JPH0442034Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ガス抜き用孔を有するシエル鋳型を
造型するシエル鋳型造型用金型の改良に関する。

（従来の技術） 従来、シエル鋳型の造型技術において、シエル
鋳型造型用金型（以下金型という）により鋳造製
品の半割り形状に相当するシエル鋳型を造型し、
該シエル鋳型の一対を一体に結合した後、高温で
焼成することにより鋳型製品の一体形状に相当す
る最終のシエル鋳型を形成したり、又は上記造型
後のシエル鋳型を高温で焼成した後、各一対を一
体に結合することにより最終のシエル鋳型を形成
すること等が知られている。

ところで、前者については高温で焼成する時及
び鋳造に用いる時において、又後者については鋳
造に用いる時において、夫々ガスが発生するが、
該ガスが鋳型内に滞留した状態で鋳造する際には
鋳造製品にガス欠陥が生じて品質に悪影響が生じ
るため、シエル鋳型には上記ガスを排出して滞留
を防止するガス抜き用孔を形成することが必要と
されている。

上記ガス抜き用孔は金型によりシエル鋳型を造
型する際に形成され、例えば前者におけるシエル
鋳型は、金型本体と、金型本体に固定設置された
模型と、金型本体に移動可能に設けられ、エジエ
クタプレートにより作動されて金型本体上に造型
されたシエル鋳型を離型するエジエクタピンと、
金型本体に固定設置されたガス抜き用孔形成ピン
とを備えてなる金型が用いられ、上記金型を加熱
し、該金型にダンプボツクス等によりコーテツド
サンドを供給することにより造型される。その
際、ガス抜き用孔はガス抜き用孔形成ピンにより
形成されるが、上記ピンの先端部にもコーテツド
サンドが溶着されているため、形成されたガス抜
き用孔は先端が閉鎖状となつている。そこで、通
常、シエル鋳型を金型から離型する前にガス抜き
用孔形成ピンの先端部に溶着した部分をハンマー
等で叩き壊して開口し、所定のガス抜き用孔が形
成されている。

ところが、ハンマー等で叩く際に、ハンマーの
衝撃力によりガス抜き用孔以外の部分までが破損
されたり、ひび割れ等が生じ易く、良質のシエル
鋳型を造型し難い状況である。

（考案の目的） 本考案は上記従来の状況に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、シエル鋳型に破損、ひび割
れ等を生じることがなく確実にガス抜き用孔を形
成し、良質のガス抜き用孔を有するシエル鋳型を
造型し得るシエル鋳型造型用金型を提供すること
にある。

（考案の構成） 本考案のシエル鋳型造型用金型は、離型時にお
けるエジエクタプレートの駆動力を利用してガス
抜き用孔形成ピンを移動し、しかもエジエクタピ
ンが移動される前にガス抜き用孔形成ピンを移動
するように設けることにより、造型されたシエル
鋳型が金型本体上に溶着保持された状態でガス抜
き用孔形成ピンを上方に移動し、ガス抜き用孔形
成ピンの先端部に溶着した部分のみを破壊してガ
ス抜き用孔を開口し得るように構成されたもので
ある。

すなわち、本考案の構成上の特徴は、金型本体
と、該金型本体上に固定設置された模型と、上記
金型本体に移動自在に設けられ、かつ上記金型本
体上に造型されたシエル鋳型を離型するエジエク
タピンと、該エジエクタピンと平行に上記金型本
体に移動自在に設けられ、かつ上記シエル鋳型に
ガス抜き用孔を形成するガス抜き用孔形成ピンと
を備え、上記ガス抜き用孔形成ピンが、上記シエ
ル鋳型を離型する際に上記エジエクタピンを作動
するエジエクタプレートがエジエクタピンに先立
つて当接するように構成され、該エジエクタプレ
ートに押圧され上記シエル鋳型を貫通するように
作動されることにある。

（実施例） 本考案の実施例を図に基いて説明する。

第１図は、本実施例を説明するためのシエル鋳
型造型装置の概略的な全体側面図で、該シエル鋳
型造型装置は、後述するように各種の模型１６〜
２１を備えた金型１０をトランスフアウエルドメ
ント４６により加熱炉４０に装入して加熱し、加
熱された金型１０をコーテツドサンドを供給する
ダンプボツクス４２を備えた造型部４１に装着し
てシエル鋳造Ｗを造型し、しかる後金型１０を離
型装置４３の上方に位置決めし、エジエクタプレ
ート４４を上方に移動することにより上記シエル
鋳型Ｗを離型するように構成されている。

上記シエル鋳型造型装置に用いられる金型１０
は、第２図に拡大して示すように構成されてお
り、金型枠体１１が走行車輪１２に支持され、該
金型枠体１１にはトランスフアウエルドメント４
６に係合離脱可能に係合される係合部材１３が設
けられ、トランスフアウエルドメント４６を駆動
装置４７により案内レール４８上を左右に移動す
ることにより、加熱炉４０と造型部４１間をレー
ルウエルドメント１４に沿つて移動し得るように
設けられている。

金型枠体１１には、例えば第３図に示す金型本
体１５が取り付けられており、該金型本体１５に
は、第１カム軸模型１６、第２カム軸模型１７、
第３カム軸模型１８、第４カム軸模型１９、第１
湯道模型２０、第２湯道模型２１等の模型が固定
設置されている。第１カム軸模型１６と第３カム
軸模型１８及び第２カム軸模型１７と第４カム軸
模型１９とは、夫々鋳造製品としての第１カム軸
又は第２カム軸の半割り形状に相当する形状に形
成されている。また、金型本体１５には、各模型
１６〜２１に沿つてエジエクタピン取付孔２２及
びガス抜き用孔形成ピン取付孔２６が形成されて
おり、夫々の孔２２，２６にはエジエクタピン２
３又はガス抜き用孔形成ピン２７が上下方向に移
動可能に設けられている。

エジエクタピン２３は、例えば第３図のー
線に沿つた部分断面図である第４図に示すよう
に、頭部２５がピン本体２４及びエジエクタピン
の取付孔２２よりも大径に形成され、ピン本体２
４の下端部が金型本体１５の下面より突出して設
けられている。ガス抜き用孔形成ピン２７は、ピ
ン本体２８の頭部がやや尖鋭状に形成され、ピン
本体２８の下端部には当接部材２９が取付けられ
ている。該当接部材２９は、下端部がエジエクタ
ピンのピン本体２４の下端部よりも下方に位置す
るように設けられ、上端部がガス抜き用孔形成ピ
ンの取付孔２６の下部から脱落しないように抜止
め部材３０により取り付けられている。従つて、
第５図に模式的に示すように、金型１０が離型装
置４３上に位置決めされ、エジエクタプレート４
４が駆動シリンダ４５により上方に移動される際
には、エジエクタプレート４４が先ずガス抜き用
孔形成ピンの当接部材２９に当接し、ガス抜き用
孔形成ピン２７が所定量上方に移動された後に、
エジエクタピン２３の下端に当接することにな
る。

本実施例は以上のように構成されており、造型
部４１において造型されたシエル鋳型Ｗには、次
のようにしてガス抜き用孔Ｈが開口される。すな
わち、シエル鋳型Ｗが金型本体１５上に造型され
た後、金型１０がトランスフアウエルドメント４
６により離型装置４３上に位置決めされる。そし
て、エジエクタプレート４４が上方に移動され、
先ずガス抜き用孔形成ピンの当接部材２９に当接
し、上記ピン２７を上方に移動する。その際、上
記シエル鋳型Ｗは金型本体１５上に溶着保持され
ており、上記ピン２７の先端部に溶着した部分の
みが押し上げられて破壊され、ガス抜き用孔Ｈの
先端部が開口されることになる。そして、ガス抜
き用孔Ｈが開口された後、エジエクタプレート４
４がエジエクタピン２３の下端にに当接し、上記
シエル鋳型Ｗが金型本体１５から離型される。離
型された各シエル鋳型Ｗは、従来と同様にして対
応する一対を一体に結合し、高温で焼成して最終
のシエル鋳型に形成される。

本考案は、本実施例のみに限定されるものでは
なく、ガス抜き用孔形成ピン２７がエジエクタピ
ン２３よりも先にエジエクタプレート４４に当接
し得るように構成されていればよく、例えばエジ
エクタプレート４４のガス抜き用孔形成ピン２７
と当接する部分がエジエクタピン２３と当接する
部分よりも突出して形成されていてもよい。

（考案の効果） 本考案のシエル鋳型造型用金型は、ガス抜き用
孔形成ピンが移動可能に設けられ、しかもエジエ
クタプレートによりエジエクタピンに先立つて移
動されるため、造型されたシエル鋳型が金型本体
に溶着保持された状態においてガス抜き用孔形成
ピンが移動されることになり、ガス抜き用孔形成
ピンの先端部に溶着した部分のみに力が加えら
れ、従来のように上記先端部以外の部分に過大な
力が加えられることがなく、上記先端部に溶着し
た部分のみが壊されてガス抜き用孔が適切に開口
される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を説明するためのシエ
ル鋳型造型装置の全体側面図、第２図は本考案の
実施例のシエル鋳型造型用金型の拡大平面図、第
３図は同じく要部である金型本体の拡大平面図、
第４図は第３図のー線に沿つた部分断面図、
第５図は本考案の実施例の作動を説明する説明図
である。 １０……シエル鋳型造型用金型、１１……金型
枠、１５……金型本体、１６〜２１……各種の模
型、２３……エジエクタピン、２７……ガス抜き
用孔形成ピン、２８……ガス抜き用孔形成ピンの
ピン本体、２９……ガス抜き用孔形成ピンの当接
部材、４３……離型装置、４４……エジエクタプ
レート、Ｗ……シエル鋳型、Ｈ……ガス抜き用
孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金型本体と、該金型本体上に固定設置された模
   型と、上記金型本体に移動自在に設けられ、かつ
   上記金型本体上に造型されるシエル鋳型を離型す
   るエジエクタピンと、該エジエクタピンと平行に
   上記金型本体に移動自在に設けられ、かつ上記シ
   エル鋳型にガス抜き用孔を形成するガス抜き用孔
   形成ピンとを備え、上記ガス抜き用孔形成ピン
   が、上記シエル鋳型を離型する際に上記エジエク
   タピンを作動するエジエクタプレートにエジエク
   タピンに先立つて当接するように構成され、該エ
   ジエクタプレートに押圧され、上記シエル鋳型を
   貫通するよう作動されることを特徴とするシエル
   鋳型造型用金型。