JPH0444909Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案はモータの回転力を減速し伝達するこ
とによりカム等を駆動するための動力伝達装置、
特に歯車の振動防止機構を有するものに関する。

［従来の技術］ 歯車の振動防止機構を有しない従来の動力伝達
装置を第３図に示す。

モータ１はその回転軸が重力の作用方向すなわ
ち垂直となるようにスペーサ１４を介して台板１
５に固定されている。台板１５には垂直方向に軸
１０，１１および１２が植設され、各軸１０，１
１および１２にはそれぞれ一体となつて回転する
歯車３，４、５，６、および７，８が嵌装されて
おり、歯車３はモータ１の回転軸に固着された歯
車２にかみ合い、また歯車４と５，６と７もそれ
ぞれかみ合つている。歯車８には歯車９がかみ合
い歯車９の出力軸１３は台板１５に軸受１６によ
り支持されている。モータ１として一般的な直流
モータを使用した場合、回転数は数千〜数万回
転／分であり、出力軸１３は図示していないカム
等を駆動するために回転数を例えば１回転／分程
度に減速する必要がある。そのため歯車の各段に
おける減速比を３対１ないし５対１程度に設定し
てある。出力軸１３はその一方向の回転により、
ばね等により一方向に付勢されているカム等をそ
の付勢力に逆らつて駆動し、またカム等がその付
勢力により反対方向に駆動されるように逆方向の
回転により退避する。その結果出力軸１３は回転
方向により負荷状態および無負荷状態の二つの状
態をとることになる。

［考案が解決しようとする問題点］ 従来の動力伝達装置は以上のように構成され、
出力軸の回転方向によつては各歯車が無負荷で空
転する場合が生じる。特に初段および第二段目あ
たりの歯車では減速比が小さいため高速回転し、
さらに歯車自体が樹脂成形等により軽量である場
合には歯車の固有振動数とモータの振動数が一致
した時に共振を起こし、騒音や振動の増大あるい
は歯車の寿命の低下を引き起こすという問題点を
有していた。

この考案は以上のような問題点を解決するため
になされたものであり、振動防止機構を有する動
力伝達装置を提供することを目的としている。

［問題点を解決するための手段］ この考案に係る振動防止機構を有する動力伝達
装置は、 回転軸を垂直方向となるように設けられたモー
タと、 前記モータの回転力を減速し伝達する垂直方向
を軸とし実質的に水平面内で回転する複数の歯車
の列と、 前記複数の歯車の最終段の歯車に固定され、同
軸で回転し、負荷状態および無負荷状態の二つの
状態をとりうる出力軸と、 前記複数の歯車の少なくとも１つに対して、そ
の水平面内の、中心軸から離れた１点において実
質的に垂直方向に荷重を付勢する負荷手段と、 を具備している。

［作用］ 第２図を用いて作用を説明する。

台板１５に垂直に植設された軸１１と歯車５は
所定の隙間を設けて嵌合している。歯車５は上面
においてブツシユ１８を介してばね１７により図
中下方、すなわち重力の作用方向に付勢されてい
る。そのため第２図に示すように歯車５は常時傾
いて回転し、実質的に常時負荷がかけられている
のと同じ状態になる。その結果出力軸に負荷がか
からなくても歯車５が空転することなく、共振は
起こらない。

［実施例］ この考案に係る歯車の振動防止機構を有する動
力伝達装置の一実施例を第１図および第２図を用
いて説明する。尚、図中従来例第３図と同一の番
号を符した部材は同一の機能を有するものとす
る。

台板１５にはスペーサ１４を介してモータ１が
その回転軸が垂直となるように固定されており、
台板１５に垂直に植設された軸１０，１１および
１２にはそれぞれ一体となつて回転する２枚の歯
車３，４、５，６、および７，８からなる３組の
段付歯車が回転自在に嵌合している。歯車３はモ
ータ１の軸に設けられた歯車２にかみ合い、また
歯車８は出力軸１３に設けられた歯車９にかみ合
つている。歯車３，５，７および９はそれぞれ歯
車２，４，６および８と比較してピツチ円径およ
び歯数が大きくなるように設定されており、１分
間当り数千回転するモータ１の回転を減速して出
力軸１３に伝達する。各歯車はポリアセタール樹
脂等で成形され、歯車の内径はステンレス等の各
軸１０，１１および１２の外径と比較して30〜
80μｍ大きくなるように設定されている。歯車５
は上部において、水平面内の中心軸１１から離れ
た１点に、ばね１７によりブツシユ１８を介して
図中下方すなわち重力の作用方向に所定の圧力
（例えば30ｇ重）が付勢されている。この圧力に
より歯車５は第２図に示すように常時傾斜した状
態となる。従来例と同様に出力軸１３はその回転
方向により負荷状態および無負荷状態のいずれの
状態にもなりうるが、歯車５は出力軸１３の回転
方向のいかんにかかわらず常時実質的に負荷が加
えられたのと同じ状態となる。このばね１７の圧
力はモータの出力に影響を及ぼさない程度でかつ
歯車の空転による振動を防止するのに十分な力量
であり、その値は実験により決定されている。な
おばね１７およびブツシユ１８は、歯車５の回転
によつて飛散しないように第２図に示すように台
板２０に植設されたガイド棒１９によりガイドさ
れている。またブツシユ１８は、歯車５との摩擦
によつて摩耗しないように油含有のポリアセター
ル樹脂等で成形されている。

尚、この考案が解決しようとする無負荷時にお
ける歯車の共振は、各歯車の回転を水平面内にお
いて行う場合にのみ発生し、第３図に示す従来の
動力伝達装置を90度傾けて各歯車の回転を垂直面
内において行う場合には無負荷時においても歯車
の共振は生じない。これは歯車の自重により各歯
車が常時一方向（重力の作用方向）に負荷を受け
ているのと同じ状態になるためと考えられる。

［考案の効果］ 以上説明したように、この考案に係る振動防止
機構を有する動力伝達装置においては、歯車の無
負荷時においても歯車の共振は発生しないので、
低騒音、低振動かつ耐久性のある動力伝達装置を
提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る振動防止機構を有する
動力伝達装置を示す図、第２図は振動防止機構の
構造および原理を示す断面図、第３図は従来の動
力伝達装置を示す図である。 図中１はモータ、２〜９は歯車、１３は出力
軸、１７はばね、１８はブツシユである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 回転軸を垂直方向となるように設けられたモー
   タと、 前記モータの回転力を減速し伝達する垂直方向
   を軸とし実質的に水平面内で回転する複数の歯車
   の列と、 前記複数の歯車の最終段の歯車に固定され、同
   軸で回転し、負荷状態および無負荷状態の二つの
   状態をとりうる出力軸と、 前記複数の歯車の少なくとも１つに対して、そ
   の水平面内の中心軸から離れた１点において実質
   的に垂直方向に荷重を付勢する負荷手段と、 を具備した振動防止機構を有する動力伝達装置。