JPH0444603Y2

JPH0444603Y2 -

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Publication number: JPH0444603Y2
Application number: JP1983048981U
Authority: JP
Priority date: 1983-04-04
Filing date: 1983-04-04
Publication date: 1992-10-21
Also published as: EP0123949B1; JPS59157440U; EP0123949A1; DE3461419D1; US4530220A

Description

【考案の詳細な説明】本考案は自在変形保冷用バツグ、更に詳細には
人体、その他の動物の体のいずれの個所に対して
も、体躯表面の形状に応じて自在に変形・適合し
て保冷することのできる保冷用バツグに関する。

従来より冷却用ゲル、保冷用ゲル、保冷用熱媒
体、コロイド冷媒、保冷用具、保冷用組成物ある
いは氷のいらない氷枕などの名称のもとに、既に
各種の冷却用ゲルが提案され、一部は実用に供さ
れている。しかし、これらの冷却用ゲルはいずれ
も所定の形状を有しているため所定部位の冷却に
は有効であるが、所定部位以外の任意の個所を冷
却しようとしても自在に変形することができず、
甚だ不便であつた。

本考案はいずれの部位をも有効に冷却すること
の可能な変形自在保冷用バツグを提供することを
目的とする。

本考案の自在変形保冷用バツグは、けん化度95
モル％以上、平均重合度1100以上のポリビニルア
ルコールと水溶性有機化合物とを含み、且つ、該
ポリビニルアルコールの濃度が8wt％を超え、
25wt％以下、しかも、該有機化合物の濃度５〜
40wt％に調整された水溶液または懸濁水溶液を、
任意形状の成型用鋳型へ注入後、これを−10℃以
下の温度に冷却・固化・成型し、次に、これを融
解させることなく、これに、脱水率（固化・成型
体の重量減少率）3wt％以上の真空・部分脱水を
施し、これにより得られる高含水ゲルを一辺又は
直径の寸度が２mm〜５cmの小片とし、該小片を複
数個、可撓性を有する袋体の全体積に対して50〜
90vol％包含せしめることを特徴とする。

以下、本考案につき更に詳細に説明する。

本考案にて用いるボリビニルアルコールはその
けん化度が、95モル％以上、好ましくは97モル％
以上を要する。けん化度80〜88モル％、特に85モ
ル％以下のポリビニルアルコールを用いても、軟
弱なゲルが得られるにすぎず、ゴム状弾性体は生
成しない。また、ポリビニルアルコールの重合度
は1100以上を要する。さもなくば、機械的強度に
劣るゲルが生成する傾向にあり、したがつて重合
度1100〜3300程度のボリビニルアルコール、例え
ば通常市販されている重合度1100〜2600のポリビ
ニルアルコールを用いるのが好ましい。

本考案では、まず、ポリビニルアルコールと水
溶性有機化合物の双方を含む水溶液または懸濁水
溶液を調合する。ポリビニルアルコールの濃度と
しては、8wt％を超え25wt％以下、好ましくは９
〜15wt％とすることができる。この濃度を25wt
％より高めると、保冷用としてはやや硬質にすぎ
るゲルが生成する傾向にある。また、この濃度を
8wt％より低下させると、保冷用としては軟弱に
すぎ、ゲル成型体の形くずれ崩壊を伴う傾向にあ
る。

本考案においては、ゲルの形成に先立ち、上記
ポリビニルアルコール水溶液に凍結防止剤（氷結
点降下剤）としての水溶性有機化合物を溶解させ
る。水溶性有機化合物としてはメチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール
などの水溶性１価アルコール及びその誘導体、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、１，
３−プロピレングリコール、グリセリン、２−メ
チル−２、４−ペンタンジオールなどの水溶性多
価アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシ
ド、メチルスルホン酸、エチルスルホン酸、ジメ
チルアミン、メチルアミン、ギ酸などの他の水溶
性有機化合物を挙げることができる。この他、単
糖類（エリトリトール、アラビノース、キシロー
ス、キシリトール、グルコース、グルシトール
（ソルビトール、ソルビツト）、グルコン酸、グル
クロン酸、グルカル酸、ガラクツロン酸、フルク
トース、グルコサミン）、二糖類（スクロース、
セロビオース、ラクトース）、三糖類（ラフイノ
ース）、水溶性多糖類（アガロース、アミロース、
アルギン酸ナトリウム、グリコゲン、コンドロイ
チン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、ペク
チン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステ
ル、トラガント、ガム、プルラン、コンドロイチ
ン硫酸ナトリウムを挙げることができる。これら
の水溶性有機化合物のうち、特に無臭で、揮発性
のきわめて乏しい利点および比較的少量の置換に
より氷結点降下の目的を達成しうること、更には
得られるゲルの機械適強度への寄与等を考慮し
て、エチレングリコール、プロピレングリコール
さらにはグリセリン、Ｄ−ソルビトールなどが好
ましい。

前述の水溶性有機化合物の共存濃度としては、
５〜40wt％、好ましくは10〜35wt％とする。こ
の共存濃度を10wt％より低くする場合、ゲルの
氷結・硬化点を−10℃以下に低下させ難い。ま
た、共存濃度が40wt％より高いと、氷結点を不
必要なまでに低下させる場合があるほか、氷結・
硬化点をかえつて高める結果を招く場合もあり、
いずれにしてもいたずらに経済的負担を増大させ
る。水溶性有機化合物の共存させることにより、
ゲルの硬化温度は−20℃以下に低下し、通常の家
庭用冷蔵庫（冷凍庫）の氷室（−10〜−20℃）で
は通常、硬化せず、氷枕などの用途に好適な弾性
と柔軟性および生体組織類似の感触を保持するこ
とができる。

上記の、ポリビニルアルコール及び風乾、凍結
防止剤としての水溶性有機化合物の双方を含む水
溶液または懸濁水溶液を調合するには、水中へポ
リビニルアルコールと該水溶性有機化合物とを添
加・溶解・懸濁させる方式のほか、あらかじめ水
中へポリビニルアルコールを溶解し、しかる後、
これを該水溶性有機化合物（またはその水溶液）
と混合する方式、あるいは該水溶性有機化合物
（またはその水溶液）へポリビニルアルコール水
溶液またはポリビニルアルコール粉末を添加・溶
解・懸濁させる方式などを採ることができ、いず
れの方式においても、最終的に、ポリビニルアル
コール濃度が8wt％を超え、25wt％以下、該水溶
性有機化合物濃度５〜40wt％に調整する。

本考案においては、上記ポリビニルアルコール
と水溶性有機化合物とを含む水溶液または懸濁水
溶液を、所望の成型用鋳型へ注入し、冷却・成型
する。

この場合、冷却剤としては例えば、食塩−氷
（23：77）（−21℃）、塩化カルシウム−氷（30：
70）（−55℃）などの寒剤、あるいは、ドライア
イス−メチルアルコール（−72℃）、液体窒素
（−196℃）などを用い、−６℃より低い温度に冷
却する。また、液体ヘリウムを用いれば−269℃
まで冷却できるが、不経済であるうえ、ゲルの品
位に利点はなく、実用上はフレオン冷凍機を用
い、例えば−20〜−80℃に冷却するのが良い。家
庭用冷蔵庫（冷凍庫）製氷室（−10〜−20℃）へ
収めて冷却することも、もち論差し支えない。こ
れに引き続き真空脱水を行なうことにより固形ゲ
ルが得られる。なお、冷却が不十分であると、得
られるゲルの機械的強度が劣るため、本考案に好
ましくない。

したがつて、本考案においては、ポリビニルア
ルコールと水溶性有機化合物とを含む水溶液また
は懸濁水溶液を、−10℃以下、好ましくは−15℃
以下に到達させる。

本考案においては前述の冷却処理後、これを融
解させることなく真空脱水する。脱水率（冷却・
固化ゲルの重量減少率）が高まるとともに、ゲル
の機械的強度も向上するが、保冷ゲルとしての用
途を配慮するならば、脱水率を特に著しく高めて
強固なゲルを得ることは必要でなく、脱水率3wt
％以上、好ましくは3wt％以上で35wt％以下にと
どめるのが、ゲルの柔軟性、弾性の観点から好ま
しい。ここで言う真空脱水は減圧で脱水すること
で、減圧の度合は特に限定されないが、たとえば
１mmHg以下、好ましくは0.1mmHg以下、さらに
は、0.08mmHg以下で行なうことができる。

本考案では上述のようにして得た高含水ゲルを
小片に形成するが、ポリビニルアルコールと水溶
性有機化合物とを含む水溶液または懸濁液を小片
成型用鋳型へ注入して、直接複数個の高含水ゲル
の小片を成型してもよい。また、直接高含水ゲル
の小片を成型しない場合には、任意形状として得
られた高含水ゲルを切断して複数個の小片とする
こともできる。高含水ゲルの小片の形状は特に限
定されるものではなく、立方体、直方体、円柱
状、球状などいずれの形状でもよい。また小片の
寸度は、後述する袋体中に包含させた際、変形自
在とするために、一辺若しくは直径を２mm〜５cm
とする。

本考案では、高含水ゲルの小片複数個を可撓性
を有する袋体に入れ、封鎖する。可撓性を有する
袋体としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ塩化ビニルなどのプラスチツクフイルムの袋体
が、人体への感触、保存密封性などの点で好まし
い。

高含水ゲルの小片は、袋体の全体積に対して50
〜90vol％包含させる。また、袋体の形状、寸度
も限定されるものではないが、通常20×15×４cm
程度の直方体形状の袋体とすると人体のいずれの
部位をも冷却するに便利である。袋体を２重以上
にして破損しても封入されている高含水ゲルの小
片が散乱しないようにすることもできる。

袋体の封鎖に際しては、袋体の開口部に沿つて
凹部と該凹部に嵌合する凸部とからなるフアスナ
ーを設け、高含水ゲルを入れた後に前記凸部を凹
部に嵌合固定して密封することもでき、またプラ
スチツクフイルムを用いた場合には袋体の開口部
を熱融着させてもよい。更には、袋体の開口部を
ヒモを用いてしばるかあるいは開口部を折り曲
げ、縫合してもよいし、接着剤を用いて、貼着し
てもよい。いずれの手法若しくは他の手法を用い
ても高含水ゲルの小片を袋体中に封鎖できればよ
い。

かようにして得られる本考案の保冷用バツグは
高含水ゲルの一辺又は直径の寸度が２mm〜５cmの
小片が、袋体の全体積に対して50〜90vol％とな
るように複数個封入されているため、冷却後にも
自在に変形でき、頸部、足、手、頭部、耳介、
顎、眼瞼、顔面、腋窩、乳房などの局面部位にも
変形密着して十分な冷却を行なうことができる。

以下、本考案を添付図面を参照してその実施例
につき説明する。

実施例１けん化度99.5モル％、平均重合度2600、４％水
溶液の粘度（20℃）67cPのポリビニルアルコー
ル10wt％水溶液１Kgとプロピレングリコール
500gとを混合し、ステンレス・スチール製の鋳
型へこれを注入し、−42℃で14h放冷後、直ちに
（融解させることなく）真空脱水を施し、水分
200gを除き、次に、これを室温放置して直方体
形状（24×20×2.7cm）の保冷ゲルを得た。

この保冷ゲルを切断して平均寸度が１×1.2×
0.3cmのサイコロ状の保冷ゲルの小片１を約3500
個作製した。次いで、ポリエチレン製の袋２（20
×15×４cm）に小片１（約3000個）を袋２の全体
積の75vol％となるよう入れた。袋２の開口部に
設けた凹部３と凸部４とからなるフアスナー５の
凸部を凹部に嵌入して袋２を密封し、本考案の保
冷用バツグ１０を作つた。

本考案の保冷用バツグ１０を冷凍庫製氷室（−
22℃）に２日間放置したが、保冷ゲルの小片１の
硬直はみられず、ほぼ当初の柔軟性と弾性が保持
された。

保冷用バツグ１０を咽喉部に当てたが、バツグ
１０は、自在に変形してここに密着し、冷却する
ことができた。なお、この保冷ゲルの組成は、ポ
リビニルアルコール7.5wt％、プロピレングリコ
ール38wt％、水54wt％であつた。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案の保冷用バツグを示す略図で
ある。図中、１は保冷ゲルの小片、２は袋、５はフア
スナー、１０は保冷用バツグである。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

けん化度95モル％以上、平均重合度1100以上の
ポリビニルアルコールと、水溶性有機化合物とを
含み、且つ、該ポリビニルアルコールの濃度が
8wt％を超え、25wt％以下、しかも、該有機化合
物の濃度５〜40wt％に調整された水溶液又は懸
濁水溶液を、任意形状の成形用鋳型へ注入後、こ
れを−10℃以下の温度に冷却・固化・成型し、次
にこれを融解させることなく、これに、脱水率
（固化・成型体の重量減少率）3wt％以上の真
空・部分脱水を施し、これにより得られる高含水
ゲルを一辺又は直径の寸度が２mm〜５cmの小片と
し、該小片を複数個、可撓性を有する袋体の全体
積に対して50〜90vol％包含せしめることを特徴
とする自在変形保冷用バツグ。