JPH0446602Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は、シートバツクパツドがシートバツク
の骨格を構成するシートバツクフレーム及びクツ
シヨンばねと一体に成形された発泡体から成り、
シートバツクの背面に着座者の腰部を支持するラ
ンバーサポート部材が少なくとも座席の前後方向
に調整動可能に配置されている自動車座席のシー
トバツクを製造する装置に関する。

従来技術 上記形式の座席は従来より公知であり、第４図
はこの種の座席の一例を示す。第４図において、
１は着座者２の尻部を支持するシートクツシヨ
ン、３は着座者２の背部を支えるシートバツクで
あり、このシートバツク３は着座者の背部を弾力
をもつて支持するためのシートバツクパツド４を
有している。このパツド４はシートバツクの骨格
を構成するシートバツクフレーム５、及び該フレ
ーム５に各端を係止されたクツシヨンばね６と一
体に成形された発泡体から成る。パツド４の外表
面は、通常、表皮材７によつて覆われている。

上述の一体成形型のシートバツク３によれば、
パツド４の成形と同時に、フレーム５とばね６を
パツド４に一体に組付けることができるため、シ
ートバツク３の製造工程を簡素化できる利点を有
している。

シートバツク３の背面側には着座者２の腰部を
支持するランバーサポート部材８が配置され、着
座者が図示していない調整部材を手操作で操作
し、又は図示していない駆動装置の駆動力によつ
てランバーサポート部材８を前後Ｘ，Ｙ方向に調
整移動させ、シートバツク３の形状を着座者の好
みに合せることができる。ランバーサポート部材
８をシートバツク３の背面に設けたのは、パツド
４を介してランバーサポート部材８を着座者２の
腰部に当接せることにより、着座者２にランバー
サポート部材８による異物感を与えないためであ
る。即ち、着座者２に対してランバーサポート部
材８による快い適度な形状保持感を与えるように
意図したものである。ところがランバーサポート
部材８をシートバツク３の背面に設けると、シー
トバツク３の形状保持感を高めるべくランバーサ
ポート部材８を前方Ｘに動かし、シートバツクパ
ツド４を後から押圧したとき、パツド４の弾性的
な圧縮による反発力がランバーサポート部材８に
作用するため、この部材８を思うように前方に動
かすことができず、所望する程度までシートバツ
ク３の形状保持性を高めることが困難となる恐れ
がある。特に第５図に示したようにランバーサポ
ート部材８を板ばね９の如き弾性体を介して前後
Ｘ，Ｙ方向に動かすように構成すると、パツド４
の反発力によつて板ばね９が容易に変形するの
で、ランバーサポート部材８を所望する位置まで
前方Ｘに動かすことができず、シートバツク３の
保持不足、即ち腰部支持効果不良を起こしやす
い。またシートバツクパツド４がフレーム５及び
ばね６と共に一体に成形されたシートバツク３
は、フレーム、クツシヨンばね、及びシートバツ
クパツドをそれぞれ別々の製作した後にこれらを
組立てて構成したシートバツクに比べ、パツド４
の反発力が強く、特に上述の不都合が発生しやす
い。

そこで、ランバーサポート部材に対向するシー
トバツクパツド部分を可動パツド部分、他のシー
トバツクパツド部分をパツド本体とし、可動パツ
ド部分をパツド本体に対してシートバツクの前後
方向に移動可能に配置すれば、ランバーサポート
部材を前方に作動させたとき、この部材に対向す
る可動パツド部分がランバーサポート部材と共に
前方に動くので、ランバーサポート部材の動きを
着座者に効果的に伝えることができ、腰部支持効
果不良の発生を防止でき、従来の欠点を除去する
ことが可能である。

ところが、上述のようにシートバツクパツド
を、可動パツド部分とパツド本体とに分離する
と、シートバツクの製造時に、これらを別々に成
形し、しかる後可動パツド部分とパツド本体と
を、両者が相対的に可動な状態に連結する必要が
あり、その製造が大変煩雑となる。すなわち「製
造工程の簡素化」という一体成形型シートバツク
の最大の利点が失われてしまうのである。

目 的 本考案の目的は、上述の欠点を除去した自動車
座席のシートバツクを製造する装置を提供するこ
とである。

構 成 本考案は上記目的を達成するため、冒頭に記載
した形式のシートバツクを製造する装置におい
て、無端状に延びる隔壁を備えた第１の発泡成形
型と、成形面に予め可撓性を有するバツキング材
が敷設され、かつ前記隔壁の先端が係合して、こ
の先端と前記バツキング材がくい込む溝を備えた
第２の発泡成形型を有し、第１及び第２の発泡成
形型の間のキヤビテイが、前記隔壁によつて、シ
ートバツクフレーム及びクツシヨンばねと一体に
形成されるパツド本体を発泡成形するための隔壁
外のキヤビテイ部分と、該パツド本体に対してシ
ートバツクの前後方向に可動であつて、ランバー
サポート部材に対向して位置する可動パツド部分
を発泡成形するための隔壁内のキヤビテイ部分と
に分離され、これらのキヤビテイ部分内で発泡し
た発泡体を、その発泡時に、前後バツキング材に
一体に連結するシートバツクの製造装置を提案す
る。

実施例 以下、本考案の実施例を図面に従つて詳細に説
明する。

第１図及び第２図は、後述する本考案に係る製
造装置によつて製造されたシートバツクを有する
座席の一例を示す。本考案の理解のため、先ず第
１図及び第２図に示した座席の構成と作用を明ら
かにする。

第１図及び第２図に示した座席も第４図に示し
た座席と同様に、図示していない着座者の背部を
支持するシートバツク３のほかに、着座者の尻部
を支持するシートクツシヨン１を有し、シートバ
ツクパツド４は骨格を構成するシートバツクフレ
ーム５及び該フレーム５に各端を係止されたクツ
シヨンばね６と共に一体に成形された発泡体から
成る。シートバツク３の背面に、ランバーサポー
ト部材８が少なくとも前後Ｘ，Ｙ方向に調整動可
能に配置されていることも従来の座席と変りはな
い。

従来の座席と異なるところは、ランバーサポー
ト部材８に対向して位置するシートバツクパツド
部分４ａ，換言すれば着座者の腰部に対応したパ
ツド部分が他のシートバツクパツド部分４ｂから
分離され、分離されたパツド部分４ａが、他のシ
ートバツクパツド部分４ｂに形成された孔１０中
に、他のシートバツクパツド部分４ｂに対してシ
ートバツク３の前後Ｘ，Ｙ方向に移動可能に嵌め
込まれている点である。移動可能なシートバツク
パツド部分は可動パツド部分４ａを構成し、他の
シートバツク部分はパツド本体４ｂを構成してい
る。図示した例では可動パツド部分４ａの内部に
フレーム５もばね６も存在しないが、この部分４
ａ中にクツシヨンばねを埋設しておくことも可能
である。

また可動パツド部分４ａとパツド本体４ｂの背
面には可撓性を有するシート状のバツキング材１
１、例えばフエルトが貼着され、このバツキング
材１１によつて可動パツド部分４ａとパツド本体
４ｂが互いに連結されている。バツキング材１１
はシートバツク３の耐久性を向上させる働きも為
す。また図の例では、可動パツド部分４ａの背面
に位置するバツキング材１１のさらに背部にラン
バーサポート部材８が位置し、可動パツド部分４
ａとパツド本体４ｂのそれぞれの表面側に表層材
７が貼着されている。

ランバーサポート部材８を従来と同様に手操作
又は図示していない駆動装置によつて前方Ｘに作
動させると、パツド本体４ｂから分離された可動
パツド部分４ａも前方に移動する。このため、可
動パツド部分４ａは発泡体から成る弾性体ではあ
るが、ランバーサポート部材８を前方Ｘに作動さ
せたとき、この部材８に作用する反発力は弱く、
よつてランバーサポート部材８を例えば第５図に
示した板ばね９の如き弾性体を介して作動させる
構造であるときも、該部材８がシートバツクパツ
ド４による反発力で移動を阻害されることはな
く、着座者に所定の保持感を与えることができ
る。しかもランバーサポート部材８は従来と同様
にシートバツク３の背面に位置しているので、着
座者に異物感を感じさせることもない。ランバー
サポート部材８を後方Ｙに作動させれば、可動パ
ツド部分４ａは着座者の体重で部材８と共に後方
Ｙに移動する。

次に、上述のシートバツクを製造する装置につ
いて説明する。

この製造装置は、第３図に示すように第１の発
泡成形型２０と、第２の発泡成形型２１を有し、
第１の発泡成形型２０は第２図に示した可動パツ
ド部分４ａの外形に対応する形態で無端状に延び
る隔壁２３を有している。また第２の発泡成形型
２１は、その成形面に予め可撓性を有するバツキ
ング材１１が敷設され、しかも上述の隔壁２３の
先端が係合して、この先端とバツキング材１１が
第３図に示すようにくい込む溝を備えている。

このような第１及び第２の発泡成形型２０，２
１を第３図に示したように型合せると、両成形型
の間のキヤビテイは、隔壁２３によつて、その内
側のキヤビテイ部分と外側のキヤビテイ部分とに
分離される。

このような外側のキヤビテイ部分に予め第２図
に示したシートバツクフレーム５とクツシヨンば
ね６を挿入し、かつキヤビテイ部分に発泡剤を含
む樹脂配合物を入れ、これを発泡成形すれば、隔
壁２３の外側のキヤビテイ部分においてはシート
バツクフレーム５とクツシヨンばね６と一体のパ
ツド本体４ｂが成形され、隔壁２３の内側のキヤ
ビテイ部分においては、可動パツド部分４ａが成
形される。そして、これらのキヤビテイ部分内で
発泡した発泡体は、その発泡時に、バツキング部
材１１に一体に連結される。次いで、成形された
シートバツクパツド４を成形型２０，２１から分
離した後に、表皮材７をこのパツド４に取付ける
ことによつてシートバツクが完成する。

上述のように、第３図に示した製造装置によれ
ば、シートバツクパツド４が可動パツド部分４ａ
とパツド本体４ｂとに分離されてはいるが、シー
トバツクを従来の一体成形型シートバツクと全く
同様に極めて簡単に製造することができる。

また上述の成形時に、隔壁２３により囲まれた
キヤビテイ部分と、その外側のキヤビテイ部分と
に、それぞれ異なつた材料を入れることによつ
て、完成したシートバツク３の可動パツド部分４
ａとパツド本体４ｂの硬さを異らせることも可能
である。

また上述の発泡成形時に、第１の発泡成形型２
０に形成された隔壁２３の先端が、第２の発泡成
形型２１の溝にくい込むので、隔壁２３の内側の
キヤビテイ部分とその外側のキヤビテイ部分が確
実に分離され、パツド本体４ｂと可動パツド部分
４ａとを確実に分離して、そのそれぞれを成形す
ることができる。

しかも、上記溝にはバツキング材１１もくい込
むので、成形後の可動パツド部分４ａとパツド本
体４ｂとの間に位置するバツキング材部分に、第
２図に示した如くたるみ１１ａができる。このた
め、座席の使用時に、可動パツド部分４ａを容易
に前後Ｘ，Ｙに移動させることができる。

効 果 本考案に係る製造装置によれば、腰部支持効果
不良を防止できるシートバツクを簡単かつ低コス
トで製造できる。しかもパツド本体と可動パツド
部分を確実に分離でき、かつこれらをその成形時
にバツキング材によつて連結することができる。
またパツド本体と可動パツド部分の間のバツキン
グ材にたるみをもたせることができるので、座席
の使用時に可動パツド部分を確実に前後に動かす
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る製造装置によつて製造さ
れたシートバツクを有する座席の斜視図、第２図
はこの座席のシートバツクを断面で示した斜視
図、第３図はシートバツクを製造する装置の一例
を示す断面図、第４図は従来の座席の一例を示す
部分断面側面図、第５図はランバーサポート部材
と板ばねの関係を示す斜視図である。 ３……シートバツク、４……シートバツクパツ
ド、４ａ……可動パツド部分、４ｂ……パツド本
体、５……シートバツクフレーム、６……クツシ
ヨンばね、８……ランバーサポート部材、１１…
…バツキング材、２０……第１の発泡成形型、２
１……第２の発泡成形型、２３……隔壁、Ｘ，Ｙ
……前後。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シートバツクパツドがシートバツクの骨格を構
   成するシートバツクフレーム及びクツシヨンばね
   と一体に成形された発泡体から成り、シートバツ
   クの背面に着座者の腰部を支持するランバーサポ
   ート部材が少なくとも座席の前後方向に調整動可
   能に配置されている自動車座席のシートバツクを
   製造する装置において、 無端状に延びる隔壁を備えた第１の発泡成形型
   と、成形面に予め可撓性を有するバツキング材が
   敷設され、かつ前記隔壁の先端が係合して、この
   先端と前記バツキング材がくい込む溝を備えた第
   ２の発泡成形型を有し、第１及び第２の発泡成形
   型の間のキヤビテイが、前記隔壁によつて、シー
   トバツクフレーム及びクツシヨンばねと一体に形
   成されるパツド本体を発泡成形するための隔壁外
   のキヤビテイ部分と、該パツド本体に対してシー
   トバツクの前記方向に可動であつて、ランバーサ
   ポート部材に対向して位置する可動パツド部分を
   発泡成形するための隔壁内のキヤビテイ部分とに
   分離され、これらのキヤビテイ部分内で発泡した
   発泡体を、その発泡時に、前記バツキング材に一
   体に連結することを特徴とするシートバツクを製
   造する装置。