JPH0450412Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はシリンダヘツドに対する排気マニホー
ルドの取付構造に関するものである。

［従来の技術］ 実開昭58−180358号公報に開示されるように、
機関の排気ポートと排気マニホールドとの重合せ
接続部分に介装されるガスケツトの開口は、排気
ポートの流路断面形状と同形とされ、段差のない
連続した排気流が得られるようになつている。こ
のように、ガスケツトの開口が排気ポートの断面
形状と同一になつていると、排気ポートから排気
管に至る排気通路内で機関からのオイル上りやオ
イル下りによる油が溜つた場合に、油がガスケツ
ト装着部の隙間から外部へ流出するという不具合
がある。

特に機関が低速・低負荷で長時間運転される
と、排気の温度が低いためにクランク室からピス
トンの摺動部を経て燃焼室へ上つた油が排気と一
緒に排気ポートへ流れ、また動弁機構を潤滑する
油が排気弁ステムの摺動部を経て排気ポートへ流
出し、排気ポートで燃焼しないで排気ポートと排
気マニホールドの内周壁を伝わつて排気管へ流出
する。この場合、排気流路に停滞した油が特に排
気マニホールドと排気管の接続部の隙間から外部
へ洩れやすい。

［考案が解決しようとする問題点］ そこで、本考案の目的は排気ポートと排気マニ
ホールドとの接続部で一時的に油の流れを抑えて
停滞させ、この油を排気の流れに効果的に混合し
て排気管へ流出させ、これにより排気管の接続部
からの油洩れをなくす、排気マニホールドの取付
構造を提供することにある。

［問題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の構成はシ
リンダヘツドの側壁の排気ポートと排気マニホー
ルドの端部フランジの重合せ接続部に、開口縁部
が排気ポートの内周壁から径内方へ突出した平坦
なガスケツトを挟んだものである。

［作用］ 排気マニホールドの接続部のガスケツトの開口
縁部が排気ポートの内周壁から径内方へ突出され
ているので、排気ポートへ洩れた油は内周壁に付
着して次第に排気マニホールドの方へ流れるが、
ガスケツトの開口縁部によりせき止められ、開口
縁部で絞られる排気流に吹き飛ばされ、排気と一
緒に排気管へ排出される。このように油が排気流
路の内壁に伝わつて流れるのを抑えられるので、
排気管の接続部からの油洩れがなくなる。

［考案の実施例］ 第１図に示すように、シリンダヘツド３に排気
ポート４が設けられ、シリンダへ開口する部分に
設けた弁座１０に対し、排気弁２が離接する。排
気弁２のステムはシリンダヘツド３に装着した弁
ガイド９に沿つて昇降可能に案内される。シリン
ダヘツド３の側壁５にガスケツト６を挟んで、排
気マニホールド８の端部フランジ７が図示してな
いボルトにより結合される。排気ポート４の流路
断面の形状と排気マニホールド８の流路断面の形
状は接続部において同一形状とされるのに対し、
両者の間に介装されるガスケツト６は、開口縁部
６ａを排気ポート４の内周壁から径内方へ突出さ
れる。

クランク室からのオイル上りにより燃焼室へ浸
入した潤滑油は、排気と一緒に排気ポート４へ流
出する。また、動弁機構を潤滑する油は弁ガイド
９と排気弁２のステムの摺動部を経て排気ポート
４へ流出する。これらの油は排気ポート４の内周
壁に付着し、油の量が次第に増えると、排気によ
り内周壁に沿つて押し流されるが、ガスケツト６
の開口縁部６ａでせき止められる。また、排気流
は開口縁部６ａにより僅かであるが絞られること
となり、排気流により開口縁部６ａの内側（上流
側）に滞留した油が吹き飛ばされ、排気とよく混
合し排気管へ排出される。

以上の説明から明らかなように、ガスケツト６
の開口縁部６ａを排気ポート４の内周壁から径内
方へ突出したことにより、排気ポート４の内周壁
を伝わつて流れて来た油が、開口縁部６ａで一時
的にせき止められる。しかし、排気流は開口縁部
６ａで絞られて速くなり、開口縁部６ａでせき止
められた油を霧状に吹き飛ばして排気マニホール
ド８へ流出される。一度霧状に吹き飛ばされた油
は、排気と混合して排気管へ流出するので、従来
のように排気マニホールドと排気管との接続部か
ら洩れ出るという問題が解消される。

上述の実施例では、ガスケツト６は普通の平坦
なものであるが、積層型のガスケツトを使用する
ことができる。

また、ガスケツト６の代わりに、例えば、ステ
ンレス板からなる開口縁部６ａを備えたスペーサ
をガスケツト６と重ね合せてシリンダヘツド３と
排気マニホールド８との間に挟持してもよい。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、シリンダヘツドの側壁
に、開口縁部が排気ポートの内周壁から径内方へ
突出するガスケツトを挟んで、排気マニホールド
の端部フランジを結合したものであるから、排気
ポートの内周壁に付着し流動する油は、開口縁部
で一時的にせき止められ、油量が多くなると油が
排気流によりミストになつて吹き飛ばされ、排気
と混合しながら排気管へ流出することとなり、途
中の接続部から外部へ洩れることがない。

ガスケツトの口径を従来のものよりも小さくす
るだけのことであるから、製作や取付などの面で
何らコストの増加を来すことがなく、簡単な構成
でありながら油洩れによる機関の周囲の汚染や油
火災の発生を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る排気マニホールドの取付
構造の正面断面図である。 ４……排気ポート、６……ガスケツト、６ａ…
…開口縁部、８……排気マニホールド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツドの側壁の排気ポートと排気マニ
   ホールドの端部フランジとの重合せ接続部に、開
   口縁部が排気ポートの内周壁から径内方へ突出し
   た平坦なガスケツトを挟んだことを特徴とする、
   排気マニホールドの取付構造。