JPH04337327A - 芳香族複素環ランダムコポリマーの製造方法 - Google Patents

芳香族複素環ランダムコポリマーの製造方法

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JPH04337327A
JPH04337327A JP13715191A JP13715191A JPH04337327A JP H04337327 A JPH04337327 A JP H04337327A JP 13715191 A JP13715191 A JP 13715191A JP 13715191 A JP13715191 A JP 13715191A JP H04337327 A JPH04337327 A JP H04337327A
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浩司 秋田
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基本的には剛直性を有
し、耐熱性、機械的性質、耐薬品性、電気的性質等に優
れるとともに、伸びや屈曲性をも有するような芳香族複
素環ランダムコポリマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チアゾール環、イミダゾール環、オキサ
ゾール環、オキサジノン環等の複素環を繰り返し単位内
に有する高分子は、剛直性が高く、高強度、高弾性率、
高耐熱性高分子として注目されており、単独で又は他の
エンジニアリングプラスチックと複合して、金属材料に
代替するプラスチック材料としての使用が期待されてい
る。
【0003】しかしながら、芳香族ポリチアゾールを始
めとする剛直ポリマーは、その高い剛直性のために一般
に溶解性に乏しく、メタンスルホン酸やクロロスルホン
酸などのごく一部の強酸にしか溶解せず、また、伸びも
小さく屈曲性に劣るために成形において問題があり、単
体では材料として使用しにくいものであった。
【0004】また、このような剛直ポリマーを補強材と
し、他のポリマーをマトリックスとした複合材を形成す
る場合においても、上述の理由で成形性に難点が残る。 さらに、このような複合材とする場合、剛直ポリマーと
マトリックスとなる他のポリマーとの相溶性は一般にそ
れほど良好とはならず、剛直ポリマーとマトリックスポ
リマーとを所望の割合で複合することは難しい。
【0005】このような欠点を解決する手段の一つとし
て、剛直ポリマーの一部に屈曲性を発現する部位を設け
、成形性を向上することが考えられる。また他のポリマ
ーとの相溶性を向上するために、剛直ポリマーの一部を
、複合するポリマーと相溶化しやすい構造(複合相手と
なるポリマーの一部と同一又は類似の構造)とすること
が考えられる。
【0006】そのような例の一つとして、特開昭63−
256622号には、チアゾール環を有する特定の芳香
族オリゴマーと、少なくともカルボキシル基とアミノ基
とをベンゼン環に有する特定のモノマーとをポリリン酸
中で反応させて芳香族複素環ブロックコポリマーを製造
する方法が開示されている。この方法によると、得られ
る芳香族複素環ブロックコポリマー中に、剛直分子鎖部
と、柔軟分子鎖部とが形成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
方法では、芳香族複素環ブロックコポリマーの合成をポ
リリン酸中で加熱しながら行わなければならない。また
、この方法によって得られる芳香族複素環ブロックコポ
リマーを補強材として用い、他のポリマーと組み合わせ
て複合材(たとえば分子複合材)とする場合、このブロ
ックコポリマーにはチアゾール環等の剛直性を有する分
子鎖部がすでに形成されているので、マトリックスポリ
マーとの相溶性はそれほど大きくならず、複合材への使
用にもそれほど好適ではない。
【0008】したがって本発明の目的は、ゆるやかな条
件で、かつ、有機溶媒中で実施することができる芳香族
複素環ランダムコポリマーの製造方法を提供することで
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、チオール基の水素原子を置換又は
無置換のアルキル基により置換した芳香族ジアミノジチ
オール化合物と、芳香族ジアミノ化合物と、ジカルボン
酸誘導体とを有機溶媒中で反応させることにより前駆体
コポリマーをまず製造し、次にこの前駆体コポリマーを
加熱してチアゾール閉環反応を起こし、もって芳香族複
素環ランダムコポリマーとするいわば二段階の反応で合
成する方法を採れば、芳香族複素環ランダムコポリマー
を安定的にかつ効率よく製造することができ、また、分
子複合材等の製造のように、他のポリマーと分子レベル
で均一に混合する必要がある場合には、前駆体の段階(
複素環の形成前)で他のポリマーと混合でき、芳香族複
素環ランダムコポリマーを良好に他のポリマー中に分散
できることを発見した。また、上記の方法で得られる芳
香族複素環ランダムコポリマーは成形性に優れているこ
とを発見した。本発明は以上の発見に基づくものである
【0010】すなわち、芳香族複素環ランダムコポリマ
ーを製造する本発明の方法は、 (i)(a) チオー
ル基の水素原子を置換又は無置換のアルキル基で置換し
た芳香族ジアミノジチオール化合物と、(b) 芳香族
ジアミノ化合物と、(c) ジカルボン酸誘導体とを有
機溶媒中で反応させることにより、下記式
【化3】 (ただしAr及びAr′は芳香族残基であり、Rは置換
又は無置換のアルキル基であり、Xは前記ジカルボン酸
誘導体残基であり、m及びnはともに整数であり、m:
nは0.01:99.99 〜99.99 :0.01
である。)で表される前駆体コポリマーを製造し、(i
i) 前記前駆体コポリマーを加熱してチアゾール閉環
反応を起こし、もって、下記式
【化4】 (ただしAr、Ar′、X、m及びnはいずれも前記化
3におけるものと同じである。)で表される芳香族複素
環ランダムコポリマーを製造することを特徴とする。
【0011】本発明を以下詳細に説明する。 (a) チオール基の水素原子を置換又は無置換のアル
キル基で置換した芳香族ジアミノジチオール化合物
【0
012】本発明で用いるチオール基の水素原子を置換又
は無置換のアルキル基で置換した芳香族ジアミノジチオ
ール化合物(以下、簡単のために化合物(a) と呼ぶ
)は、下記一般式
【化5】 (ただしArは芳香族残基であり、Rは置換又は無置換
のアルキル基である)で表されるものである。ここで芳
香族残基Arはベンゼン環に限らず2つ以上のベンゼン
環が縮合した芳香族環でもよく、またビフェニル等のよ
うに2つ以上のベンゼン環が結合したものでもよい。ま
た両側のアミノ基及びチオエーテル基の位置関係は芳香
族残基を中心として左右対称でも点対称でもよい。この
化合物(a)の例としては、
【化6】 等が挙げられる。
【0013】この化合物(a) は、芳香族残基の両側
にそれぞれアミノ基及びチオール基を有する化合物であ
る芳香族ジアミノジチオール化合物より合成することが
できる。芳香族ジアミノジチオール化合物としては、上
述した化6に示す各化合物のアルキル基Rを水素原子で
置き換えたものを使用することができるが、この芳香族
ジアミノジチオール化合物は、劣化を防ぐために塩酸塩
等の塩の形で使用する。
【0014】芳香族ジアミノジチオール化合物のチオー
ル基に結合するアルキル基Rは、置換又は無置換のアル
キル基である。無置換のアルキル基としては、イソプロ
ピル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、s
ec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。 アルキル基としては2級及び3級のアルキル基が特に好
ましい。
【0015】また置換アルキル基としては、カルボキシ
ル基、エステル基、シアノ基又はベンゼン基等により置
換されたアルキル基が好適である。なお、このような置
換基を有する場合には、アルキル基は特に2級のもので
ある必要はない。置換基を有するアルキル基としては、
例えば、
【化7】 等が挙げられる。
【0016】なお、上記の6つの置換アルキル基のうち
、上位に示す2つのエステル基を置換したものにおいて
は、エステル結合中の酸素原子に結合するアルキル基が
メチル基に限らず、炭素数2〜10のアルキル基であっ
ても良い。
【0017】特に、芳香族ジアミノジチオール化合物の
チオール基の水素原子を、シアノ基を有するアルキル基
又はエステル基を有するアルキル基で置換しておくと、
得られる芳香族複素環ランダムコポリマー前駆体(上記
した化3のポリマー)におけるチアゾール閉環反応が比
較的低温で起こるので好ましい。またこれらの芳香族複
素環ランダムコポリマー前駆体の、N−メチル−2− 
ピロリドン等の有機溶媒への溶解度が向上する。
【0018】用いるアルキル基の炭素鎖の長さを適度な
もの(炭素数が2〜5程度)にしておけば、後述するよ
うに、本発明の方法により得られる芳香族複素環ランダ
ムコポリマーを用いて、優れた物理的及び化学的物性を
有する分子複合材を製造することができる。なお、ここ
で言う分子複合材とは、ポリチアゾールがマトリックス
ポリマーとなるポリマー中に分子レベルまで微細に分散
してなる、ポリマーブレンド系複合材のことである。こ
の複合材は、本発明の方法で中間生成物として得られる
芳香族複素環ランダムコポリマー前駆体(上記した化3
のポリマー)とマトリックスポリマーとをブレンド後、
加熱閉環することにより得られる。
【0019】上記したアルキル基は、そのハロゲン化物
であるアルキルハライドとして用い、これと、さきに述
べた芳香族ジアミノジチオール化合物(の塩)とから、
以下に記す方法により化合物(a) を合成する。なお
ハロゲン化物としては、上記したアルキル基の臭素化物
、塩素化物、ヨウ化物等が使用できる。
【0020】化合物(a) の合成では、上述した芳香
族ジアミノジチオール化合物の塩及びアルキルハライド
とをアルカリ性水溶液中で反応させる。使用するアルカ
リ性水性溶媒としては、水、又は水とアルコール(エタ
ノール及び/又はメタノール)との混合溶媒に、水酸化
ナトリウム等の塩基性塩を溶解したものを使用すること
ができる。溶媒をアルカリ性とすることで、芳香族ジア
ミノジチオール化合物の塩を容易に溶解することができ
る。 またチオール基の求核性を増大させ、置換反応を助長す
る。なお、アルカリ性水性溶媒のアルカリ濃度は30重
量%以下とするのが良い。
【0021】この置換反応は0℃〜 100℃の範囲で
行うことができる。温度が0℃未満であると反応速度が
遅くなり好ましくない。また 100℃を超す温度とす
ると副反応が起こってしまい好ましくない。より好まし
い反応温度は0℃〜95℃である。
【0022】反応時間は特に制限はないが、一般に2〜
24時間程度で良い。
【0023】なお、反応速度を高めるために、溶液の攪
拌を行うことが好ましい。またアルキルハライドの量を
過剰にすることで反応速度を高めることができる。
【0024】さらに、セチルトリメチルアンモニウムク
ロライド、臭化n−ブチルトリフェニルホスホニウム、
臭化テトラフェニルホスホニウム、18−クラウン−6
等を相間移動触媒として加えると、反応速度を高めるこ
とができる。このような相間移動触媒は、芳香族ジアミ
ノジチオール化合物の塩とアルキルハライドとの反応を
速やかに進行させる。
【0025】以上の条件で置換反応を行うことにより、
芳香族ジアミノジチオール化合物の塩のチオール基の水
素原子をアルキル基で置換したモノマー(化合物(a)
 )を得ることができる。
【0026】化合物(a) を合成する反応において、
芳香族ジアミノジチオール化合物の塩とアルキルハライ
ドとの反応は以下の通り進行する。ここで、芳香族ジア
ミノジチオール化合物の塩の例として  2,5−ジア
ミノ−1,4− ベンゼンジチオール二塩酸塩を用いる
。また式中X−R はアルキルハライドを表す。
【化8】
【0027】(b) 芳香族ジアミノ化合物本発明で用
いる芳香族ジアミノ化合物(以下、簡単のために化合物
(b) と呼ぶ)としては、屈曲可能な構造を有する芳
香族ジアミノ化合物が好ましく、ジフェニルエーテル、
ビフェニル等の芳香族残基を有するジアミンを用いるこ
とができる。具体的には、下記式
【化9】 で表されるものを好適に使用することができる。
【0028】なお、最終的に得られる芳香族複素環ラン
ダムコポリマーを分子複合材等に用いる場合、これと、
分子複合材のマトリックスとなるポリマーとの相溶性を
向上させる必要があるが、その場合には、この化合物(
b) として、混合相手となるマトリックスポリマーの
一部と同一又は類似の構造を有するものを選択するのが
よい。
【0029】(c) ジカルボン酸誘導体また、本発明
において使用するジカルボン酸の誘導体としては、各カ
ルボキシル基を以下のように置換したものが挙げられる
【化10】
【0030】また上記ジカルボン酸誘導体の残基として
は、比較的短鎖(炭素数2〜10)のアルキレン基や、
以下に示すような芳香族系残基が挙げられる。なお、ジ
カルボン酸の例としては、芳香族系のジカルボン酸が好
ましく、特にテレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
【化11】
【0031】なおジカルボン酸誘導体は、一種類に限ら
ず二種以上を併用してもよい。
【0032】次に芳香族複素環ランダムコポリマーの製
造方法について説明する。
【0033】(1) 前駆体コポリマーの製造上記した
化合物(a) 、化合物(b) 及び(c) ジカルボ
ン酸誘導体とを所望の配合比で有機溶媒に溶解し、この
三者を共重合する。好ましくは、化合物(a) と化合
物(b) との均一溶液をまず調製し、これに(c) 
ジカルボン酸誘導体を加える。
【0034】有機溶媒を用いた溶液中の化合物(a) 
と化合物(b) の濃度の比は、最終的に得られる芳香
族複素環ランダムコポリマーにおいて、剛直鎖部位に変
化する部分と柔軟な鎖部位となる部分との比率(すなわ
ち上記した化4におけるmとnの比)となるが、芳香族
複素環ランダムコポリマーの使用目的に合わせて、化合
物(a)と化合物(b) の濃度を適宜決定する。本発
明においては、m:nが0.01:99.99〜 99
.99:0.01となるように、化合物(a) と化合
物(b) とを配合する。
【0035】なお、(c) ジカルボン酸誘導体の量は
、化合物(a) と化合物(b) の合計のモル量と等
量以上とする。また、有機溶媒中における化合物(a)
 、化合物(b) 及びジカルボン酸誘導体(c) の
合計量の濃度は、0.1 〜2モル/リットル程度とす
るのが良い。濃度が2モル/リットルを超す濃度とする
と、各成分の溶解が難しくなり好ましくない。
【0036】有機溶媒としてはアミド系有機溶媒を好適
に用いることができる。アミド系有機溶媒としては、N
−メチル−2− ピロリドン、ヘキサメチルフォスフォ
リックトリアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が
挙げられ、それらの単独又は混合溶液を使用することが
できる。また反応性を高めるために最大限5%のLiC
l、CaCl2 等の塩化物を添加しても良い。
【0037】化合物(a) と化合物(b) とジカル
ボン酸誘導体(c) とを重合し、目的とする芳香族複
素環ランダムコポリマーの前駆体(上記した化3のポリ
マー)を製造するが、このときの重合反応温度は、−2
0℃〜+50℃とするのがよい。温度が−20℃未満で
あると十分な重合反応が起こらず、また得られる芳香族
複素環ランダムコポリマーの重合度も低くなる。一方、
100 ℃程度の温度ではチアゾール閉環反応が起こる
可能性があるので、安全をみて重合反応の温度の上限を
+50℃とする。より好ましくは、−20℃〜+30℃
の範囲とする。
【0038】上記の重合反応では、その反応速度を高め
るために、溶液の攪拌を行うことが好ましい。また反応
時間は、特に制限はないが一般に1〜24時間程度でよ
い。
【0039】以上の条件で重合反応を行うことにより、
チアゾール閉環反応を起こすことなく大きな重合度を有
する芳香族複素環ランダムコポリマー前駆体が得られる
。得られる芳香族複素環ランダムコポリマー前駆体の固
有粘度はηinh =1.0 〜1.7(N−メチル−
2− ピロリドン、30℃) 程度である。
【0040】この重合反応は、以下の通り進行するもの
と考えられる。ここで、化合物(a)の例として2,5
−ジアミノ−1,4− ベンゼンジチオール二塩酸塩の
アルキル基置換体を用い、化合物(b) の例として4
,4 ′−ジアミノジフェニルエーテル(4−アミノ−
p− フェノキシアニリン)を用い、(c) ジカルボ
ン酸誘導体の例としてテレフタル酸ジクロライドを用い
る。なお、m及びnは重合度を表す。
【化12】
【0041】得られた芳香族複素環ランダムコポリマー
前駆体は、公知の方法により洗浄及び乾燥することがで
きる。
【0042】次に、上記の前駆体を加熱し、アルキル基
(R)を脱離するとともに、その部位でチアゾール環を
形成し、目的とする芳香族複素環ランダムコポリマーを
得る。前駆体として上記した化12に示す反応式で得ら
れたものを用いれば、下記構造式の芳香族複素環ランダ
ムコポリマーを得ることができる。
【化13】
【0043】なお、上記化13において、m及びnはそ
れぞれ剛直部及び柔軟部(屈曲部)の総量を表し、剛直
部と柔軟部は任意の(ランダムな)配列で結合している
【0044】(2) 前駆体コポリマーの閉環反応前駆
体コポリマーの閉環反応は 250℃〜 500℃の加
熱により行う。なお 250℃未満の加熱であればチア
ゾール環の形成が見られない。また 600℃を超える
加熱とするとポリチアゾールが熱分解を開始するので好
ましくなく、500 ℃を上限とするのが望ましい。特
に、チオール基の水素原子を、カルボキシル基、シアノ
基又はエステル基等を有するアルキル基で置換したアル
キル基置換芳香族ジアミノジチオール化合物から得られ
る前駆体コポリマーを用いれば、閉環反応は、250℃
〜 400℃の低い温度で閉環反応を行うことができる
。なお、この閉環反応は、ポリベンゾチアゾールの前駆
体(上述した化3において、n=0の場合)におけるよ
り10〜20℃程度低い温度で進む。
【0045】なお、本発明の方法により得られる芳香族
複素環ランダムコポリマーを用いて分子複合材を製造す
る場合には、あらかじめ芳香族複素環ランダムコポリマ
ーを製造して、それとマトリックスポリマーとを混合す
るのではなく、芳香族複素環ランダムコポリマーの前駆
体の段階で、これとマトリックスポリマーとを有機溶媒
中で混合するのが良い。芳香族複素環ランダムコポリマ
ー前駆体をマトリックスポリマー中に均一に分散したの
ち、溶媒の除去後加熱し、前駆体の閉環反応を起こして
分子複合材とする。したがって、前駆体は、用いる有機
溶媒に対して良好な溶解度を有することが必要であるが
、前述したような大きさ(長さ)及び種類のアルキル基
がチオール基に結合してなる前駆体とすれば、有機溶媒
への溶解度は大きくなる。さらに本発明においては、化
合物(b) 成分からなる部分を有機溶媒に対して高い
親和性を有するように設定することができるので、有機
溶媒への溶解度はさらに大きくなる。
【0046】なお、分子複合材のマトリックスポリマー
として用いることのできるものとしては、芳香族ポリア
ミド、ジアミンと酸無水物とからなるポリアミド酸、及
びポリイミド等がある。
【0047】また、前述したようなアルキル基を置換し
てなる芳香族複素環ランダムコポリマー前駆体の溶液は
液晶性が大きくなり、前駆体を溶解している有機溶媒か
ら容易に前駆体を紡糸することができる。したがって、
本発明の方法を用いれば、ポリチアゾール環を有する芳
香族複素環ランダムコポリマーの繊維を製造することも
容易となる。前駆体の溶液の液晶性を大きくするには、
基本的にはチオール基に結合するアルキル基を長くする
ほうが良いが、実際には有機溶媒への溶解度等を考慮し
て適切な長さとするのが良い。
【0048】
【作用】本発明では、芳香族複素環ランダムコポリマー
の製造において、前駆体をまず合成し、その後加熱によ
りチアゾール閉環反応を起こして目的のランダムコポリ
マーとするいわば二段階の反応による合成を行うので、
アミド系の有機溶媒を用いて、ゆるやかな条件で(高い
加熱温度を必要とせず)前駆体コポリマーを製造できる
【0049】本発明では、芳香族複素環ランダムコポリ
マーの分子鎖中に、屈曲性を有する構造部位をランダム
に配置することができるので、本発明による芳香族複素
環ランダムコポリマーは良好な成形性を有することにな
る。
【0050】また、この屈曲性を有する構造部位を水素
結合可能部位とすることができ、そのために他のポリマ
ーとの親和性を良好にすることができる。
【0051】さらに、本発明の方法を用いれば、芳香族
複素環ランダムコポリマーの合成の第一段階が終わった
時点で(前駆体を合成した時点で)、前駆体とマトリッ
クスポリマーとを混合し、良好な分子複合材を製造する
ことが可能となる。
【0052】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例により詳細に説
明する。 実施例1 (1) 芳香族複素環ランダムコポリマー前駆体の合成
下記式
【化14】 で表される化合物(a) 7ミリモル(1.9488g
)と、下記式
【化15】 で表される化合物(b) 3ミリモル(0.6006g
)とを、アルゴン雰囲気下でN−メチル−2− ピロリ
ドン(以下NMPと呼ぶ)溶液15mlに溶解し、均一
な溶液を調製した。
【0053】この溶液を容器ごと氷冷し、化合物(c)
 として2−クロロテレフタル酸クロライド10ミリモ
ル(2.3746g)を加えた。溶液を攪拌しながら徐
々に温度を上げてゆき、室温に達したところで温度を保
ち、さらに6時間反応させた。
【0054】得られたエメラルドグリーンの溶液を大量
のメタノール中に注いだ。なおこの操作はメタノールを
攪拌しながら行った。
【0055】30分間攪拌を続けた後、濾過し、さらに
水−メタノール溶液で一晩還流し、溶媒を除去した。
【0056】得られたポリマーを真空中、100 ℃で
24時間乾燥した。収量は99.8%であった。
【0057】このポリマーの固有粘度ηinh は1.
38(dl/g)であった。なお固有粘度の測定はNM
P中で、ポリマーの濃度を0.5g/dlとし、30℃
にてウベローデ法により行った。
【0058】得られたポリマー(前駆体ポリマー)の構
造は以下の通りであると思われる。
【化16】
【0059】上記で得られた前駆体ポリマーを、ガラス
板上にキャストし、透明な等方性のフィルム(厚さ30
μm)を得た。
【0060】このフィルムについて引張弾性率及び引張
強度をJIS K 7127に準拠して測定したところ
、引張弾性率が526.0kgf/mm 2 、引張強
度が10.5kgf/mm2 であった。
【0061】 (2) 芳香族複素環ランダムコポリマーへの閉環反応
上記(1) で得たフィルムを真空中において340 
℃で30分間加熱し、茶褐色調の透明なフィルムを得た
。TG−DTA測定及びIRスペクトルの観測から、化
合物(a) の置換アルキル基の脱離及びチアゾール環
の形成が確認された。
【化17】 上記のフィルムに対しても上述と同様にして引張弾性率
及び引張強度を測定した。引張弾性率が701.0 k
gf/mm2 、引張強度が15.6kgf/mm2 
であった。
【0062】実施例2 (1) 芳香族複素環ランダムコポリマー前駆体の合成
実施例1で用いた化合物(a) 1ミリモル(0.27
84g)と、やはり実施例1で用いた化合物(b) 9
ミリモル(1.8018g)とを、アルゴン雰囲気下で
NMP15mlに溶解し、均一な溶液を調製した。
【0063】この溶液を容器ごと氷冷し、化合物(c)
 としてイソフタル酸クロライド10ミリモル(2.0
302g)を加えた。溶液を攪拌しながら徐々に温度を
上げてゆき、室温に達したところで温度を保ち、さらに
6時間反応させた。
【0064】得られた溶液を大量のメタノール中に注い
だ。なおこの操作はメタノールを攪拌しながら行った。
【0065】30分間攪拌を続けた後、濾過し、さらに
水−メタノール溶液で一晩還流し、溶媒を除去した。
【0066】得られた無色透明のポリマーを真空中、1
00 ℃で24時間乾燥した。収量は99.8%であっ
た。
【0067】このポリマーの固有粘度ηinh は1.
20(dl/g)であった。なお固有粘度の測定はNM
P中で、ポリマーの濃度を0.5g/dlとし、30℃
にてウベローデ法により行った。
【0068】得られたポリマー(前駆体ポリマー)の構
造は以下の通りであると思われる。
【化18】
【0069】上記で得られた前駆体ポリマーを、ガラス
板上にキャストし、透明な等方性のフィルム(厚さ30
μm)を得た。
【0070】このフィルムについて引張弾性率及び引張
強度をJIS K 7127に準拠して測定したところ
、引張弾性率が265.7kgf/mm 2 、引張強
度が4.71kgf/mm2 であった。
【0071】 (2) 芳香族複素環ランダムコポリマーへの閉環反応
上記(1) で得たフィルムを真空中において350 
℃で30分間加熱し、淡い褐色調の透明なフィルムを得
た。TG−DTA測定及びIRスペクトルの観測から、
化合物(a) の置換アルキル基の脱離及びチアゾール
環の形成が確認された。芳香族複素環ランダムコポリマ
ーは、以下に示すような構造式で表される。
【化19】
【0072】上記のフィルムに対しても上述と同様にし
て引張弾性率及び引張強度を測定した。引張弾性率が3
28.4kgf/mm 2 、引張強度が10.30k
gf/mm 2 であった。
【0073】実施例3 化合物(a) 及び化合物(b) の均一溶液を作製す
る際の溶媒として、塩化リチウム濃度が5重量%となる
LiCl/MNP溶媒を用いたことと、化合物(c) 
としてテレフタル酸ジクロリドを用いた以外は、実施例
2と同様にして重合反応を行った。
【0074】共重合体を含むLiCl/MNP溶液を大
量のメタノール中に注いで凝固させ、一旦濾過したのち
、メタノール/水混合液中で煮沸してLiClを除き、
真空乾燥して白色のポリマー粉末を得た。収量は98%
で、5重量%のLiClを含有したNMP中での固有粘
度ηinh は1.62(dl/g)であった。
【0075】上記で得られたポリマー粉末を、LiCl
が5重量%のLiCl/MNP溶媒に溶解し、ガラス板
上にキャストして無色透明なフィルムを得た。
【0076】このフィルムを真空中において350 ℃
で30分間加熱し、淡い褐色調の透明なフィルムを得た
。TG−DTA測定及びIRスペクトルの観測から、化
合物(a) の置換アルキル基の脱離及びチアゾール環
の形成が確認された。芳香族複素環ランダムコポリマー
は、以下に示すような構造式で表される。
【化20】
【0077】得られたフィルムについて実施例1と同様
にして引張弾性率及び引張強度を測定した。引張弾性率
が433.1kgf/mm 2 、引張強度が14.3
5kgf/mm 2 であった。 実施例4 化合物(a) 及び化合物(b) のモル比を1:1と
した以外は、実施例1と同様にして、前駆体ポリマーを
得た。
【0078】この前駆体ポリマーからなるフィルムにつ
いて引張弾性率及び引張強度をJISK 7127に準
拠して測定したところ、引張弾性率が527.2kgf
/mm 2 、引張強度が13.0kgf/mm2であ
った。
【0079】次に、上記で得たフィルムを実施例1と同
様にして加熱し、茶褐色調の透明なフィルムを得た。T
G−DTA測定及びIRスペクトルの観測から、化合物
(a)の置換アルキル基の脱離及びチアゾール環の形成
が確認された。芳香族複素環ランダムコポリマーは、以
下に示すような構造式で表される。
【化21】 このフィルムに対しても実施例1と同様にして引張弾性
率及び引張強度を測定した。引張弾性率が558.9k
gf/mm 2 、引張強度が15.8kgf/mm2
 であった。
【0080】
【発明の効果】以上に詳述した通り、本発明の方法にお
いては、一旦前駆体コポリマーを製造し、これを閉環さ
せる二段階法を用いているので、高分子量の芳香族複素
環ランダムコポリマーを容易に製造することができる。 また、得られた芳香族複素環ランダムコポリマーは、剛
直性を発現する部位と柔軟性を発現する部位とがランダ
ムに配置してなる鎖状構造を有するので、良好な機械的
強度、耐熱性及び耐溶媒性等の諸特性に加えて、屈曲性
、伸び等をも有しており、成形性が良好である。また、
柔軟性を発現する部位を適切な構造に設定してやること
で、この部分を水素結合可能な部位とすることができ、
他のポリマーとの相溶性が良好となる。
【0081】さらに、本発明の方法において中間生成物
として得られる芳香族複素環ランダムコポリマー前駆体
を用いることにより、優れた分子複合材を製造すること
ができる。
【0082】本発明による芳香族複素環ランダムコポリ
マーは、単独でまたは複合材の補強成分として、自動車
部品、航空部品等の高強度高耐熱性エンジニアリングプ
ラスチック材料に幅広く利用することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】   (i)(a) チオール基の水素原
    子を置換又は無置換のアルキル基で置換した芳香族ジア
    ミノジチオール化合物と、(b) 芳香族ジアミノ化合
    物と、(c) ジカルボン酸誘導体とを有機溶媒中で反
    応させることにより、下記式 【化1】 (ただしAr及びAr′は芳香族残基であり、Rは置換
    又は無置換のアルキル基であり、Xは前記ジカルボン酸
    誘導体残基であり、m及びnはともに整数であり、m:
    nは0.01:99.99 〜99.99 :0.01
    である。)で表される前駆体コポリマーを製造し、(i
    i) 前記前駆体コポリマーを加熱してチアゾール閉環
    反応を起こし、もって、下記式 【化2】 (ただしAr、Ar′、X、m及びnはいずれも前記化
    1におけるものと同じである。)により表される芳香族
    複素環ランダムコポリマーを製造することを特徴とする
    方法。
  2. 【請求項2】  請求項1に記載の方法において、前記
    芳香族残基Ar′が、ジフェニルエーテル基であること
    を特徴とする方法。
  3. 【請求項3】  請求項1又は2に記載の方法において
    、前記ジカルボン酸誘導体が、芳香族ジカルボン酸誘導
    体であることを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】  請求項4に記載の方法において、前記
    芳香族ジカルボン酸誘導体が置換又は無置換のテレフタ
    ル酸ジクロリド又はイソフタル酸ジクロリドであること
    を特徴とする方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116874782A (zh) * 2023-07-17 2023-10-13 山东理工大学 聚苯并噻唑类化合物及其制备方法

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