JPH0450371B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔本発明の産業分野〕 本発明は、金属ストリツプ連続焼鈍炉における
加熱方法に関する。

〔従来の連続焼鈍炉〕

冷延鋼板やブリキ厚板などの金属ストリツプを
連続的に焼鈍処理する従来の連続焼鈍炉は、第６
図に示すように、ペイオフリールからくり出され
てクリーニングタンクやルーパを通つた金属スト
リツプ１が連続焼鈍炉に供給される。該炉では上
方と下方にロール（ヘルパーロールと称する）Ｒ
が設置されており、このロールＲの間を金属スト
リツプ１が上下方向に走行しながら製品に要求さ
れる機械的性質に応じて常温から650〜900℃まで
の加熱および冷却をうけ、最終的に常温の状態で
所定の降伏強度、抗張力、深絞り性、耐時効性等
の材料としての機械的性質が与えられる。

〔上記従来の連続焼鈍炉の欠点〕

ところで近年、多品種小量生産の要請に伴い、
板厚や板幅の異なる種々の金属ストリツプを、要
求される製品の機械的性質に応じて異なるヒート
サイクルで連続的に焼鈍できる連続焼鈍方式が求
められている。上記従来の炉における加熱帯で
は、ストリツプ１はラジアントチユーブ方式によ
り輻射加熱されるが、そのラジアントチユーブの
温度の時定数が大きいため金属ストリツプに要求
されるヒートサイクルの変化に対応して加熱温度
を迅速に制御できないという問題がある。すなわ
ち例えば、ストリツプ１の板厚が変つて厚くなつ
た場合、すなわち、先行するストリツプに対し
て、上り板厚が厚い金属ストリツプを連続して処
理する場合、熱容量が大きい厚い板厚の金属スト
リツプが通る時にはラジアントチユーブの温度を
高くする必要がある。しかしながら、このラジア
ントチユーブに対するバーナの燃焼量をかえて
も、ラジアントチユーブ自体の時定数が10〜20分
と大きいために、ストリツプ１はすぐには所定の
温度にならない。

一方、ストリツプ１のラインスピードを変化さ
せることも考えられるが、前の薄い金属ストリツ
プ１が該炉を通過するまでは変えない場合には、
後行の厚い金属ストリツプの先端部分が加熱不足
となり、2500〜5000mという非常に長い部分の焼
鈍不足となる。

また、後行の厚い金属ストリツプが必要な温度
に達するようにするために、ラインスピードを必
要なだけ低下させた場合には、先行の薄い金属ス
トリツプは温度が上昇しすぎて過剰に焼鈍され、
一般的には求められる機械的性質より軟質化す
る。ラインスピードをこの中間レベルに変化させ
ると先行板はやはり軟質化し、後行板は焼鈍不足
の部分が発生する。

以上と逆の板厚が途中で薄くなる場合には、前
述と逆の現象が発生する。

〔同時提案の加熱方法〕

過去においては、一般的には要求する機械的性
質を上まわる、例えば軟質化した製品は加工容易
性という観点から需要に於てはむしろ歓迎される
べきことであつた。ところが最近の金属板の塑性
加工プロセスの自動化では、このようなことは必
ずしも歓迎されるべきことではなく、狙いどおり
の材質に均一化することの方が重要になつてき
た。従つて、スピードをどのように変更しても金
属ストリツプのつなぎめ部分で相当の長さの材質
異常部が発生する。従つて上記のような操業方式
では、もはや対処できない。このため板厚変更部
での上記問題をさけるために、間にダミーストリ
ツプを挿入して、この間に炉の条件変更を完了す
る等の便法が用いられ、炉能力を結果的に低下さ
せることになつていた。また、炉操業の面からで
きるだけ大量の同一サイズ、又は、同一材質のス
トリツプの焼鈍を続ける必要があり、連続ライン
前に大量の在庫をもつておいて、炉操業計画を容
易にする必要があり、在庫費用の負担増と必要な
いときに好ましいタイミングで製品の製造ができ
ない不便さが生じていた。

そこで、本発明者らは、上記要望に沿う加熱方
法であつて、詳細には、ストリツプの加熱をラジ
アントチユーブからの輻射加熱で行う方法におい
て、ヒートサイクルやラインスピード、板厚、板
幅等の板条件の変更、例えばストリツプの板厚が
変更した場合、瞬時にストリツプの加熱をかえる
ことができる金属ストリツプ連続焼鈍炉における
加熱方法を本発明と同時に提案している。すなわ
ち、この同時提案の発明はラジアントチユーブの
間にはガスジエツト用ノズルを配設し、このノズ
ルから温度及び流量の調節可能な気体を金属スト
リツプに噴射し、これによつて板厚変更時に必要
な熱量に瞬時に変え、加熱炉内のラジアントチユ
ーブの時定数を小さくするものである。

しかしながら、上記同時提案の加熱方法におい
て、板厚が大の金属ストリツプから板厚が小さい
ものに変更された場合、また、逆に板厚が小さい
ものから大きいものに変更された場合、特にこれ
らの板厚の差が著しい時に次のような問題点が生
ずる。例えば板厚の小から大に変更された場合、
低温度のラジアントチユーブにさらされていたガ
スジエツトノズルからこの板厚変更と同時に急に
高温のガスを噴出させることとなり、その結果、
該ガスジエツトノズル大きな熱応力が発生し、変
形、破壊のおそれが生じてくる。

〔本発明の目的〕

そこで、本発明は、前記した同時提案の発明と
同様、金属ストリツプの加熱をラジアントチユー
ブからの輻射加熱で行う方法において、ヒートサ
イクルや板条件の変更、例えば板厚変更時の加熱
帯の温度の応答時間を短かくすると同時に、上記
した同時提案発明の問題点であるガスジエツトノ
ズルの大きな熱応力を防止する金属ストリツプ連
続焼鈍炉における加熱方法を提供することを目的
とする。

〔本発明の構成〕

そして、本発明は、上記目的を達成する手段と
して、ヒートサイクルや板条件の変更、例えば板
厚変更時よりも時間的に前にラジアントチユーブ
の燃焼量を変化させると同時にガスジエツトノズ
ルからの噴射用気体の流量を徐々に変化させる点
にある。すなわち、本発明は、ラジアントチユー
ブ間にガスジエツト用ノズルを配設し、このノズ
ルから温度及び流量の調節可能な気体を金属スト
リツプに噴射し、これによつて、例えば板厚変更
時の加熱帯の温度の応答時間を短かくする金属ス
トリツプの連続焼鈍炉における加熱帯において、
例えば板厚が大きくなり、金属ストリツプへの必
要熱量を増加させる場合、上記ラジアントチユー
ブのバーナの燃焼量を必要熱量増加時（この場合
には板厚変更時）よりも時間的に前に上げると同
時に上記ノズルから金属ストリツプよりも低温の
ガスジエツトを必要熱量増加時まで徐々に増加さ
せて冷却し、一方、逆に板厚が小さくなり、金属
ストリツプへの必要熱量を減少させる場合、上記
ラジアントチユーブのバーナの燃焼量を必要熱量
減少時（この場合には板厚変更時）よりも時間的
に前に下げると同時に上記ノズルから金属ストリ
ツプより高温のガスジエツトを必要熱量減少時ま
で徐々に増加させて加熱することを特徴とする金
属ストリツプ連続焼鈍炉における加熱方法であ
る。

薄板から厚板に変更する場合の連続加熱手段を
例にあげて本発明を詳細に説明すると、本発明で
は、この変更時の時間的に前の段階からラジアン
トチユーブのバーナの燃焼量を、厚板に相当する
熱量に一きよに上げる。ただし、ラジアントチユ
ーブ自体の熱容量が大きいため急激な温度上昇が
生じないけれども、薄板に必要な熱量が徐々に過
剰となつて行く。そこで、本発明では、ラジアン
トチユーブのバーナの燃焼量を上げると同時に
徐々に過剰となつてくる熱量を除去する必要があ
り、そのため冷却用気体を徐々に増加させて金属
ストリツプ薄板に噴射し、そして、板厚変更時に
該冷却用気体の噴射を止めるものである。本発明
は、このようにガスジエツトノズルからの噴出用
気体を徐々に供給するものであるから、このノズ
ルの気体による熱応力を防止できると共に、板厚
変更時に於ける加熱帯の応答時間を短かくするこ
とができるものである。

以下本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
第１図は本発明を実施するための加熱炉の一部を
抜き出したものであり、金属ストリツプの両面か
らラジアントチユーブで加熱する場合を示すもの
である。この図において、１は金属ストリツプ、
２はプレナムチヤンバ、３はガスジエツトノズ
ル、４はラジアントチユーブ、５はセラミツクフ
アイバー等の熱容量が小さい断熱材を内張りした
炉壁、６はプレナムチヤンバ２へのガス供給ダク
トである。さらに、１０はセラミツク等の高融点
物質からなる小石状の蓄熱体（ペブルと称する）、
１１はペブルを充填した充填層（以下ペブルヒー
ターと称する）、１２は1200〜1300℃の高温ガス
の供給ダクト、１３は常温程度のHNガス（水素
と窒素の混合ガス）供給ダクト、１４はHNガス
のバイパスダクトである。そして、高温ガスはペ
ブルヒーター１１の頂部から供給ダクト１２より
供給され、ペブルヒーター１１の底部より排気さ
れ、また、この高温ガスと切換えてHNガスはペ
ブルヒーター１１の底部から供給ガスダクト１３
により供給され、頂部からプレナムチヤンバ２に
送られるように構成されている。

第２図は、第１図−線矢視図であつて、７
はラジアントチユーブ４の燃焼用バーナーであ
り、８はプレナムチヤンバ２から噴出したHNガ
スの排出用ダクトである。このHNガスは、第１
図のHNガス供給ガスダクト１３に戻し、再使用
することもできる。

第１図において、同一板厚のストリツプ１を加
熱しているような定常運転時には、ラジアントチ
ユーブ４のみで加熱されている。ところで、スト
リツプ１の板厚が急に薄くなつて加熱量を減少す
る必要がある場合、まず、前述のような定常運転
時には、ペブルヒータ１１には、図示せざる加熱
器で1200〜1300℃と高温に加熱した高温ガスを頂
部からダクト１２を介して供給しておく。この時
のペブルヒータ１１内のベブル１０の温度分布
は、第３図ａ蓄熱時に示すように、ペブル１０の
温度は時間の経過と共に頂部からガス温度に近く
なつていく。このようにして、ペブルヒータ１１
内の温度を高温ガスの温度に保持しておくことが
できる。定常運転時のストリツプ１の板厚が変つ
て薄くなつた金属ストリツプ１が炉に入る場合、
その前段階でラジアントチユーブ４の燃焼用バー
ナー７からの燃料供給量を小とし、一方、ペブル
ヒーター１１への高温ガスの供給を停止し、HN
ガスをペブルヒーター１１の底部からダクト１３
を介して供給すると、ペブルヒーター１１内の温
度分布は第３図ｂ放熱時のようにかわり、低温の
HNガスでも、高温で熱容量が大きいペブル１０
と接触するため、このHNガスの温度が急速に上
昇し、その結果、ペブルヒーター１１の出口で
は、数秒の時間内にペブルヒーター１１の最高温
度（1200〜1300℃）のガス温度でプレナムチヤン
バ２に供給することができる。しかしながら、本
発明では、この高温化されたHNガスを急激に供
給するものではなく、前述したラジアントチユー
ブ４の燃焼用バーナー７からの燃料供給量を小と
し、これによつて厚板に必要な加熱に不足する熱
量に相当する量だけ、徐々に供給する。その結
果、ガスジエツトノズル３の高温による熱変形や
破かいが防止できるものである。

以下本発明の加熱方法を第４図ａ〜ｃ及び第５
図ａ〜ｃに基づいて詳細に説明する。

まず、第４図は薄板から厚板に変る場合であ
り、第４図ａは金属ストリツプの板厚の時間変
化、第４図ｂはラジアントチユーブ温度の時間変
化、第４図ｃは冷却用ガスジエツト風量の時間変
化をそれぞれ示す。薄板から厚板に変わる場合、
この板厚の変更時よりも、第４図ｂに示すよう
に、２時間前からラジアントチユーブの温度を上
げるように操作する。この場合、ラジアントチユ
ーブ自体の大きな時定数のために徐徐に温度上昇
し、その結果として板厚が完全に変わるまでは、
薄い板厚に対して徐々に過剰な熱量が与えられる
こととなる。そこで、薄い板厚に対して適正な温
度を維持させるために、第４図ｃに示すように、
冷却用ガスジエツトをその風量を徐々に増加させ
て板厚がかわる時まで冷却するものである。

次に第５図は厚板から薄板に変る場合であり、
第５図ａは金属ストリツプの板厚の時間変化、第
５図ｂはラジアントチユーブ温度の時間変化、第
５図ｃは加熱用ガスジエツト風量の時間変化をそ
れぞれ示す。板厚が厚板から薄板にかわる時、こ
の板厚変更時よりも、第５図ｂに示すように、２
時間前からラジアントチユーブの温度を下げるよ
うに操作する。この場合、ラジアントチユーブ自
体の大きな時定数のために徐々に温度が下がり、
その結果、厚いストリツプに対して熱量が徐々に
不足することとなる。この不足熱量を補うため
に、ストリツプよりも高い温度のガスを、その風
量を徐々に増加しながら、板厚変更時まで加熱す
る。

以上本発明を金属ストリツプの両面から縦型の
ラジアントチユーブで加熱する場合について説明
したが、本発明はこれのみに限定されるものでは
なく、梯形の加熱帯でも、また、一般にラジアン
トチユーブ方式で金属ストリツプを加熱している
ものすべてに適用できるものである。さらに本発
明はペブルヒーター（蓄熱帯を充填した蓄熱加熱
器）による場合に限定されるものでなく、他の
種々の気体温度及び流量調節手段をも包含するも
のである。

〔本発明の効果〕

本発明は、以上詳記したように、ヒートサイク
ルや板条件変更時よりも時間的に前にラジアント
チユーブの燃焼量を変化させると同時にガスジエ
ツトノズルからの噴射用気体の流量を徐徐に変化
させるものであるから、例えば板厚変更時の加熱
帯の温度の応答時間を短かくすることができ、板
厚変更時に伴う歩留りの悪化、製品ロスを防止で
きる効果を生じ、さらに、ガスジエツトノズルの
熱応力による変形や破壊が生じない効果が生ずる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を実施するための加熱炉の一部
を示したものであり、第２図は第１図−線矢
視図である。第３図ａは発明の実施例で使用する
ペブルヒーターの蓄熱時を示し、第３図ｂは同放
熱時を示す。第４図ａ〜ｃ及び第５図ａ〜ｃは、
板厚が薄板から厚板へ及び厚板から薄板へ変化す
る際の本発明の加熱方法を説明するための図であ
る。第６図は従来の連続焼鈍炉を示す。 １……ストリツプ、１０……ペダル、２……プ
レナムチヤンバ、１１……ペブルヒーター、３…
…ガスジエツトノズル、１２……ダクト、４……
ラジアントチユーブ、１３……ダクト、５……炉
壁、１４……バイパスダクト、６……ダクト、Ｒ
……ロール、７……バーナー、８……ダクト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属ストリツプの連続焼鈍に際し、ヒートサ
   イクル、ラインスピード、板厚等の設定変更に応
   じて、加熱帯において所要の温度および流量に設
   定された板温制御用のガスを金属ストリツプに噴
   射するガスジエツト装置において、設定変更時よ
   りも前で、ラジアントチユーブバーナの燃焼量を
   かえると同時に、ラジアントチユーブの温度経過
   に応じてガスジエツトの温度・流量を設定変更時
   まで徐々にかえることを特徴とする金属ストリツ
   プの連続焼鈍炉の加熱方法。