JPH04350195A - 表面処理AlまたはAl合金材 - Google Patents

表面処理AlまたはAl合金材

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JPH04350195A
JPH04350195A JP17427691A JP17427691A JPH04350195A JP H04350195 A JPH04350195 A JP H04350195A JP 17427691 A JP17427691 A JP 17427691A JP 17427691 A JP17427691 A JP 17427691A JP H04350195 A JPH04350195 A JP H04350195A
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plating layer
treated
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alloy
oxide
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Masamichi Aono
雅路 青野
Toshihiro Chikada
近田 敏弘
Soichi Hayashi
林 壮一
Asao Mochizuki
望月 朝夫
Hiroshi Sato
佐藤 廣士
Tsugumoto Ikeda
池田 貢基
Atsushi Hisamoto
淳 久本
Nagisa Takee
武江 なぎさ
Toshiki Ueda
利樹 植田
Masao Takemoto
竹本 政男
Hideo Fujimoto
日出男 藤本
Akihiro Tsuruno
招弘 鶴野
Kikuro Toyose
豊瀬 喜久郎
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の各種車輛の
パネル材や家庭用電気製品の外板材、建築材料等の様に
、プレス成形等の加工、スポット溶接やレーザー溶接、
及びりん酸塩等による化成処理の後塗装して使用される
分野に使用される、接着性、加工性、スポット溶接性、
レーザー溶接性、耐系錆性、りん酸塩処理性、塗膜密着
性、塗装後耐食性等に優れた表面処理AlまたはAl合
金材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】AlまたはAl合金材(以下、Al合金
材で代表する)は、軽量でしかも優れた耐食性及び意匠
性を有していることから、家庭用電気製品の外板材や建
築材等の分野で広く利用されている。
【0003】また最近では、車体の軽量化を目的として
自動車等の車輛分野にもAl合金材が利用される様にな
り、それに伴って、プレスしたり、溶接、更には塗装し
て利用される機会も増えている。
【0004】しかしAl合金材はその表面が安定な酸化
皮膜(不働態皮膜)で覆われているため、従来の鋼板や
表面処理鋼板に比べて接着性、加工性、溶接性(スポッ
ト溶接やレーザー溶接等)及び塗装性が悪く、また塗装
前の下地処理として行なわれるりん酸塩処理性が悪いた
め塗膜密着性や塗装後耐食性も十分に改善されないとい
う問題があった。即ち、自動車分野等においては、各パ
ーツをプレス成形等によって所定の形状に加工した後、
スポット溶接やレーザー溶接等によって組立て、あるい
は接着剤によって所定部位に接合されるが、Al合金材
は通常の鋼板に比べて接着性や加工性に劣り、しかもス
ポット溶接性やレーザー溶接性も悪い。
【0005】更には塗装性の改善を目的として行なわれ
るりん酸塩処理工程でAl合金材表面からりん酸塩浴中
にAlが溶出し、溶出したAlイオンによって被処理金
属材表面へのりん酸塩皮膜形成が阻害されるという問題
がある。こうした問題を解消するため特開昭61−15
7693 号公報には、Alイオンの溶出を防止するこ
とを目的として、Al合金材の表面にZn系めっきやF
e系めっき等を形成する方法が提案されている。しかし
、これらのめっき層はAl合金材に対する密着性が良く
ないため、プレス成形工程やスポット溶接工程等でめっ
き層の剥離が起こる。その結果、りん酸塩処理時にAl
の溶解が生じて緻密なりん酸塩皮膜の形成が阻害される
とか、プレス成形後りん酸塩処理までの待ち時間が長い
場合に、裸のAl表面が酸化されてりん酸塩処理性が悪
くなってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、加工
性に優れ、且つりん酸塩処理性が良好であって、りん酸
塩処理後における塗膜密着性及び塗装後耐食性(耐糸錆
性や耐塗膜膨れ性)に優れた表面処理AlまたはAl合
金材を提供しようとするものである。
【0007】本発明の他の目的は、加工性、接着性ある
いは溶接性の良好なAlまたはAl合金材を提供しよう
とするものである。
【0008】本発明の更に他の目的は、上記表面処理A
lまたはAl合金材をりん酸塩処理して良好な化成処理
皮膜を形成し、これに塗装を施すことによって、塗膜密
着性及び耐食性の良好な、塗装された表面処理Alまた
はAl合金材を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決する為の手段】上記本発明の目的は、Al
合金基材の表面に、■Zn及びFeを主成物とするめっ
き層、好ましくはZn含有量が 1〜99wt%、Fe
含有量が99〜1 wt%で且つ、組織的に見てZnの
η相とFeのα相との混相からなり、しかもZn−Fe
金属間化合物を含有しないZn−Fe系めっき層、■め
っき層を構成する平均結晶粒径が0.5 μm 以下で
あるZn−Fe系めっき層、好ましくはこうした要件に
加えてFe含有量が1〜25wt%、Zn含有量が99
〜75wt%に特定されたZn−Fe系めっき層、ある
いは■Fe:1〜25wt%、Zn:98〜55wt%
およびSi酸化物、Al酸化物、Al水酸化物よりなる
群から選択される化合物:1〜20wt%からなる複合
皮膜を形成することによって達成される。
【0010】上記Zn−Fe系めっき層はAl合金基材
の加工性、接着性、スポット溶接性、レーザー溶接性を
高めると共に、りん酸塩処理性を著しく高める作用を有
するものであり、こうした作用効果は、上記Zn−Fe
系めっき層の付着量を0.1 〜3g/m2 とするこ
とによって最も効果的に発揮される。
【0011】また上記Zn−Fe系めっき層の形成され
た表面処理Al合金材をりん酸塩処理するに当たっては
、該めっき層中のZn及びFeのすべてを該りん酸塩処
理完了時点でりん酸亜鉛(ホパイト)及び/又はりん酸
亜鉛鉄(ホスホフェライト)からなる化成処理皮膜に変
え、しかる後に塗装皮膜を形成すれば、塗膜密着性及び
塗装後耐食性の極めて良好な塗装Al合金材を得ること
ができる。
【0012】
【作用】本発明者らはまずAl合金材の加工性を改善す
ることを目的として、Al合金材の表面に潤滑性の良い
Zn及びFeを主成分とするめっき層を形成することを
検討した。その結果、同じZn−Fe系のめっき組成で
あっても、相構造の違いによって加工性が変わってくる
ことを知った。通常の電気めっきによって形成されるZ
n−Fe系めっき層にはΓ相やδ相等のZn−Fe系金
属間化合物が生成し、加工時にめっき層剥離を生じ易く
なる。これは、生成した上記Zn−Fe系金属間化合物
が硬くて脆いため、加工時に割れてパウダー状に剥離す
る所謂パウダリング現象を起こすためと考えられる。
【0013】ところが、Zn−Fe系めっき層の相構造
がZnのη相とFeのα相の混相となり、しかもZn−
Fe金属間化合物を含有しないものである場合は、上記
の様なパウダリング現象を生じることがなく、優れた加
工性を与ええることが確認された。しかも該Zn−Fe
系めっき層中の上記η相とα相は、りん酸塩処理の際に
、該めっき層表面においてη相をアノード、α相をカソ
ードとする局部電池を形成し、その結果均一で緻密なり
ん酸塩皮膜を形成し易くなることも確認された。
【0014】そして上記の様な相構造のZn−Fe系め
っき層の形成方法は限定されないが、特に、ZnとFe
イオンを含むめっき液を用いた置換めっき法を採用する
ことによって容易に得ることができる。また上記相構造
を有するものであれば、該Zn−Fe系めっき層中のZ
n及びFeの含有量はZn: 1〜99wt%、Fe:
 1〜99wt%といった広い範囲に設定することがで
きるが、より好ましいのはZn:80〜98wt% 、
Fe:2〜20wt%の範囲である。
【0015】上記ではZn−Fe系めっき層の相構造の
面から加工性に及ぼす影響を検討したが、このほか、該
Zn−Fe系めっき層を構成する平均結晶粒径も加工性
と密接な関係を有しており、該平均結晶粒径が0.5 
μm 以下であるものは、めっき層の潤滑性が良好であ
って優れた加工性を発揮するばかりでなく、結晶粒径が
細かいことによってりん酸塩処理時におけるりん酸塩皮
膜形成時の核生成数も増大し、緻密なりん酸塩皮膜が形
成される。その結果、その上に形成される塗膜の密着性
が向上すると共に、塗装後耐食性も改善される。
【0016】この様な平均結晶粒径を持ったZn−Fe
系めっき層を得るには、該めっき層を構成するZn及び
Feの各含有量をZn:99〜75wt%、Fe:1〜
25wt%、より好ましくはZn:98〜80wt%、
Fe: 2〜20 wt %の範囲にするのがよい。ま
たこうした好適平均結晶粒径を満足するZn−Fe系め
っき層が、同時に前記Znのη相とFeのα相の混相か
らなるものである場合は、加工性及びりん酸塩処理性が
一段とすぐれたものとなる。しかも上記成分組成の要件
を満たすZn−Fe系めっき層を形成したAl合金材は
、接着性においても非常に優れたものであり、公知の種
々の接着剤を用いて様々の被着体に対して強固に接合す
ることができる。
【0017】上記の様に本発明では、Al合金基材の表
面に形成されるZn−Fe系めっき層の相構造あるいは
平均結晶粒径を特定することによって、前述の如く加工
性、接着性及びりん酸塩処理性を改善することができる
が、更に該Zn−Fe系めっき層表面におけるレーザー
光の反射率が3%未満であるものは、レーザー溶接性も
極めて良好であり、レーザービームを利用した高速溶接
でも信頼性のある溶接継手を確保し得ることが確認され
た。
【0018】またAl合金基材の加工性、接着性及びり
ん酸塩処理性を高める他の手段として、Zn−Fe系め
っき層中にSi酸化物、Al酸化物、Al水酸化物より
なる群から選択される少なくとも1種の化合物を混入さ
れる方法が有効である。即ちこれらの酸化物や水酸化物
をZn−Fe系めっき層中に分散させておくと、これら
が固体潤滑剤としての作用を発揮しZn−Fe系めっき
材自体の有する潤滑作用とも相まって、加工時における
該めっき層の摺動特性が著しく改善され、優れた加工性
が得られる。
【0019】しかもSi酸化物、Al酸化物及びAl水
酸化物は、いずれも極性基を有する接着剤との親和性を
高める作用が有り、接着性の向上に寄与する。更にこれ
らの酸化物や水酸化物はいずれも電気抵抗が大きく、ス
ポット溶接時の発熱効率を高める作用を有しているので
、加工性と共にスポット溶接性も高められる。この場合
、Al酸化物及びAl水酸化物については、りん酸塩処
理性を悪化させることがあるので、Zn−Fe系めっき
層内へ分散させて表面への過剰析出を防止し、且つZn
−Feを連続相とする分散状態で存在させることが望ま
れる。
【0020】これに対しSi酸化物はりん酸塩処理性を
阻害する恐れもないので、Si酸化物をZn−Fe系め
っき層内の表面に層状に形成することができ、それによ
り接着性、加工性、スポット溶接性を一層効果的に高め
ることができる。
【0021】また該めっき層のAl合金基材に対する密
着性を高めるうえでは、Al合金基材界面側をFeリッ
チなものとするのが好ましい。従って、Zn、Fe、S
i酸化物よりなる複合めっき層における最良のめっき層
構成は、Al合金基材界面側をFeリッチとし、その上
部側をZnリッチとし、最表層部にSi酸化物層を形成
した略3層構造のめっき層である。尚これらの各層は、
相互に若干の拡散を許すものとする。
【0022】尚、上記の様にZn,Feと共にSi酸化
物、Al酸化物またはAl水酸化物の複合されためっき
層においては、Si酸化物等の潤滑作用によって加工性
が改善されるため、Zn及びFeの相構成及び平均結晶
粒径はどの様なものであってもよい。しかしこの場合で
も、連続相を構成するZn−Fe相を、前述の如くZn
のη相とFeのα相の混相によって構成し、また平均結
晶粒径が0.5 μm 以下のものとすることが好まし
いことは勿論であり、この様なめっき層が置換めっき法
によって容易に得られることは先に述べた通りである。
【0023】またこの様にして得られる表面処理Al合
金材は、その表面におけるレーザー光線の反射率が3%
未満の値を示すときに優れたレーザー溶接性を発揮し、
レーザー溶接によって能率的且つ確実な溶接を行なうこ
とができるので好ましい。Zn及びFeと共にSi酸化
物、Al酸化物またはAl水酸化物を含有する場合にお
ける該めっき層の好ましい成分組成は、Zn:98〜5
5wt%(より好ましくは95〜60wt%)Fe:1
〜25wt%(より好ましくは 2〜20wt%)Si
酸化物、Al水酸化物よりなる群から選択される少なく
とも1種の化合物 (A) :1〜20wt%(より好ましくは 3〜20
wt%)であり、化合物(A) の含有率が上記範囲未
満ではその添加効果が十分に発揮されず、逆に多過ぎる
とめっき層が脆くなって、加工時にめっき層がパウダリ
ング等を起こし易くなる。また該めっき層中のFe含有
率が上記範囲未満では、加工性及びりん酸塩処理性が不
十分となる。 またFe含有率が上記範囲を超えると、該めっき層のA
l合金基材に対する密着性が低下してプレス成形時にめ
っき剥離を起こし易くなる。
【0024】本発明でAl合金基材表面に形成されるめ
っき層の構成は以上の通りであり、必須成分としてZn
とFeあるいはこれらと共にSi酸化物、Al酸化物及
びAl水酸化物よりなる群から選択される1種以上の化
合物(A) を含むものであるが、該めっき層中には更
に他の成分として、前述の作用効果に悪影響を及ぼさな
い範囲でCu,Mg,Cr,Mnなどの金属あるいはそ
れらの酸化物や水酸化物等を微量含有させることもでき
る。
【0025】また該めっき層の形成方法としては、置換
めっき法や電気めっき法あるいはこれらを組合わせた方
法が好ましく、中でも特に好ましいのは置換めっき法で
ある。置換めっき法を採用する場合は、ZnイオンとF
eイオンを含むアルカリ溶液をめっき液として常法に従
って実施すればよく、またこのめっき液中にAlイオン
を共存させておくと、Zn−Feを連続相としこの中に
Al水酸化物の分散された複合めっき層を得ることがで
き、また該めっき液中に珪酸塩を共存させておけば、主
としてZn−Feよりなるめっき層の表層にSi酸化物
層が形成されためっき層を得ることができる。
【0026】またAl酸化物粉末の分散された酸性質の
Zn−Feめっき液を用いて攪拌しつつ電気めっきを行
なえば、Zn−Fe中にAl酸化物の分散された複合め
っき層を形成することができる。
【0027】本発明が適用されるAl合金基材の種類は
特に制限されず、Alと共にMg,Cu,Mn,Si,
Zn,Cr,Ni等の金属の1種以上を合金成分として
含む様々のAl合金材が包含されるが、これらの中で最
も一般的なのはAl−Mg系合金及びAl−Mg−Si
系合金である。尚基材として純Alを使用することも可
能である。またその形状としては、最も汎用性の高い板
状物(薄板、厚板)のほか、棒状物、線状物、管状物等
が、用途、目的に応じて選択使用できる。
【0028】ところで本発明の表面処理Al合金材は、
前述の如くプレス等の成形加工の後、溶接による他の部
材との組立てを行ない、次いでりん酸塩処理により化成
処理皮膜を形成してから、美装の為の塗膜形成が行なわ
れるが、該塗膜形成時における塗料の塗装性、塗膜密着
性及び塗装後耐食性を高めるには、りん酸塩処理工程で
前記Zn−Fe系めっき層内のZn及びFeのすべてを
りん酸亜鉛(ホパイト)および/またはりん酸亜鉛鉄(
ホスホフェライト)よりなる化成処理皮膜に変え、化成
処理後の状態では金属Zn及び金属Feが殘らない様に
すべきであることが明らかとなった。
【0029】即ち通常の鉄鋼材にZn系めっきを施こす
のは、主としてZn系めっき層の犠牲陽極作用を活用し
て鉄鋼材の耐食性を高めるためであり、鉄鋼材の耐食性
(特に耐孔あき性)を高めるには、りん酸塩処理を行な
った後においてもZn系めっき層を残存させておくこと
が必要である。これに対し、本願発明においてAl合金
基材にZn−Fe系めっき層を形成するのは、前述の如
く接着性、加工性、溶接性を高めると共にりん酸塩処理
性を高めるためである。
【0030】そしてAl合金材はそれ自身優れた耐孔あ
き性を有しているので、プレス成形や溶接の後、塗膜密
着性改善のためのりん酸塩処理を施して塗膜密着性の一
層の向上が図られた後まで、Zn−Fe系めっき層を残
存させなければならないという必然性はなく、むしろ化
成処理後に金属Znや金属Feが残存すると、これらが
腐食環境下で腐食反応を起こし、塗膜膨れの原因となる
【0031】従って本発明の上記表面処理Al合金材を
りん酸塩処理し次いで塗装を行なう際には、りん酸塩処
理工程でZn−Fe系めっき層中のZn及びFeのすべ
てをりん酸亜鉛(ホパイト)及び/又はりん酸亜鉛鉄(
ホスホフェライト)に変えてから塗装を行なうと、優れ
た塗膜密着性が得られると共に、該塗装Al合金材を腐
食環境に曝した場合でも塗膜膨れが起こらず、優れた塗
装後耐食性が発揮される。
【0032】りん酸塩処理によって得られる化成処理皮
膜(りん酸塩皮膜)の構成は、Zn−Fe系めっき層を
構成するZnとFeの比率によって変わり、該めっき層
中のFe含有量が70wt%程度未満である場合は、実
質的にりん酸亜鉛を主体とする化成処理皮膜が得られ、
Fe含有量が70wt%を超える場合は、りん酸亜鉛と
りん酸亜鉛鉄の混合組成よりなる化成処理皮膜が得られ
るが、いずれのりん酸塩皮膜であっても優れた塗膜密着
性及び塗装後耐食性が得られる。
【0033】いずれにしても本発明に係る表面処理合金
材は、りん酸塩処理後の状態でZn−Fe系めっき層中
のZn及びFeのすべてをりん酸塩に変える必要があり
、前記Zn−Fe系めっき層の肉厚が厚すぎると、りん
酸塩処理後もZnやFeが残って塗装後耐食性を十分に
改善できなくなる恐れがあるので、Zn−Fe系めっき
材の付着量で3g/m2程度以下、より好ましくは1.
5g/m2 程度以下に抑えるのがよい。但しめっき付
着量が少な過ぎると、Al合金基材の表面をめっき材で
均等に被覆することが困難になり、加工性や溶接性を十
分に改善し得なくなるので、めっき付着量で0.1g/
m2 程度以上、より好ましくは 0.5g/m2以上
とすべきである。
【0034】そして付着量が0.1 〜3g/m2、よ
り好ましくは 0.5〜1.5 g/m2のZn−Fe
系めっき層によって被覆されたAl合金材は、該めっき
層の作用によって優れた加工性、溶接性及びりん酸塩処
理性が得られると共に、該めっき層中のZnやFeは、
りん酸塩処理工程ですべてがりん酸亜鉛もしくはりん酸
亜鉛鉄よりなる化成処理皮膜に変わり、優れた塗装性が
得られると共に、塗膜膨れ等を生ずることのない塗装後
耐食性の良好な塗装Al合金材を与える。
【0035】尚、化成処理皮膜(りん酸塩皮膜)の表面
に塗布される塗料の種類は特に限定されないが、優れた
塗膜密着性を得るうえで特に好ましいのは、分子中に水
酸基やアミノ基等の極性基を有する樹脂を主成分とする
ものであり、この様な樹脂塗料を使用すると、塗料中の
極性基とりん酸塩皮膜の間で水素結合が形成され、高レ
ベルの塗膜密着性が得られると共に、塗装後耐食性も高
められる。この様な好ましい樹脂塗料としては、エポキ
シ系樹脂塗料、アルキドメラミン系樹脂塗料、アクリル
系樹脂塗料、ポリブタジエン系樹脂塗料等が挙げられ、
中でもエポキシ系樹脂塗料やアルキドメラミン系樹脂塗
料は塗膜特性においても優秀なものであり、特に好まし
いものとして推奨される。
【0036】次に実施例を挙げて本発明の構成及び作用
効果をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に
よって制限を受けるものではない。
【0037】
【実施例】実施例1 Al合金基材表面に形成されるZn−Fe系めっき層の
相構造をη相とα相の混相とすることによる加工性及び
りん酸塩処理性の改善効果を確認するため、次の実験を
行なった。
【0038】即ちAl板、Al−Mg系合金(JIS 
 A  5182)及びAl−Si−Mg系合金(JI
S  A  6009)よりなる圧延板を使用し、これ
らの表面に、置換めっき法あるいは電気めっき法によっ
て、表1に示す種々のZn−Fe系めっきを施し、X線
回折法によってめっき層の相構造を調べた。尚、めっき
層の付着量およびめっき組成は、濃硝酸によってめっき
層を溶解除去した後の重量減少量から付着量を算出し、
また溶解しためっき成分の化学分析によってめっき組成
を求めた。得られた各めっき材の加工性及びりん酸塩処
理性を下記の方法で調べた。結果を表1に示す。
【0039】加工性:エクセリン試験での最大張出し高
さにて評価した。 Al合金基材サイズ:1.0 ×70×200mmしわ
押え力  :1.1 t ポンチ径    :20mmφ 評価:○  最大張出し高さ9mm以上△  最大張出
し高さ8.5 〜9mm×  最大張出し高さ8.5 
mm
【0040】りん酸塩処理性:市販の浸漬型りん酸塩処
理液(日本パーカライジング社製の「パルボンドU」)
を用いて2分間りん酸塩処理した後のりん酸塩皮膜の被
覆率にて評価した。 評価:○  皮膜被覆率95%以上 △  皮膜被覆率85〜95% ×  皮膜被覆率85%以下
【0041】
【表1】
【0042】表1に示されるように本発明の実施例1〜
9は加工性及びりん酸塩処理性が共に優れており、めっ
き剥離も生じなかった。一方比較例10はめっき付着量
が不足しているので、また比較例11〜14はめっき層
の相構造がη相とα相で構成されていないので、比較例
15はめっき層が形成されていないので、夫々加工性或
はりん酸塩処理性が悪い。特に通常の電気めっき法によ
りめっき層を形成した比較例13及び14は、めっき層
内にZn−Fe系金属間化合物が含まれているため、め
っき剥離を生じていた。
【0043】実施例2 Al合金基材表面に形成されるZn−Fe系めっき層に
おける平均結晶粒径が加工性及び塗装後耐食性に及ぼす
影響を確認するため、次の実験を行なった。
【0044】上記実施例1で用いたのと同じAl合金圧
延板を使用し、その表面に置換めっき法または電気めっ
き法によって表2に示す種々のZn−Fe系めっき層を
形成した。尚、Zn−Fe系めっき層にSiO2、Al
2O3またはAl(OH)3を混入させる方法としては
、ケイ酸塩やAlイオンを含む液を用いた置換めっき、
あるいはAl2O3分散電気メッキを採用した。そして
、得られた各めっき層中の平均結晶粒径を走査型電子顕
微鏡観察によって調べた。またこれら各めっき材の加工
性及び塗装後の耐糸錆性を下記の方法で調べた。結果を
表2に一括して示す。
【0045】加工性:角筒絞り試験での絞り高さにて評
価した。 Al合金基材形状:1.0 ×90×90(mm)しわ
押え力  :2トン ポンチ径    :40mmφ (評価基準) ○  角筒絞り高さ13mm以上 △  角筒絞り高さ12〜13mm ×  角筒絞り高さ12mm以下
【0046】耐糸錆性:前記と同様の方法で各めっき材
をりん酸塩処理し、Zn−Fe系めっき層中のZn及び
Feのすべてをポパイトまたはホスホフェライトに変え
、次いでエポキシ系塗料(日本ペイン社製)を20μm
塗布して塗膜を形成する。そして該塗膜にクロスカット
をいれ、下記腐食試験を8サイクル実施したときに生じ
る糸錆の長さで評価した。 (評価基準) ○  糸錆長さ1mm以下 △  糸錆長さ1〜2mm ×  糸錆長さ2以上mm
【0047】
【表2】
【0048】表2に示されるように本発明の規定要件を
満たすNo. 1〜7はいずれも加工性及び耐糸錆性が
共に優れており、めっき剥離も生じなかった。これに対
しNo. 8はめっきが施されていないので、またNo
. 9はFe含有率が低すぎるので、No.10はFe
含有率が高すぎるので、No. 11及び13はめっき
層内の平均結晶粒径が大きすぎるので、またNo. 1
2はめっき付着量が多すぎるので、いずれも加工性およ
び耐糸錆性に劣っている。
【0049】実施例3 Al合金基材表面に形成されるZn−Fe系めっき層内
にSi酸化物を共存させた場合(特に該めっき層の表面
側にSi酸化物を存在させた場合)における、加工性及
びスポット溶接性に及ぼす影響を調べるため、次の試験
を行なった。
【0050】前記実施例1で用いたのと同じAl合金よ
りなる圧延板に、表3に示す種々の表面処理を施した後
、置換めっき法または電気めっき法により同表3に示す
組成のめっき層を形成した。得られためっき材の表面を
ESCAにより分析したところ、本発明実施例のめっき
層(Nos.1〜7)は、Al合金基材の界面から金属
Feリッチ層、金属Znリッチ層及びSi酸化物リッチ
層の順に形成されていることが確認された。尚めっき層
の付着量及び組成は、前記と同様にして求めた。
【0051】上記で得た各めっき処理材について、下記
の方法で加工性、りん酸塩処理性及び塗装後耐食性(耐
糸錆性)を調べた。
【0052】加工性:前記実施例1で示した方法と同じ
。 りん酸塩処理性:市販の浸漬型りん酸塩処理液(同前)
を使用し、各めっき処理材におけるめっき層中のZn及
びFeがすべてホパイトもしくはホスホフェライトに変
わるまで化成処理を行ない、得られたりん酸塩皮膜(化
成処理皮膜)の析出量と析出形態を調べた。 析出形態:○(全体が化成皮膜で覆われている)△(化
成皮膜で覆われていない部分が一部残っている)×(化
成皮膜で覆われていない部分が全表面の1/2以上残っ
ている)
【0053】塗装後耐食性(耐糸錆性):りん酸塩処理
によりめっき層のZnおよびFeのすべてをりん酸塩に
変えた後、エポキシ系塗料(日本ペイント社製)を20
μm厚で塗布して塗膜を形成する。次いで塗膜にクロス
カットを入れた後、下記の腐食試験を5サイクル実施し
たときに生じる糸錆の長さで評価した。尚この評価は、
並行して行なった冷延鋼板を用いた場合の糸錆長さとの
相対比較で示した。 耐糸錆性:◎(塗装冷延鋼板より良好)○(塗装冷延鋼
板と同等) △(塗装冷延鋼板よりやや劣る) ×(塗装冷延鋼板より劣る)
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】表3,4に示される様に、本発明の実施例
(Nos.1〜7)は加工性が良好でめっき剥離が起こ
らず、且つりん酸塩処理性、塗装後の耐糸錆性のいずれ
も良好である。
【0057】これに対しNo. 8はめっき処理が行な
われていないため、加工性、りん酸塩処理性、塗装後の
耐糸錆性のいずれも不良である。またNo. 9,10
は、めっき付着量が多過ぎるため加工時にめっき剥離が
起こり易くなるばかりでなく、りん酸塩処理工程でめっ
き層中のZn及びFeのすべてをりん酸塩に変えること
ができないため、塗装後の耐糸錆性も不十分である。
【0058】実施例4 Al合金基材表面に形成されるZn−Fe系めっき層内
に、Al酸化物またはAl水酸化物を共存させた場合に
おける加工性及びスポット溶接性に与える影響を調べる
ため、下記の実験を行なった。
【0059】即ち実施例1で用いたのと同じAl合金よ
りなる圧延板の表面に、置換めっき法または電気めっき
法によって表5に示す種々の組成のめっき層を形成し、
夫々のめっき材について加工性及びスポット溶接性を下
記の方法で調べた。尚めっき層中にAl酸化物またはA
l水酸化物を混入させる方法としては、めっき浴中にA
lイオンやAl2O3微粒子を混入させておく方法を採
用した。また好ましい実施例として、めっき層内の表層
部にSi酸化物リッチの層を形成したもの(めっき浴中
に珪酸ナトリウムを混入させておくことによって得られ
る)についての実験結果も表5に示した。
【0060】加工性:ドロービート試験時の最大引抜き
荷重にて評価した。 Al合金基材サイズ:10×40×400mm引抜き速
度  :300mm/min ビード加圧  :500kgf 評価:○  最大引抜き荷重500kgf 以下△  
最大引抜き荷重550〜650kgf×  最大引抜き
荷重650kgf 以上
【0061】スポット溶接性:
スポット溶接可能連続可能打点数にて評価した。 溶接電流  32kA 加圧力300kgf 通電時間4/50s 電極Cu−1%Cr 評価:○連続打点300以上 △連続打点250〜300 ×連続打点250以下
【0062】
【表5】
【0063】表5に示されるように本発明の規定要件を
満たすNo. 1〜7は加工性及びスポット溶接性が共
に優れており、めっき剥離も生じなかった。これに対し
No. 8はめっき層が形成されていないので、No.
 9はAl水酸化物またはAl酸化物の含有率が不足す
るので、No. 10はAl水酸化物およびAl酸化物
の含有率が多過ぎるので、No. 11はめっき付着量
が不足するので、No. 12はめっき層中のFe含有
率が不足するので、No. 13はFe含有率が多過ぎ
るので、No. 14はSi酸化物の膜厚が厚過ぎるの
で、夫々加工性或はスポット溶接性が悪い。
【0064】尚、上記No. 1〜7の各めっき処理材
を、前記実施例2で示したのと同様にしてりん酸塩処理
し、更にエポキシ系樹脂塗料を塗布して耐糸錆性を調べ
たところ、いずれも優れたりん酸処理性を示し、塗装後
の耐糸錆性も良好であった。
【0065】また、SiO2とAl2O3を分散させた
Zn−Fe系めっき層によって得られる加工性改善効果
を確認するため、更に次の実験を行なった。
【0066】即ち基材としてAl合金(Al−4.5 
Mg−0.4Cu)を使用し、この表面に上記と同様に
して化学的置換めっきを施すことにより、Zn(87.
3%)−Fe(3.8 %)−SiO2(3.5 %)
−Al2O3(5.4 %)からなる付着量の異なる(
0〜1.25 g/m2 )種々のめっき層を形成した
。得られた各めっき処理材について、前記と同様にして
加工性試験(ドロービード試験及び角筒絞り試験)を行
ない、図1及び図2に示す結果を得た。
【0067】図1はドロービード試験結果を示すもので
、めっき付着量が絞りビード引抜き荷重に与える影響を
示したものであり、また図2は角筒絞り試験結果を示す
もので、めっき付着量が角筒絞り高さに与える影響を示
したものである。
【0068】これらの図からも明らかである様に、加工
々程で潤滑油を使用した場合でも、めっき皮膜の形成さ
れておらないものの加工性は非常に悪いが、めっき皮膜
を形成すると加工性は著しく向上し、特にめっき付着量
を0.5 g/m2以上とすることによって優れた加工
性を得ることができる。
【0069】実施例5 上記実施例4でも明らかにした様に、Zn−Fe系めっ
き層内の表層部にSi酸化物リッチ層を形成したものは
、加工性及びスポット溶接性において優れた特性を発揮
するが、更に他の効果として接着性も著しく改善される
ことが確認されたので、その結果を示す。
【0070】Al−Mg系合金(JIS  A  51
82)よりなる厚さ0.8mmのAl合金板(T字型剥
離用)と、厚さ1.6 mmのAl合金板(剪断試験用
)を準備し、各Al合金板に、Znイオン及びFeイオ
ンと共に、5〜10%のSiO2を含有するめっき浴を
用いて化学的置換めっきを行ない、表6に示す組成のZ
n−Fe系めっき層を形成した。
【0071】得られた各めっき処理材について、JIS
  K  6829に定める方法に準拠し、接着剤とし
てエポキシ系構造用接着剤または合成ゴム系接着剤を用
いた場合の180度T型剥離試験(接着面積=幅25m
m×長さ75mm)、及び180度剪断試験(接着面積
=幅25mm×長さ12mm)を行ない、接着破断面に
おける界面の破壊面積により接着性を評価した。尚該界
面破壊面積の少ないものほど、供試材と接着剤との接着
性が良いことを意味する。尚T字型剥離試験時の引張り
速度は200mm/min、剪断試験時の引張り速度は
50mm/minとした。
【0072】またAl合金板に対するめっき層の密着性
を調べるため、めっき皮膜表面にセロテープを貼って強
引に剥離したときのめっき皮膜の剥離面積を調べた。該
剥離面積の少ないものほど、Al合金基材に対するめっ
き皮膜の密着性が良好であることを意味する。
【0073】結果は表6に一括して示す通りであり、表
層部にSi酸化物リッチの層を有するZn−Fe系めっ
き材は、Al合金基材との密着性が良好であり、且つ接
着剤を用いて接合した場合も優れた接着性を発揮するこ
とが分かる。
【0074】
【表6】
【0075】実施例6 Al合金基材表面にZn−Fe系めっき層を形成するこ
とにより、加工性、スポット溶接性、りん酸塩処理性、
塗装後耐食性、接着性等が改善されることは、前記実施
例1〜5で明らかにした通りであるが、更に、レーザー
溶接性についても検討を行なったところ、Zn−Fe系
めっき層表面のレーザー光反射率が3%未満であるもの
は、優れたレーザー溶接性を示すことが確認されたので
、その結果を示す。
【0076】即ちAl−Mg系合金板(JIS  A 
 5052またはJIS  A5182)(中心線平均
粗さRa=0.35μm)の表面に、電気めっき法また
は置換めっき法によって表7に示す組成のZn−Fe系
めっき層を形成し、夫々について表面のレーザー光反射
率を測定すると共に、レーザー溶接性を調べた。
【0077】尚、表7においてNo. 4,8,12,
16では、Znイオン及びFeイオンと共にSiO2を
含むめっき浴を用いた化学的置換めっき法を採用し、そ
れ以外はZnイオンとFeイオンを含むめっき液を用い
た電気めっき法を採用した。レーザー光反射率は、CO
2レーザーを用い入射角45°、反射角45°で圧延方
向に平行にレーザー光を照射したときの反射率によって
求めた。またレーザー溶接にはCO2レーザーを使用し
、レーザー出力は2.5 Kw、溶接速度は1m/mi
n 、シールドガスは100%Ar、流量は30リット
ル/min とした。 レーザー溶接性の評価は、溶接部の外観及び内部欠陥を
観察し、欠陥のない優秀なものを5、欠陥が多く不良で
あるものを1として5段階評価した。結果を表7に示す
【0078】
【表7】
【0079】表7においてNo. 1〜4,9〜12は
レーザー光反射率がいずれも3%以下の低い値を示すも
のであり、突合せ及び重ね合わせのいずれにおいても優
れたレーザー溶接性が得られている。これに対しNo.
 5〜7,13〜15はいずれもレーザー光反射率が3
%を超えているためレーザー溶接性が悪い。またNo.
 8及び16はめっき付着量が多過ぎるため、溶接部に
SiO2等が不純介在物として混入し、レーザー溶接性
が悪くなっている。従って優れたレーザー溶接性を確保
するには、めっき表面のレーザー光反射率を3%以下に
すると共に、めっき付着量は3g/m2程度以下に抑え
るべきである。
【0080】実施例7 この実施例では、Al合金基材表面にZn−Fe系めっ
き層を形成した後、りん酸塩処理して化成処理皮膜に変
えてから上塗り塗料を塗布することによって得られる塗
装Al合金材において、塗膜下地となる化成処理皮膜下
に残存する金属Zn及び金属Feが、塗装Al合金材の
耐食性(耐糸錆性及び塗装膨れ)にどの様な影響を与え
るかを調べた。
【0081】即ち実施例1で用いたのと同じAl合金よ
りなる圧延板の表面に、前記と同様の置換めっき法によ
って0.01〜1 μmのZn−Fe系めっき層を形成
し、次いで脱脂・洗浄後りん酸塩処理によって各めっき
層中のZn及びFeのすべてをホパイト及び/もしくは
ホスホフェライトに変えた。尚りん酸塩処理液としては
日本パーカライジング社製の「パルボンドU」を使用し
た。
【0082】得られたりん酸塩処理物の表面に、アルキ
ドメラミン系樹脂塗料を乾燥膜厚が約20μmとなる様
に塗布し、乾燥後130℃で20分間焼付け処理を行な
って塗装Al合金板を得た。
【0083】また比較例として、上記と同様にしてZn
−Fe系めっきを施し、その後該めっき層中の金属Zn
及び金属Feの一部が残存する様に軽度のりん酸塩処理
を行なった以外は上記と同様にして塗装Al合金板を得
た。得られた各供試板について、下記の方法で耐糸錆性
と耐塗膜膨れ性を調べた。
【0084】耐糸錆性:各供試板の表面にクロスカット
を入れ、実施例2と同様の腐食試験を4サイクル繰り返
したときに生じる糸錆の最大長さにより下記の基準で評
価した。 ○:最大糸錆長さ  <1mm △:最大糸錆長さ  1〜4mm ×:最大糸錆長さ  4mm<
【0085】耐塗装膜膨れ性:各供試板の表面にクロス
カットを入れ、塩水噴霧を840時間行なった後、クロ
スカット部からの最大膨れ幅を測定し、下記の基準で評
価した。 ○:最大膨れ幅  <1mm △:最大膨れ幅  1〜4mm ×:最大膨れ幅  4mm< 結果を表8に一括して示す。
【0086】
【表8】
【0087】表8からも明らかである様に、りん酸処理
工程でめっき層中のZn及びFeのすべてをりん酸塩に
変えたもの(No. 1〜10)では、耐糸錆性及び耐
塗膜膨れ性のいずれも良好であるが、りん酸塩処理後の
ZnやFeは残存しているもの(No. 11〜16)
では、耐糸錆性または耐塗膜膨れ性が悪い。
【0088】これらの結果からも明らかである様に本発
明で優れた塗装後耐食性を得るには、りん酸塩処理工程
でZn−Fe系めっき層中の金属Zn及び金属Feのす
べてをりん酸塩に変えるべきであることが分かる。
【0089】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、加
工性、接着性あるいは溶接性に優れ、且つりん酸塩処理
性が良好であって、りん酸塩処理後における塗膜密着性
及び塗装後耐食性(耐糸錆性や耐塗膜膨れ性)に優れた
AlまたはAl合金材を提供し得ることになった。更に
本発明によれば、このAlまたはAl合金材をりん酸塩
処理して良好な化成処理皮膜を形成し、これに塗装を施
すことによって、塗膜密着性及び塗装後耐食性の良好な
塗装AlまたはAl合金材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で得た試験結果を示すものであ
り、ドロービード試験におけるビード引抜き荷重とめっ
き付着量の関係を示すグラフである。
【図2】本発明の実施例で得た試験結果を示すものであ
り、角筒絞り試験における角筒絞り高さとめっき付着量
の関係を示すグラフである。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  AlまたはAl合金基材の表面にZn
    およびFeを主成分とするめっき層が形成され、該めっ
    き層はZnのη相及びFeのα相の混相からなり、しか
    もZn−Fe金属間化合物を含有しないものであること
    を特徴とする表面処理AlまたはAl合金材。
  2. 【請求項2】  めっき層中におけるZn含有量が1〜
    99重量%、Fe含有量が99〜1重量%である請求項
    1記載の表面処理AlまたはAl合金材。
  3. 【請求項3】  めっき層の付着量が0.1〜3g/m
    2である請求項1または2記載の表面処理AlまたはA
    l合金材。
  4. 【請求項4】  AlまたはAl合金基材の表面に、Z
    nおよびFeを主成分とするめっき層が形成され、該め
    っき層における平均結晶粒径が0.5μm以下であるこ
    とを特徴とする表面処理AlまたはAl合金材。
  5. 【請求項5】  めっき層中におけるZn含有量が99
    〜75重量%、Fe含有量が1〜25重量%である請求
    項4記載の表面処理AlまたはAl合金材。
  6. 【請求項6】  めっき層の付着量が0.1〜3g/m
    2である請求項4または5記載の表面処理AlまたはA
    l合金材。
  7. 【請求項7】  AlまたはAl合金基材の表面に、S
    i酸化物、Al酸化物、Al水酸化物よりなる群から選
    択される少なくとも1種と、金属Znおよび金属Feか
    らなるめっき層を形成したものであることを特徴とする
    表面処理AlまたはAl合金材。
  8. 【請求項8】  複合皮膜が、Fe:1〜25重量%,
    Zn:98〜55重量%,Si酸化物、Al酸化物、A
    l水酸化物よりなる群から選択される化合物:1〜20
    重量%よりなるものである請求項7記載の表面処理Al
    またはAl合金材。
  9. 【請求項9】  めっき層が金属Fe、金属Znおよび
    Si酸化物からなるものである請求項7または8に記載
    の表面処理AlまたはAl合金材。
  10. 【請求項10】  めっき層が、AlまたはAま合金基
    材の界面から金属Fe、金属ZnおよびSi酸化物の順
    に層状に形成されている請求項9に記載の表面処理Al
    またはAl合金材。
  11. 【請求項11】  めっき層が、金属Feおよび金属Z
    nと、Al酸化物および/またはAl水酸化物とからな
    るものである請求項7または8に記載の表面処理Alま
    たはAl合金材。
  12. 【請求項12】  Al酸化物および/またはAl水酸
    化物が、めっき層中に均一に分散されている請求項11
    に記載の表面処理AlまたはAl合金材。
  13. 【請求項13】  めっき層の表層部にSi酸化物層が
    形成されている請求項11または12に記載の表面処理
    AlまたはAl合金材。
  14. 【請求項14】  めっき層中の金属Feおよび金属Z
    nが、Feのα相とZnのη相の混相からなり、且つZ
    n−Fe金属間化合物を有しないものである請求項7〜
    13のいずれか1つに記載の表面処理AlまたはAl合
    金材。
  15. 【請求項15】  めっき層中における平均結晶粒径が
    0.5μm以下である請求項7〜14のいずれか1つに
    記載の表面処理Al合金材。
  16. 【請求項16】  めっき層における金属Feおよび金
    属Znが置換めっき法によって形成されたものである請
    求項7〜15のいずれか1つに記載の表面処理Al合金
    材。
  17. 【請求項17】  めっき層の付着量が0.1〜3g/
    m2である請求項7〜16のいずれか1つに記載の表面
    処理AlまたはAl合金材。
  18. 【請求項18】  波長10.6μmの炭酸ガスレーザ
    ー光線の反射率が3%未満である請求項1〜17のいず
    れか1つに記載の表面処理AlまたはAl合金材。
  19. 【請求項19】  請求項1〜18に記載されたいずれ
    か1つの表面処理AlまたはAl合金材をりん酸塩処理
    し、めっき層中のFeおよびZnの全てをりん酸亜鉛お
    よび/またはりん酸亜鉛鉄よりなる化成処理皮膜に変え
    た後、その上に塗装皮膜を形成したものである表面処理
    AlまたはAl合金材。
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