JPH043463Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は静止誘導機器の耐震装置に関するも
ので、特に、防振ゴムに搭載された低騒音形静止
誘導機器の耐震装置に関するものである。

低騒音形の静止誘導機器、たとえば低騒音形変
圧器またはリアクルトでは、これら機器からの振
動が基礎を通じて伝達する可能性をより低減する
見地から、変圧器やリアクトル本体と基礎との間
に防振ゴムを敷くとともに、防振ゴムを組込んだ
固定装置が多く使用されている。

以上のような固定装置の概念図は第１図及び第
２図のようで、また本体底面近辺の詳細図は第３
図及び第４図のようであつて、変圧器またはリア
クトル本体１は、本体用防振ゴム３及び本体を固
定するための固定金具２に取付けられている金具
用防振ゴム４を介して基礎５に設置されていて、
地震などによる転倒・移動を防ぐため、固定ボル
ト７により、基礎５に固定されている。この場
合、変圧器またはリアクトル本体１は防振ゴム
３，４によつて基礎と完全に縁切りされており、
本体１からの振動が基礎５へ伝わらないようにし
ている。このような防振ゴム３，４に搭載された
変圧器またはリアクトル本体１は地震時には、防
振ゴム３，４の弾性と変圧器またはリアクトル本
体１の質量との系によつて、第５図に示すよう
に、水平及び回転振動が連成したいわゆるロツキ
ング振動を起こし、その共振周波数が地震の卓越
周波数に近接しているため、ブツシング６などの
取付部品が苛酷な振動を受けたり、あるいは機器
間接続個所などに支障をきたす恐れがあること
が、最近の地震による被害の原因究明により明ら
かにされた。

この考案は上記のような実状にかんがみてなさ
れたもので、従来のものの欠点を除去するために
変圧器またはリアクトル本体の水平及び回転方向
のみの変位を拘束することにより、運転時の上下
振動伝達を防振ゴムにより防止できると同時に、
地震時に発生する変圧器またはリアクトル本体の
ロツキング振動を防止できる耐震装置を提供する
ことを目的とし、静止誘導機器本体の両側面に固
定された中継金具と、基礎に固着された少くとも
１対の容器と、前記静止誘導機器本体に前記中継
金具を介して連結されその容器内にすきまなく嵌
装され上下に移動可能で且つ容器内を上下に第１
室及び第２室に２分するピストンと、静止誘導機
器本体の両側で対をなす前記容器の一方の容器の
第１室と他方の容器の第２室及び一方の容器の第
２室と他方の容器の第１室とをそれぞれ連結する
連通管と、各容器及び各連通管内に封入された非
圧縮性の液体とからなる静止誘導機器の耐震装置
を提供しているものである。

以下、図示する実施例に関して、この考案を詳
細に説明する。第６及び７図において、第１〜５
図と同一又は相当部分は同一符号を付けているか
ら説明は省略する。静止誘導機器本体１の重心に
関して対称に機器の両側で基礎５に容器９ａ，９
ｂが固着されていて、この容器内にすきまなく嵌
装されたピストン１０ａ，１０ｂは上下に移動可
能で、且つ容器９ａ，９ｂ内を上下に第１室１３
ａ，１３ｂ及び第２室１４ａ，１４ｂに２分して
いる。さらにこのピストン１０ａ，１０ｂは中継
金具１１ａ，１１ｂを介して本体１と連結されて
いる。本体１の片側の一方の容器９ａの第１室１
３ａと本体１の他側の他方の容器９ｂの第２室１
４ｂ及び一方の容器９ａの第２室１４ａと他方の
容器９ｂの第１室１３ｂとはそれぞれ連通管１２
で連結されていて、各容器９ａ，９ｂ及び各連通
管１２内には非圧縮性の液体が封入されている。

以上のように構成されたこの考案の耐震装置は
地震が発生した場合、前記のように静止誘導機器
の本体１には水平力と回転力が作用するが、水平
力は容器９ａ，９ｂ、ピストン１０ａ，１０ｂ及
び中継金具１１ａ，１１ｂにより拘束される。ま
た回転力に対しては、中継金具１１ａ，１１ｂを
通じて一方のピストン１０ａまたは１０ｂが押し
下げられると同時に、他方のピストン１０ｂまた
は１０ａが引き上げられるようとするが、一方の
容器の第２室１４ａまたは１４ｂと他方の容器の
第１室１３ｂまたは１３ａ及び一方の容器の第１
室１３ａまたは１３ｂと他方の容器の第２室１４
ｂまたは１４ａとがそれぞれ連通管１２によつて
連通されているため、各容器９ａ，９ｂ及び各連
通管１２内に封入されている液体に発生する圧力
が、それぞれの容器９ａ，９ｂ内のピストン１０
ａ，１０ｂに回転力を相殺する方向に力を作用
し、地震時に働く静止誘導機器本体１の回転力を
拘束する。

また運転時の上下振動に対しては両方のピスト
ン１０ａ，１０ｂが同一方向に移動するため、各
容器９ａ，９ｂ及び各連通管１２内に封入されて
いる液体には圧力が発生せず、この発明の耐震装
置は静止誘導機器本体１に何ら拘束をも与えな
い。したがつて、静止誘導機器本体１と基礎５と
の間に敷かれた防振ゴム３は運転時の上下振動に
対して有効に働き、振動伝達を防止することがで
きる。なお各容器９ａ，９ｂ及び各連通管１２
は、地震時に発生する液体の圧力に対して、容易
に膨脹しないように、その強度は選定されなけれ
ばならない。

第８図はこの考案による耐震装置２組を静止誘
導機器本体１の重心に関して対称に機器本体両側
に配置した一例を示すものである。

この考案による装置を、この例のように、容器
９ａ，９ｂ及び容器９ｃ，９ｄをそれぞれ連通管
１２により連通することにより、前後左右の地震
力によつて、静止誘導機器本体１に発生する各方
向の水平力及び回転力を拘束することができる。

この考案は以上説明したように、容器とその容
器内を上下に第１室及び第２室に２分するピスト
ンとからなる装置を、防振ゴムに搭載された静止
誘導機器本体の両側に何組か配置し、基礎及び機
器本体に連結して、一方の容器の第１室と他方の
容器の第２室及び一方の容器の第２室と他方の容
器の第１室とをそれぞれ連通し、各容器及び各連
通管内に非圧縮性の液体を封入する構成にしたの
で、機器本体の運転時に発生する上下振動を、防
振ゴムによつて伝達防止することができると同時
に、前後左右の地震力によつて機器本体に発生す
る各方向の水平力及び回転力を拘束することがで
き防振性能且つ耐震性能が高いものが得られる利
点がある。また、静止誘導機器本体の両側に耐震
装置が設けられているので、既存の静止誘導機器
に耐震装置を付設する場合に、比較的簡単な現地
改造工事で済むという利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は低騒音形静止誘導機器の概
念図、第３図及び第４図は従来の低騒音形静止誘
導機器の底面付近の詳細図、第５図は従来の低騒
音形静止誘導機器の地震時におけるロツキング振
動説明図、第６図はこの考案の一実施例を示す断
面図、第７図はこの考案の一実施例を示す部分断
面図、第８図はこの考案の装置の容器の配置例を
示す平面図である。 １……静止誘導機器本体、２……本体用固定金
具、３……本体用防振ゴム、４……固定金具用防
振ゴム、５……基礎、６……ブツシング、７……
固定ボルト、９ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄ……容器、
１０ａ，１０ｂ……ピストン、１１ａ，１１ｂ…
…中継金具、１２……連通管、１３ａ，１３ｂ…
…第１室、１４ａ，１４ｂ……第２室。尚、図
中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 静止誘導機器と基礎との間に、防振ゴムを設置
   した低騒音形の静止誘導機器の耐震装置におい
   て、前記静止誘導機器本体の両側面で、該静止誘
   導機器本体の重心に関して対称な位置に固定され
   た一対の中継金具と、前記基礎に固定された一対
   の容器と、前記静止誘導機器本体に前記一対の中
   継金具を介して連結され、それぞれの前記一対の
   容器内にすきまなく嵌装されて前記静止誘導機器
   本体の水平方向の変位を拘束するとともに、前記
   一対の容器内をそれぞれ上下に第１室及び第２室
   に２分するピストンと、静止誘導機器本体の両側
   で対をなす前記容器の一方の容器の第１室と他方
   の容器の第２室及び一方の容器の第２室と他方の
   容器の第１室とをそれぞれ連結する連通管と、各
   容器及び各連通管内に封入された非圧縮性の液体
   とからなる静止誘導機器の耐震装置。