JPH0443176Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、オーブントースターでの餅焼き用ケ
ースに関するものである。

〔従来の技術〕

従来より餅を焼くときは、炭火や電熱のように
発熱量が余り高くない熱源の上方に金網を設置
し、その金網上に餅を載置して焼き上げている
が、この場合、餅の焦げ具合を見ながら適宜、餅
を表裏反転しなければならないため手間を要する
上、その場所を離れることができないという不都
合があつた。

ところが、近年、庫内に焼成用グリルを架設し
て、このグリルの上方と下方に焼成用ヒータを設
けると共に、タイマーを付設したオーブン式のト
ースターが普及するに伴い、庫内に餅を入れてタ
イマーをセツトするだけで上下両方の焼成用ヒー
タにより好ましい焼き加減で餅を焼き上げること
ができるようになり、このオーブントースターが
餅焼き用として広く利用されるに至つている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記のようなオーブントースタ
ーによつて餅を焼く場合、焼き上がつた餅が焼成
用グリルの桟に引つ付くという現象がしばしば発
生するという問題点があつた。

即ち、オーブントースターで餅を焼くときは、
餅は上下両面を焼成用ヒータにより同時に焼かれ
るので、該餅の底部がグリルの桟に密着して局部
的に焼成されて硬化が進み、その他の部分との間
で硬化むらが生じる上、餅の周面部分は底部より
も焼成による硬化の度合が低く、表層の強度が弱
いため、餅に含まれる空気が加熱により膨脹する
に従つて破裂し、この破裂によつて粘り気が強く
水分を多く含んだ餅の中身が噴き出して垂れ下が
り、或は中身の噴き出しによつて餅全体が傾動し
て該中身がオーブントースターの焼成用グリルの
桟に引つ付く。

このようにしてグリルの桟に引つ付いた餅は、
オーブントースターからの取出しが困難になるば
かりでなく、桟にら引つ付いて残つた餅の一部が
オーブントースターの次の使用時に焼き焦がされ
て炭化し、焼成用グリルを汚損するという問題点
があつた。

本考案は、オーブントースターによつて餅を焼
く際に生じる上記のような問題点を解決すること
を目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案の餅焼き用
ケースは餅を収容可能なケース主体１を、下端か
ら上端に向かつて拡径したアルミ箔よりなる逆円
錐形短筒形状に形成し、その上下端開口部３，４
を全面的に開口させると共に周壁２を周方向に連
続した波形状に形成し、さらに、下端開口部４の
内径を餅の外径よりも小さく形成するか、又は、
該開口下端に内方に向かつて突出した小幅の環状
餅載置壁５を周設してなる構造を有するものであ
る。

〔作用〕

ケース主体１の開口下端の内径を餅の外径より
も小さく形成している場合には、ケース主体１に
入れた餅Ａは断面逆台形状に傾斜している周壁２
の上下高さ方向の中間位置に受止されるので、グ
リルの桟との間に形成された僅かな間隙の雰囲気
がオーブントースターの下部ヒータに加熱されて
高温となつて、餅Ａの底部をグリルの桟との密着
による局部的な焼け焦げを生じることなく、むら
なく加熱し、これによつて餅底部の表層に均一な
硬化層が形成され、餅Ａの底部の破裂による中身
の噴き出しが確実に防止される。また、上下ヒー
タに加熱されて高温となつたケース主体１の周壁
２の伝熱により餅Ａの周面がほぼ均一に焼成され
て硬化層が形成されることにより、該餅Ａの周面
の破裂も可及的に防止できるので、餅Ａの破裂は
主に上面から起こり、オーブントースターの焼成
用グリルの桟に餅Ａの中身が引つ付くのを確実に
防止して、短時間で良好な焼き上がりを得ること
ができる。

又、ケース主体１の開口下端に内方に向かつて
突出した小幅の環状餅載置壁５を周設している場
合には、餅Ａの底部は載置壁５により受止されて
いるので焼成用グリルの桟と部分的に接触したと
しても、下部ヒータからの加熱焼成作用が最も強
いので、ほぼ均一に焼成されて該餅Ａ底部の表層
に硬化層が形成される。また、ヒータの熱はケー
ス主体１の周壁２部分にも及ぶので、餅Ａの周面
も周壁２からの伝熱によりほぼ均一に焼成されて
硬化層が形成され、これによつて餅Ａは底部及び
周面から破裂することなく、短時間で均一な好ま
しい状態で焼き上げられることになる。

また、上記いずれの餅焼き用ケースの場合も、
餅Ａの周面は底部よりも焼成がやや遅れることは
避けられないが、これが原因となつて餅Ａの周面
が破裂して中身が噴き出すことがあつても、この
餅Ａの中身はケース主体１の周壁２により垂れ下
がりを防止されるので、焼成用グリルの桟に引つ
付かない。更に、噴き出した餅Ａの中身によりケ
ース主体１の周壁２が押圧されても、該ケース主
体１はアルミ箔により形成されているので、餅Ａ
の中身による押圧方向に自在に変形する。このた
め、中身の噴き出しによつて餅Ａの重心が移動し
ても、ケース主体１が餅Ａと共に焼成用グリル上
に倒れ込み、餅Ａの中身がグリルの桟に引つ付く
危険性もない。

更に、波形状に屈曲させた周壁２を有するケー
ス主体１の場合、均一で平坦な周面を有するもの
よりも、同じ厚さのアルミ箔を用いた場合、餅Ａ
の中身が引つ付きにくくなる上、より強度が向上
して良好な保形成を有するものとすることがで
き、また、餅とケース主体１の波形状の周壁２間
に形成される縦方向の多数の隙間を熱気が流通
し、周壁２との当接部からの電熱と共に餅の周面
が良好に焼成されるものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づき詳細に説
明する。第１図及び第２図は本考案に係る餅焼き
用ケースの第１実施例を示しており、これらの図
において、１はアルミ箔により形成されたケース
主体であつて、上方に向かつて拡径した逆円錐形
短筒形状に形成されており、周壁２を周方向に連
続して波形状に屈曲させてある。このケース主体
１の上端開口部３の内径d₁は、このケースが適用
されるサイズの丸餅Ａの外径d₀よりも大きく形成
されており、また、下端開口部４の内径d₂は該餅
Ａの外径d₀よりも小さく形成してある。

具体的には、ケース主体１を構成するアルミ箔
は、厚さ10〜60μ程度、より好ましくは20〜30μ
程度のものが使用される。また、ケース主体１の
各部寸法は丸餅Ａのサイズに対応して種々設定さ
れるものである。

上記構成の餅焼き用ケースを用いてオーブント
ースターにより餅Ａを焼き上げるときは、ケース
主体１の上端開口部３から餅Ａを入れ、該餅Ａを
逆円錐形状に傾斜している周壁２の上下高さ方向
の中間位置に支持させた状態で、オーブントース
ターの焼成用グリルＧ上に載置し、該オーブント
ースターのタイマー（図示せず）を適宜時間にセ
ツトする。

このようにしてオーブントースターの庫内に収
納された餅Ａの底部はグリルＧの桟ｌ，ｌ……ｌ
間に形成された僅少間隙ｓにおいてオーブントー
スターの下部ヒータ（図示せず）に加熱された高
温雰囲気によつて焼成される。このとき餅Ａの底
部はグリルＧの桟ｌ，ｌ……ｌに密着していない
ため、該桟ｌ，ｌ……ｌとの当接による局部的な
焼け焦げもなく、むらなく均一に焼成される。

また、ヒータにより加熱されたケース主体１の
周壁２に当接している餅Ａの周面もほぼ均一に焼
成されるので、餅底部及び周面の表層には均一な
硬化層が形成され、餅Ａの底部及び周面の破裂に
よる中身の噴き出しが極力防止され、比較的短時
間で良好に焼き上げることができるものである。

このオーブントースターによる餅焼きの過程で
は、主に餅Ａの上面が破裂して中身が噴き出るこ
とになるが、例え餅Ａの底部に比べて焼成がやや
遅れる餅Ａの周面が破裂して中身が噴き出したと
きにも、該餅Ａの中身はケース主体１の周壁２に
より垂れ下がりを防止されるので、焼成用グリル
Ｇの桟ｌ，ｌ……ｌに引つ付かない。

また、噴き出した餅Ａの中身によりケース主体
１の周壁２が押圧されても、アルミ箔からなるケ
ース主体１はこれに追従して変形するので、中身
の噴き出しによつて餅Ａの重心が移動しても、ケ
ース主体１が餅Ａと共に焼成用グリルＧ上に倒れ
込んで、餅Ａの中身がグリルＧの桟ｌ，ｌ……ｌ
に引つ付くような不都合も生じない。

第３図及び第４図は本考案の第２実施例を示し
ている。これらの図に示された餅焼き用ケース
は、逆截頭円錐形短筒状のアルミ箔製ケース主体
１の周壁２を周方向に連続して波形状に屈曲させ
ると共に、下端開口部４に内周方に向かつて餅Ａ
の底面外周部を受止する小幅環状載置壁５を形成
したものであつて、ケース主体１の周壁２及び載
置壁５の内面には必要に応じて離型剤層６が形成
されている。

具体的には、ケース主体１を構成するアルミ箔
は前記第１実施例と同様の厚さのものが使用さ
れ、また、ケース主体１の各部寸法は丸餅Ａのサ
イズに対応して任意に設定することができるが、
標準的なものとしては、上端開口部３の内径d₁が
8.5cm、下端開口部４の内径d₂が6.5cm、高さが3.5
cm、環状載置壁５の幅ｗが1.0〜2.0cm程度とする
ことが望ましい。更に、離型剤層６はシリコン樹
脂、弗素樹脂或はセラミツクを適宜厚さでコート
することで得ることができる。

上記構成の餅焼き用ケースを用いてオーブント
ースターにより丸餅Ａを焼き上げるときは、ケー
ス主体１の上端開口部３から餅Ａを入れ、該餅Ａ
の底面外周部を載置壁５に受止させた状態で、前
記第１実施例と同様にオーブントースターの焼成
用グリルＧ上に載置する。

このようにしてオーブントースターの庫内に収
納された餅Ａは底部が載置壁５により受止されて
いるので、焼成用グリルＧの桟ｌ，ｌ……ｌとは
できるだけ接触が避けられ、また、例え部分的に
接触したとしても、下部ヒータからの加熱焼成作
用が最も強いため、ほぼ均一に焼成される。

また、オーブントースターの上部ヒータにより
餅Ａの上面は均一に焼成され、更に、上下ヒータ
に加熱されて高温となつたケース主体の周壁２を
介してヒータの熱が伝わることにより、餅Ａの周
面がほぼ均一に焼成される。このように餅Ａの底
部及び周面には焼成によつてほぼ均一な硬化層が
形成されることになるので、第１実施例と同様に
餅Ａの底部及び周面の破裂による中身の噴き出し
が確実に防止され、比較的短時間で良好に焼き上
げることができるものである。

また、例え餅Ａの周面が破裂して中身が噴き出
したとしても、離型剤層６によりケース主体１の
周壁２への餅Ａの中身の引つ付きが確実に防止さ
れ、焼き上がつた餅Ａをケースから容易に取出す
ことができるものである。

尚、第２実施例の餅焼き用ケースは、例えばア
ルミ箔をプレス成形して逆截頭円錐形短筒状の有
底のケースを形成し、このケースの成形後、或は
成形と同時に載置壁５を残して下端開口部４を打
ち抜くことで得ることができる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、餅Ａを収容可能
なケース主体１は、下端から上端に向かつて拡径
したアルミ箔よりなる逆円錐形短筒形状に形成さ
れてあり、その上下端開口部３，４は全面的に開
口していると共に周壁２は周方向に連続した波形
状に形成されてあり、さらに、下端開口部４の内
径を餅Ａの外径よりも小さく形成するか、又は、
該開口下端に内方に向かつて突出した小幅の餅載
置壁５を周設してなる構造を有しているものであ
るから、ケース主体１は下端から上端に向かつて
拡径しているために、該ケース主体１に対する上
方からの餅Ａの収容が容易に行えると共に、収納
した餅Ａは小径の下端部周壁２に支持され、或い
は、下端開口部に周設している環状の餅載置壁５
上に受止されて、下端が全面的に開口しているに
も拘わらず、餅Ａの底部が焼成用グリルの桟に密
着するのを防止することができ、従つて、従来の
ように局部的に焼成が進んで該底部表層に形成さ
れる硬化層にむらが生じるのを極力防止できる。
また、ケース主体１の周壁２を介して餅Ａの周面
もほぼ均一に焼成されるので、該周面にもほぼ均
一な硬化層が形成される。このように餅Ａの底部
及び周面に焼成による均一な硬化層が形成される
ことにより、焼成時において、主に餅Ａの上面が
破裂して中身が噴き出すことになり、均一な硬化
層が形成された底部及び周面から噴き出すことが
ないので、焼成用グリルの桟に噴き出した餅Ａの
中身が引つ付くことなく、比較的短時間で良好に
焼き上げることができるものとなつた。

また、例え餅Ａの周面が破裂して中身が噴き出
したとしても、この餅Ａの中身はケース主体１の
周壁２により垂れ下がりを防止されるので、焼成
用グリルの桟に引つ付かない。更に、噴き出した
餅Ａの中身によりケース主体１の周壁２が押圧さ
れても、該ケース主体１はアルミ箔により形成さ
れているので、餅Ａの中身による押圧方向に自在
に変形する。このため、中身の噴き出しによつて
餅Ａの重心が移動しても、この餅Ａの傾動によつ
てケース主体１が餅Ａと共に焼成用グリル上に倒
れ込み、餅Ａの中身がグリルの桟に引つ付く危険
性もない。また、焼成後ケースから餅を取出すと
きも、周壁の波形状の屈曲部を押し拡げることに
より取出し易い。

更に、ケース主体１の周壁２は周方向に連続す
る波形状に形成されているので、強度が大きくて
保形性に優れているばかりでなく、ケース内に餅
Ａを収容した場合、該餅Ａがケース主体１内に向
かつて屈曲した周壁２の屈曲内端で受止されてそ
の受止部からの伝熱により加熱されると共に、外
方向に屈曲した部分と餅Ａの周面間には上下方向
に連通する多数の隙間が形成されて該隙間を流通
する熱気により、餅Ａの周面を良好に焼成するこ
とができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の第１実施例を示し
ており、第１図は平面図、第２図は縦断正面図、
第３図及び第４図は本考案の第２実施例を示して
おり、第３図は平面図、第４図は一部切欠正面図
である。 １……ケース主体、３……上端開口部、４……
下端開口部、５……載置壁、６……離型剤層、Ａ
……餅、d₀……餅の外径、d₁……ケース主体の上
端開口部の内径、d₂……ケース主体の下端開口部
の内径。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 餅を収容可能なケース主体１は、下端から上端
   に向かつて拡径したアルミ箔よりなる逆円錐形短
   筒形状に形成されてあり、その上下端開口部３，
   ４は全面的に開口していると共に周壁２は周方向
   に連続した波形状に形成されてあり、さらに、下
   端開口部４の内径を餅の外径よりも小さく形成す
   るか、又は、該開口下端に内方に向かつて突出し
   た小幅の餅載置壁５を周接してなることを特徴と
   する餅焼き用ケース。