JPH0440970B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は栽培用容器、特に発芽を伴なう栽培用
の容器の構造に関するものである。

一般に、植物種子の発芽には温度や光線の他に
水が必要であることは言うまでもない。

従つて、従来の発芽を伴なう栽培用容器には、
その底にウレタン等のような吸水性の材料を敷い
て、これを水で適度に湿らせ、この上に種をまい
て発芽させるものがあつた。

しかしながら、このように吸水材料を使用する
のは材料費が高くつくばかりでなく、容器の中に
敷設する手間がかかり、また吸水量をコントロー
ルしてウレタンの湿り具合を常に最適にしておか
なければならない等の問題点があつた。

本発明は、上記従来の栽培用容器の問題点を解
消するためになされたもので、その目的とすると
ころは、極めて簡単な構造且つ操作で水位を常に
最適状態に保つことが出来、理想条件で発芽及び
育成させることが出来る栽培用容器を提供するに
ある。

即ち、本発明の栽培用容器は、栽培室の底板に
栽培植物の種子より小さい透水穴を穿設し；該底
板の底面に、透水穴の上部穴壁を構成し、底に蒔
いた種子を冠水させずに浸す程度の高さを有す
る、立上壁を突設すると共に、多数の凹凸を形成
したことを特徴とするものである。

以下、本発明の実施例について図面を参照しな
がら説明する。

第１図に於いて、１は発泡スチロール等の軽量
材料により成型された容器であつて、多数の栽培
室２に区画されている。該栽培室２の大きさは単
位栽培量、即ちその中で栽培した野菜が消費者の
需要や小売等に適した分量となるように設定され
ている。

該容器１の四隅の上部には係合突起３が形成さ
れていて、容器１を積み重ねた時、四隅の底部に
刻設された係合凹部４と嵌合するように構成して
あり、積み重ねた容器１がずれて荷崩れしないよ
うになつている。

第２図及び第３図から明らかなように、各栽培
室２の底板５の中央部には透水穴６があけられて
いて、該栽培室２内から外部に或いは逆に外部か
ら栽培室２内に、水を自由に通すことが出来るよ
うになつている。該透水穴６の上部（栽培室２
側）には、該透水穴６の上部穴壁を構成する立上
壁７が突設されていて、透水穴６の上端開口部が
底板５の底面５ａより上方位置で開口するように
なつている。従つて、容器１を水平に保つた状態
で栽培室２内に水を供給すると、該立上壁７の高
さｈを越える分の水は透水穴６から下に溢れて流
出し、最終的に栽培室２の底には水深ｈの水が溜
まることになる。尚、上記透水穴６の大きさは、
栽培する植物の種や根が入らない程度の大きさが
よく、例えば、かいわれ大根の場合には２〜３mm
φ程度が好適である。また、透水穴６の形状は丸
穴に限定することなく、四角や三角形の穴でも、
或いは細長いスリツト状の穴であつてもよい。更
に、立上壁７の高さ即ち水深ｈは、栽培室２の底
に蒔いた種子を冠水させずに浸す程度がよく、か
いわれ大根の種子Ｓの場合には約２mm程度がよ
い。

また、第３図からも明らかなように、底板５の
底面５ａに凹凸をつけて、播種した種子がころが
つて片寄つたりしないようにするとよい。尚、こ
の凹凸は根がからんで底面５ａに付着し易い利点
もある。

本実施例の容器１は以上のように構成されてい
るので、第４図に示すように容器１の各栽培室２
内に例えばかいわれ大根の種子Ｓを蒔き、水槽８
内に浮設する。該容器１は発泡スチロール等の軽
い材料で形成されており、また底板５が十分厚く
構成されていて、該容器１の底板５にあけた透水
穴６の立上壁７の上端面は上記水槽８の水面HL
より高い位置にある。

この状態で、各栽培室２内に水を供給するとそ
の水位HL′は上昇し、上記透水穴６の立上壁７の
上端面を越えるところで給水を停止する。給水さ
れた水のうち上記立上壁７を越えた分の水は透水
穴６から下の水槽８内に溢れ出て、最終的に立上
壁７の高さｈの水が残留する。尚、播種の時期は
栽培室２内に水を供給した後に行なつてもよい。

発芽や生育に伴なつて消費されたり蒸発して栽
培室２内の水量が少なくなると、再び上から水を
補給するが、立上壁７を越えた分の水量は上述の
ように自動的に透水穴６から排出されるので、給
水量を正確にコントロールする必要はない。尚、
上記給水は栽培室２の上から注水する方法の他
に、水槽８に浮設した容器１をその浮力に対抗し
て下に押し付け、水槽８内の水を上記透水穴６を
通つて栽培室２内に流入させ、水がある程度入つ
たところで、その押し付け力を解除して容器１を
自然状態に浮かせると、上述のように栽培室２内
に入つた余分な水は再び透水穴６から排出して、
水位を調節するようにしてもよい。

上記実施例の透水穴は栽培室の底板の中央部に
穿設してあるが、本発明はこれに限定するもので
はなく、例えば第５図に示すように隅部やその他
の適宜箇所でも良く、その数も複数個配設しても
良い。また、容器及び栽培室も上記実施例に限定
することなく、例えば容器を複数の栽培室に区画
することなく、栽培室を一個の独立した容器とし
て構成し、該単位栽培量の容器をそのまま消費者
が持ち帰ることが出来るようにしてもよい。さら
に、容器は上述のように水に浮く構造でなくても
よく、その場合には水槽に浮設せずに、適宜支持
手段にて容器を水平状態に保持するようにする。

本発明により、以下のような作用効果を奏する
ことができる。

１ 栽培室底板の底面に、透水穴の上部穴壁を構
成する立上壁を突設したので、蒔いた種子が確
実に底面に落下して透水穴を塞ぐ恐れがなく、
また、底面上の種子を冠水させずに適度の水位
で確実に浸すことができる。

２ 栽培室の底板に多数の凹凸を形成したので、
蒔いた種子が転がつて片寄つたりする恐れがな
いだけでなく、根が絡んで底面に付着し易い等
の利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の栽培用容器の一実施例を示す
斜視図、第２図はその部分平面図、第３図は底板
部分の要部拡大断面図、第４図は本実施例容器に
よる水量調節を示す説明断面図、第５図は透水穴
の配置の他の実施例を示す平面図である。 １……容器、２……栽培室、３……係合突起、
４……係合凹部、５……底板、５ａ……底面、６
……穴、７……立上壁、８……水槽、Ｓ……種
子、HL，HL′……水面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 栽培室の底板に栽培植物の種子より小さい透
   水穴を穿設し；該底板の底面に、透水穴の上部穴
   壁を構成し、底に蒔いた種子を冠水させずに浸す
   程度の高さを有する、立上壁を突設すると共に、
   多数の凹凸を形成したことを特徴とする栽培用容
   器。