JPH045350Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この考案は、例えばシヤープペンシル等におけ
る芯喰着機構を改良した筆記具に関する。

【従来の技術】

従来のシヤープペンシルにおける芯喰着機構
は、外筒内に軸方向へ摺動可能に挿入された芯パ
イプの先端に連結されているリードチヤツクと、
この先端に嵌められたチヤツク締付リングと、前
記芯パイプをリードチヤツクと共に後退方向に付
勢するスプリング等の弾性体と、芯に摩擦圧を付
与するゴム等の摩擦部材とを備えた構成になつて
いる。

【考案が解決しようとする問題点】

上記従来のシヤープペンシルの芯喰着機構は、
リードチヤツクのほかに別体のチヤツク締付リン
グおよび摩擦部材等を必要とするため、部品点数
が多くなつてコストアツプを余儀なくされ、かつ
組み立てに多くの手数と労力を費やすこととなつ
て組立作業が煩雑化するという問題点があつた。 この考案は上記問題点を解決するためになされ
たもので、部品点数が減少して容易に組み立てる
ことができることによりコストダウンが図れ、か
つシンプルな芯喰着機構を備えた筆記具を得るこ
とを目的とする。

【問題点を解決するための手段】

この考案の筆記具は、先具を有する外筒と、そ
の先具内に設けられて繰出芯を摩擦力で係合保持
する芯摩擦係止部と、外筒の先端側内周面に設け
られて内径方向に突出し前端にチヤツク案内段部
を有するリードガイド部と、前記外筒内に軸方向
へ摺動可能に挿入された芯パイプと、この芯パイ
プの先端部に連結されてその芯パイプと共に後退
方向に付勢され且つ前記リードガイド部に摺接さ
れたリードチヤツクと、このリードチヤツクの先
端にヒンヂを介して径方向へ開閉自在に設けられ
たチヤツク片とを備え、チヤツク片は、リードチ
ヤツク前進時に前記チヤツク案内段部から離れて
前記芯摩擦係止部に到達前の繰出芯で内側から外
径方向に押開され、リードチヤツク後退時に前記
チヤツク案内段部に摺接係合して繰出芯に圧接喰
着され、その後のリードチヤツク前進で繰出芯を
先具内に圧入して前記芯摩擦係止部に摩擦係合さ
せ、その後のリードチヤツク後退時に前記チヤツ
ク案内段部への到達前で前記芯摩擦係止部に摩擦
係合保持された静止状態の繰出芯との摩擦抵抗で
開かれるようになつているものである。

【作用】

この考案において、芯パイプがノツク操作され
ることによりリードチヤツクが前進すると、その
先端のチヤツク片はチヤツク案内段部から離れ且
つ芯が繰り出され、その繰出芯による押開され
る。 この時点では繰出芯は未だ先具に到達しない状
態となる。この状態からノツク解除によりリード
チヤツクが後退すると、チヤツク片はチヤツク案
内段部に摺接係合して内径方向に閉じられること
により繰出芯に圧接係合される。この状態から再
度ノツクしてリードチヤツクを前進させると、チ
ヤツク片が繰出芯を喰着してその繰出芯を先具内
に挿入する。先具内に挿入された繰出芯は先具内
の芯摩擦係止部に摩擦係合して喰着される。その
後にリードチヤツクが後退すると、チヤツク片は
前記芯摩擦係止部への到達前で前記芯摩擦係止部
に喰着された静止状態の繰出芯との摩擦抵抗で開
かれる。

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。 図において、１はシヤープペンシルの外筒、２
は外筒１の先端にネジ込み等の手段で着脱可能に
取り付けられた先具である。 先具２内の軸心部には芯案内筒部３が一体形成
されている。 芯案内筒部３は、後端側に形成された芯案内用
のテーパ面４と、この小径端側に一体形成されて
芯Ｓの摩擦圧を付与する環状爪形状の芯摩擦係止
部５とを有している。 外筒１の先端側内周面には、内径方向に突出し
前端にチヤツク案内段部７を有する段差筒状のリ
ードガイド部６が一体形成されている。 前記チヤツク案内段部７は、前方に向かつて漸
次大径となる曲面テーパ状に形成されている。 そして、前記外筒１内には芯パイプ８が軸方向
へ摺動可能に挿入されている。 芯パイプ８の先端にはリードチヤツク１０が同
軸上に連結され、このリードチヤツク１０は前記
リードガイド部６内に摺動可能に挿入されてい
る。 この実施例において、リードチヤツク１０は軸
方向に沿つて断面半円形状に二分割された一対の
ピース１１，１２の組み合わせからなつている。 尚、このリードチヤツクは３分割以上に分割形
成してもよいし、逆に一体で形成してもよい。 これらのピース１１，１２はポリプロピレン等
の樹脂材で一体形成されているもので、その一方
を示す第２図で明らかなようにそれぞれの分割面
軸心部には組み合わせ合体時に芯挿通孔を形成す
る溝部１３，１４が設けられている。 各ピース１１，１２の外周面において、その中
途部には外鍔１５，１６が設けられ、これらの外
鍔１５，１６の後側には前記芯パイプ８の先端側
内周面に圧入係止させるための楔状の係止爪１
７，１８が設けられている。 そして、各ピース１１，１２の先端には、極薄
に形成されたヒンヂ１９，２０を介してこれらに
一体的に連続するチヤツク片２１，２２が設けら
れいる。 これらのチヤツク片２１，２２は、芯Ｓに圧着
される円弧状の芯喰着面２１Ａ，２２Ａを有して
いる。 かかるチヤツク片２１，２２は、リードチヤツ
ク１０の前進時に前記チヤツク案内段部７から前
方に離れて前記芯摩擦係止部５に到達前の繰出芯
Ｓで内側から外径方向に押開され、リードチヤツ
ク１０の後退時に前記チヤツク案内段部７に摺接
係合して繰出芯Ｓに圧接喰着され、その後のリー
ドチヤツク１０の前進で繰出芯Ｓを先具２の芯案
内筒部３内に圧入して芯摩擦係止部５に摩擦係合
させ、その後のリードチヤツク後退時に前記チヤ
ツク案内段部７への到達前で前記芯摩擦係止部５
に摩擦係合保持された静止状態の繰出芯Ｓとの摩
擦抵抗で開かれるように形成されている。 かかるチヤツク片２１，２２を備えたリードチ
ヤツク１０は、各ピース１１，１２の相互を組み
合わせ合体させて係止爪１７，１８を芯パイプ８
の先端側内周面に圧入係合させることにより、そ
の芯パイプ８の先端に連結され、その状態でリー
ドガイド部６内に挿入されている。 そして、前記リードチヤツク１０は、外鍔１
５，１６とリードガイド部６の後端段部との間に
介在されたスプリングからなる弾性体２３によつ
て芯パイプ８と共に後退方向に付勢されている。 つぎに、上記実施例の作用を説明する。第３図
において、芯パイプ８、リードチヤツク１０は弾
性体２３の力で後退位置にあり、チヤツク片２
１，２２はリードガイド部６内に没入し且つ芯Ｓ
はチヤツク片２１，２２に未だ到達していない状
態にある。 この状態からノツク操作すると、芯パイプ８と
共にリードチヤツク１０が弾性体２３に抗して前
進することにより芯Ｓが繰り出される。 このときの繰出芯Ｓにより前記チヤツク片２
１，２２はチヤツク案内段部７から離れた位置で
外径方向に押開されると共に、繰出芯Ｓの先端は
芯案内筒部３の芯摩擦係止部５に一旦衝接した状
態となる。（第４図参照） この状態からノツク解除によりリードチヤツク
１０が弾性体２３の力で後退すると、繰出芯Ｓが
第９図の距離Ｃだけ後退すると共に、第５図およ
び第９図の実線で示すようにチヤツク片２１，２
２がチヤツク案内段部７に摺接係合して内径方向
に閉じられる。 これによつて、チヤツク片２１，２２が繰出芯
Ｓに圧接喰着される。 従つて、この時点では、繰出芯Ｓは未だ先具２
内に挿入されていない状態となる。 この状態から、再度ノツク操作によりリードチ
ヤツク１０が前進すると、この場合チヤツク片２
１，２２が繰出芯Ｓを喰着していることにより繰
出芯Ｓが先具２内に第１０図の距離Ｆだけ圧入さ
れる。 その圧入によつて、繰出芯Ｓは先具２内の芯摩
擦係止部５に喰着され、かつリードチヤツク１０
はノツク解除により後退した第６図の状態とな
る。 この状態からリードチヤツク１０がさらに前進
させられると、上述のように繰出芯Ｓが前記芯摩
擦係止部５に喰着されていることにより、チヤツ
ク片２１，２２は繰出芯Ｓに摩擦係合して繰出芯
Ｓを先具２の先端から繰り出す。（第７図参照） 更に、この状態からのノツク解除によりリード
チヤツク１０が後退すると、前記芯摩擦係止部５
との摩擦係合力で静止状態にある繰出芯Ｓとの摩
擦抵抗でチヤツク片２１，２２は第８図に示すよ
うに外径方向に押開される。 なお、前記チヤツク片２１，２２の芯喰着面２
１Ａ，２２Ａは、繰出芯Ｓとの摩擦係数が大とな
るようにスリツトや不滑性面を形成しておくこと
が好ましい。

【考案の効果】

以上この考案によれば、従来のようなチヤツク
締付リングや別体の摩擦部材等が不必要となるた
め、部品点数が減少して組み立てが容易になると
ともに、コストダウンが図れ且つ全体がシンプル
な構成となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る筆記具の断面図、第２
図は同筆記具におけるリードチヤツクの一方のピ
ースを示す斜視図、第３図〜第８図は作用説明
図、第９図は第３図の作用状態を拡大して示す断
面図、第１０図は第３図および第５図の作用状態
を拡大して示す断面図である。 図において、１は外筒、２は先具、５は芯摩擦
係止部、６はリードガイド部、７はチヤツク案内
段部、８は芯パイプ、１０はリードチヤツク、１
９，２０はヒンヂ、２１，２２はチヤツク片であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先具を有する外筒と、その先具内に設けられて
   繰出芯を摩擦力で係合保持する芯摩擦係止部と、
   外筒の先端側内周面に設けられて内径方向に突出
   し前端にチヤツク案内段部を有するリードガイド
   部と、前記外筒内に軸方向へ摺動可能に挿入され
   た芯パイプと、この芯パイプの先端部に連結され
   てその芯パイプと共に後退方向に付勢され且つ前
   記リードガイド部に摺接されたリードチヤツク
   と、このリードチヤツクの先端にヒンヂを介して
   径方向へ開閉自在に設けられたチヤツク片とを備
   え、チヤツク片は、リードチヤツク前進時に前記
   チヤツク案内段部から離れて前記芯摩擦係止部に
   到達前の繰出芯で内側から外径方向に押開され、
   リードチヤツク後退時に前記チヤツク案内段部に
   摺接係合して繰出芯に圧接喰着され、その後のリ
   ードチヤツク前進で繰出芯を先具内に装入して前
   記芯摩擦係止部に摩擦係合させ、その後のリード
   チヤツク後退時に前記チヤツク案内段部への到達
   前で前記芯摩擦係止部に摩擦係合保持された静止
   状態の繰出芯との摩擦抵抗で開かれるようになつ
   ていることを特徴とする筆記具。