JPH04367512A - 球形多孔質アナターゼ型二酸化チタン微粒子及びその製造方法 - Google Patents

球形多孔質アナターゼ型二酸化チタン微粒子及びその製造方法

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JPH04367512A
JPH04367512A JP16877791A JP16877791A JPH04367512A JP H04367512 A JPH04367512 A JP H04367512A JP 16877791 A JP16877791 A JP 16877791A JP 16877791 A JP16877791 A JP 16877791A JP H04367512 A JPH04367512 A JP H04367512A
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平田 雄候
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、球形多孔質アナターゼ型二酸化
チタン微粒子、特に粉末X線回折から計算される結晶子
径が300Å以下のアナターゼ型超微結晶の凝集した球
形粒子から成り、かかる球形粒子の長さ平均径が0.5
〜2.5μmの範囲で、且つ重量平均径と長さ平均径の
比より求められる多分散指数が1.1以下の狭い粒径分
布を持ち、更にその比表面積が70m2 /g以上であ
ることを特徴とする球形多孔質アナターゼ型二酸化チタ
ン微粒子、並びにそれを安価に且つ大量に製造する方法
に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、二酸化チタン微粒子、例えば微
粉末またはその分散液は、チタン酸バリウム等の各種強
誘電体材料の基本的な原料として用いられているが、特
にアナターゼ型二酸化チタンは、ルチル型に比べて反応
性が高いことから、各種チタン酸塩セラミックスの合成
粉末の出発原料として広く使用されている。例えば、チ
タン酸バリウムの粉末原料は、一般に、アナターゼ型二
酸化チタンと炭酸バリウムとの粉末混合物を1000℃
以上の温度で固相反応させることによって製造されてい
る。また、二酸化チタンは、屈折率が高く、隠蔽力に優
れるので、白色顔料等としても種々の分野で使用されて
いるが、特にアナターゼ型分散液は、短波長域、紫外線
域での分光反射率が高いことが知られており、このため
日焼け止め化粧品等にも使用されて、特別の価値を持つ
ものである。
【0003】ところで、ファインセラミックス、特に焼
結体の原料として用いられる酸化物微粒子は、0.5μ
m程度以下の微粒子では、成形嵩密度が上がり難く、焼
成収縮が大きくなって作業性、生産性が低下する欠点が
あり、また、2.5μm程度以上では、焼結による緻密
化が困難となり、一般に粒径範囲は1μm前後の球形を
した粒径分布の狭いものが優れていることが知られてい
る。二酸化チタン粉末は、強誘電体セラミックスの原料
粉末、例えばチタン酸バリウム、その他のチタン酸塩の
原料粉末として使用されるが、これらのファインセラミ
ックス用のチタン酸塩の粉末粒子も、やはり1μm程度
の球形微粒子が望まれている。しかし、二酸化チタンと
炭酸バリウム等との粉末混合物を高温で固相反応させる
ことによっては、このような1μm程度の球形微粒子を
得ることは、従来は全く不可能であり、そのような特徴
を持つ球形二酸化チタン微粒子は、今まで知られていな
かった。
【0004】二酸化チタン微粒子の製造においては、従
来から、硫酸チタニル(オキシ硫酸チタン)溶液や四塩
化チタン溶液等を、種々の方法を用いて加熱処理し、加
水分解をすることが、広く行なわれている。しかし、一
般に、比較的希薄な溶液が用いられており、Ti濃度が
1mol/l 程度以上の高濃度の溶液を用いた例は極
めて少なく、特に反応終了時の酸の濃度が3N以上の強
酸性溶液となる条件を用いた例はない。例えば、特開昭
63−8210号公報には、硫酸チタニル水溶液にアン
モニアを添加した白濁液を、解放容器を用いて、沸点付
近の温度で2時間程度処理することにより、10μm以
上の、はるかに粗大な球形粒子を製造しようとする方法
が明らかにされている。しかしながら、かかる方法では
、アンモニアを硫酸チタニル水溶液に添加し、溶液のp
Hを上昇させるので、極めて短時間の析出反応とはなる
が、反応終了時の溶液の酸の濃度を高く保つことが出来
ず、本発明のような1μm程度の極めて均一な粒径の球
形粒子を形成させることは不可能である。
【0005】また、球形で、単分散性の高い、狭い粒度
分布を有する二酸化チタン微粒子の製造については、従
来から、アルコキシド法と水溶液熟成法の二つの方法が
知られている。アルコキシド法については、例えばS.
Komernen,et al. [J.Amer.C
eram.Soc. ]65,C−199(1982)
 や特開昭62−91418号公報等において、種々報
告されているが、それらは、一般に、チタンのアルコキ
シドの0.2mol/l以下を含む希薄なアルコール溶
液に、水を加えて加水分解させるものであって、生成物
はサブミクロンの球形ではあるが、全て非晶質となり、
しかも希薄溶液で、処理量に対して生成量が少なく、ま
た原料のアルコキシドが高価なため、結果として非常に
高価なものとなり、用途は極めて特殊なものに限定され
ているのである。
【0006】一方、前記水溶液熟成法にあっても、それ
は E.Matijevic,et al.[ J.E
lectrochem.Soc. ]120,893 
(1973) に明記されているように、極めて希薄な
水溶液を長時間熟成することにより、球形微粒子を製造
するものであるが、この方法で得られた微粒子は、アナ
ターゼ型ではなく、ルチル型の二酸化チタンであり、ま
た大容量、長時間の処理でも、極めて僅かしか製造する
ことが出来ないため、工業的に有利な生産を行なうこと
が出来ない等の問題があった。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にしてなされたものであって、その解決課題とすると
ころは、均一、球形で、粒子径が1μm前後の、高品位
の二酸化チタン微粒子を、安価に且つ大量に製造する方
法を提供することにあり、また特に、炭酸バリウム等と
の反応性が高く、固相反応によって、1μm前後の任意
の大きさのチタン酸塩の球形微粒子を与えることの出来
る、極めて特徴的な二酸化チタン微粒子、即ち結晶子径
が300Å以下のアナターゼ型超微結晶の凝集した球形
粒子から成り、球形粒子の長さ平均径が0.5〜2.5
μmの範囲で、且つ重量平均粒子径と長さ平均粒子径の
比より求められる多分散指数が1.1以下の狭い粒径分
布を持ち、その比表面積が70m2 /g以上である、
球形多孔質アナターゼ型二酸化チタン微粒子を提供する
ことにある。
【0008】
【解決手段】本発明者らは、かかる課題を解決すべく、
多数の実験研究を繰り返し、その結果、従来試みられた
ことのない組成領域、即ち加水分解反応終了時の酸の濃
度が3.0N〜8.0Nの強酸性領域となるように予め
出発状態で調整した、濃厚な硫酸チタニル若しくは硫酸
チタンの酸性水溶液を、一定条件下で充分に長時間加熱
熟成処理を続けた時にのみ、析出した超微粒子が全て球
形に凝集し、均一で多孔質のアナターゼ型二酸化チタン
微粒子が生成することを見い出し、本発明を完成するに
至ったのである。
【0009】本発明者らの研究の結果によれば、生成物
が均一球形の凝集微粒子となるためには、反応終了時に
おける硫酸の濃度が3.0N〜8.0Nの強酸性領域と
なるように、予め出発状態で調整することが必須の条件
であり、このように調整した硫酸チタニル若しくは硫酸
チタンの比較的濃厚な酸性水溶液を、密閉容器中におい
て、95℃〜200℃の温度で、沸騰させることなく熱
処理を加え、加水分解反応による酸化チタン水和物を析
出させるだけでなく、その後も更に加熱処理を続け、析
出物が全て球形凝集化するまで、充分に長時間、加熱熟
成処理を続ける必要のあることが分かった。そして、こ
のような組成範囲と極めて長時間の加熱処理によって生
成する沈降物は、従来全く製造されたことのない、前述
のような特性を有する、極めて特異な球形多孔質アナタ
ーゼ型二酸化チタン微粒子となることを見い出したので
ある。
【0010】本発明による球形多孔質アナターゼ型二酸
化チタン微粒子は、見掛けの結晶子径が300Å以下の
アナターゼ型超微粒子の凝集した球形粒子から成り、球
形粒子の長さ平均径が0.5〜2.5μmの範囲で、且
つ重量平均径と長さ平均径の比より求められる多分散指
数が1.1以下の狭い粒径分布を持ち、その比表面積が
70m2 /g以上であることを特徴とし、その粒子径
は、任意に選択、調整することが可能である。なお、こ
こで言う結晶子径とは、粉末X線回折像のピークの半価
幅より、下記数1[但し、式中、λは特性X線の波長(
Å)、β1 は試料の半価幅(ラジアン)、β2 は補
正材料の半価幅(ラジアン)、θは回折角を表わす]に
て算出されるものである。また、多分散指数とは、重量
平均径と長さ平均径の比であって、走査型電子顕微鏡写
真中、200個の粒子より求めた粒径分布より、下記数
2[但し、式中、Nは全粒子数、ri は粒径(μm)
、ni はri の粒径を持つ粒子数を表わす]にて算
出されるものである。
【0011】
【数1】
【0012】
【数2】
【0013】このような超微結晶、均一球形凝集及び多
孔質大比表面積の条件を備えた二酸化チタンの微粒子は
、従来全く認識されていなかったもので、チタニアを含
む各種のセラミックスの原料粉末として優れるのみなら
ず、むしろ酸化チタンを含む各種のファインセラミック
スの原料粉末合成用の出発原料として特別の価値を持つ
ものである。即ち、例えばチタン酸バリウム等のペロブ
スカイト型チタン酸塩の合成用の原料として使用すると
、混合する金属化合物との固相反応において、二酸化チ
タン球状粒子がアナターゼ型超微結晶の凝集微粒子であ
り、しかも多孔質であるため、反応物質は容易に二酸化
チタンの粒子内部まで到達し、固相反応が均一に速やか
に進行するだけでなく、驚くべきことに、反応生成物は
元の二酸化チタン微粒子の球形状を保有し、結果として
、平均粒子径が1μm前後で且つ単分散性の高い、狭い
粒径分布を持つ各種チタン酸塩の球形微粒子の合成も可
能とするのである。このように、粉末混合物の固相反応
によって、1μm前後で且つ単分散性の高い、狭い粒径
分布を持つ各種チタン酸塩の球形微粒子を与えることの
出来る二酸化チタン微粒子は、従来全く知られていない
ものである。
【0014】また、日焼け止め化粧品としても、見掛け
の結晶子径が300Å以下の短波長域、紫外線域での分
光反射率の高いアナターゼ型二酸化チタン超微結晶が、
相対密度が50%程度の、多孔質の、0.5〜2.5μ
m程度の微小球であるため、アナターゼ型二酸化チタン
超微結晶の特徴を保有したまま、その混合量を多くして
も化粧品は流動性を保ち、結果として、被覆力の極めて
優れたアナターゼ型二酸化チタン超微結晶の分散性、均
一性の極めて高い高級化粧品を与えることが出来るので
ある。
【0015】
【具体的構成】本発明にて得られる二酸化チタン球形粒
子は、結晶子径が300Å以下のアナターゼ型超微結晶
の凝集して成るものであり、その粒子径は、熱処理温度
が高いほど、幾らか小さく、また硫酸チタニルの濃度に
依存するが、特に反応終了時での溶液中の酸の濃度に最
も大きく影響を受ける。即ち、反応終了時における溶液
中、酸の濃度が高いほど、凝集粒子径は大きくなる。し
かしながら、酸濃度が8N以上になると、凝集粒子径が
粗大となり過ぎ、且つ球形化が不完全となる。また、酸
濃度が3.0N以下では、凝集粒子径が小さくなり過ぎ
、且つその球形化が不充分となり、また凝集粒子同士の
2次凝集も起こり始める。従って、本発明においては、
反応終了時における酸の濃度が3.0N〜8.0Nの範
囲となるように、予め硫酸等を添加し、目的の凝集粒子
径に応じて出発溶液の組成が適宜選定されるのである。
【0016】なお、本発明者らの研究の結果から、反応
終了時の酸の濃度が高いほど、凝集粒子径が増大するこ
とが分かったが、硫酸に代えて塩酸を使用しても、凝集
粒子径増大効果は認められるものの、粒子の球形化が著
しく不完全となる他、安定なルチル型二酸化チタンが生
成し始め、比表面積の高いアナターゼ型のみの二酸化チ
タン凝集微粒子を得ることは出来なくなることが分かっ
た。従って、本発明における酸の濃度は、主として硫酸
から与えられるものでなければならないのである。
【0017】また、Ti濃度は、もし充分な硫酸が加え
られるなら、1.0mol/l 以下の溶液でも球形凝
集微粒子を与えるが、その場合には、析出物の量が少な
く、同一の処理から得られるアナターゼ型二酸化チタン
凝集粒子の数が少なくなり、経済的に、実用的でないも
のとなる。また一方、Ti濃度は高いほど、生成粒子が
大量に得られて経済的であるが、Ti濃度が3.0mo
l/l 以上では、球形凝集化が不充分となり、塊状粒
子が混在するようになるところから、Ti濃度としては
、通常、1.0mol/l 〜3.0mol/l の範
囲において選択されることとなる。
【0018】そして、このような硫酸酸性水溶液が、所
定の密閉容器内に収容されて、95℃〜200℃の温度
において、沸騰することなく加熱処理されるが、この加
熱処理時の温度は、95℃より低いと、孤立分散した微
粒子が得られず、また200℃より高い温度では、水熱
処理設備の費用が過大となって実際的でないだけでなく
、結晶子径が増大し、反応活性その他の特性を劣化させ
ることから、本発明にあっては、95℃〜200℃の温
度範囲において適宜設定される。
【0019】また、本発明において、加熱熟成の処理時
間は重要且つ不可欠の要素で、発明の目的を達成するだ
けでなく、析出物がアナターゼ型二酸化チタンに結晶化
すると共に、均一球形に凝集することによって、静置す
れば容易に自然沈降を起こすようになるまで充分に長時
間、加熱熟成処理を続けることが必要である。この異常
に長い時間の処理によって、初めて目的とする孤立した
均一な球形多孔質アナターゼ型二酸化チタンの凝集微粒
子を得ることが可能となることを、本発明者が初めて発
見したものである。この処理時間は、温度が高いほど短
縮することが出来るが、例えば100℃の温度では、1
μm程度の球形微粒子を得るために、一般に、10日間
程の加熱熟成処理が必要となる。因みに、その処理時間
が充分でない場合には、球形が不完全となるか、或いは
球形化しない凝集粒子となるのである。
【0020】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約を受
けるものでないことは言うまでもないところである。
【0021】実施例1 硫酸チタニル粉末(TiOSO4 ・2H2 O、他に
遊離のH2 SO4 及びH2 Oを含む)を蒸留水に
溶解し、溶液中のTi濃度及びSO4 2−イオン濃度
を化学分析により定量し、追加硫酸量及び蒸留水の量を
調整して、表1に示すような、Ti濃度1.0mol/
l 〜3.0mol/l 、並びに各反応終了時におけ
る硫酸の濃度2.8N〜8.4Nの範囲の、各種の透明
な溶液を調製した。次いで、それらの溶液をそれぞれテ
フロン製容器中に一定量分取し、密閉した後、110℃
(一部は98℃)の恒温槽内に静置し、1日、3日、5
日、10日、及び15日間の加熱処理を行なった。この
熱処理により析出した反応生成物は、先ず遠心分離器に
かけ、回転数1500rpm の場合の沈降物(沈澱粒
子部とする)と残液部分とに分け、残液部分中に残る沈
降しなかった微粒子部分は塩酸を添加することにより、
別に凝集沈降させた(浮遊粒子部とする)。
【0022】各処理時間後に得られた沈澱粒子部及び浮
遊粒子部の量は、全て1000℃で2時間仮焼し、二酸
化チタンとして秤量して求めた。この結果は、図1に示
す通りである。ここで、沈澱粒子部は、本発明に係る球
形多孔質アナターゼ型二酸化チタン微粒子の前段状態に
相当し、やや不完全な球形の凝集粒子から成る部分であ
るが、浮遊粒子部は、遠心分離器によって沈降しない超
微粒子部分で、仮焼前60℃乾燥物のX線観察によれば
、アナターゼ型二酸化チタンであり、仮焼後はルチル型
二酸化チタンとなる。従って各処理時間後の沈澱粒子部
と浮遊粒子部の合計が、加水分解反応率に相当する。 図から求めた各試料の加水分解反応の終了時間及び球形
凝集化完了時間を、球形凝集化完了後の凝集粒子径と共
に表1に示した。なお、ここで言う変動係数とは、標準
偏差を平均径で除したものであって、数値が小さいほど
、粒径が均一であることを示している。
【0023】
【表1】
【0024】図1及び表1から明らかなように、110
℃の熱処理では、加水分解反応は濃度によって数時間か
ら3日間で略終了するが、球形凝集粒子化が完了するに
は更に長時間が必要であり、Ti濃度よりも反応終了時
における硫酸の濃度の影響が大きいことが分かる。この
硫酸濃度が4.2N(試料D)、5.6N(試料E)、
及び7.0N(試料G)の溶液では、それぞれ約3日間
、約10日間の熱処理熟成が必要となる。そして、加水
分解反応が終了しただけでは、その生成物は、超微粒子
と球形化不完全な凝集粒子の混合物であり、これ自体均
一な微粒子でないでけでなく、これから超微粒子だけを
除去することも困難で、これを乾燥すれば、球形粒子は
2次凝集を起こし易く、均一な、孤立した球形の凝集粒
子を得ることは、通常困難である。
【0025】充分長時間の熟成により、球形凝集粒子化
が完了した段階では、析出粒子は全て球形化して沈降し
、透明な上澄み液が形成される。この最終沈降物は、走
査型電子顕微鏡(SEM)観察によれば、試料Aは、粒
径がやや小さく、球形化が幾らか不完全であり、試料H
は、15日間に亘る加熱処理によってもまだ球形化が完
了せず、生成物は不完全凝集球及び未凝集の析出物で、
乾燥後は塊状物となるが、本発明の範囲に入る他の試料
では、全て大きさの均一な球形の微粒子が、極めてよく
孤立、分散していることが認められた。例として、試料
Eの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2、試料Gの
走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3にそれぞれ示す
。何れもきれいな球形粒子となっていることが認められ
る。
【0026】生成物の平均粒子径は、同一処理温度でT
i濃度の同じ試料(試料AとB,及び試料EとF)を比
較すると、反応終了時の酸の濃度によって大きく変化し
、酸の濃度が高い程大きくなり、また、この酸の濃度が
ほぼ同じ場合(試料BとD,及び試料FとG)では、T
iの濃度が変わっても平均粒子径には大きな差が生じな
いことが分かる。これらのSEM写真から求めた各球形
粒子の粒径分布を求め、重量平均径と長さ平均径の比よ
り求められる多分散指数を計算したところ、表に示すよ
うに、全て1.1以下であった。また、これらの球形の
微粒子は、X線回折の測定から、表に示すように、全て
結晶子径300Å以下のアナターゼ型の超微結晶から成
るものであり、また、何れも200℃乾燥粉末の比表面
積が70m2 /g以上であることが分かった。
【0027】以上のうち、代表的な試料Eについて、4
00℃及び700℃にそれぞれ2時間、空気中で仮焼し
た粉末に対し、比表面積を測定したところ、それぞれ9
1m2 /g及び28m2 /gであり、400℃まで
は極めて高い比表面積を保っていた。更に、試料Eの6
0℃乾燥物(アナターゼ型)、900℃、2時間の仮焼
粉末(アナターゼ型)及び1000℃、2時間の仮焼粉
末(ルチル型)、並びに炭酸バリウムとの等モル混合物
を、900℃24時間仮焼して生成したチタン酸バリウ
ムの粉末について、SEM観察をしたところ、仮焼後も
全ての試料粉末粒子は球形であり、何れも粒径がよく揃
っており、粒径分布の狭い極めて均一な状態を保ってい
た。これらの粉末粒子に対し、SEM写真から計測した
粒径分布を図4に示した。
【0028】本発明の球形多孔質アナターゼ型二酸化チ
タン微粒子単独では、これを仮焼することよって、個々
の球形凝集粒子は、球形を保ちながら収縮して、粒子径
を減少させる。この粒子径の減少から、試料Eの球形粒
子の相対密度は約50%程度と計算される。本発明の球
形粒子が、アナターゼ型超微結晶から成ることの他に、
この相対密度が低く、比表面積の高いことが、他の金属
化合物との反応性を高め、しかもチタン酸塩等の反応生
成物の形状が球状に保たれることの原因と考えられる。 図4から分かるように、固相反応の結果生成するチタン
酸バリウムの粒子径並びに粒径分布は、原料二酸化チタ
ンである試料Eの粒子径並びに粒径分布にほぼ類似した
ものとなる。このようなことは、従来の二酸化チタン微
粒子を原料として用いた場合には、全く得ることの出来
ない結果である。
【0029】実施例2 実施例1と同様にして、硫酸チタニル粉末を蒸留水に溶
解し、溶液中のTi濃度及びSO4 2−イオン濃度を
、追加硫酸量及び蒸留水の量を調整して、Ti濃度並び
に反応終了時における硫酸の濃度を種々変えた透明な溶
液を調整した。次いで、これらの各溶液を、それぞれス
テンレス製の耐圧容器内に収容されたテフロン容器(容
量:25cm3 )の中に入れ、密封した後、150℃
及び200℃の恒温槽内にて2日間、それぞれ加熱保持
した。この結果、全ての試料に白色の析出物が認められ
、析出物は全て沈降し、透明な上澄み液が認められた。 その後、これらの試料に水を添加し、撹拌した後数回に
亘って、遠心分離器による析出物の分離、洗浄を実施し
、乾燥した。得られた乾燥物の粒子形状は、SEMによ
り観察した結果、全て球形の凝集粒子であり、その長さ
平均径は、表2に示すようであった。
【0030】表から、150℃の処理温度でも、加水分
解反応完了時の酸の濃度が高いほど、一般に平均粒子径
は大きくなり、また加水分解反応完了時の酸の濃度が同
じ場合(試料JとM,及び試料KとQ)では、Ti濃度
が変わっても大きな差がないことは、表1の110℃の
場合と同様である。また、表1及び表2において、ほぼ
同じ酸の濃度で、熱処理温度を変えた場合(試料CとD
,及び試料E,NとO)を比較すると、処理温度が高く
なると、結晶子径は増大し、平均粒子径は幾らか小さく
なることが認められる。
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従えば、見掛けの結晶子径が300Å以下のアナター
ゼ型超微結晶の凝集球形粒子から成り、粒子の長さ平均
径が0.5〜2.5μmの範囲であり、且つ重量平均径
と長さ平均径の比が1.1以下の狭い粒径分布を持ち、
しかも比表面積が70m2 /g以上であることを特徴
とする球形多孔質アナターゼ型二酸化チタン微粒子、例
えば微粉末若しくは微粒子分散液を、簡単な工程で、し
かも原料が安価であるところから、大量に且つ安価に生
産することが可能となり、実用的で、経済的効果が極め
て高いものとなるのであるが、更に本発明によって得ら
れる球形多孔質アナターゼ型二酸化チタン微粒子、例え
ば微粉末若しくは微粒子分散液は、粒子の均一性、易混
合性、易分散性、易反応性、紫外線高反射性等が良好で
あるところから、誘電体材料、セラミックス原料、顔料
、紫外線遮蔽コーティング剤、化粧品用剤等の、各種の
用途に好適に用いられて、それらの高性能化を達成する
ものである。中でも、ファインセラミック原料の出発原
料としては、既に述べたように、特に強誘電体セラミッ
クスのペロブスカイト型チタン酸塩の出発原料として、
極めて特徴的な高い価値を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】加熱処理時間と加水分解生成物の生成率並びに
球形凝集化の進行の程度の測定結果である。
【図2】代表的な試料Eの電子顕微鏡(SEM)写真で
ある。
【図3】代表的な試料Gの電子顕微鏡(SEM)写真で
ある。
【図4】試料E及びその仮焼生成物、並びに炭酸バリウ
ムとの反応生成物の粒子径分布図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  粉末X線回折像のピークの半価幅から
    計算される結晶子径が300Å以下のアナターゼ型超微
    結晶の凝集した球形粒子から成り、該球形粒子の長さ平
    均径が0.5〜2.5μmの範囲で、且つ重量平均径と
    長さ平均径の比より求められる多分散指数が1.1以下
    の狭い粒径分布を持ち、その比表面積が70m2 /g
    以上であることを特徴とする球形多孔質アナターゼ型二
    酸化チタン微粒子。
  2. 【請求項2】  硫酸チタニル溶液を加熱して加水分解
    せしめ、二酸化チタンを析出させる方法において、反応
    終了時における酸の濃度が3.0N〜8.0Nの強酸性
    領域となるように、主として硫酸からなる酸にて予め出
    発状態で調整した、濃厚な硫酸チタニル若しくは硫酸チ
    タンの酸性水溶液を用い、加熱処理による反応生成物の
    殆どが球形凝集化を完了するまで、95℃〜200℃の
    温度で加熱熟成処理を続けることを特徴とする球形多孔
    質アナターゼ型二酸化チタン微粒子の製造方法。
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