JPH0435097Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本案は挾持部が常時開口するように発条を装備
したウオーターポンププライヤーに関するもので
ある。

（従来の技術） プライヤーのような挾持工具に於ては、挾持部
が常時開口するように発条を設けておくと、使用
上便利であることは周知である。従来のプライヤ
ー等に前記発条を設ける手段は、実開昭57−
170959号、同59−127562号、実公昭55−37325号
等のように把手部間に発条の両端を装着するも
の、及び実公昭58−3661号に示されているよう
に、枢結軸部を中心とした発条を設けたものが知
られている。またウオーターポンププライヤーに
あつては、実公昭39−1391号に示されているもの
が知られている。これは枢結軸孔を多段に設け、
枢結軸を移行することで挾持部の開口度調整を行
つている周知のものと異なり、枢結軸の保持を多
段に形成した掛止歯に対し掛止するようにしたも
ので、爪体と掛止歯との噛合を維持するための発
条付勢が結果的に挾持部の開口付勢となつている
ものである。

（考案が解決しようとする問題点） ウオーターポンププライヤーにおいて、挾持部
に開口付勢機能を有せしめる公知の前記手段は、
枢結部分の固定即ち挾持部の回動中心の保持を爪
体と掛止歯の噛合とで行つている。このため噛合
部には強い力が加わるので、噛合形状を正確に且
つ堅牢に形成する必要があり、必ずしもその製造
が容易であることは云えない。また開口付勢と開
口度調整を同時に行つているため、若し何等の原
因でバネが損傷すると工具として全く使用できな
くなる。

そこで本案は枢結軸位置を中心とする凸条と凹
溝の噛合によつて、開口度調整を行つているウオ
ーターポンププライヤーに開口付勢機能を付与せ
んとしたものである。

（問題点を解決するための手段） 本案は前記に凸条と凹溝の噛合によつて開口度
調整を行つているウオーターポンププライヤーに
於て、枢結軸体を遊挿し且つ掛止部を設けた移動
体を移動長孔に嵌装し、軸体を備えた挾持体の表
面側に、軸体を中心とする円形状の溝を設けると
共に、溝の一部を掛止部となる壁面を有する貫通
長孔に形成し、一部開口すると共に開口端を突出
せしめたリング状バネを前記溝に内置すると共
に、バネ板の開口端の一方を貫通長孔を通して移
動体の掛止部に掛止し、他方の開口端を貫通長孔
の壁面に当接掛止し、少なくとも貫通長孔は前記
当接掛止位置の挾持部開口角度から凸条と凹溝の
噛合離脱角度までの角度領域と対応する長さに設
けてなるものである。

（作用） リング状バネの開口端の一方を移動体に掛止
し、他方を貫通長孔の壁面（端縁）に掛止してい
るので、把手を動作せしめて挾持部が互いに接近
するように回動させると、移動体は一方の挾持体
と一緒に回動動作し、貫通長孔の端縁（当接掛止
部）は他方の挾持体と一体に回動動作する。この
ためリング状バネは開口端同士が接近せしめら
れ、前記回動動作を行う力を解除するとリング状
バネの反発力で挾持部が互い開口方向に戻るもの
である。また従前のウオーターポンププライヤー
と同様に挾持体を開口方向に互い回動し、凹溝と
凸条の噛合を解除すると、軸体は移動長孔に添つ
て移動できるので開口度は任意に調整できる。

（実施例） 次に本案の実施例について説明する。

ウオーターポンププライヤーは、把手部１，
１′及び嘴状挾持部２，２′を形成した二本の挾持
体Ａ，Ｂを組み合わせてなるもので、一方の挾持
体Ａには扁平にしたビス孔３に軸部ａを扁平とし
た枢結軸体４を挿着して一体にし、且つ内面側に
該軸体４を中心とした弧状の凸条５を設けてな
り、他方の挾持体Ｂには前記枢結軸体４の移動長
孔６を把手方向に穿設すると共に、凸条５と対応
する凹溝７を形成し、前記枢結軸体４を長孔に挿
通して枢結軸体４の捻子部６にナツト体８を螺合
してなるものである。

本案は前記構造のウオーターポンププライヤー
に開口付勢機能を有せしめたもので、挾持体Ａに
設ける溝９、及び別に形成するリング状バネ１０
並びに移動体１１で構成される。

溝９は挾持体Ａの外側面にビス孔３を弧状に囲
むように穿設して設けると共に、一部を貫通せし
めて貫通長孔１２を設ける。リング状バネ１０は
溝９内に入る大きさで、一部を開口してなり、開
口部を閉じる方向に力を加えると反発する作用を
有し、開口端部に高低の突出部ｃ，ｄを設けたも
のである。また移動体１１は長孔６内を移動でき
る幅で且つ挾持体Ｂと同じか若しくは薄くした大
きさで、枢結軸体４が挿通され得る軸孔ｅ及び掛
止孔ｆを設けたものである。

而してバネ１０を溝９内に内置すると共に、突
部ｃ，ｄを貫通長孔１２内に差し入れ、高い突部
ｃを内面側に突出せしめる。次に移動体１１の軸
孔ｅに枢結軸体４を遊挿し、且つバネ１０の突部
ｃを掛止部ｆに掛止し、然る後移動体１１が長孔
６内に位置するように挾持体Ａ，Ｂを重ね合わ
せ、枢結軸体４にナツト体８を螺合してなるもの
である。

尚貫通長孔１２は、挾持体Ａ，Ｂを閉口方向に
回動させた際に全部閉口する前の適宜な開口角度
のとき、突部ｄが貫通長孔１２の端縁に衝突し、
逆に挾持体Ａ，Ｂを開口方向に回動させた際には
少なくとも凸条５と凹溝７の噛合が離脱する角度
まで他方端縁に衝突しない範囲に設けてなる。

従つて挾持部２，２′が適当な開口度で安定
（バネ１０に圧縮方向の力が加われていない状態）
し、挾持部２，２′で物を挾持するため閉口する
と移動体１１が挾持体Ｂと共に回動してバネ１０
が圧縮（突部ｃは回動体１１に掛止、突部ｄは貫
通長孔１２の端面に衝突）されるので、把手１，
１′への握持力を解放すると自然に挾持部２，
２′が開口するものである。また挾持部２，２′間
をより広く開口する方向に挾持体Ｂを回動した場
合、移動体１１と共にバネ１０も移動して凹溝７
が凸条５から離脱するので、挾持部の開口度の切
換えを行うことができるものである。

（考案の効果） 本案は以上のように従前より広く実施されてい
る構造のウオーターポンププライヤーに於て、枢
結軸移動用の長孔内に納まる移動体を設け、該移
動体に軸体を中心として回動付勢をなす発条を付
設して開口付勢機能を有せしめ、より使い易く
し、更にこの開口付勢機能を付与するに於て、従
前より広く実施されている構造のプライヤーに円
形の溝及び貫通長孔を形成すると云う僅かな工程
を付加すると共に、バネと移動体と云う部品を用
意するのみで実施でき、その製造が容易であり、
而も従前からの金型をそのまま利用できる利点を
有し、またウオーターポンププライヤーとしての
機能部分と回動付勢機能部分は互いに独立して機
能しているので、仮りにバネの損傷等が生じて
も、ウオーターポンププライヤーとしての使用機
能は損なわれることがない。

【図面の簡単な説明】

図は本案の実施例を示すもので、第１図はプラ
イヤー全体の正面図、第２図は一方の挾持体を示
すものでイは外面を示し、ロは内面を示す。第３
図は他方の挾持体を示すものでイは外面を示し、
ロは内面を示す。第４図は回動体の斜視図、第５
図は枢結軸体の斜視図、第６図はバネの斜視図、
第７図は挾持体に軸体及びバネを装着した状態を
示すものでイは内面側を示し、ロは要部断面を示
し、第８図は大きく開口したときの挾持体と軸体
及びバネの状態を示すものである。 １，１′は把手、２，２′は挾持部、３はビス
孔、４は枢結軸体、５は凸条、６は移動長孔、７
は凹溝、８はナツト体、９は溝、１０はバネ、１
１は移動体、１２は貫通長孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 把手先部に嘴状の挾持部を形成した２本の挾持
   体の一方の内面側に枢結軸体を突設すると共に、
   軸体を中心とした弧状の凸条を設け、他方の挾持
   体に移動長孔を把手方向に穿設すると共に、内面
   側に前記凸条と対応する凹溝を適当数並列して形
   成し、該軸体を前記長孔に挿通して適宜な抜き止
   めを施して挾持体を連結すると共に、凸条と凹溝
   を噛合して挾持部を適宜開口度で開閉可能とした
   ウオーターポンププライヤーに於て、軸体を遊挿
   し且つ掛止部を設けた移動体を前記移動長孔に嵌
   装し、軸体を備えた挾持体の表面側に、軸体を中
   心とする円形状の溝を設けると共に、溝の一部を
   掛止部となる壁面を有する貫通長孔に形成し、一
   部開口すると共に開口端を突出せしめたリング状
   バネを前記溝に内置すると共に、バネ板の開口端
   の一方を貫通長孔を通して移動体の掛止部に掛止
   し、他方の開口端を貫通長孔の壁面に当接掛止
   し、少なくとも貫通長孔は前記当接掛止位置の挾
   持部開口角度から凸条と凹溝の噛合離脱角度まで
   の角度領域と対応する長さに設けてなるウオータ
   ーポンププライヤー。