JPH04360052A - 回転ヘッドドラム装置およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ヘリカルスキャン型Ｖ
ＴＲなどに使用される回転ヘッドドラム装置およびその
製造方法に係り、特に回転ドラムの構成とその外周面の
仕上げ加工工程に関する。

【０００２】

【従来の技術】ヘリカルスキャン型ＶＴＲに代表される
回転ヘッド型磁気記録再生装置では、回転ヘッドドラム
の外周面に磁気テープを巻き付けて走行させながら、テ
ープを回転ヘッドと称される磁気ヘッドに接触させる。

【０００３】回転ヘッドドラムは、例えば図５に示すよ
うに同軸的に配置された固定ドラム１と回転ドラム２か
らなり、回転ドラム２に磁気ヘッド３が外周面より僅か
に突出するように搭載される。磁気テープ４は入口ガイ
ド５および出口ガイド６により案内されて両ドラム１，
２の外周面に斜めに巻き付けられながら走行し、磁気ヘ
ッド３と接触することにより、記録再生が行われる。回
転ドラム２は記録再生時、図示しないドラムモータによ
り規定回転数で回転駆動される。

【０００４】回転ドラム２の規定回転数は、家庭用ＶＴ
Ｒ、例えばＶＨＳ方式のＶＴＲの場合で１，８００ｒｐ
ｍ程度であるが、業務用アナログＶＴＲやディジタルＶ
ＴＲになると、５，４００〜９，０００ｒｐｍ以上にも
達する。このような高い回転数下では、回転ドラム２の
外周面が遠心力により変形を起こす。こうなると回転ヘ
ッドドラムに巻き付けられながら走行しているテープ４
が幅方向に振動するようになり、テープ４の側縁が固定
ドラム１のリード面（図示せず）に対して正常な接触が
できなくなる。即ち、テープ４の正常な走行が妨げられ
、記録再生に悪影響が出てくる。具体的には、記録時に
はテープ４上の記録トラックに不規則な曲りが生じ、互
換再生に重大な影響を与え、トラッキング性能が低下す
る。

【０００５】各種電子機器の最近の傾向として軽薄短小
化があり、ＶＴＲでもそのために高密度実装が進められ
ている。ＶＴＲの中で体積的・重量的に大きな比重を占
める回転ヘッドドラムは、省電力と高密度実装の実現の
ためにドラム外周壁の肉厚を薄くする傾向にある。その
一方でディジタルＶＴＲなどでは記録情報量を大きくす
るため、回転ドラムは例えば５，４００〜９，０００ｒ
ｐｍ以上といった高速回転数で、外径寸法が４０〜９０
ｍｍ以上といったものが出現しており、規定回転数にお
いて回転ドラムの外周壁にかかる遠心力も増大している
。さらに、回転ドラムの材料については、従来のアルミ
合金に代えて最近では樹脂の使用も検討されはじめてい
る。このようなことから、回転ドラムの規定回転数下で
の外周壁の変形がますます問題視されるようになってき
た。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の回転ヘッドドラム装置では回転ドラムの規定回転数が
大きくなると、規定回転数での回転ドラム外周壁の遠心
力による変形が増大し、記録再生に悪影響が生じるとい
う問題があった。

【０００７】本発明は、回転ドラムの規定回転数での外
周壁の変形を実用上問題とならない程度に小さくした回
転ヘッドドラム装置およびその製造方法を提供すること
を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は固定ドラムと、この固定ドラムと同軸的に
配置され、記録再生時に規定回転数で回転駆動される回
転ドラムと、この回転ドラムに搭載され、固定ドラムお
よび回転ドラムの外周面上を摺動する磁気テープに対し
て接触する少なくとも１個の磁気ヘッドとを有する回転
ヘッドドラム装置において、回転ドラムが規定回転数で
回転するときその外周面の真円度が最小値を示すことを
特徴とする。

【０００９】また、本発明はこのような回転ヘッドドラ
ム装置の製造に際して、回転ドラムを規定回転数の±５
％の範囲内の回転数で回転させながら外周面を仕上げ加
工する工程を含むことを特徴とする。

【００１０】

【作用】回転ドラム外周面の寸法精度（真円度）の測定
は、従来より静止状態で行われているのが普通であるが
、静的精度がいかに向上しても実際の使用状態での動的
精度、つまり記録再生時の規定回転数での精度が低下し
ては意味がない。これに対し、本発明に従い回転ドラム
の外周面の真円度が規定回転数で最小値を示すように構
成すると、回転ヘッドドラム上でのテープの幅方向の振
動を抑制し、トラックの曲りやそれによるトラッキング
ずれのない良好な記録再生を行う上で必要なテープの走
行安定性を確保することができる。

【００１１】回転ヘッドドラムの製造工程において、回
転ドラムの外周面の仕上げ加工は、一般に旋盤を用いて
行われるが、上述した回転ドラム外周壁の動的変形は、
この外周面仕上げ加工時の旋盤の回転数と回転ドラムの
規定回転数との差によるところが大きく影響していると
考えられる。通常の旋盤は８００〜１，８００ｒｐｍ程
度が汎用的な回転数であり、従来は回転ドラムの規定回
転数に無関係に加工上の適性切削速度を考慮して旋盤の
回転数を決めて回転ドラム外周面の加工を行っていた。 これに対し、回転ドラムの外周面を旋盤等により仕上げ
加工する際、本発明に従い回転ドラムを記録再生時の規
定回転数の±５％の範囲内で回転させると、規定回転数
での回転ドラムの外周壁の遠心力による撓み量は、汎用
的な回転数で加工された場合の±１０％の範囲内に抑え
られる。この撓み量は、回転ヘッドドラム上でのテープ
の幅方向の振動を抑制し、トラックの曲りやトラッキン
グずれのない良好な記録再生を行う上で必要なテープの
走行安定性を確保する上で十分な値である。

【００１２】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。なお、本実施例に係る回転ヘッドドラムは、図５
に示したように同軸的に配置された固定ドラム１と回転
ドラム２からなり、回転ドラム２に外周面より僅かに突
出するように搭載された磁気ヘッド３と、入口ガイド５
および出口ガイド６により案内されて両ドラム１，２の
外周面に斜めに巻き付けられながら走行する磁気テープ
４とが接触することにより、記録再生が行われるものと
する。

【００１３】ここで、回転ドラム２は記録再生時に図示
しないドラムモータにより規定回転数で回転駆動される
が、その規定回転数のとき回転ドラム２の外周面の真円
度が最小値を示すように構成されているものとする。

【００１４】図１は、この回転ドラム外周面の回転数に
対する変形度合いを示す平面図および断面図であり、（
ａ）は静止時、（ｂ）は規定回転数での回転時である。 回転時の真円度の測定は、非接触変位計を用いて行った
。図に示されるように、本発明による回転ドラムは静止
時には外周面が変形しているのに対して、規定回転数で
回転している状態では外周面がほぼ真円を示しているの
が特徴的である。

【００１５】回転ドラムの回転数を規定回転数より下げ
ていくと真円度は図１（ｂ）の状態から徐々に悪化し、
最終的に図１（ａ）の状態となるが、逆に回転数を規定
回転数より上げていった場合も真円度は徐々に悪化する
。このように本発明の回転ドラムの外周面の真円度は、
規定回転数で最小値を示す。

【００１６】このような規定回転数で外周面の真円度が
最小値を示す回転ドラムは、規定回転数またはそれに近
い回転数で回転させながら旋盤等により外周面の仕上げ
加工を行うことで得られる。逆に言えば、仕上げ加工時
の回転数が規定回転数から離れている程、外周面の真円
度は劣化する。

【００１７】具体例として、外径１３５ｍｍ、外周壁の
肉厚５ｍｍのアルミニウム合金製の回転ドラムを８００
ｒｐｍで回転させながら外周面を仕上げ加工した後、規
定回転数（３，６００ｒｐｍ）で回転させて外周面の真
円度の変化を測定した結果を図２に示す。図２（ａ）に
示す静止状態での真円度は１〜２μｍであるのに対して
、３，６００ｒｐｍの回転数では図２（ｂ），（ｃ）の
ようになり、真円度は２０〜２５μｍと大きく悪化して
いる。

【００１８】一方、同様の回転ドラムを３，６００ｒｐ
ｍで回転させながら外周面を仕上げ加工した時は図１（
ｂ）のようになり、３，６００ｒｐｍでの外周面の真円
度は２〜３μｍ程度と著しく向上した。しかし、この回
転ドラムの回転数を下げてゆくと、真円度は５μｍ、１
０μｍ…と次第に悪化してゆき、３００ｒｐｍ付近では
２０μｍ程度まで悪化し、静止時には図１（ａ）のよう
な状態となり、真円度は最大２５μｍ程度まで悪化した
。

【００１９】本発明者らは、回転ドラムの外周面の仕上
げ加工時の回転数と規定回転数の関係について検討した
ところ、実用的には両者が完全に一致しなくともよく、
仕上げ加工時の回転数が規定回転数の±５％の範囲内に
あれば十分であることを見出だした。この根拠は次のよ
うに説明できる。

【００２０】回転ドラムの規定回転数時の外周壁に掛か
る荷重（遠心力）および外周壁の撓み量をそれぞれＷ，
Ｖとする。ここで、回転ドラムの外周面の仕上げ加工時
に外周面に掛かる荷重の許容範囲をＷ±１０％とすると
、これは撓み量をＶ±１０％の範囲内に規定したことと
同等である。前述した回転ドラム上でのテープの幅方向
の振動や記録トラックの曲りを抑制して、良好な記録再
生特性および良好な互換性能を得る上では、規定回転数
での回転ドラム外周面の撓み量をＶ±１０％の範囲内に
抑えることができれば十分であることが実験的に確認さ
れた。

【００２１】Ｗ＝±１０％、Ｖ±１０％を回転ドラムの
回転数に対応させると、以下のように規定回転数の±５
％に相当する。 回転ドラムの外周壁に働く遠心力Ｇは、次式で与えられ
る。 　　　　Ｇ＝［（２πｎ／６０）２　Ｒ／ｇ］　　　　
　　＝ｎ２　［（２π／６０）２　Ｒ／ｇ］　　　　　
　＝ｎ２　・Ａ　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　…（１）　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　但し、ｎ：回転ドラムの回転数（ｒｐｍ） Ｒ：回転ドラムの半径 ｇ：重力加速度 Ａは次式で表される定数である。 Ａ＝［（２π／６０）２　Ｒ／ｇ］ これより回転数ｎは、次式で与えられる。 　　　　ｎ＝（Ｇ／Ａ）１／２　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　…（２） 　　式（２）　を用いて、Ｗ−１０％，Ｖ−１０％に対
応する回転数ｎ１　と、Ｗ＋１０％、Ｖ＋１０％に対応
する回転数ｎ２　を求めると、 　　ｎ１　＝（０．９Ｇ／Ａ）１／２　＝０．９４８７
（Ｇ／Ａ）１／２　　ｎ２　＝（１．１Ｇ／Ａ）１／２
　＝１．０４８８（Ｇ／Ａ）１／２　 　　　　∴　　ｎ１　＝０．９４８７ｎｎ２　＝１．０
４８８ｎ となる。

【００２２】以上より、回転ドラムの外周面仕上げ加工
時の回転数は、規定回転数（ｎ）に対して略０．９５〜
１．０５倍の範囲、すなわち±５％の範囲内にあればよ
いことが分かる。

【００２３】なお、上述した回転ドラム外周面の仕上げ
加工に際しては、規定回転数下で真円度を最小値にしよ
うとするために、回転ドラムの回転バランスも重要なフ
ァクタとなる。そこで、外周面のみでなく内周面も外周
面と同時に仕上げ加工を行うことが望ましい。

【００２４】次に、具体的な実験結果について説明する
。図３は、規定回転数が３，６００ｒｐｍの回転ドラム
について、種々の回転数で外周面の仕上げ加工を行った
時の回転ドラムの断面形状と、その回転ドラムを用いて
構成された回転ヘッドドラムを実際にＶＴＲに組み込ん
で記録再生を行った時の再生ＲＦエンベロープおよびテ
ープパターン（テープ上の記録トラックパターン）を示
している。

【００２５】図３（ａ）は、回転ドラムを規定回転数で
回転させながら外周面の仕上げ加工を行った場合である
。外周面の真円度は良好で、再生ＲＦエンベロープ形状
は理想的であり、テープパターンもトラックが一直線と
なった良好なものとなっている。図３（ｂ）は、回転ド
ラムを規定回転数より遥かに低い回転数８００ｒｐｍで
回転させながら外周面の仕上げ加工を行った場合であり
、真円度は比較的良好でも回転ドラムがホーン状に変形
しているため、再生エンベロープは良好であるが、テー
プ上のトラックに曲りが生じ、互換再生を行う場合にト
ラッキングがとりにくい状態となっている。図３（ｃ）
は、図３（ｂ）と異なる構造の回転ドラムについて、同
じく８００ｒｐｍで回転させながら外周面の仕上げ加工
を行った場合である。この場合は真円度が大きく劣化し
ているため、テープ走行に大きな影響が生じ、自己録再
生においても再生ＲＦエンベロープは歪んでおり、テー
プパターンについてはトラックの曲りと微小のうねりが
生じ、互換性能が著しく劣化している。

【００２６】図４は、回転ドラムの外周面の仕上げ加工
専用に製作した加工機の概略図である。回転ドラム１１
はホルダ１２により回転軸１３の先端にガタを生じない
ように精度よく保持されており、回転軸１３の基端はカ
ップリング機構１４を介してモータ１５に連結されてい
る。モータ１５は、モータコントローラ１６によって制
御される。一方、加工用の刃物１７はＸ−Ｙテーブル１
８に保持され、Ｘ−Ｙコントローラ１９によって図中Ｘ
およびＹで示す方向に移動制御される。このような構成
で、モータ１５の回転数を回転ドラム１１の記録再生時
の規定回転数に対して±５％の範囲内に入るようにモー
タコントローラ１６で高精度に制御することによって、
本発明に従い回転ドラム１１の外周面の仕上げ加工を行
うことができる。

【００２７】なお、以上の実施例では規定回転数が３，
６００ｒｐｍの回転ドラムについて説明したが、５，４
００ｒｐｍ、９０００ｒｐｍといったさらに高回転数の
回転ドラムについても本発明を適用することができ、特
に高回転数の回転ドラムほど効果が顕著となる。また、
実施例では回転ドラムの材質をアルミニウム合金として
説明したが、これに限られるものではないことは勿論で
あり、また金属系でなく、樹脂でもよい。回転ドラムが
樹脂製の場合、高速回転時の撓みはより顕著となるので
、本発明による効果は一層大きい。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、高速回転する回転ドラ
ムにおいて実使用時での外周面の撓み変形を小さくでき
るため、回転ヘッドドラム上でのテープの幅方向の振動
を抑制して安定したテープ走行を実現し、記録トラック
の曲りやうねり、あるいは再生ＲＦエンベロープの劣化
を防ぐことができる。これにより、ディジタルＶＴＲや
アナログまたはディジタル方式のＨＤＴＶ用ＶＴＲなど
において、記録再生特性と再生互換性能の大幅な向上を
図ることができ、その効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】　　本発明の一実施例における回転ドラムの静
止時および規定回転数での回転時の形状を比較して示す
図

【図２】　　従来の回転ドラムの静止時と規定回転数
の回転時の形状を比較して示す図

【図３】　　ある規定回転数の回転ドラムについて種々
の回転数で外周面の仕上げ加工を行った時の回転ドラム
の断面形状と再生ＲＦエンベロープおよびテープパター
ンを示す図

【図４】　　本発明による回転ドラムの外周面の仕上げ
加工に用いた加工機の概略図

【図５】　　ＶＴＲの回転ヘッドドラムの概略図。

【符号の説明】

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固定ドラムと、この固定ドラムと同軸的に
   配置され、記録再生時に規定回転数で回転駆動される回
   転ドラムと、この回転ドラムに搭載され、固定ドラムお
   よび回転ドラムの外周面上を摺動する磁気テープに対し
   て接触する少なくとも１個の磁気ヘッドとを有し、前記
   回転ドラムは前記規定回転数で回転するとき外周面の真
   円度が最小値を示すことを特徴とする回転ヘッドドラム
   装置。
2. 【請求項２】固定ドラムと、この固定ドラムと同軸的に
   配置され、記録再生時に規定回転数で回転駆動される回
   転ドラムと、この回転ドラムに搭載され、固定ドラムお
   よび回転ドラムの外周面上を摺動する磁気テープに対し
   て接触する少なくとも１個の磁気ヘッドとを有する回転
   ヘッドドラム装置の製造に際して、前記回転ドラムを前
   記規定回転数の±５％の範囲内の回転数で回転させなが
   ら回転ドラムの外周面を仕上げ加工する工程を含むこと
   を特徴とする回転ヘッドドラム装置の製造方法。