JPH0438463Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は密閉型電池の端子を兼ねる円筒形状の
注液管の改良に関し、注液管の電池ケースとの絶
縁、気密保持固定部より内側に位置する個所の側
面に注液用の切欠部を設けると共に、該切欠部よ
り下に位置する円筒部には極板からのリード線を
挿入しカシメ或いは溶接固定することにより、リ
ード線の取付を簡単確実とし、リード線取付加工
時の不良をなくし、且つ耐振動、耐衝撃性の優れ
た電池を提供することを目的とするものである。

一般にリチウム電池の如く長期間の使用に耐え
且つ完全密閉が要求される電池では、活物質や電
解液等の電池構成品は全て金属ケース中に収納さ
れており、該金属ケースは周辺全てを溶接仕上げ
された完全密閉構造となつている。

このような電池では金属ケースが一方の端子を
兼ねており、他の極性を有する端子は金属ケース
とはガラス或いはセラミツク等によりハーメチツ
クシールされ絶縁と気密保持がなされているのが
通常であり、電池を全て組立てた後、最後に注液
するような電池では、金属ケースと異なる極性を
有する端子が円筒状で、注液管を兼ねている場合
が多い。即ち、未注液状態の極板群を金属ケース
中に組み込み該金属ケースの周辺部を溶接加工し
た後前述の如く、その一部に設けられた端子を兼
ねる円筒状注液管から電池内部へ減圧注液法等に
より電解液を注入し、次いで該注液管の先端を加
熱溶融して封止する方式が採られている。

この場合には注液管先端部の熱溶融封止時の熱
により、注液管と金属ケース間の気密が劣化しな
いよう気密封止には耐熱成と機械的強度に富むガ
ラスまたはセラミツクによるハーメチツクシール
が不可欠となつている。尚、このような場合には
金属ケースの周辺部溶接前に予め極板と注液管を
電池内部で電気的に連結しておく必要があり、従
来では極板からのリード線或いはリード片を注液
管の側面にスポツト溶接して両者を一体化する方
法が一般的に用いられていた。この作業は曲面へ
のリード線のスポツト溶接という困難な操作であ
るため、スポツト溶接機の電極の当て具合により
溶接強度かことなり、著しい場合に は溶接時に
スパークが発生し、リード線の一部が溶融するだ
けで溶接不良が発生するという不具合が生じたり
していた。また、溶接バラツキにより振動、衝撃
印加時にスポツト溶接個所がはずれ、使用不能に
なる等の不具合の発生もあつた。

本考案はこれらの不具合をなくし、簡単、確実
にリード線の取付を可能にする注液管を提供する
ものであり、その結果電池製造中の不良の減少お
よび耐振、耐衝撃に優れた電池を提供するもので
ある。

以下実施例に付図面と共に説明する。

第１図は本考案による注液管を用いた密閉型塩
化チオニル／リチウム電池の縦断面図であり、第
２図は注液管部の部分拡大図である。第１図およ
び第２図に於て１は負極端子を兼ねるステンレス
製ケースであり内面にリチウム２が圧着固定さ
れ、ガラス不織布セパレータ３及び底部絶縁体４
によりアセチレンブラツクより成る正極集電体５
およびニツケルエキスパンドメタル製グリツド６
と絶縁、隔離されている。７はステンレス製カバ
ーであり、ステンレス製ケース１とは周辺を溶接
一体化されている。正極端子を兼ねるSUH４４
６より成る注液管８はガラスハーメチツクシール
９によりステンレス製カバー７と絶縁されると共
に気密保持されており、電池内部に位置する個所
には注液孔の役割を果す切欠部１０を有し、且つ
下端部１４には、ニツケルエキスパンドメタルグ
リツド６に予めスポツト溶接加工されているニツ
ケル製リード線１１がカシメにより圧着固定され
ている。これは電池組立時に於てステンレスケー
ス１とステンレスカバー７を組合す前に取付加工
したものである。電解液を兼ねる正極活物質であ
る塩化チオニルはステンレス製ケース１とステン
レス製カバー７を溶接一体化した後注液管部から
減圧注液されたものであり、切欠部１０を通つて
電池中に流入し、エキスパンドメタルグリツド６
の中央空間部１２及び正極集電体５、ガラスセパ
レータ３中に保持されている。注液管８の先端部
１３は塩化チオニル注入後溶接封止され電池は完
全密閉型となつている。

以上の如く、本考案に基づく構造の電池は注液
管８の電池内側に位置する箇所の側面に注液用の
切欠部１０と同切欠部より下にはリード線１１を
挿入してカシメ或るいは溶接により一体化するた
めの円筒状下端部１４を有していることを特徴と
するもので、注液管へのリード線の取り付けが乾
燥状態でカシメ或いは溶接により行われているた
め、取り付け後の確認が容易であるので取付時の
不良は全くなく、且つ極めて強固に一体化されて
いる。従つて振動、衝撃印加時に於ても同部での
リード線の外れがなく使用不能となることはな
い。

尚、ここでは注液管へのリード線の取付をカシ
メ方式に付記したが、必ずしもこれに限定するも
のではなく、注液管部へリード線を挿入した後、
同部を溶接固定してもよい。

また、密閉型電池の代表例として塩化チオニ
ル／リチウム電池について述べたが、必ずしもこ
の種電池に限定されるものではなく、電池組立後
最終的に電解液を注入しその後、注液管を封止す
ることにより完全密閉とするような密閉型電池で
あればどのような種類のものでも共通であること
は明らかである。

以上詳述したごとく、本考案は電池製造時に於
ける不良をなくし、且つ耐振動、衝撃性に優れた
電池を提供するものであり、その実用的価値大で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による密閉型塩化チオニル／リ
チウム電池の縦断面図であり、第２図は第１図電
池の注液管部拡大図である。 １……ステンレス製ケース、７……ステンレス
製カバー、８……注液管を兼ねる正極端子、９…
…ガラスハーメチツクシール、１０……切欠部、
１１……ニツケル製リード線、１４……リード線
挿入用下端部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 注液管を兼ねる一方の端子８が金属製カバー７
   を貫通してハーメチツクシール９されており、 該金属製カバー７が他方の端子を兼ねる金属製
   ケース１を閉鎖しており、 該注液管を兼ねる端子８の電池内側に位置する
   個所の側面には注液用の切欠部１０が設けられて
   おり、 該注液管を兼ねる端子８の該切欠部１０より下
   方にはリード線挿入用下端部１４が設けられてお
   り、 リード線１１は該リード線挿入用下端部１４で
   カシメ或いは溶接固定されており、 該注液管を兼ねる端子８の電池外側に位置する
   上端は封止１３されていることを特徴とする 密閉型電池。