JP2700659B2 - 採暖用温度制御装置 - Google Patents

採暖用温度制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は電気毛布,電気カーペット等に用いる採暖用
温度制御装置に関する。
(従来の技術) 第3図に示す如く、従来よりこの種の温度制御装置1
は発熱巻線と高分子サーミスタと検知線が一体構造とな
った線条、謂ゆるセンサー発熱体2が蛇行配設されて成
る電気カーペット3に接続され、高分子サーミスタの平
均温度により制御される。
ここで、センサー発熱体2の構造は、第4図に示す如
く、ガラス芯4等に発熱巻線5が巻かれ、その上に感熱
樹脂から成る高分子サーミスタ6が押出成形されてい
る。更に、その外層には検知巻線7が横巻きされ、最外
層は塩化ビニル樹脂等の絶縁体8で覆われている。
このようなセンサー発熱体2は、発熱作用と高分子サー
ミスタ6のインピーダンス変化を発熱巻線5と検知巻線
7とで検出する作用を兼備しており、電気的等価回路は
第5図に示す如くである。
(発明が解決しようとする課題) このような電気カーペットに於いて、センサー発熱体
2に針や釘,画鋲等の導体が刺さり、この部分に人が触
れれば感電の危険が極めて高い。
又、使用中、折り曲げ等による機械的ストレスを受け、
感熱巻線が断線に至る直前ではその部分で局部発熱が起
こり、高分子サーミスタ6が加熱炭化され火災に至るこ
とがある。
従来、このような導体による短絡や炭化による短絡に対
して種々の保護回路が提案されており、発熱巻線への通
電を制御するリレー等のスイッチがOFFであり、発熱巻
線へ通電されていない状態では短絡検出は極めて容易で
あるが、前記スイッチがONとなり発熱巻線が通電状態の
場合は、いずれの保護回路に於いてもセンサー発熱体2
の全域に於ける短絡を感度よく検出し保護機能を作用さ
せることはできなかった。この理由は、センサー発熱体
2が長尺であるために、短絡部分によってはその短絡電
流がセンサー発熱体2の各巻線間に流れる温度信号電流
より小さい場合があり、このような状態では短絡検出は
不可能であった。又、一般的に前記短絡検出が不可能状
態となるセンサー発熱線の長さの範囲はかなり長い。
本発明は、センサー発熱体の任意の部分に短絡が生じて
も、発熱体への通電状態によらず感度よくこれを検出
し、電源を遮断する機能を有する温度制御装置を提供す
ることにある。
(課題を解決するための手段) 前記目的を達成するために本発明による採暖用温度制
御装置は、前段にローパスフィルターを有するゼロクロ
スパルス発生回路からのパルスが前記検知巻線に印加さ
れる手段と、前記発熱巻線と検知巻線間の短絡による検
知巻線に印加された電圧の変化を検出パルスとして得る
手段と、ゼロクロスパルスと同期して開閉するスイッチ
により前記ゼロクロスパルスと同期して前記検出パルス
を検出器に導く手段と、交流半周期より長い時定数を有
する再トリガタイマと電圧比較器とからなる前記検出器
により発熱巻線と検出巻線の短絡時に熔断スイッチを駆
動する出力を得る手段と、ヒューズと熱結合された発熱
体に直列接続された熔断スイッチが駆動されヒューズを
熔断する手段とから構成されていることを特徴とするも
のである。
前記ゼロクロスパルスとは、交流電源電圧が0Vになるタ
イミングと同期しているパルス信号をいう。
即ち、ゼロクロスの瞬間は発熱巻線への通電が瞬間的に
OFF状態であり、容易に短絡を検出できるのでこの性質
を積極的に利用して課題を解決するものである。
(実施例) 本発明の実施例を図面に基づいて説明する。第3図に
示す如く、二畳用電気カーペット3に配設されたセンサ
ー発熱体2の断面を示す第4図に於いて、発熱巻線5は
ニッケルメッキ銅合金のリボン線から成り消費電力は70
0Wである。検知巻線7はニッケルのリボン線であり、感
熱樹脂による高分子サーミスタ6は塩化ビニル樹脂系の
ものを使用した。最外層の絶縁体8は耐熱塩化ビニル樹
脂である。高分子サーミスタの電気的特性は60Hzに於け
るインピーダンスが0℃で252KΩ,20℃で178KΩ,60℃で
24.5KΩである。又、発熱巻線と検知巻線のインダクタ
ンスは各々15μH,25μHと非常に小さい。
本実施例ではこのようなセンサー発熱線2を72m配設
し、各巻線は第1図の如く結線される。
同図に於いて、温度制御は発熱巻線5と検知巻線7を流
れる交流がR5,R6で分圧され温度制御部9に導かれる。
温度制御部9は整流・平滑回路,電圧比較回路,リレー
から構成され、設定温度で発熱巻線5への通電がON,OFF
されるようリレーの接点K1が制御される。
一方短絡検出機能はゼロクロスパルスが帰還されないよ
うR1,C1で構成されたローパスフィルターの後段に一般
的なゼロクロスパルス発生回路10が接続され、その出力
の一方は検知巻線7の一端に印加される。
前記ゼロクロスパルス発生回路10の動作を第6図に参
照して説明する。
同図において、(a)はゼロクロスパルス発生回路にか
かる入力電圧(a−c間),(b)はツェナーダイオー
ドCR1,CR2の出力電圧(b−c間),(c)は抵抗R3
出力電圧(d−e間),(d)はトランジスタQ1のコ
レクタ側の出力電圧(f−e間),の変化をそれぞれ表
したものである。
a−c間に第6図(a)の波形の電圧が印加されると、
ツェナーダイオードの定電圧特性により、ツェナーダイ
オードCR1は正の電圧を,ツェナーダイオードCR2は負の
電圧を、それぞれツェナー(降伏)電圧Vz以上でカット
するので、b−c間は第6図(b)の波形となる。この
第6図(b)の波形は、全波整流ダイオードブリッジ回
路CR3によって第6図(c)の波形となる。これにより
d−e間の電圧は、交流波形のゼロクロスするタイミン
グと同期して、周期的にツェナー電圧Vzから一瞬0Vに電
圧降下するパルス変化を有する波形となる。そして、こ
の第6図(c)の波形はトランジスタQ1のベース電圧
として入力され、通常はツェナー電圧Vzがかかっている
ので、トランジスタのスイッチング作用によりトランジ
スタQ1はON状態となり、コレクターエミッタ間に電流
が流れ、コレクタ電圧はほぼ0Vである。一方、ゼロクロ
ス時にはベース電圧は0VとなりトランジスタQ1はOFF状
態となるので、コレクターエミッタ間に電流は流れず、
コレクタ電圧はコンデンサC2にかかる電圧とほぼ同じ
ぐらいの電圧となる。ゆえにf−e間の波形は第6図
(d)の波形となる。
本発明では、この第6図(d)の波形をゼロクロスパル
スと称して用いる。
ここで、センサー発熱体2の各巻線間に短絡がない場合
は、検知巻線7のインピーダンスはかなり小さいので、
ゼロクロスパルスはほとんど減衰することなく検出パル
スとしてアナログスイッチQ2に伝達される。ゼロクロ
スパルス発生回路10の他方の出力は前記アナログスイッ
チQ2のゲートを駆動し、前記検出パルスを同期をとっ
て検出回路11に導く。
検出回路11は交流半周期よりもずっと長い時定数を有す
る再トリガータイプのタイマーであり、前記検出パルス
が入力されている間はトランジスターQ3により再トリ
ガーされ続け、電圧比較器U1の出力は常にローレベル
であり、サイリスターによる熔断スイッチQ4はOFFのま
まである。次に、センサー発熱体2の任意の部分に短絡
が発生した場合、ゼロクロスの瞬間に於いては、電源は
短絡に等しく又発熱巻線5のインピーダンスも非常に小
さいので、ゼロクロスパルス電流はほとんど発熱巻線5
に流れ検出パルスとして検出回路に入力されなくなる。
従って、検出回路11のタイマーは再トリガーされず、所
定の時間が経過すればその出力をハイレベルにし、熔断
スイツチQ4をONにし、抵抗R12を加熱し、熱結合状態
にある温度ヒューズFが熔断され、全回路を遮断するよ
う構成されている。
ここで、R1は6.2KΩ,3Wの抵抗,C1は0.22μFのフィル
ムコンデンサーで時定数1.4msのローパスフィルターを
構成している。CR1,CR2は逆電圧12Vのツェナーダイオー
ド、CR3は全波整流ダイオードブリッジ回路、Q1は小信
号用トランジスター,CR8,CR9は整流ダイオード,R2=10K
Ω,R3=200KΩ,R4=20KΩでゼロクロスパルス発生回路
を構成し、パルス幅100μs,波高12Vのパルスとしてい
る。
5=75KΩ,R6=27KΩ,R7=12KΩ,C2=10μF,25Vの電界
コンデンサーを使用し、アナログスイッチQ2は耐圧200
VのパワーMOS FETを使用し、トランジスターQ3は小信
号用を使用した。
検出回路は、R8=1MΩ、R9=36KΩ、R10=62KΩ、C
3=0.1μF、R11=20KΩ、とし、タイマー時間100msと
した。サイリスターによる熔断スイッチQ4は、逆電圧2
00 ,順電流300mAのものを、R12は1W,300Ωのソリッド
抵抗、温度ヒューズFは熔断温度96℃、電流容量10Aの
ものを使用した。
尚、検知巻線7に幅100μsのゼロクロスパルスを印加
したときのインピーダンスは、直流抵抗も含めて約100
Ω、同様に発熱巻線5の場合は約15Ωである。
又、第3図の電気カーペットに於いて、気温が比較的低
い状態で電気カーペットの一部を座布団等で蓄熱させた
場合、第1図のセンサー発熱線2の発熱巻線5と検知巻
線7間に流れる温度信号電流が設定値に達しないことが
ある。このような状態では温度制御部9で制御されるリ
レー接点K1はONのままで発熱巻線5は連続通電状態と
なり、前記蓄熱部分の温度は更に上昇し、発煙,燃焼に
至る場合があった。従来、上記状態が任意の箇所任意の
大きさで発生した場合、正確に検出する方法はなかった
が、本実施例に示す回路構成によれば発熱巻線5へ通電
されない瞬間に発熱巻線5と検知巻線7間の局部導通状
態を温度信号に関係なく検出できるので、短絡検出のみ
ならず蓄熱状態の検出ができる事は明らかである。更に
第1図によればセンサー発熱体2の検知巻線が断線した
場合は、ゼロクロス・パルスは検出回路11へ伝達されな
くなり、温度信号に関係なく断線を感度よく検出できる
事は明らかである。
次に第2図に於いて他の実施例を示す。
同図に於いて、ゼロクロスパルス発生回路10,温度制御
部9及び検知巻線7から検出回路12への接続と、検出回
路の後段の温度ヒューズ熔断回路部は、第1図と同様で
ある。
第2図に於いて、ゼロクロスパルスが帰還されないよう
に、発熱巻線回路にチョークコイルL,コンデンサー
4,により構成されるローパスフィルターを設け、ゼ
ロクロスパルス発生回路10からのゼロクロスパルスを発
熱巻線5の一端に印加する。センサー発熱体2に短絡が
なければ、ゼロクロスパルスはローパスフィルターによ
って吸収され、検知巻線7側にはほとんど伝達されない
が、短絡が発生すると検知巻線7側にほとんど減衰する
ことなく、伝達され検出パルスとなる。
検出パルスは第1の実施例と同様にして検出回路12に導
かれる。検出回路12はフリップフロップ回路で構成さ
れ、検出パルスによりその出力が反転し、サイリスター
による熔断スイッチQ4をONにし、第1の実施例と同様
に温度ヒューズFを熔断する。
ここで、チョークコイルLはフェライトコアに巻かれ、
電流容量10A,インダクタンス200μH、コンデンサーC4
は0.1μFのものを使用した。
前記2つの実施例に於いて、センサー発熱体2に対する
針による短絡試験を各々任意の20ケ所について実施した
結果、発熱巻線5への通電状態には関係なくいずれの場
合も約40秒でヒューズを熔断することができた。
(発明の効果) 以上説明したように本発明によれば、発熱巻線と高分
子サーミスタ及び検知巻線が一体構造となった線条が配
設されて成る採暖物に於いて、従来不可能であった発熱
巻線への通電が成されている時の短絡検出を可能ならし
め、ヒューズ熔断による全回路への通電を遮断するの
で、短絡事故から発生する感電や火災に対して著しく安
全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の温度制御装置の一実施例を示す回路構
成図、第2図は本発明に於ける他の実施例を示す回路構
成図、第3図は電気カーペット本体の要部平面図、第4
図はセンサー発熱体の構造説明図、第5図はセンサー発
熱体の電気的等価回路図、第6図は第1図に示した回路
図のゼロクロスパルス発生回路における動作を説明する
ための波形図で、(a)は印加電圧a−c間,(b)は
b−c間,(c)はd−e間,(d)はf−e間の電圧
変化を表したものである。 1……温度制御装置、2……センサー発熱体 3……電気カーペット、4……ガラス芯 5……発熱巻線、6……高分子サーミスタ 7……検知巻線、8……絶縁体 9……温度制御部 10……ゼロクロスパルス発生回路 11,12……検出回路 R1〜R12……抵抗 CR1,CR2……ツェナーダイオード CR3……全波整流ダイオードブリッジ回路 CR8,CR9……整流ダイオード C1〜C4……コンデンサー Q1,Q3……トランジスター Q2……アナログスイッチ Q4……熔断スイッチ、U1……電圧比較器 K1……リレーの接点、F……温度ヒューズ L……チョークコイル

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発熱巻線と高分子サーミスタ及び検知巻線
    が一体構造となった線条が配設されて成る採暖物に於い
    て、前段にローパスフィルターを有するゼロクロスパル
    ス発生回路からのパルスが前記検知巻線に印加される手
    段と、 前記発熱巻線と検知巻線間の短絡による検知巻線に印加
    された電圧の変化を検出パルスとして得る手段と、 ゼロクロスパルスと同期して開閉するスイッチにより前
    記ゼロクロスパルスと同期して前記検出パルスを検出器
    に導く手段と、 交流半周期より長い時定数を有する再トリガタイマと電
    圧比較器とからなる前記検出器により発熱巻線と検出巻
    線の短絡時に熔断スイッチを駆動する出力を得る手段
    と、 ヒューズと熱結合された発熱体に直列接続された熔断ス
    イッチが駆動されヒューズを熔断する手段とから構成さ
    れる採暖用温度制御装置。
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