流(0.25から
1.0mA)の範囲を越えても観察された。増強された定常
状態供給レートを、表4に示す。増強剤を伴うテスト
を、オレイン酸なしで人間の皮膚を用いた制御された供
給レートと比較してみる。表4に要約されたテストは、
ドナーコンパートメントでオキシモルホンを使用して行
なわれた。
異なるプロピレングリコールエタノール水(PG/E/W)混
合物に使用した。これらの実験は、脂肪酸の媒体として
使用されたエタノールの割合を下げるために行なわれ
た。経皮的生成物中のエタノール濃度が高くなると、ひ
どい皮膚炎症が引き起こされる。そのためにPGを低濃度
のエタノールと共に補助溶媒として付加した。対照溶液
にはオレイン酸を含ませなかった。
ピレングリコールだけを用いたり、供給量を減少させた
りしても増強にはならないであろう。オレイン酸と共に
PG/E/W混合物を使用することによる増強効果が存在して
も、その増強効果は0.5%オレイン酸とE/W(67/33)を
使用した場合に見られるものより大きくはない。またPG
を65%といういっそう高い濃度とした溶媒混合物が、PG
が35%の他の溶媒混合物より少ない増強効果を示した。
ングリコールが、供給の顕著な増強効果を生じさせるこ
とを示す。しかしながら高濃度のオレイン酸を使用して
も追加の増強効果は全く見られなかった。
間に現れ、前処理段と見なされた。全てのテストは、10
mg/ml(1%)のオレイン酸と豚の皮膚を用いた。これ
らのテストの態様を表6で示す。
強剤を含んでいる。イオン導入期からの結果は、定常状
態が第I期中のオレイン酸なしのセルよりも早い約4時
間の間に成し遂げられたことを示す(表1の増強剤検討
のための態様を参照)。それぞれ定常状態供給レート
は、5344±541μg/時と5205±499μg/時であった。これ
らのレートは本質的に同じであるが、全体の薬剤供給
は、定常状態へいっそう早く到達するために予め処理さ
れたセルでいっそう高かった。
現れたが、第II期電流が態様Bにより適用されたときに
はいかなる増強剤も現れなかった。ドナー溶液中の1%
オレイン酸の存在によって、供給がおおよそ1800μg/時
に達したということを結果は示す。定常状態(第II期)
供給レートは、2163±354μg/時であった。そのため、
供給は中間レベル、即ち電流を伴いかつ増強剤なしの場
合(1235±151μg/時)の対照より大きく、1%増強剤
を伴うイオン導入による供給(5205±498μg/時)より
小さい、というものであった。
W(67/33)中のオレイン酸/NaCl混合物に供給した。塩
は、伝導のためのイオンを供給することである。態様C
によると増強剤なしの薬剤は第2期に現れなかった。定
常状態供給レートは、先のテストに関しては、2164±55
1μg/時で同じであった。先のテストにおける全体の供
給は、イオン導入の始まりにおいてすでに高い供給がな
されているためより大きかった。従って、前処理につい
ての定常状態での効果は、全体の供給を除いて、前処理
が増強剤と薬剤を受動のモードに含める(態様B)か、
第I期イオン導入モード(態様C)に薬剤なしの増強剤
が存在するか否かに拘わらず同じあった 実施例6 電圧変化 電圧は、一般的には電流が第II期の間に適用されると
き落ち始めて、そして第II期の途中まで降下し続ける。
電圧のいくつかの代表的変化を、最小値に達した回数と
共に表7に示す。オキシモルホンHClと豚の皮膚はこれ
らのテストで使用した。
載とする。以上本発明を種々の特定のそして好ましい実
施例と技術を参照して説明してきたが、本発明の範囲内
で多くの変形例と修正例が提起できるであろうことは理
解されるべきである。
Claims (18)
- 【請求項1】全体表面を通して電子伝達される薬剤供給
での使用に用いる、固形かゲル状の水溶性組成物の製造
のために脂肪酸またはその生理学的許容塩を使用する方
法であって、上記組成物がイオン化親水性薬剤と上記脂
肪酸か塩を含むことを特徴とする使用方法。 - 【請求項2】C8−C18脂肪酸またはその生理学的許容範
囲塩を用いる請求項1の使用方法。 - 【請求項3】オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カ
プリル酸及びそれらの生理学的許容塩から選択した脂肪
酸または塩を用いる請求項2の使用方法。 - 【請求項4】有機補助溶媒を含む水溶性の組成物の製造
のための請求項1ないし3のいずれかの使用方法。 - 【請求項5】薬剤、上記脂肪酸かその塩及び補助溶媒か
らなり、該補助溶媒が、エタノール、プロピレングリコ
ール、液化ポリエチレングリコール、アセトン、1−ピ
ロリジン、テトラヒドロフルフラルアルコール、1−メ
チル−2−ピロリジン、N,N−ジメチルホルムアミドか
ら選択される水溶性の組成物の製造のための請求項1な
いし4のいずれかの使用方法。 - 【請求項6】イオン化親水性薬剤と脂肪酸またはその生
理学的許容塩を含み、かつゲル化剤かイオン化した有機
ポリマーを含む水溶液かつ分散剤からなる人体表面を通
してその電子伝達による薬剤供給のための製薬組成物。 - 【請求項7】上記脂肪酸か塩はC8−C18脂肪酸か塩であ
る請求項6の組成物。 - 【請求項8】上記脂肪酸か塩は、オレイン酸、ラウリン
酸、カプリン酸、カプリル酸またはそれらの生理学的許
容塩から選択される請求項7の組成物。 - 【請求項9】上記薬剤は、酸か塩基付加塩である請求項
6または7の組成物。 - 【請求項10】上記付加塩が、4.2以下または8.5以上の
pKαを有する請求項8の組成物。 - 【請求項11】有機溶媒として、エタノール、プロピレ
ングリコール、液化ポリエチレングリコール、アセト
ン、1ピロリジン、テトラヒドロフルフラルアルコー
ル、1−メチル−2ピロリジン、N,N−ジメチルホルム
アミドから選択されたものを用いる請求項6ないし10の
いずれかの組成物。 - 【請求項12】基盤支持体の範囲内で吸収される請求項
6ないし11のいずれかの組成物。 - 【請求項13】上記水溶液か分散剤と電気的に接触する
ように配置した電極部材をさらに含む請求項6ないし12
のいずれかの組成物。 - 【請求項14】脂肪酸または生理学的許容塩とともに固
形かゲル状のイオン化親水性薬剤を水溶液か分散剤中に
含む容器部分と、上記容器部分と電気的に接触するとと
もに上記脂肪酸か塩を含む人体表面接触部分とからなる
電子伝達薬剤供給容器。 - 【請求項15】上記脂肪酸か塩はオレイン酸、ラウリン
酸、カプリン酸、カプリル酸、それらの生理学的許容塩
から選択される請求項14の電子伝達薬剤供給容器。 - 【請求項16】上記容器部分と電気的に接触する電極手
段をさらに含む請求項14または15の電子伝達薬剤供給容
器。 - 【請求項17】人体表面に局部的または電子伝達投与の
ために適合させられた脂肪酸か生理学的許容塩からなる
第1の組成物と、人体表面を通しての電子伝達投与のた
めに適合させられたイオン化親水性薬剤水溶液か分散剤
もしくはそれらの酸か塩もしくは有機補助溶媒とからな
る第2の組成物とからなり、少なくとも上記第1と第2
の組成物のいずれか一方が固形またはゲル状であり、該
第1と第2の組成物を同一の人体表面に連続的に投与す
る電子伝達薬剤供給セット。 - 【請求項18】上記脂肪酸か塩はオレイン酸、ラウリン
酸、カプリン酸、カプリル酸、それらの生理学的許容塩
から選択される請求項19の電子伝達薬剤供給セット。
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