JPH0452005B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、複数の共振器を弾性的に結合させた
表面弾性波多重モードフイルタなど、複数の共振
器を並べて構成する表面弾性波フイルタに関する
ものである。

〔従来技術〕

二個の表面弾性波（SAW）共振器を近接して
配置し、それらを弾性的に結合させると、二つの
振動モードを生じる。すなわち、対称モードと反
対称モードの二つの振動モードであり、対称モー
ドの共振周波数と反対称モードの反共振周波数を
一致させて、二重モードSAWフイルタを構成す
る。

また、単一の共振器内で二つの振動モードを生
じるタイプのものもあり、その共振器を複数配置
する多重モードフイルタもある。

第３図はその二重モードSAWフイルタの一例
の平面図で、水晶等の基板３０の表面にインター
デジタル電極（IDT）３１ａ，３１ｂとそれらを
挟む反射器３２によつて共振器が構成され、
SAWの伝播方向と直角の方向に二つの共振器が
配置されたものである。

共振器を三個以上配置して、多重モードフイル
タを構成することもできる。このような多重モー
ド共振器型表面弾性波フイルタは、電子通信学会
超音波研究会資料US−77−33等に示されている。
また、インターデジタル電極を各共振器に二個配
置した２ポートタイプなどもある。

また、所望の特性を得るために、複数のIDTを
並べて直列あるいは並列に接続する種々のフイル
タがある。

〔課 題〕

上記のような表面弾性波多重モードフイルタや
その他のフイルタにおいて、第４図に実線４５で
示したように通過帯域の上側（タイプによつては
下側）にスプリアスを生じる。これは、共振器間
に必要以上の横方向の弾性的な結合が生じ、モー
ドの再結合が生じるためである。

一般に共振器の間隔は、上記の再結合を防止す
るため、表面弾性波の波長の10倍程度必要である
とされている。しかし、共振器間の間隔を大きく
するとチツプサイズも大きくなるといつた問題を
生じる。

本発明は、このような問題を解決して、弾性的
な結合を調整することにより、通過帯域特性を良
好な表面弾性波多重モードフイルタを得ようとす
るものである。

また、最小のスペースで効率よく結合を調整す
るものである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、トランスデユーサ（IDT）の端部側
で生じる横方向の結合を小さくするために、電極
指の対向長を変えて、上記の課題を解決するもの
である。

すなわち、圧電性基板表面にインターデジタル
電極とそれにより励振される表面弾性波の伝播路
上に該インターデジタル電極を挟む反射器とから
成る共振器を表面弾性波の伝播方向に直角の方向
に複数個配置した表面弾性波多重モード共振器型
フイルタにおいて、該インターデジタル電極の少
なくとも一つが、中央で電極指の交叉長が大きく
なり、端部に進むにしたがつて電極指の交叉長が
徐々に小さくなるように重み付けされたことに特
徴を有するものである。

これによつて、IDTの中央と端部のおける横方
向の結合状態を変えるものである。

〔実施例〕 以下、図面を参照して、本発明の実施例につい
て説明する。第１図は、本発明の実施例を示す平
面図である。水晶などの圧電性を有する基板１０
の表面に、櫛歯状の電極が交叉した形のインター
デジタル電極１１ａが形成される。このインター
デジタル電極１１ａの電極指の長さは同じではな
く、中央部分が長く、端部に進むに従つて短くな
るようにしてある。したがつて、交叉長は中央部
で長くなり、端部に進むにしたがつて徐々に小さ
くなつている。なお、位相調整のために、電極指
の間に隣接する電極指と同電位のバスバーに接続
され、表面弾性波の励振に関与しないダミー電極
を形成しておいた方が良い。

IDTで励振された表面弾性波の伝播方向（両
側）に反射器１２ａが配置される。この反射器で
多重反射されて定在波が発生し、エネルギー閉じ
込めが生じる。

このような共振器が、表面弾性波の伝播方向に
対して直交する方向に配置される。インターデジ
タル電極１１ｂとそれを挟む反射器２２ｂからな
り、IDT１１ｂは同様に重み付けされている。二
つのIDT１１ａ，１１ｂの一方のバスバーは接続
され、図示しないが、通常アース電位に接続され
ている。

上記のような電極構造を採用すると、IDTの中
央部と端部で表面弾性波の励振強度に差異が生じ
る。すなわち、中央では大きく、端部では小さく
なる。同時に、横方向の二つの共振器間の結合も
中央では大きく、端部では小さくなる。これによ
つて、従来端部での不要な結合モードによつて生
じていたスプリアスが、第４図の破線４６で示す
ように、大幅に減少した。

なお、電極の重み付けの方法は上記のものに限
られず、一方をIDTのみを重み付けしてもよい
し、第２図に示したように、一方のバスバーに接
続された電極指の長さを一定とし、他方の長さを
かえたIDT２１ａ，２１ｂを用いることもでき
る。

更に、電極の重み付けは反射器に跨がつておこ
なつてもよい。

〔効 果〕

本発明によれば、横方向の不要なモードの結合
を無くすことができ、スプリアス特性を大幅に改
善することができる。

また、重み付けのやり方をかえることにより、
結合状態をかえることも可能となる。

さらに、横方向の結合を従来よりも小さくでき
るので、共振器を近接して配置することが可能と
なり、素子の小型化の面でも有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本発明の実施例を示す平面図
であり、第３図は従来例の平面図、第４図は本発
明の実施例と従来例の特性を比較した説明図であ
る。 １０，２０……基板、１１，２１……IDT、１
２，２２……反射器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 圧電性基板表面にインターデジタル電極とそ
   れにより励振される表面弾性波の伝播路上に設け
   た該インターデジタル電極を挟む反射器とから成
   る共振器を表面弾性波の伝播方向に直角の方向に
   複数個配置した表面弾性波多重モード共振器型フ
   イルタにおいて、該インターデジタル電極の少な
   くとも一つが、中央で電極指の交叉長が大きく、
   端部に進むにしたがつて電極指の交叉長が徐々に
   小さくなるように重み付けされたことを特徴とす
   る表面弾性波多重モードフイルタ。 ２ すべてのインターデジタル電極が重み付けさ
   れた請求項第１項記載の表面弾性波多重モードフ
   イルタ。 ３ 重み付けされた電極指と一直線上に形成さ
   れ、隣接する電極指と同電位のバスバーに接続さ
   れたダミー電極を有する請求項第１項記載の表面
   弾性波多重モードフイルタ。 ４ 該インターデジタル電極の一方のバスバーに
   接続された電極指は同じ長さに形成され、他方の
   バスバーに接続された電極指のみ長さを変えて重
   み付けした請求項第１項記載の表面弾性波多重モ
   ードフイルタ。