JPH0452950Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は電気毛布、電気カーペツト等に用いる
採暖用温度制御装置に関する。

（従来の技術） 従来、この種の温度制御装置は第２図に示す如
く高分子サーミスタから成るセンサー・ワイヤー
１と発熱体２がアルミ等の金属箔３上に平行して
蛇行配設されて成る電気カーペツト４に接続さ
れ、センサー・ワイヤー１の平均温度によつて制
御される。

ここで高分子サーミスタから成るセンサー・ワ
イヤーと発熱体の構造は、実用新案出願公告昭50
−6496号、特許出願公告昭57−18209号に詳細に
述べられている如く、謂ゆる２線式と言われるも
のや、電気毛布に多用されているように前記公告
物中のセンサー・ワイヤーの２つの巻線のうち１
つの巻線を発熱線とし、１本のワイヤーでセンサ
ー機能と発熱機能を有する謂ゆる１線式といわれ
ているものがある。第３図に１線式の電気カーペ
ツトの構造を示す。アルミ等の金属箔３上に、セ
ンサー発熱体５が接着剤を介して熱圧着されてお
り、更にその両面に表皮１１が接着剤で熱圧着さ
れている。

ここでセンサー発熱体５は、同図に示す如くガ
ラス芯６等に発熱線７が巻かれ、その上に感熱樹
脂（高分子サーミスタ）８が押出成形されてい
る。更にその外層には温度検知線９が横巻きさ
れ、最外層は絶縁体１０で覆われている。

このように１線式のセンサー発熱体５は、発熱
作用と感熱樹脂８のインピーダンス変化を発熱線
７と温度検知線９とで検出する作用を兼備してお
り、電気的等価回路は第４図に示す如くである。
第４図中の記号は第３図と同じであり、感熱樹脂
層８が静電容量C_xを、又、センサー発熱体５の
絶縁体１０は金属箔３に対して静電容量C_yを有
している。

このような電気カーペツトに於いて水等の液体
を誤つてこぼした場合、絶縁体１０の吸水作用に
より温度検知線９から絶縁体１０を通して金属箔
３に誘起される静電誘導電圧は非常に大きくな
り、水をこぼした部分に人間が接触すれば感電の
危険が極めて大きくなる。

このような事は高分子サーミスタから成るセン
サー・ワイヤーと発熱体とが独立して成る２線式
の場合もまつたく同様である。

従来、このような問題に対して有効な解決手段
がなかつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は、金属箔上に配設された高分子サーミ
スタと発熱体から金属箔へ誘起される静電誘導電
圧による感電を防止するための保護機能を有する
温度制御装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 前記目的を達するために、本考案の温度制御装
置は、金属箔上に配設された高分子サーミスタと
発熱体から成る採暖物に於いて、金属箔へ誘起さ
れる静電誘導電圧を検出する検出器からの出力に
より、スイツチが駆動されヒユーズを熔断するよ
う構成されている。

（実施例） 第３図に示す如く、２畳用カーペツトに配設さ
れたセンサー発熱体５に於いて、発熱線７はニツ
ケルメツキ銅合金のリボン線から成り消費電力は
700Wである。

温度検知線はニツケルのリボン線であり、感熱
樹脂は塩ビ系のものを使用した。このようなセン
サー発熱体５は、ポリエチレン・コートのアルミ
箔３に熱圧着され、更に、表裏に表皮１１が接着
剤で熱圧着され電気カーペツトの採暖部分が形成
される。本実施例ではセンサー発熱体５は全長72
ｍに配設した。前記感熱樹脂から成る高分子サー
ミスタの電気的特性は60Hzに於けるインピーダン
スが、０℃で125KΩ、20℃で90KΩ、60℃で
12.5KΩである。最外層の絶縁体１０は、耐熱塩
ビから成つている。このようなセンサー発熱体は
第１図の如く結線される。同図に於いて発熱線７
から高分子サーミスタ８を通して温度検知線９へ
流れる静電誘導電流は、抵抗R₃，R₄、整流ダイ
オードCR₃、電解コンデンサーC₂により分圧、整
流平滑され電圧比較器１２へ入力され、設定温度
に相当する基準電圧Vr₁と比較され、その出力は
抵抗R₈，トランジスターQ₁、リレーK₁を介して
発熱線７がON，OFFされ、温度が制御される。

ここで、R₃＝850KΩ、R₄＝300KΩ、R₅＝
60KΩ、R₆＝R₇＝30KΩ、CR₃は逆電圧200V、順
電流1Aの整流ダイオード、C₂は25V、10μFの電
解コンデンサーであり、Vr₁＝3Vとし、約50℃の
温度制御が成されるようになつている。

次に第１図に於いて、センサー発熱体５の温度
検知線９から絶縁体１０を通してアルミ箔３へ流
れる静電誘導電流は、抵抗R₉，R₁₀、整流ダイオ
ードCR₄、電解コンデンサーC₃により分圧、整流
平滑され、電圧に変換されて電圧比較器１３へ入
力される。この入力信号は異常な静電誘導電圧に
相当する基準電圧Vr₂と比較される。このような
手段により静電誘導電圧を検出する部分を検出器
とする。前記検出器の出力は抵抗R₁₁、スイツチ
であるサイリスタQ₂を介して抵抗R₂が加熱され、
熱的結合状態にあるヒユーズＦが熔断するよう構
成されている。

ここでR₉＝40KΩ、R₁₀＝10KΩ、C₃は25V、
10μFの電解コンデンサー、CR₄は逆電流200V、
順電流1Aの整流ダイオードであり、又、Vr₂＝
6Vとなつている。

このような状態で電気カーペツトを動作させ人
間が座つたり座布団を乗せ蓄熱させ静電誘導電圧
を増すようにしても、Ａ点の電圧V_aは0.2〜1.0V
位までしか増加せず、基準電圧Vr₂よりも小さい
ので電圧比較器１３の出力はロー・レベルであ
る。

然るに、電気カーペツトを動作させたままその
中央に１リツトルの水を約50cm四方にこぼし、そ
の部分に人間が素足のまま両足で乗つた所、Ａ点
の電圧V_aは9.2Vまで増加しVr₂より大きくなつた
ので、電圧比較器１３の出力はハイ・レベルとな
りサイリスタQ₂がONとなり、抵抗R₂が加熱され
ヒユーズＦが熔断された。熔断時間は約40秒であ
つた。

ここでR₈＝R₁₁＝24KΩ、トランジスターQ₁は
2SC1473、サイリスタQ₂は逆電圧200V、順電流
300mA、R₂は1W、330Ωのソリツド抵抗、ヒユ
ーズＦは熔断温度96℃、10Aのものを使用した。
又、R₁は3W，6.2KΩ，C₁は25V，100μFの電解
コンデンサー、CR₂は500mW、逆電圧12Vのツ
エナー・ダイオードである。又、静電誘導電圧の
検出感度は、抵抗R₉，R₁₀と基準電圧Vr₂で任意
に設定できるので極めて高い設計自由度を得るこ
とができる。

このような保護機能は、前記センサー・ワイヤ
ーと発熱体が独立して成る謂ゆる２線式と言われ
るものに対しても容易に構成できることは明らか
である。又、検出器は電圧比較用ICのみならず
個別部品でも構成できるし、電圧モードのみなら
ず電流モードで構成できることも明らかである。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、金属箔上
に配設された高分子サーミスタと発熱体から成る
採暖物に於いて、金属箔へ誘起される静電誘導電
圧を検出する検出器からの出力によりヒユーズが
熔断され全回路が遮断されるので、誤つて水等を
こぼしても、又乳幼児の排尿に際しても感電の危
険性は極めて少なくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の温度制御装置の一実施例を示
す回路構成図、第２図は電気カーペツト本体の要
部平面図、第３図は１線式の電気カーペツトの構
造説明図、第４図は１線式のセンサー発熱体の電
気的等価回路図である。 １……センサー・ワイヤー、２……発熱体、３
……金属箔、４……電気カーペツト、５……セン
サー発熱体、６……ガラス芯、７……発熱線、８
……感熱樹脂（高分子サーミスタ）、９……温度
検知線、１０……絶縁体、１１……表皮、１２，
１３……電圧比較器、R₁〜₁₁……抵抗、CR₁，
CR₃，CR₄，CR₅……整流ダイオード、CR₂……
ツエナー・ダイオード、C₁〜₃……電解コンデン
サー、Vr₁，Vr₂……基準電圧、V_a……Ａ点の電
圧、Q₁……トランジスター、Q₂……サイリスタ、
K₁……リレー、Ｆ……ヒユーズ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高分子サーミスタと発熱体が金属箔上に配設さ
   れて成る採暖物に於いて、前記金属箔に誘起され
   る静電誘導電圧を検出する検出器からの出力によ
   りスイツチが駆動され、ヒユーズを熔断する保護
   機能を具備する採暖用温度制御装置。