JPH0434673Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、普通型コンバインにおいて穀稈を掻
き込むリールの回転速度を走行速度に追随して、
オペレーターが設定した比率にならしめる装置に
関するものである。

(ロ) 従来技術 普通型コンバインの刈取部における穀稈掻込リ
−ルは、ロスのないように刈り取り、掻込オーガ
によりスムーズに搬送部に送られるように倒伏し
た穀稈を持ち上げ、ヘツダーに掻き込む役割を果
たしているのである。

従来の普通型コンバインの穀稈掻込リールの回
転は、エンジンより得られた動力から無段変速装
置を介して走行速度に合わせて変速する技術が公
知となつている。例えば実開昭47−8615号公報の
如くである。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 しかし、エンジンからの出力が、穀稈掻込リー
ルや走行装置に到達したときには、それぞれ変速
装置を介している為に、例えば、脱穀装置に負荷
がかかりすぎると、エンジンの回転数が落ち走行
速度も穀稈掻込リール回転速度も落ちるが、落ち
たときの回転速度は正常時に対して、走行速度と
リール回転速度のバランスは崩れてしまい、走行
速度に対し、リール回転速度が速かつたり遅かつ
たりすると、穀稈を傷めたり、うまく掻き込みが
出来なくなり刈り取りに支障を来たしていたので
ある。

また、走行速度を上げた場合には必ず掻込リー
ルの回転数が高くなるのであるが、その速度にマ
ツチしたリール回転速度であることは少ないので
ある。

(ニ) 問題を解決するための手段 本考案は、このような不具合を解消するため
に、次のように構成したのである。

普通型コンバインにおいて、リール駆動部７に
無段変速伝動部を設け、該無段変速伝動部の出力
側の軸２７に回転数センサー２５を設けて穀稈掻
込リール５の回転速度を検知し、ミツシヨンケー
ス３４に回転数センサー３７を設けて走行速度を
検知し、それぞれの値を制御回路３９に入力し、
該制御回路３９にてリール回転速度と走行速度の
比を演算すると共に、該リール回転速度と走行速
度の比が速度比設定器３８の値と合致するように
無段変速伝動部のサーボモーター２４を制御した
ものである。

(ホ) 実施例 本考案の目的は、以上の如くであり、添付の図
面に示した実施例の構成に基づいて、本考案の詳
細な構成を説明すると。

第１図はコンバインの全体側面図、第２図は同
じく平面図である。

普通型コンバインは、刈取部１、搬送部２、脱
穀部３、選別部４によりなる。

刈取部１は、穀稈掻込リール５、リール駆動部
７、ヘツダー６よりなり、ヘツダー６内に往復動
型刈刃９及び穀稈掻込オーガ８を装備し、穀稈掻
込みリール５により穀稈を持ち上げて掻き集め、
往復動型刈刃９により穀稈を刈り取り、穀稈掻込
みオーガ８により、ヘツダー中央部の搬送部口へ
穀稈を移動させる。

搬送部２は、刈取部より脱穀部へ穀稈を受け渡
す装置であり、ヘツダ−中央後部より穀稈掻込オ
ーガ８により集められた穀稈を、供給室１０に内
設された稈送りコンバインにより脱穀室３に供給
するのである。この刈取部１及び搬送部２は、油
圧シリンダー１１により上下動される。

１２は走行クローラー、１３は操向輪であり、
エンジンからの動力は、走行クローラー１２を駆
動し、運転席１４のハンドル１５にて操向輪１３
を動かし操縦する。

脱穀部３は、機体進行方向に対し直角に複数の
扱胴を順次後方に配置し、それぞれの扱胴の略中
央上部に排塵胴であるビータを配し、扱胴の下部
には受網であるコンケーブを前方から後方に延設
する。コンケーブを通過した穀粒は、選別部４に
至り摺動選別機によつてふるい分けられ、二番還
元物は揚穀コンベアー１６により二番還元タンク
へ、精粒は、揚穀コンベアー１７により穀物タン
ク１８へ貯留されるのである。

本考案のリール変速装置は前記リール駆動部７
に設けられ、第３図に示す如く、エンジンからの
動力は、Ｖベルト等を介してＶプーリー１９に伝
達されてくる。そして、Ｖプーリー１９から軸２
０を介して割プーリー２１に伝達され、Ｖベルト
２９を介して変速割プーリー２２に伝達され、軸
２７、Ｖプーリー２３を介しＶベルト３０により
リール駆動軸に伝えられ穀稈掻込リールを回転さ
せるのである。

この穀稈掻込リールの回転速度を変速するに
は、変速割プーリー２２の２２ａを広げたり、狭
めたりすることにより回転数が下がつたり、上が
つたりする。

即ち、出力側の回転数を下げるためには、サー
ボモーター２４を正転させ、プレート２８を介し
変速割プーリー２２ａを狭めさせる。するとＶベ
ルト２９は円周方向に移動させられ、変速割プー
リー２２と接する位置、つまり半径が増し回転数
は下がる。

一方、割プーリー２１はＶ幅が広くなりＶベル
トの接する半径は小さくなる。これは、Ｖベルト
の長さは一定であるため一方の変速割プーリー２
２のＶ幅が狭くなれば、Ｖベルトを円周方向へ押
し出そうとし、Ｖベルトの張力が割プーリー２１
のバネ３１のバネ圧に打ち勝ち、他方割プーリー
２１のＶ幅が広くなり、よつて、駆動側のプーリ
ー半径が小さくなり、作用側のプーリー半径が大
きくなるので作用側の回転数は下がる。つまり回
転数は速度に比例するので回転速度は落ちるので
ある。

逆に、サーボモーター２４を逆転すると、プレ
ート２８は右（上）方向に移動し、変速割プーリ
ー２２のＶ幅が広くなる。するとＶベルトの張力
が下がり割プーリー２１のバネ３１のバネ圧によ
りＶ幅が狭められる。よつて駆動側のプーリー半
径が大きくなり、作用側のプーリー半径が小さく
なり作用側の回転数は上がることになる。結局、
穀稈掻込リールの回転速度が速められることにな
るのである。

軸２７には、リール回転数を計測するための回
転数センサー２５が設けられており、マイクロコ
ンピユーター３９に接続されている。

第４図は、クローラー駆動伝動部の一部断面図
である。

エンジンからの動力は、ミツシヨンケース３４
内のギヤー等を経てギヤー２６よりスプロケツト
軸３５、駆動輪３６と伝達される。ギヤー２６に
噛み合うギヤーに有するスプロケツト軸３５と平
行の軸は、カウンター軸３２であり、延長上のミ
ツシヨンケース３４外部に走行速度を検知するた
めの回転数センサー３７を設けてある。

第５図により、電気的構成をブロツク図におい
説明すると、マイクロコンピユーターより構成さ
れる制御回路３９は、CPU（中央演算処理）、
ROM（読み出し専用メモリ）、RAM（随時読み出
し書き込みメモリ）、インターフエースより構成
される。

インターフエースには、穀稈掻込リール５の回
転数センサー２５、走行装置の回転数センサー３
７及び運転席近傍の速度比設定器３８より入力さ
れる。オペレーターが速度比設定器３８を回動す
ると、回転角に応じて走行速度とリール回転速度
の比率が変わる。

この回転角は、ポテンシヨメーター等により検
出し、Ａ／Ｄコンバーターによりデジタルに変換
する。この信号をＣとし、Ｃはリール回転数ｎを
その時の走行速度に対応する駆動伝動部のカウン
ター軸の回転数Ｎで除した比例定数である。つま
り、オペレーターは、作物の状態や作付地の状態
に合わせて比例定数を選択し、走行速度に対する
リール回転速度を決定できるのである。一方、イ
ンターフエースからの出力は、前記の速度比設定
器３８からの入力の値と一致するようにサーボモ
ーター２４を正転或いは逆転させる。

つまり、リールの回転速度を変更し、常に、走
行速度に適したリール回転速度を変更し、常に、
走行速度に適したリール回転速度を得られるよう
に構成したものである。

次にROMに書き込まれているプログラムを第
６図に示すフローチヤートで説明すると。

まず、設定器３８よりＣを読み込む（ａ）。次
に、駆動伝動部のカウンター軸３２の回転数Ｎを
読み込む（ｂ）。次に、リール駆動部の軸２７の
回転数ｎを読み込む（ｃ）。次に、回転数ｎと回
転数Ｎの比を求めＣと等しいかどうか判断する
（ｄ）。等しければリール回転速度と走行速度が適
正速度であるためリール回転速度を変更させない
ためにサーボモーター２４を停止させる（ｈ）。
回転数ｎと回転数Ｎの比がＣと等しくなれば、
ｎ／ＮがＣより大きいかどうか判断する（ｅ）。
大きければサーボモーター２４を逆転させてリー
ルの回転速度を遅くし（ｆ）、適正回転速度にな
らしめるのである。

このようにｎ・Ｎ・Ｃを随時読み込み、比較す
ることを繰り返し、サーボモーター２４を制御す
ることにより、作業中は常に適正なリール回転速
度を得られることができたのである。

(ヘ) 考案の効果 以上の如く構成したので、本考案は次のような
効果を奏するものである。

第１に、オペレーターが手動操作することな
く、自動的に制御回路３９とサーボモーター２４
により、穀稈掻込リール５の回転を走行速度に適
した回転とすることができたので、収穫の能率を
向上させ穀物の損傷等を低下させ良好な収穫がで
きるようになつたのである。

第２に、無段変速伝動部の出力側の軸２７に回
転数センサー２５を設け、ミツシヨンケ−ス３４
に回転数センサー３７を設けたので、随時それぞ
れの回転数をピツクアツプして制御することがで
きるようになり、作業途中の走行速度や刈取速度
の変化に対応できるようになつたのである。

第３に、リール回転速度と走行速度の比を速度
比設定器３８にて設定できるので、搬送装置や穀
稈掻込オーガ等の搬送装置とは関係なく、オペレ
ーターは作物や圃場の状態により穀稈掻込リール
の回転速度のみを自由に変更できるようになつた
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図はコンバインの全体側面図、第２図は同
じく平面図、第３図はリール変速装置の一部断面
図、第４図はクローラー駆動伝動部の一部断面
図、第５図は電気的構成を示すブロツク図、第６
図はROMの内容を示す流れ図である。 ５……穀稈掻込リール、７……リール駆動部、
２４……サーボモーター、２５……回転数センサ
ー、２７……軸、３７……回転数センサー、３８
……速度比設定器、３９……制御回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 普通型コンバインにおいて、リール駆動部７に
   無段変速伝動部を設け、該無段変速伝動部の出力
   側の軸２７に回転数センサー２５を設けて穀稈掻
   込リール５の回転速度を検知し、ミツシヨンケー
   ス３４に回転数センサー３７を設けて走行速度を
   検知し、それぞれの値を制御回路３９に入力し、
   該制御回路３９にてリール回転速度と走行速度の
   比を演算すると共に、該リール回転速度と走行速
   度の比が速度比設定器３８の値と合致するように
   無段変速伝動部のサーボモーター２４を制御した
   ことを特徴とする普通型コンバインのリール変速
   装置。