JPH0444113B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は密閉型圧縮機の冷却構造に係り、特に
高温を発生する部分に熱輻射率の高い被膜層を形
成し、もつて輻射熱による冷却効率を向上させ、
カーボンスラツジ等の生成を防止して高寿命化を
図ることができる密閉型圧縮機の冷却構造に関す
る。

［発明の技術的背景とその問題点］ 一般に、冷凍用圧縮機として、ピストン等の圧
縮部を密閉したケーシング内に収容した密閉型圧
縮機が知られている。

この圧縮機において、小型軽量化を図ることが
機能上及びコスト上望ましいことであるが、この
場合、圧縮機の放熱が充分でなくなり、特に圧縮
仕事のために吐出ガス温度及びシリンダ部分が高
温となり、吐出部分にカーボンスラツジが生成す
るなどの不都合を生じ、その結果耐久性が劣り、
寿命が短くなるなどの問題が生ずる。

そのため、上記問題を回避するために圧縮機を
冷却する必要が生ずる。この場合、吐出部分、シ
リンダ部分の放熱は主として潤滑油として使用さ
れる冷凍機油の物質移動及び冷媒ガスへの熱伝達
のみによつてなされるのが通常であり、熱輻射に
ついては一般に、バルブカバー、シリンダ部など
は熱輻射率が0.3以下と小さい鋳物、アルミ等に
より作られ、またケーシングも一般に熱輻射率が
小さい鋼板等よりなるため、充分な放熱効果を生
じない。

このため、小型軽量化を達成しつつも、耐久
性、寿命に関して充分に良好な圧縮機を提供し得
ないのが現状である。

本発明は以上のような問題点に着目し、これを
有効に解消すべく創案されたものである。

［発明の目的］ 本発明の目的は、輻射熱によつて冷却効率を向
上させ、カーボンスラツジ等の生成を防止して耐
久性を向上させて、高寿命化を達成することがで
きる密閉型圧縮機の冷却構造を提供するにある。

［発明の概要］ 本発明は、密閉されたケーシング内に、冷媒ガ
スを圧縮するための圧縮部を収容した密閉型圧縮
機において、上記圧縮部の表面に圧縮熱を放出す
るための高熱輻射率物質よりなる圧縮側熱輻射被
膜層を形成し、上記圧縮部に対向する上記ケーシ
ングの内面に、上記被膜層からの輻射熱を吸収す
るための高熱輻射率物質よりなるケーシング側熱
輻射被膜層を形成し、圧縮部からの輻射熱を効果
的にケーシング側で吸収して放熱するようにし、
もつて上記目的を達成するものである。

［発明の実施例］ 以下に本発明の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳細する。

第１図は本発明に係る密閉型圧縮機の冷却構造
を示す概略縦断面図である。

図示する如く、１は圧縮機の外殻を構成する箱
形円筒体状に成型されたケーシングであり、この
ケーシング１はその高さ方向ほぼ中央部にて上側
ケーシング２と下側ケーシング３とを溶接接合す
ることにより密閉構造とされている。

このケーシング１内の上部には、冷媒ガスを圧
縮するための圧縮部４がケーシング内壁より所定
間隔を隔てて設けられており、この圧縮部４はケ
ーシング内下部に設けた電動機よりなる電動部５
の上に取付けられている。

上記圧縮部４は、例えば熱輻射率0.3以下の鋳
物あるいはアルミ等よりなるシリンダ６と、この
中に往復摺動するピストン７とにより主に構成さ
れている。

そして、このシリンダ６の先端に取付けられた
シリンダヘツダ８には図示しない吐出弁などを被
うためのバルブバー９がボルト１０等により一体
的に取付け固定されている。

このように構成された圧縮機に本発明の特徴と
する熱輻射被膜層１１，１２が形成される。

具体的には、まず、最も圧縮熱を発生する上記
圧縮部４の表面すなわち上記シリンダ６、シリン
ダヘツダ８及びバルブカバー９等の露出表面には
一面に高熱輻射率物質よりなる圧縮側熱輻射被膜
層１１が形成されている。この高熱輻射率物質と
しては例えば、熱輻射率0.8以上の酸化鉄、燐酸
鉄など金属酸化物が使用され、これが表面に酸化
被膜処理なされることになる。このように、熱輻
射率の高い酸化金属を用いることにより、圧縮部
４の熱を輻射熱としてケーシング側に向けて大量
に放出し得るようになつている。尚、上記被膜層
１１を粗い面に仕上げることにより、熱輻射率を
一層高くすることができる。

一方、上記圧縮部４に対向するケーシング内面
には上記被膜層１１からの輻射熱を吸収するため
の前記同様の高熱輻射率物質よりなるケーシング
側熱輻射被膜層１２が形成されている。熱輻射率
が高いことは熱反射率が低いことを意味し、従つ
て、圧縮部４側からの輻射熱を反射することな
く、ほとんどケーシング側に吸収し得るようにな
つている。

また、ケーシング内面に形成される被膜層１２
の表面を粗くすることにより、熱輻射率を0.95前
後にまで引上げることができる。

図中１３は電源ターミナルである。

尚、上記実施例にあつては、圧縮部４などの比
較的高温になる部分のみに被膜層を形成したが、
これに限定されず、この被膜層を広範囲に形成す
ることにより、一層放熱効果を向上させることが
できる。

また、被膜層として金属酸化物を使用したが、
冷媒ガス油に耐え得るものであれば塗装処理でも
よいことは勿論である。

次に以上のように構成した本発明の作用につい
て述べる。

まず、電動部５の駆動によりピストン７が往復
移動して冷媒ガスの圧縮を開始し、これにより圧
縮部４全体が圧縮熱により加熱状態となる。圧縮
熱の一部は冷凍機油の物質移動、冷媒ガスの熱伝
達によつて放熱される。一方、圧縮機の多くは圧
縮部４の表面に形成された圧縮側熱輻射被膜層１
１から輻射熱として放熱され、これに対向するケ
ーシング１に吸収される。この際、ケーシング内
面には熱反射率を低下させる目的で同様なケーシ
ング側熱輻射被膜層１２が形成してあるので圧縮
部４からの輻射熱をほとんど吸収することができ
る。そして、加熱されたケーシング１は大気で冷
却されることになる。

このように、圧縮部４で発生する多くの圧縮熱
を輻射熱として放出してケーシング側に伝達し、
そして、これを大気中へ放熱するようにしたの
で、従来例に比較して大幅に放熱効果を向上させ
ることができる。

［発明の効果］ 以上要するに、本発明によれば次のような優れ
た効果を発揮することができる。

(1) 比較的高温になる圧縮部の表面に熱輻射率の
高い被膜層を形成すると共に、これに対向する
ケーシング内面にも熱反射率を低下させる目的
で熱輻射率の高い被膜層を形成して、圧縮部の
熱を輻射熱として効果的に放熱するようにした
ので従来例に比較して放熱効果を大幅に向上さ
せることができる。

(2) 従つて、圧縮部を充分に冷却することができ
るので、吐出弁部分にカーボンスラツジが生成
することを防止できるばかりでなく、耐久性及
び長寿命化を達成することができる。

(3) 構造が簡単なので大幅な設計変更等を加える
ことなく容易に採用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る密閉型圧縮機の冷却構造
を示す概略縦断面図である。 尚、図中、１はケーシング、４は圧縮部、１１
は圧縮側熱輻射被膜層、１２はケーシング側熱輻
射被膜層である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 密閉されたケーシング内に、冷媒ガスを圧縮
   するための圧縮部を収容した密閉型圧縮機におい
   て、上記圧縮部の表面に、圧縮熱を放出するため
   の高熱輻射率物質よりなる圧縮側熱輻射被膜層を
   形成し、上記圧縮部に対向する上記ケーシングの
   内面に、上記被膜層からの輻射熱を吸収するため
   の高熱輻射率物質よりなるケーシング側熱輻射被
   膜層を形成したことを特徴とする密閉型圧縮機の
   冷却構造。