JPH04363105A - 懸濁液の清澄濾過装置およびその洗浄方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＳＳを含有する懸濁液
を処理する新規な濾過装置およびその洗浄方法に関する
ものである。なお、ここでいう濾過とは通常の濾過以外
に生物化学的処理の場合のように空気等を供給しながら
処理する生物濾過処理法をも含んでいる。

【０００２】

【従来の技術】スポンジ状の弾性多孔体粒状物を濾材と
した上向流濾過装置は、従来、特開昭６０−１４７２０
７号公報に開示されている。

【０００３】この従来技術は、図２に示すように原水２
０を上向流にて通水することにより網１８の下面にスポ
ンジ粒状物１９を圧縮させ、スポンジ粒状物濾材の空隙
率を小さくして濾過水２３を得、濾過層再生時には洗浄
用水２１、洗浄用空気２２を濾過層に供給して濾材の洗
浄を行う技術である。

【０００４】しかし、この従来技術の追試を実施した結
果、次のような重大な欠点があることが判明した。■　
　スポンジを圧縮して空隙率を小さくした状態でＳＳを
濾過除去しているため、濾過開始後、短時間で濾層がＳ
Ｓによって激しく目詰まりし、濾過抵抗が急激に増加す
る。このため濾床をしばしば洗浄しなければならない。

【０００５】■　　濾過層の洗浄を下部から空気と洗浄
用水を上向流で供給して行うが、この際、スポンジ粒状
物が網の下面にますます強く押しつけられてしまい、濾
材を流動化できないため、濾材洗浄が非常に難しい。

【０００６】従来技術において、このような欠点が発生
する原因として、図２のようにスポンジのような圧縮さ
れやすい粒状物の充填層の上部に接して、浮上阻止用の
網１８を設けているため、原水の上向水流の圧力によっ
てスポンジが網の下面に強く圧縮され、ＳＳが目詰まり
しやすくなり、濾過抵抗の急激な増加をもたらし、ます
ますスポンジ粒状物は圧縮されていまうという悪循環が
確認された。

【０００７】即ち、従来技術にはそのスポンジ粒状物の
充填層を圧縮した状態でＳＳを濾過するという技術思想
そのものに実用上の問題点が内在している。従って、従
来技術は到底優れた濾過技術には成り得ない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
従来装置の持つ■、■の欠点を完全に解決することを目
的として、ＳＳの捕捉容量が大きく、濾抗の上昇が少な
く、かつ濾材の洗浄が容易な新規な濾過装置およびその
洗浄方法を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、槽内に弾性多
孔性粒状物の充填層を設け、該充填層の上方部に多孔通
水部材を設け、該多孔通水部材の上部と下部に洗浄排水
流出部を設けるとともに、前記充填層の上方に原水流入
部を、充填層の下方部に濾過水流出口、洗浄用水供給部
、洗浄用空気供給部を配備せしめ、さらに前記多孔通水
部材下部の洗浄排水流出部を開閉せしめる弁を設けたこ
とを特徴とする懸濁液の清澄濾過装置、および上記記載
の清澄濾過装置を洗浄する方法において、該洗浄用水供
給部および洗浄用空気供給部から水および空気を供給し
て該充填層を洗浄し、少なくとも洗浄排水を該多孔通水
部材下部の洗浄排水流出部から排出することを特徴とす
る清澄濾過装置の洗浄方法であり、これにより上記課題
を解決できる。

【００１０】本発明装置の特徴は、槽内に弾性多孔性粒
状物からなる充填層を濾過層とし、下向流にて懸濁液を
濾過清澄化する濾過装置であって、充填層の上方部に懸
濁液を導入する多孔通水部材を配備し、該多孔通水部材
の上部と下部に洗浄排水流出部を設け、更に該下部の洗
浄排水流出部に弁を配備したことにある。

【００１１】即ち、本発明装置は、充填層を下向流にて
行う濾過装置において、充填層の空隙率を極めて高く維
持して、濾過時間を長く維持し、かつ洗浄を効果的に行
い得るように多孔通水部材の下部に洗浄排水流出部を設
けると共に弁を配置したことに最大の特徴があり、これ
により、充填層の空隙率を高く維持して懸濁液の処理効
率を高くすることができる。

【００１２】また、本発明の洗浄方法の特徴は、上記装
置を操作することにより、上記多孔通水部材の上部と下
部に配備された各洗浄排水流出部への洗浄排水の排出の
タイミングおよび水位調整を規定したことにある。即ち
、充填層を水および空気を増加しながら洗浄すると弾性
多孔性粒状物は流動し、洗浄されながら徐々に多孔通水
部材に押しつけられ弾性多孔性粒状物は圧縮される。 この間、洗浄排水は、多孔通水部材の上部から排出され
るが、従来法ではこの圧縮状態をかなり長時間続けるた
めＳＳの排除が十分には行えなかったが、本発明では、
該多孔通水部材の下部に設けた該洗浄排水流出部の弁を
開くことにより、この下部の洗浄排水流出部から洗浄排
水を排出することにより、水位を下げることができ、こ
れにより弾性多孔性粒状物の圧縮が開放され、弾性多孔
性粒状物の洗浄とＳＳの排出を改善することができる。 　　本発明において、多孔通水部材、ひいては洗浄排水
流出部が設けられる位置は、充填層の上方部である。こ
こで、充填層の上方部とは、運転時の充填層上端面を包
含し、多孔通水部材と該上端面が接触していてもよいが
、好ましくは、該上端と多孔通水部材との間に空間が設
けられていることが洗浄をより効果的に行う上で好まし
い。

【００１３】また、該上部および下部の各洗浄排水流出
部の位置は、特に制限されないが、上部の場合は多孔通
水部材のやや上が、下部の場合は多孔通水部材から３０
〜５０ｃｍ程度下の位置が好ましい。

【００１４】本発明に使用する多孔通水部材は、弾性多
孔性粒状物の系外への流出を阻止し、充填層の膨張が許
容でき、かつ充填層を固定、保持できる構造であれば、
その構成は任意であり、特に制限はない。例示すれば、
弾性多孔性粒状物の粒径より小さい孔を有する網、多孔
板等公知のものが挙げられる。

【００１５】本発明に使用される弾性多孔性粒状物は、
大気圧下圧縮すると内部空気を排除して収縮し、圧縮を
やめると空気を内部に吸収して元の状態に復元される弾
性を有する多孔性の小体であって、吸水性を有するもの
ならいかなる形状、素材、孔構造等のものでも適用でき
る。

【００１６】該弾性多孔性粒状物は、表面から内部にか
けて連続した穴を持つように形成された立体網目構造の
ものが最も好ましく、公知の発泡法等により製造できる
。該弾性多孔性粒状物の素材としては、上記性質を有す
るものであるならば、特に制限されず、有機高分子、無
機化合物等公知のものを使用できるが、中でも素材自体
に適度な弾性と強度とを有する素材が好ましく、特にウ
レタン樹脂等が好ましい。

【００１７】例えば、ポリウレタンフォーム等の弾性多
孔性粒状物は、ウレタン樹脂等のプラスチックスを連続
気泡を造る発泡法で発泡して作製され、そのまま使用す
るか所望形状、サイズに切断して使用する。

【００１８】弾性多孔性粒状物のサイズは、１０〜３０
ｍｍであり、その形状は角形、球状、その他種々の形状
がとれるが、角形が好ましい。その比重は、通常０．８
〜１．２程度が好ましい。

【００１９】弾性多孔性粒状物の空隙率は、９０％以上
が好ましい。また、気孔径、即ち、穴径は、０．１〜６
ｍｍ、好ましくは１〜４ｍｍの範囲から選択することが
望ましい。また、１ｃｍ長さ当たりの穴の数は、５〜２
０個が好ましい。

【００２０】本発明の装置は、前記充填層の上方に原水
流入部を、充填層の下方部に少なくとも濾過水流出口、
洗浄用水供給部、洗浄用空気供給部を槽内に配備するが
、これら装置は、従来公知のものが適用できる。これら
装置は、公知の管路、弁、ポンプ、ブロワー等により構
成され、その構成は任意である。具体的には、洗浄用水
供給部、洗浄用空気供給部は、通常、穴を有する供給管
、管路、弁、ポンプあるいはブロワー等から構成される
。また、濾過水流出口は、通常充填層を支持する支持体
、例えば、砂利層の場合はその中に、多孔板等の場合は
その下部に位置されるが、その接続管路を立ち上げて充
填層内の水位を確保するようにできる。また、これら、
濾過水流出口、洗浄用水供給部、洗浄用空気供給部は、
ブロック構造として構成されていてもよい。

【００２１】本発明装置は、ＳＳの物理的除去のみに限
定されることはなく、該充填層に酸素含有気泡を供給し
て好気的条件を保持させることにより、微生物を付着繁
殖させてその表面に生物膜を形成させて少なくとも好気
性生物濾過可能な汚水成分、例えば、ＢＯＤ　、ＮＨ３
−Ｎ等の生物学的除去とＳＳの物理的除去を行うことが
でき、そのための酸素含有気泡供給装置、即ち散気装置
を充填層の下方部等適宜位置に配備することができる。 この散気装置は、上記洗浄空気供給部と兼用されていて
もよい。あるいは、槽内を嫌気性条件に維持して嫌気性
生物濾過装置とすることも可能である。さらに、単一槽
内に好気性濾過層と嫌気性濾過層が共存した濾過装置を
該充填層により構成してもよい。

【００２２】本発明装置、特にその充填層を洗浄する方
法は、少なくとも洗浄排水を多孔通水部材下部の洗浄排
水流出部から排出するようにすればよく、該洗浄用水供
給部および洗浄用空気供給部から水および空気を供給し
て該充填層を洗浄して該多孔通水部材上部の洗浄排水流
出部から洗浄排水を排出すると共に該多孔通水部材下部
の洗浄排水流出部を開閉せしめる弁を開き、水位を下げ
ることで充填材の圧縮を解消する洗浄方法である。本発
明の洗浄方法は、水、空気、水および空気を用いた３通
りの方法があり、種々組み合わせて行うことができ水と
空気の供給は同時でも別時でもよいが、少なくとも水・
空気同時洗浄および排水を１回以上行うことが好ましい
。これら、水、空気の供給のタイミングは自由に設定で
き、連続でも断続でもかまわない。また、該多孔通水部
材の下部に設けた弁の開閉のタイミングならびに１洗浄
工程中の開閉回数も弾性多孔性粒状物の洗浄排水による
圧縮が解消されるように、かつＳＳの排出が阻害されな
いように操作する限り、自由に設定でき、水位の低下の
程度も任意である。

【００２３】本発明の洗浄方法において、水または空気
の供給量は、懸濁液の種類、捕捉ＳＳの付着の程度等の
より、適宜選定できるが、通常、空気としては、１〜２
ｍ３　／ｍ２　・分以下、水は０．５〜１ｍ３　／ｍ２
　・分以下が好ましい。

【００２４】本発明の洗浄方法は、効果的に洗浄を行え
るので従来の洗浄方法に比べ洗浄排水発生比（処理濾過
水を洗浄用水として用いる割合）を低減することができ
、通常、この比を１０％以下にすることができる。

【００２５】また、該多孔通水部材下部の洗浄排水流出
部の排水部は弾性多孔性粒状物の流出を防止するネット
等の部材を設けることが好ましい。

【００２６】

【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。

【００２７】図１は、本発明の濾過装置１の構成を説明
するものである。２は濾過槽であり、槽内に立体網目構
造をもつ弾性多孔性粒状物（ポリウレタンフォーム粒状
物）の充填層３が設けられている。本発明に採用する濾
材としては、種々の弾性多孔性粒状物が適用できるが、
好適な例は立体網目構造（孔径１〜２ｍｍ）をもつポリ
ウレタンフォーム粒状片（粒径１０×２５×２５ｍｍの
角状）を充填層厚２〜４ｍに充填したものである。

【００２８】上記充填層を採用すると、充填層の空隙率
が９７〜９８％と極めて大きいにもかかわらず、粒径５
μｍ以上のＳＳをほぼ完全に除去できることが実験的に
確認された。

【００２９】また、下水の濾過に適用した場合、濾速は
５００〜１０００ｍ／ｄが可能であり、洗浄排水発生比
も１０％以下にできることが認められた。４は、砂利な
どの支持床である。なお、支持床４に代えて充填層の下
部に網などの多孔通水部材を設置してもかまわない。５
は、濾過水流出管であり、充填層の上部界面の近くにま
で立ち上がって設けられている。６は、原水流入部であ
り、７は粗大異物を除去すると共に充填層の逆洗時に濾
材の流出を防ぐ網などの多孔通水部材である。次に８と
９が、洗浄排水流出管であり、多孔通水部材７を介在し
て、その上下に設けられており、流出管９には弁１０が
設けられている。

【００３０】この構成が本発明の主眼であり、従来法に
見られた圧縮閉塞の悪循環を打開するものである。また
、９の洗浄排水流出口には、網等の濾材流出阻止部材１
１が設けられている。次に、１２は濾過終了時に充填層
に捕捉されているＳＳを洗浄除去するための洗浄用水供
給管である。同様に１３は、洗浄用空気供給管である。

【００３１】本発明の濾過装置の作用を以下に説明する
。下水などの懸濁液を原水流入部６から多孔通水部材７
の上部に供給すると原水中の粗大異物（木の葉、ゴム片
、毛髪、繊維分など）が、多孔通水部材７で除去される
。その後原水は、弾性多孔性粒状物の充填層に下向流で
流入し、微細ＳＳが、充填層内で濾過捕捉される。

【００３２】原水中のＳＳが濾過除去された処理水は、
濾過水流出管５から系外に流出してゆく。ポリウレタン
フォームなどの立体網目構造をもつ弾性多孔性粒状物は
、空隙率が９７〜９８％と極めて大きいため、充填層内
のＳＳ捕捉容量は、非常に大きく、濾抗の上昇が少ない
。

【００３３】しかして、長時間濾過を続けるにつれて、
充填層内のＳＳ捕捉量が限界に達し、濾過抵抗が上昇し
、多孔通水部材７の近くに水位が上昇してくるので、そ
の時点で、原水の流入を止め、充填層の洗浄を行う。

【００３４】充填層の洗浄は、次のような方法で行うこ
とで、効果的に弾性多孔性粒状物を洗浄できる。■　　
濾過水流出管に配備した弁１４を閉じる。■　　洗浄用
水供給管の弁１５と空洗空気供給管の弁１６を開け、水
・空気同時洗浄を行う。■　　水・空気同時洗浄によっ
て、充填層内の濾材が水、空気の上昇攪乱作用によって
、流動、振動し、捕捉されていたＳＳが濾材から除去さ
れ、洗浄排水流出管８から流出する。この時多孔通水部
材７に捕捉されていた粗大物も洗い出される。■　　上
記操作を続けると、充填層が上向流によって、上部に浮
上してゆき、多孔通水部材７の下面に接する。そのまま
、水・空気同時洗浄を続けると、濾材が多孔通水部材７
に押しつけられ、流動しなくなり、また圧縮されるので
、多孔通水部材下部の洗浄排水流出管９に設けた弁１０
を開け、洗浄排水を該管９から流出させるようにする。 すると、槽内の水位が低下するので、濾材が多孔通水部
材７に押しつけられなくなり、良好に流動するようにな
り、洗浄が効果的に行える。このような洗浄時に圧力を
開放し、濾材の圧縮閉塞を解消する方法は従来知られて
いない新しい技術思想である。

【００３５】以上の操作を５〜１０分続けると、充填層
内に捕捉されていたＳＳが充分洗浄除去されるので、弁
１５、１６を閉として洗浄用水と空洗用空気の供給を止
め、濾過水流出用の弁１４を開け、洗浄排水流出用の弁
１０を閉じ原水の供給を開始する。

【００３６】この結果、多孔通水部材７上に捕捉されて
いた粗大異物と充填層内に捕捉されていたＳＳの両者を
効果的に洗浄除去できる。前記洗浄方法の工程■におい
ては、１洗浄工程中に弁１０を複数回開閉し、洗浄排水
流出管８と洗浄排水流出管９から交互に洗浄排水を流出
させ、濾材を動揺させることも効果的である。

【００３７】また、洗浄排水流出管８からの洗浄排水の
排出は必要により適宜行い、通常は洗浄当初に弁１０を
開き充填濾材を圧縮することなく洗浄を行うようにして
もよい。

【００３８】尚、充填層の下方部に酸素含有ガス１７を
供給しながら濾過操作を行うと濾材に微生物が固定化さ
れるので、好気性生物処理を同時に行える。

【００３９】

【発明の効果】本発明によれば、次のような重要な効果
が得られ、従来技術の欠点を解決できる。■　　濾材を
効果的に洗浄できる。■　　原水中の粗大異物を効果的
に除去でき、また、その洗浄も容易である。■　　濾過
層の目詰まりが少ない。濾抗上昇が遅い。■　　高い濾
過速度をとれる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の濾過装置の具体例を説明するための図
である。

【図２】従来法による濾過装置を説明する図である。

【符号の説明】

１　　本発明の濾過装置 ２　　濾過槽 ３　　充填層 ４　　支持床 ５　　濾過水流出管 ６　　原水流入部 ７　　多孔通水部材 ８　　洗浄排水流出管 ９　　洗浄排水流出管 １０　　弁 １１　　濾材流出阻止部材 １２　　洗浄用水供給管 １３　　洗浄用空気供給管 １４　　弁 １５　　弁 １６　　弁 １７　　酸素含有ガス １８　　網 １９　　スポンジ粒状物 ２０　　原水 ２１　　洗浄用水 ２２　　洗浄用空気 ２３　　濾過水

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　槽内に弾性多孔性粒状物の充填層を設
   け、該充填層の上方部に多孔通水部材を設け、該多孔通
   水部材の上部と下部に洗浄排水流出部を設けるとともに
   、前記充填層の上方に原水流入部を、充填層の下方部に
   濾過水流出口、洗浄用水供給部、洗浄用空気供給部を配
   備せしめ、さらに前記多孔通水部材下部の洗浄排水流出
   部を開閉せしめる弁を設けたことを特徴とする懸濁液の
   清澄濾過装置。
2. 【請求項２】　　請求項１記載の清澄濾過装置を洗浄す
   る方法において、該洗浄用水供給部および洗浄用空気供
   給部から水および空気を供給して該充填層を洗浄し、少
   なくとも洗浄排水を該多孔通水部材下部の洗浄排水流出
   部から排出することを特徴とする清澄濾過装置の洗浄方
   法。