JPH0435096Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本案は挾持体が常時開口するように発条を装備
したプライヤーに関するものである。

（従来の技術） プライヤーのような挾持工具に於ては、挾持部
が常時開口するように発条を設けておくと使用上
便利であることは周知である。従来のプライヤー
等に前記発条を設ける手段は、実開昭57−170959
号、同59−127562号、実公昭55−37325号等のよ
うに把手部間に発条の両端を装着するもの、及び
実公昭58−3661号に示されているように枢結軸部
を中心とした発条を設けたものが知られている。
また特開昭52−57600号に示されているようにリ
ング状の発条を挾持体の枢結部の互いの内面に
各々の端部を掛止してなるものも知られている。

（考案が解決しようとする問題点） 前述した発条装備のものは、発条自体が外部に
より視認されデザイン上好ましくなく、また外部
に突出して設けてあるため、工具使用上邪魔にな
る場合もある。またリング状の発条を挾持体の枢
結部内面に設けたものに於ては、その組立てが煩
雑である。

更に枢結軸孔の移動による開度切り換えに対応
できない。

そこで本案は外観上開口付勢をなす発条が隠れ
てしまい、且つその組立てが容易となり、而も開
度切り換えにも対応できるプライヤーを提供せん
としたものである。

（問題点を解決するための手段） 本案に係るプライヤーは、二個の挾持体Ａ，Ｂ
を交叉せしめ、一方の挾持体Ｂの交叉部にひよう
たん形状の軸孔６を設け、枢結軸の移動で挾持開
度の変更をなすプライヤーに於て、枢結軸３を装
着する挾持体Ａの枢結部の外面側に、軸孔５を囲
む円形溝７を穿設すると共に、円形溝の一部を貫
通する貫通長孔８を設け、別に一部を開口し且つ
開口端の一方が貫通長孔８の深さよりも長く突出
し、他方が貫通長孔の深さより短く突出したリン
グ状バネ１０を形成し、リング状バネ１０の開口
端突出部を貫通長孔８に挿置してバネ１０全体を
円形溝７内に内置し、ひようたん形状の軸孔６を
有する挾持体の内面側に、挾持体Ａ，Ｂの広開度
使用時に枢結軸３が位置する軸孔６ｂを中心とし
た貫通長孔８の回動軌跡と対応し、且つ軸孔の連
通部６ｃ近傍では長孔８の回動軌跡半径より漸次
径少となる壁面を備えた段落掛止部を設けてなる
ことを特徴とするものである。

（作用） 挾持体Ａ，Ｂを枢着すると、リング状のバネ１
０の開口端が互いに異なる挾持体側に掛止されて
いるので、バネ１０の力によつて挾持体は開口付
勢される。而もバネの他方挾持体への突出は長突
出部のみであるから、枢結軸の軸孔移動に際して
長突出部が軸孔壁面に衝突しないように段落掛止
部が設けられているので、枢結軸の移動が何等支
障なく行われる。またバネは一方の挾持体の外側
から装着できるので組立てが容易であり、更にバ
ネは枢結部材（枢結ビスの頭部又は枢結用のナツ
ト体）で隠すことができる。

（実施例） 次に本案の実施例について説明する。

最も一般的な構造のプライヤーは、挾持部１，
１′と把手２，２′よりなる二個の挾持体Ａ，Ｂを
重合して交叉せしめ、該交叉部を枢結軸（枢結ビ
ス）３及びナツト体４で枢結するものであるが、
枢結ビス３が一方の挾持体Ａと一体に回動するよ
うに枢結ビス３のビス軸ａ及び挾持体Ａの軸孔５
を扁平として幅狭部分を形成し、他方の挾持体Ｂ
の軸孔６は挾持部１，１′の開口度を広狭２段階
に調整できるように狭開度用軸孔６ａと広開度用
軸孔６ｂと前記幅狭部分が通過可能な連通部６ｃ
を有するひようたん形にしてなるものである。

本案は前述のプライヤーに於て、一方の挾持体
Ａの外面側に軸孔５を囲繞する円形溝７を穿設す
ると共に、円形溝７の一部を挾持体Ａの内面側に
迄貫通せしめた貫通長孔８を設ける。また他方の
挾持体Ｂの内面側には軸孔６の周囲が一段低くな
つた段落掛止部９を形成する。この段落掛止部９
の壁面９ａはその一部が挾持体Ａ，Ｂの広開度用
軸孔６ｂを中心とした長孔８の回動軌跡と対応せ
しめると共に、連通部６ｃの近傍では長孔８の回
動軌跡半径より径少となるよう徐々に減少させて
おり、後述するバネ１０の長突出部ｂが所定の状
況下で壁面９ａに衝突するように形成する。また
別に円形溝７と同じ大きさで一部開口したリング
状バネ１０を形成するものであるが、バネ１０は
開口部を狭ばめようとすると反撥付勢をなし、且
つ開口部の両端に貫通長孔８の深さより長い突出
部ｂと短い突出部ｃを設けたものである。

而してバネ１０を円形溝７に内置すると共に突
出部ｂ，ｃを貫通長孔８に挿入した後、従来のプ
ライヤーと同様に挾持体Ａ，Ｂを交叉せしめ、交
叉部の軸孔５，６に枢結ビス３を貫通し、枢結ビ
ス３の捻子部ｄにナツト体４を螺合するものであ
る。このときバネ１０の長突出部ｂは貫通長孔８
より突出している（第７図参照）。

従つて第８図に示すように挾持体Ａの上方に挾
持体Ｂが重ねられ、両者を狭開度用軸孔６ａで枢
着しているときは、挾持体Ａ，Ｂの把手２，２′
を握持して挾持部１，１′間を閉じると、バネ１
０の長突出部ｂが段落掛止部９の壁面９ａに衝突
し、短突出部ｃ方向に押圧移動せしめられ、バネ
１０の開口部が接近するので、把手２，２′への
握持力を解放するとバネ１０の反撥力で自然に挾
持部１，１′が開口する。更に挾持体Ａ，Ｂを挾
持部１，１′が開口する方向に回動すると、長突
出部ｂは他方の広開度用軸孔６ｂ内で移動し、段
落掛止部９の壁面９ａに衝突するまで大きく開口
できる。

また枢結ビス３の軸孔選択のための移動は、従
前のプライヤーと同様に、挾持体Ａ，Ｂを開披方
向に回動し、枢結ビス３の幅狭部分を軸孔６の連
通部６ｃに対面させ、広開度側の軸孔６ｂに移行
すれば良いもので、その際リング状バネ１０の長
突出部ｂは常に広開度用軸孔６ｂの範囲若しくは
段落掛止部９に位置するので、前記の枢結ビス３
の移行には何等の支障とならない（第９図参照：
第８図同様に挾持体Ａの上方に挾持体Ｂを重ねて
いる）。

次に枢結ビス３を広開度用軸孔６ｂに位置せし
めた場合について第１０図に基づいて説明する。
リング状バネ１０の長突出部ｂが段落掛止部９内
に位置するときは、下方側に図示された挾持体Ａ
及び上方に重ね合わさつて図示されたＢは自由な
回動がなされ、挾持体Ａ，Ｂを挾持部１，１′が
閉じる方向に回動した際に、長突出部ｂが段落掛
止部９の壁面９ａに衝突し、更に強く把手２，
２′を握持して挾持部１，１′を接近させるように
挾持体Ａ，Ｂを回動すると、長突出部ｂが短突出
部ｃ側に押圧移動されることになり、把手２，
２′の開放で挾持部１，１′がバネ１０の作用で開
口側に開くものである。

（考案の効果） 本案は以上のように開度調整可能にひようたん
形の枢結軸孔を備えたプライヤーに於て、一方の
挾持体の枢結部に一部開口したリング状バネを内
装し、挾持部の挾持作用がなされる範囲にバネの
開口一端が他方の挾持体に掛止するようにしたも
ので、広狭いずれの軸孔を使用したとしても挾持
部を閉じる方向に力を加えると、バネの反撥力が
働くため、使用に際して握持力を解放するだけで
挾持部が開口するので非常に使用し易いことは勿
論、外観的に従来の一般的なプライヤーと全く同
一であり、開口機能による部材の外部への突出等
が全くなく、更に当該機能を発揮させるべく部材
の組み込みも容易に行うことができたものであ
る。更に挾持体の最大開度も段落掛止部の形状に
よつて任意に定めることができる利点も有するも
のである。

【図面の簡単な説明】

図は本案の実施例を示すもので、第１図は正面
図、第２図は枢結ビスを備えた挾持体を示すもの
でイは外面側、ロは内面側、ハは要部断面を示
し、第３図はひようたん形のビス孔を備えた挾持
体を示すものでイは外面側、ロは内面側、ハは要
部断面を示し、第４図は枢結ビスの斜視図、第５
図はバネ板の斜視図、第６図はナツト体の斜視
図、第７図はバネの突出部の状態を示す要部斜視
図、第８図は狭開度用軸孔使用時の開口作動を示
す説明図、第９図は使用軸孔変更時の枢結軸の移
動を示す説明図、第１０図は広開度用軸孔使用時
の開口作動を示す説明図である。 １，１′は挾持部、２，２′は把手、３は枢結ビ
ス（枢結軸）、４はナツト体、５，６は軸孔、７
は溝、８は長孔、９は段落掛止部、１０はバネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 二個の挾持体Ａ，Ｂを交叉せしめ、一方の挾持
   体Ｂの交叉部にひようたん形状の軸孔６を設け、
   枢結軸の移動で挾持開度の変更をなすプライヤー
   に於て、枢結軸３を装着する挾持体Ａの枢結部の
   外面側に、軸孔５を囲む円形溝７を穿設すると共
   に、円形溝の一部を貫通する貫通長孔８を設け、
   別に一部を開口し且つ開口端の一方が貫通長孔８
   の深さよりも長く突出し、他方が貫通長孔の深さ
   より短く突出したリング状バネ１０を形成し、リ
   ング状バネ１０の開口端突出部を貫通長孔８に挿
   置してバネ１０全体を円形溝７内に内置し、ひよ
   うたん形状の軸孔６を有する挾持体の内面側に、
   挾持体Ａ，Ｂの広開度使用時に枢結軸３が位置す
   る軸孔６ｂを中心とした貫通長孔８の回動軌跡と
   対応し、且つ軸孔の連通部６ｃ近傍では長孔８の
   回動軌跡半径より漸次径少となる壁面を備えた段
   落掛止部を設けてなることを特徴としてなるプラ
   イヤー。