JPH04541B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明はマシニングセンタ等の工作機械や水
力タービン等の各種回転機械における回転軸や回
転軸固着物の回転中の状況を監視する監視装置に
関する。

（従来の技術） 最近工作機械における切削状況や工具の摩耗、
損傷状況をインプロセスで監視する方法として、
切削時に発生するAE（アコーステイツク・エミツ
シヨン）を超音波トランスジユーサのどのAEセ
ンサで検出し、このAE信号に信号処理を施し、
解析あるいは記録する方法が種々試みられている
（たとえば昭和61年２月１日、日本機械学会発行
の「日本機械学会誌」第89巻第807号第17〜23
頁）。第２図はこの方法をマシニングセンタにお
ける工具折損の監視に適用した例を示し、ワーク
１に穴あけ中のドリル２および穴あけ部で発生す
るAEは、弾性波としてドリル２からツールホル
ダ３、マシニングセンタの主軸４、軸受５を経て
ハウジング６に伝達され、このハウジング６に付
設したAEセンサ７により電気信号に変換されて
AE信号としてAE信号処理装置８に与えられ、こ
の信号に増巾、検波、弁別等の公知の信号処理を
施してドリル折損の検出がおこなわれる。

（発明が解決しようとする問題点） ところが上記従来の装置においては、AE信号
を軸受５を介して取出すので、この軸受の精度、
予荷重、潤滑状態などによつて信号の伝播特性が
影響を受け、また軸受の回転に伴うノイズが発生
するうえ、弾性波伝達経路が長く複雑であるため
反射波が重畳するので、AE信号処理装置８にお
ける信号の解析が困難となり、特に小径のドリル
やエンドミルはAE信号そのものが微弱であるの
で切損検出が極めて困難であつた。またAEセン
サ７を主軸４に取付け、スリツプリングを介して
AEセンサの出力信号を外部へ取出すことも考え
られるが、この場合もスリツプリングのノイズが
大きいため上記と同様な問題がある。

この発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、回転体において発生する微弱なAEを減衰の
少ない状態で、かつ波形の乱れやノイズの少ない
状態で検出し、回転体のAE発生現象を精度よく
監視できる回転体監視装置を提供することを目的
とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するためこの発明の回転体監視
装置は、回転体にAEセンサおよび回転トランス
のロータを固設し、前記AEセンサの出力端を前
記ロータのコイルに接続し、前記ロータに対向す
る前記回転トランスのステータを静止体に固設
し、前記ステータのコイルの出力端をAE信号処
理装置に接続する構成とした。

この発明は、マシニングセンタ、ボール盤、中
ぐり盤、旋盤などの各種工作機械の定常切削挙動
や工具の摩耗、破壊挙動の監視に用いることがで
き、これらの工作機械の刃物あるいは被削物を回
転駆動する主軸が本発明における回転体に相当す
る。またこの発明は、水力タービンや蒸気タービ
ンの羽根車や、内燃機関の出力軸、巻上機の巻上
軸、車輛の車軸等、各種回転機械の回転軸および
この回転軸に固着した部分の摩耗や破壊等の異常
挙動、および定常運転挙動の監視に用いることが
でき、この場合はこれらの各種回転機械の回転軸
が本発明における回転体に相当する。

この発明における回転トランスとしては、ビデ
オテープレコーダの回転ヘツドの信号授受用に用
いられているものと同様な構成を有するものを用
いることができるが、特に高周波特性のすぐれた
ものを用いるのが好ましい。

この発明におけるAE信号処理装置としては、
電気信号の形で入力されるAE信号に、増巾、高
低周波数帯域カツト、検波、周波数弁別、振巾弁
別等を施して、工具破損やき裂発生の警報を出
し、あるいはオシロスコープによるAE信号の表
示、データレコーダによるAE信号データの記録、
解析器による周波数分析等をおこなう公知のAE
信号処理装置を用いることができる。

（作用） この発明の回転体監視装置においては、回転体
において発生したAEは回転体内を弾性波として
伝播してAEセンサにより電気信号に変換され、
回転トランスのロータのコイルを流れて、静止側
のステータのコイルに電磁誘導により二次電流を
誘起し、この二次電流がAE信号としてAE信号処
理装置により処理される。従つて固体内の弾性波
伝播経路を短く簡潔にでき、かつ軸受を介さず
AE信号を取出すことができる。また回転トラン
ス部においては非接触で信号の授受がおこなわれ
るので、高周波特性のすぐれたものを用いること
により、スリツプリングでは伝送不可能な微弱な
高周波信号の取出しをおこなうことができる。

（実施例） 以下第１図によりこの発明をマシニングセンタ
における工具折損検出装置に適用した場合の一実
施例について説明する。

図中、第２図と同一部分には同一符号を付して
ある。AEセンサ７は、主軸（回転体）４に回転
中心軸線４ａに対して対称位置にあけた２箇所の
穴９の底部に、接着剤により各１個ずつ固着して
ある。１０は回転トランスで、そのロータ１１
は、Ｌ字形断面を有する環状のフエライトコア１
２にコイル１３を巻装したものであり、フエライ
トコア１２は主軸４の段付部に嵌込固着されてい
る。また２個のAEセンサ７の出力端は、センサ
出力が重畳されるように極性を同じにして直列に
コイル１３に接続されている。また回転トランス
１０のステータ１４は、Ｌ字状断面を有する環状
のフエライトコア１５にコイル１６を巻装したも
のであり、フエライトコア１５はつば付リング状
の取付金１７に嵌込固着され、この取付金１７を
ハウジング（静止体）６に嵌込まれボルト１８に
より固定されている。コイル１３の出力端はAE
信号処理装置８に接続してある。

上記構成の工具折損監視装置２０においては、
ドリル２およびワーク１の穴あけ部で発生した
AEは、弾性波としてドリル２、ツールホルダ３
を経て主軸４に伝播され、AEセンサ７により電
気信号に変換され、回転トランス１０を経てAE
信号としてAE信号処理装置８に与えられる。こ
のAE信号処理装置８においては、AE信号を前置
増巾後、フイルタによる高低周波数帯域カツト、
検波、周波数弁別、しきい値との比較による振巾
弁別等を施し、運転中のAE信号発生状況のオシ
ロスコープへの表示、データレコーダへの記録を
おこなうとともに、ドリル２の折損時には警報を
出し、工具交換装置に工具交換指令を発する。

この発明は上記実施例に限定されるものではな
く、たとえば上記実施例においては、２個のAE
センサ７を主軸４の回転中心軸線４ａに対して対
称の位置に配設したので、AEセンサ７およびこ
のセンサ付設のための穴９の穿設に伴う回転体の
機械的アンバランスを生じることがないので、ノ
イズや振動が少ないという長所を有するものであ
るが、AEセンサに対して回転体が充分大型大重
量のものである場合等は、必ずしも対称位置に設
ける必要はない。また上記実施例では２個のAE
センサ７を前記対称位置に設けるとともに、直列
に接続したので、両センサの出力電圧が重畳さ
れ、微弱AEの検出を一層確実容易におこなうこ
とができるという長所を有するが、発生源のAE
の大きさ等によつては１個のAEセンサを用いて
もよい。また回転トランス１０の形状や取付構造
は、上記実施例以外のものとしてもよい。

（発明の効果） 以上説明したようにこの発明によれば、AE発
生による弾性波は回転体内のみを伝播してAEセ
ンサにより電気信号に変換されるので、弾性波伝
播経路を短くかつ軸受を経由しない簡潔な経路と
することができ、さらにこのAEセンサの出力信
号はノイズの少ない回転トランスを経て取出すよ
うにしたので、回転体において発生する微弱な
AEを減衰の少ない状態で、かつ波形の乱れやノ
イズの少ない状態で検出し、回転体のAE発生現
象を精度よく監視できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す工具切損監
視装置の機器接続図、第２図は従来の工具切損監
視装置の一例を示す機器接続図である。 ２……ドリル、３……ツールホルダ、４……主
軸（回転体）、４ａ……回転中心軸線、５……軸
受、６……ハウジング（静止体）、７……AEセン
サ、８……AE信号処理装置、１０……回転トラ
ンス、１１……ロータ、１２……フエライトコ
ア、１３……コイル、１４……ステータ、１５…
…フエライトコア、１６……コイル、１７……取
付金、２０……工具折損監視装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回転体にAEセンサおよび回転トランスのロ
   ータを固設し、前記AEセンサの出力端を前記ロ
   ータのコイルに接続し、前記ロータに対向する前
   記回転トランスのステータを静止体に固設し、前
   記ステータのコイルの出力端をAE信号処理装置
   に接続したことを特徴とする回転体監視装置。 ２ 複数個のAEセンサが、回転体の回転中心軸
   線に対して対称の位置に固設してある特許請求の
   範囲第１項記載の回転体監視装置。 ３ 回転体が工作機械の主軸であり、静止体が前
   記主軸を回転自在に支持するハウジングである特
   許請求の範囲第１項または第２項記載の回転体監
   視装置。