JPH0448826Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、建造物等の壁面に繊維材料と結合剤
スラリーとを吹付けて耐火性被覆を形成させると
きに使用するスプレーガンに関するものである。

従来の技術 圧縮空気を用いて岩綿、ガラス繊維等の無機繊
維を管端から吐出させ、同時に無機繊維吐出孔の
周囲からセメントミルク等の結合剤スラリー（以
下、スラリーという）を噴霧することにより無機
繊維とスラリーとを空中で混合しながら建造物壁
面に吹付ける工法のためのスプレーガンとして
は、たとえば実開昭54−76379号のものなど種々
の形式のものが知られている。しかしながら、従
来のものはスラリー噴霧機構とそれを繊維材料吐
出管に固定する機構が複雑であつて、重いばかり
か、スラリーが詰まり易くしばしば解体清掃が必
要であるという欠点があつた。また、スラリーを
霧化するノズルチツプとそのケーシングからなる
スラリー噴霧用ノズルがガン先端に突出している
ため、乱暴な取扱いをした場合に取付角度が狂つ
て所定の噴霧角度が得られなかつたりするという
問題もあつた。

考案が解決しようとする問題点 本考案は、従来のスプレーガンが上述のような
欠点を持つものであつたことに鑑み、従来のもの
よりも解体・組立てが簡単で清掃も容易であり、
取扱いも容易なようにスラリー噴霧機構が改良さ
れたスプレーガンを提供しようとするものであ
る。

問題点を解決するための手段 本考案が提供するスプレーガンは、繊維材料吐
出管およびその先端部外周付近に等間隔で分散配
置された複数のスラリー噴霧用ノズルを有する吹
付施工用スプレーガンにおいて、外周方向に開口
する溝を全周にわたつて有し且つ上記溝の側壁相
当部分の一方に複数のノズルチツプ取付孔が穿設
され他方に結合剤スラリー流入孔が穿設された溝
付環状部材を繊維材料吐出管の先端部に繊維材料
吐出管と同心配置で固定し、上記ノズルチツプ取
付孔内に結合剤スラリー噴霧用ノズルチツプを、
結合剤スラリー流入孔に弁付結合剤スラリー供給
管を、それぞれ取付け、着脱可能な環状蓋材によ
り上記溝を密閉してノズルチツプに対する結合剤
スラリー分配供給路を形成したことを特徴とす
る。

作 用 本考案のスプレーガンは、従来のこの種のスプ
レーガンを使用する場合と同様にして吹付けに使
用する。そして吹付けが終わつた後は、環状蓋材
をはずし、スラリー分配供給路を溝状の解放状態
にしてスラリー流路を清掃する。ノズルチツプが
損耗したときは、チツプのみを溝付環状部材から
はずして交換する。

実施例 以下、第１図〜第５図に示した実施例を参照し
ながら本考案を説明する。

第１図は主要部材を分解した状態を示す。繊維
材料吐出管１は軽金属製の単純な円筒状のもので
あるが、繊維材料圧送ホースが嵌着される図面右
半分の部分１ａは、ホースを抜け難くするための
波形凹凸を持つものにしてもよい。溝付環状部材
２は、同じく軽合金製のもので、太い溝３を持
つ。この溝付環状部材２は、第２図に示したよう
な、二つのフランジ状ブロツク２ａおよび２ｂか
らなり、必要に応じて分解可能である。溝３の側
壁に相当する部分の一方４には４個のノズルチツ
プ取付孔５が穿設されており、それらの孔に、ス
ラリー噴霧用ノズルチツプ６が嵌着されている。
第３図はこのノズルチツプ６の嵌着状態を示す。
ノズルチツプ取付孔５およびノズルチツプ６の形
状と寸法は、溝３側から前方に向かつて細くなる
ように穿設されたノズルチツプ取付孔５にノズル
チツプ６がぴつたり嵌入し、且つ嵌入したときノ
ズルチツプ６の背面７と溝３の壁面８との間に大
きな段差を生じないように選定されている。ノズ
ルチツプ６は、正面側から叩けばはずれる程度
に、接着剤で固定されている。また、側壁の他方
９にはスラリー流入孔１０が穿設されていて、こ
の孔の壁面に刻設された雌ねじを利用して弁１１
付スラリー供給管１２が着脱可能に取付けられて
いる。環状ゴムシート１３は、金属製締具１４と
ともに環状蓋材を構成するものであつて、締具１
４は、ねじ１５を回転させると直径が増減する周
知のもの（いわゆるジユベリーバンド）である。

このスプレーガンを使用する際は、環状ゴムシ
ート１３を溝付環状部材２の外周に、溝３を覆う
ようにかぶせる（このとき環状ゴムシート１３が
それ自身の弾性により溝付環状部材２に密着する
よう、その内径は溝付環状部材２の外径よりもや
や小さくしてある）。更にその上から締具１２で
締付けて、環状ゴムシート１３の密着固定を確実
なものにする。溝付環状部材２上の細溝１６は、
このときの密封性を高めるために設けられたもの
である。これにより、ノズルチツプ６のためのス
ラリー分配供給路１７が環状に形成される。次い
で溝付環状部材２の芯部に繊維材料吐出管１の先
端部分１ｂを挿入し、適当な位置で固定する。固
定手段は任意であるが、ねじ等の補助金具を使用
しないなるべく簡単な手段を採用することが望ま
しい。たとえば、繊維材料吐出管１の周面にビニ
ルテープを巻いておいて、簡単に密嵌状態が実現
されるようにする。第４図および第５図は、この
ようにして完成した組立て状態を示す。更に管端
１ａに繊維材料圧送用ホースを嵌着しスラリー供
給管１２にスラリー圧送用ホースを接続すれば、
吹付作業可能な状態になる。

このスプレーガンに繊維材料およびスラリーを
供給すると、繊維材料は圧送用空気とともに繊維
材料吐出管１内を直進したのち、吐出孔２０から
外気中に放出され、円錘状に広がりながら吹付け
面に達する。一方、スラリーは、スラリー供給管
１２、スラリー流入孔１０を経由してスラリー分
配供給路１７に入り、ここから４個のノズルチツ
プ６に分配され、ノズルチツプ６から霧状になつ
て外気中に出る。ノズルチツプ６は、その中心軸
線が繊維材料吐出管１の中心軸線と約20cm前方で
交差するように取付けられているから、繊維材料
は吹付け面に到達する迄にスラリーの液滴と合体
し、吹付け面に付着可能になる。

吹付け作業を中止するとき、スプレーガン中に
残つているスラリーはすべて取り除かなければな
らないが、その場合は、まず締具１４をゆるめて
はずじ、さらに環状ゴムシート１３もはずして、
スラリー分配供給路１７内のスラリーを取り除
く。次いでノズルチツプ６およびスラリー供給管
１２を掃除するが、これらは、その都度はずさな
くても、強制通水すれば容易に清浄化される。以
上の作業は、溝付環状部材２を繊維材料吐出管１
からはずさなくても可能であるが、はずした状態
で行なうことももちろん可能である。

上記実施例では溝付環状部材２は二つのブロツ
クからなるが、この部材は、同様の機能を持つも
のである限り、３以上のブロツクの組合せからな
るものでもよく、また単一のブロツクからなるも
のであつても差支えない。溝付環状部材にノズル
チツプを固定する手段も接着に限られるわけでは
なく、チツプ外周にネジ溝を設けてねじ込み式に
するか、固定用の簡単な補助具を用いるようにし
てもよい。また、環状のスラリー分配供給路を形
成させるための環状蓋材も、着脱容易なものであ
れば何でもよく、上記実施例のものに限定される
わけではない。

考案の効果 本考案によるスプレーガンは、複数のスリラー
噴霧用ノズルに均等にスラリーを供給するための
スラリー分配供給路が、周方向に開口する環状溝
とその溝を覆う環状蓋材とによつて構成されてい
るので、環状蓋材をはずすだけでスラリー分配供
給路が溝状の開放状態になり、スラリー分配供給
路はもちろん、スラリー供給管やスラリー噴霧用
ノズルまでが、きわめて容易に清掃し得る状態と
なる。特に、実施例として示したスプレーガンの
ように、環状蓋材が環状ゴムシートとその締具か
らなるものは、環状蓋材の着脱が容易であり、ま
た簡単に良好な密閉状態が得られるほか、スラリ
ー噴霧機構全体が小型軽量のものですむという利
点がある。

また本考案では、ノズルチツプが溝付環状部材
の中に直接固定されていて個々に突出したノズル
部分を持たないから、多少乱暴に扱つてもノズル
を損傷したりその噴霧角度に狂いを生じたりする
おそれがなく、さらに、スラリー流路が単純でス
ラリー固形物の詰まりを起こし難く、清掃も容易
であるという特長がある。

したがつて本考案によれば、スプレーガンの取
扱いが容易になるとともに保守作業の簡易化が達
成され、ひいてはスプレーガンの性能の長期安定
化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図：本考案の一実施例の分解斜視図。第２
図：第１図の溝付環状部材２の部分の分解斜視
図。第３図：第１図の溝付環状部材２の部分の一
部破断側面図。第４図：第１図の実施例の組立状
態を示す斜視図。第５図：第４図のＶ−Ｖ部部分
断面図。 １……繊維材料吐出管、２……溝付環状部材、
３……溝、５……ノズルチツプ取付孔、６……ノ
ズルチツプ、１０……スラリー流入孔、１２……
スラリー供給管、１３……環状ゴムシート（蓋
材）、１４……締具、１７……スラリー分配供給
路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 繊維材料吐出管およびその先端部外周付近に
   等間隔で分散配置された複数の結合剤スラリー
   噴霧用ノズルを有する吹付施工用スプレーガン
   において、外周方向に開口する溝を全周にわた
   つて有し且つ上記溝の側壁相当部分の一方に複
   数のノズルチツプ取付孔が穿設され他方に結合
   剤スラリー流入孔が穿設された溝付環状部材を
   繊維材料吐出管の先端部に繊維材料吐出管と同
   心配置で固定し、上記ノズルチツプ取付孔内に
   結合剤スラリー噴霧用ノズルチツプを、結合剤
   スラリー流入孔に弁付結合剤スラリー供給管
   を、それぞれ取付け、着脱可能な環状蓋材によ
   り上記溝を密閉してノズルチツプに対する結合
   剤スラリー分配供給路を形成したことを特徴と
   する吹付施工用スプレーガン。 (2) 環状蓋材が、溝を密閉し得る幅の環状ゴムシ
   ートおよびその外周に適用される金属製締具か
   らなるものである実用新案登録請求の範囲第１
   項記載のスプレーガン。